気を付けたい高齢者の誤飲・誤食

消費者庁によると、65歳以上の高齢者が過去8年間に、食品以外の物を誤飲・誤食したという事故は318件に上ります。
飲み込んだ物は「医薬品の包装」が全体の3分の1以上を占め、次いで「義歯・詰め物」「洗剤・漂白剤等」となっています。事故の多くは軽症で済んでいるものの、重症化して死亡に至ったケースもあるため、十分な注意が必要です。
では、どのようにして事故が起こるのか、事例を見てみましょう。
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◆医薬品の包装シート
夕食後、内服薬を包装シートごと誤飲した。普段は薬ケースに朝昼夕と薬剤シートを小さく切り分けて整理し、包装を開いてから内服している。しかし、その日は既に包装を開けたと誤解してしまった。医療機関を受診すると、下部食道に裂けた傷があり、出血していた。
◆義歯・詰め物
パンを食べていたら喉に詰まらせて意識消失、心肺停止状態になり救急要請した。咽頭を観察したところ、下の入れ歯が気管内に詰まっていたために窒息。2日後に死亡した。
◆洗剤・漂白剤
自宅で家族が水筒を洗浄するために、水と台所用塩素系漂白剤を混ぜたものを入れ、放置していた。それを知らずに100ミリリットルほど誤飲してしまった。
■事故防止には家族や介護者の配慮が必要
高齢者の誤飲・誤食事故は本人が気付かない場合が多く、家族や介護者など、周囲の人が次のような点に配慮することが必要です。
まず、医薬品の包装シートの誤飲を防ぐには、シートを1錠ずつに切り離さないことです。包装シートには誤飲防止のため、横または縦の一方向のみにミシン目が入っています。事例にあるように、1錠ずつに切ってしまうと、誤飲を招きやすくなります。
また、1回に複数の薬を服用する場合、1回分の薬をまとめて袋に入れる「一包化」を活用することも、飲み忘れや誤飲防止には有効です。ただし、薬によっては一包化ができないこともあるため、薬剤師などに相談してください。
義歯・詰め物の場合は、定期的に歯科を受診し、良好な状態に保つことが重要です。特に義歯は、破損や劣化、緩みなどが生じると、外れてしまう危険性が高まります。良好な義歯の状態を保つことはもちろん、食後には緩みがないかを確認しましょう。
食器の中に洗剤や漂白剤を入れて漬け置きすることはよくあります。しかし、これをうっかり飲んでしまったという事故が目立つため、洗浄や漂白中の食器などは置き場所に注意し、長時間放置しないことが事故防止につながります。
認知症がある人は、味や、においを感じにくいため、誤飲・誤食しても本人が気付かないことがあります。誤飲・誤食する恐れがある物は、手の届かない所に保管しましょう。
万一、誤飲・誤食して呼吸をしていない、呼び掛けても反応がない場合は、すぐに119番を! 直後に症状がなくても、誤飲・誤食した物を持参して、医師の診察を受けてください。
