東京一極集中❗

■(転入超過の9割が若者)地方移住への関心も示す
慢性的な道路渋滞や通勤ラッシュの発生、自然災害への脆弱さ、地方の衰退など東京一極集中の悪影響は、かねてから指摘されてきた。
このため政府は、2014年に地方創生を打ち出し、一極集中の是正と人口減少の克服に取り組んできた。その結果、17~19年には全都道府県で有効求人倍率が1倍を超えるなど雇用環境が改善。都市部の若者が地方で働く「地域おこし協力隊」の参加者も飛躍的に増えた。
一方、東京圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)への一極集中はむしろ加速している。19年は、転入者数が転出者数を約14万6000人上回った。この転入超過数は増加傾向が続いており、その9割は、進学や就職などで上京する10代後半から20代の若年層だ【グラフ上参照】。
いったん上京すると、地元企業に希望する職種がないことや待遇が低いことなどを理由に戻らない人も多く、長らく一極集中が緩和されない一因となってきた。
しかし今、こうした傾向に変化の兆しが現れている。
コロナ感染拡大後に実施された内閣府の調査では、東京圏に住む20代の27・7%が地方移住への関心が高まったと回答した。特に東京23区では35・4%【グラフ下参照】と顕著で、地方創生への追い風が吹いている。
■(地方創生新方針)地元大学の魅力アップ/遠隔勤務広げ移住を後押し
地方創生は今年度から5年にわたる「第2期」がスタートした。新しい基本方針は、昨年12月に閣議決定された第2期総合戦略に加え、その後拡大したコロナ禍の影響を踏まえた内容になっている。
目玉の政策は、地方大学の改革だ。若者の地元定着を促すため、魅力アップを後押しする。
具体的には、今後、地方でも需要増が見込まれる理系人材などの育成に向け、国立大学の定員を増やすことや、オンライン教育を活用した他大学との連携などに取り組む。地域のニーズに応じた人材を輩出し雇用を拡大するため、自治体や地元産業界との連携も強化する。
政府は有識者会議で課題点などを議論し、改革パッケージを年内に取りまとめる。
もう一つの目玉は、地方への移住・定着を促すリモートワークの推進だ。
自然豊かな観光地に滞在しながら働く「ワーケーション」の活用を進めるほか、地方でサテライトオフィスを開設する東京の企業や誘致に取り組む自治体を支援する。
普及には働き手だけでなく、雇用する在京企業や移住先の地方にも利点が必要になることから、大学改革と同様に有識者会議で適切なあり方を検討する。
このほか、新基本方針は地域と継続的な関係を保つ「関係人口」の創出や、少子化対策などを重点政策に位置付けた。
少子化対策では、地域の実情に即した取り組みを行うため、コミュニティーや子育てサービス、保護者の就業状況など関連データを「見える化」する評価ツールを政府が開発。自治体に活用を促している。
■先端技術で変革促進/政府、デジタル人材を派遣
新基本方針は、地方のハンディキャップ克服に向け、医療や福祉、教育など社会全体に情報通信技術を活用し変革を促すデジタル・トランスフォーメーション(DX)を支援する考えも示した。
その実現に不可欠なデジタル人材について、政府の派遣制度が今年度からスタートしている。
派遣されるのは、NTTやLINE、ソフトバンクといった民間大手の従業員ら。市町村(政令指定都市を除く)で原則半年~2年間にわたり幹部職員やアドバイザーを務め、次世代通信規格「5G」の整備やスマート農業の推進などに携わる。
今年度は、北海道上士幌町や長野県上田市、山口県宇部市など21市町でマッチングが成立し、動き出している。


