増加する児童虐待
政府が対策強化へ
2020/02/25 3面
 警察庁がこのほど公表した2019年の犯罪情勢統計(暫定値)では、虐待の疑いで児童相談所(児相)に通告された子どもの数と、警察が虐待を事件として摘発した件数が、いずれも過去最多を更新した。こうした中、厚生労働省や法務省、総務省が相次いで打ち出した対策について解説する。

警察庁によると、19年に児相に通告した18歳未満の子どもは9万7842人で、前年より21・9%も増加。言葉による脅しや無視、目の前で家族に暴力を振るうなどの「心理的虐待」が7万441人で約7割を占め、「身体的虐待」が1万8219人、「育児放棄(ネグレクト)」が8920人となった。

また、警察が虐待を事件として摘発した件数も、過去最多の1957件(前年比41・8%増)に上った。

相次いだ悲惨な虐待事件を受けて社会の関心が高まり、これまで潜在化していた実態が表に出てきたとの見方もあるが、極めて深刻な事態であり、政府も対策強化に乗り出している。

■(厚労省)体罰の具体例を公表

厚労省の有識者検討会は、4月施行の改正児童虐待防止法で親による体罰が禁止されることを受け、どんな行為が体罰に当たるかを示した指針を今月まとめた。

子育てを社会全体で支援することが目的で、保護者を罰したり追い込んだりすることは意図しないとしている。4月から運用を始める。

体罰の定義については、子どもへ身体の苦痛や不快感を与える行為と明記。「頬をたたく」「夕食を与えない」などの類型を挙げた【図参照】。さらに、各地で相次いだ虐待事案で、しつけ名目で暴力が正当化されていたことを踏まえ、体罰としつけとの違いを明確にした。

体罰をさせないためには、自治体や児相が連携して子育て支援をする必要性も挙げた。

怒鳴ったり、暴言については、成長や発達に悪影響を与える可能性があると指摘。冗談のつもりで「おまえなんか生まれてこなければよかった」などと言うことも、子どもの心を傷つける行為で子どもの権利を侵害すると強調した。

この指針は、厚労省のホームページに掲載されており、各自治体で母子手帳と共に配布もされる。

■(法務省)児相を法律面で支援

法務省は、児相などを法律面からサポートするため、今春にも全国の少年鑑別所や日本司法支援センター(法テラス)など同省の関係機関に、順次、担当窓口を設置する。

具体的には、心理学などの専門知識を持っている少年鑑別所の法務技官が、児相からの要請を受け、虐待を受けた児童の心のケアに当たる。

被害を受けている子どもや、DV(ドメスティックバイオレンス=配偶者などからの暴力)被害などを受けている親に対して、法テラスで法律相談を行うことも検討している。

■(総務省)福祉司らの処遇改善

総務省は20年度、児相を設置する自治体への財政支援を拡充する。施設整備に充てられる地方交付税の割合を高め、国の負担を現在の50%から72・5%へと引き上げる。

児相で働く児童福祉司らの処遇改善も進める。児童福祉司の月給を8000円増額するほか、児童心理司と保健師もそれぞれ月額2万円増やす。

■一時保護所の不足/20年度予算で対応

現在の政府の取り組みは、公明党の主張により18年12月に発表された「児童虐待防止対策体制総合強化プラン」(新プラン)と、19年3月に閣議決定した「児童虐待防止対策の抜本的強化」に基づいて進められている。

新プランでは、児童福祉司や児童心理司の増員をはじめ、社会福祉士や医師などの専門職が子育てに悩む保護者らの相談に応じ、地域の実情を調査・把握する「子ども家庭総合支援拠点」を、22年度までに全市町村に整備することなどを進めている。

また、一時保護の件数は年々増えているが、それを受け入れる保護所の数が圧倒的に不足していることが新たな課題となっている。

このため政府は、20年度予算案に、一時保護所の施設整備にかかる費用の補助および職員の増員などを盛り込んでいる。

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