主張
2019/08/19 2面
 何事によらず、“はじめの一歩”こそ重要である。心して臨んでほしい。

東京電力福島第1原発の廃炉作業で最難関とされる溶融核燃料(デブリ)の取り出しが、2021年に2号機から始まる見通しとなった。

政府に助言を行う原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)が、新たな「廃炉技術戦略プラン」(要旨)に明記したもので、政府と東電は今秋にも「中長期ロードマップ(工程表)」を改訂する。

事故から8年以上、世界にも前例がない“未知の作業”が、ようやく動き出す。

万が一にも放射性物質の漏えいや、核分裂反応が連続する「臨界」が起きないよう、安全を最優先に万全の態勢を整えることが何より必要だ。

取り出しの初号機を2号機とする理由について、戦略プランは(1)放射線量が他号機より低く(2)デブリらしき物体をロボットアームでつまみ上げることにも成功し(3)格納容器内の水位も低い――ことを挙げている。

ただ、これら「作業上の利点」はあくまで比較上のことで、2号機も1、3号機同様、不確実性に満ちていることに変わりはない。取り出し方法も、格納容器の側面からロボットアームを投入して吸引する「気中工法」が有力だが、なお検討が必要だ。

政府と東電は、引き続き炉内の全体像把握や機器開発、作業員のスキルアップなどに努め、少しでも不具合があれば、開始時期も含めて柔軟に見直す姿勢が欠かせない。

それでなくても、1~3号機にあるデブリの総量は推定800トンを超える。作業は長く険しい道のりにならざるを得ない。焦りは禁物である。

もう一つ、成否の鍵は「地元との共生」にあることも確認しておきたい。

この点は、NDFが主催した過日の「廃炉国際フォーラム」でも、海外専門家らから等しく指摘されたところだ。

政府と東電は、「情報共有や地元企業の参加、地域再生支援など、あらゆる面で地元と信頼関係を築き、関心を持ってもらうことが成功への近道」(英国原子力規制庁のミーナ・ゴルシャン女史)であることを肝に銘じ、「廃炉への道」を一歩一歩、着実に切り開いていってほしい。

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