食品ロス削減法施行1年
普及啓発、着実に進む
需要に即した生産・販売広がる/食品ロス問題専門家、ジャーナリスト 井出留美氏に聞く
2020/10/31 1面
 「食品ロス」の削減へ国や自治体、消費者などの役割を定め、公明党が成立をリードした食品ロスが削減推進法が施行されて1年が経過した。そこで、食品ロス問題の専門家でジャーナリストの井出留美氏に現状や今後の課題を聞いた。

――推進法の施行から1年が経過した現状をどう見るか。

井出留美氏 食品ロス削減に関する普及・啓発が進み、着実に効果が表れている。強く実感したのは、季節商品で大量に売れ残りが生じやすい恵方巻きだ。スーパーやコンビニなど約100店舗を調査した結果、今年の2月3日は前年と比較して夕方の時間帯に完売した店舗が多く見られた。推進法に基づき、事業者が需要に見合った数を生産・販売した結果ではないか。

昨年2月3日のあるデパートの店舗では、閉店間際に270本以上が売れ残っていた。経済学者の一人は、昨年の恵方巻きの廃棄による損失額は全国で10億円と試算していた。

――消費者の意識は変わったか。

井出 食品メーカーが9月に公表した調査では「食品ロス」という言葉を知っている人の割合が97%に上った。メディアで食品ロスというワードが出た回数が施行前より年1000件増えたことが影響したのではないか。推進法によって、消費者の認知率が高まっていると言えるだろう。

――新型コロナウイルスの感染拡大の影響は。

井出 消費者は外出自粛で買い物が制限され、無駄買いが減る傾向が見られる。家にある食材から献立を組み立てる購買・消費行動への転換が進めば、食品ロスの削減に拍車が掛かるだろう。

――事業者はどうか。

井出 事業者は深刻な事態に陥った。休校要請によって学校給食がストップした影響は大きく、給食で使われる野菜や生乳などを大量に廃棄せざるを得なくなった。このほかにも、飲食店の休業により多くの食材が行き場を失った。

――今後、重要な視点は。

井出 地球資源を持続可能にするには、リデュース(発生抑制)が特に重要だ。日本で1年間に発生する食品ロス612万トンは、東京都民が1年間食べる量にほぼ匹敵し、リユース(再利用)し切れないほど多い。衛生面の意識が強い日本ではリユースがしづらく、廃棄自体を減らす必要がある。

――それにはどのような取り組みが必要か。

井出 大きな壁の一つが、欠品が許されない社会構造だ。メーカーは巨大な販売力を持つ小売店からのペナルティーや取引停止を恐れ、多めに食品を生産せざるを得ない実態がある。一方、小売店側は、消費者と自社の売上のため商品を切らしてはならないと思っている。適量生産・販売が可能な仕組みをつくるため、メーカー、小売店、消費者が共に意識を変え、欠品を許容し、売り切る姿勢を評価する社会へと変革すべきだ。

コメントは受付けていません。

Twitter
ブログバックナンバー
サイト管理者
鈴鹿市 池上茂樹
sigetti50@gmail.com