年金は、老後の生活設計の柱として、将来も確実に年金を受けられるよう、
持続可能な制度にすることが何より重要です。
 
 従来5年ごとに財政再計算をして、年金制度を改正してきました。
 
 しかし、制度を維持するために必要な保険料引き上げや給付抑制などを政
治が行なわないというリスクがありました。
 そのため、「2004年の年金改革」で、最も重要な年金負担と給付について、
政治問題化しないで済むようにしました。
 
 そのために、①保険料水準の段階的引き上げ、②マクロ経済スライドによる
年金水準の引き下げ、③国庫負担率の2分の1への引き上げと、国民に三つ 
の痛みを伴う改革を断行。
 それによって、保険料引き上げの上限と、年金水準引き下げの下限を法定
化しました。
 
具体的には、
● 保険料を段階的に引き上げ、2017年以降は固定し、負担に明確な歯
止めを設けました。
 
■ 厚生年金 : 年収の 9.15%(本人負担)が上限
■ 国民年金 : 1万6900円(2004年度価格)が上限
 
● 標準的な年金受給世帯の給付水準は、現役世代の平均収入の50%
以上を確保します。
 
● 基礎年金の国の負担を 「3分の1」 から 「2分の1」に引き上げ、
年金積立金を活用することで、将来増大する年金給付に備えます。

2004年の年金改革は、5年ごとに財政状況を検証することになっています。
 
 1回目の検証が2009年に行なわれましたが、賃金や物価、合計特殊出生
率、積立金の金利・・・など、総合的に検証した結果、順調に推移しているとの
結論でした。
 
 2004年の改革は、支給開始年齢を「65歳」から更に引き上げなくても、揺
らぐことがないように設計されております。
 
 一つは人口の前提となる、合計特殊出生率(1人の女性から生まれる平均
子ども数)です。
2004年改革では、これを2050年までに 1.39人以上に回復させるとして
いましたが、昨年すでに 1.39人になりました。
 
2004年に 1.29人だった出生率が、2005年の 1.26人を底に、それ
以降回復に向かい、2010年には 1.39人を達成しております。
 
 もう一つは、賃金が毎年1%以上に上昇することです。
最近、賃金の上昇は見られませんが、一方で物価も下落しているので帳消し
になっています。
 金利の収益もあり、十分にカバーしています。

 年金の積立金は安定して運用されており、心配いりません。
 自主運用が始まった2001年から昨年までの10年間の収益額は、11.4
兆円、収益率は 1.20%となっております。
 
 年金財政については毎年、社会保障審議会の年金数理部会が検証を行な
っております。
 
 今年公表された2009年度末の厚生年金の積立金は、2004年の将来予測
が156.7兆円であったのに対して、実績推計が 150.3兆円。
 国民年金の積立金は、2004年の将来予測が10.8兆円に対して、実績推
計 9.8兆円。
 いずれも、予測は下回ってはいるものの、大きな乖離はありません。
 
 なお、ここが肝心なところですが、2009年に財政検証が行なわれた際、
将来的なモデル年金の給付水準は、現役世代の手取り所得の 50.1%で、
2004年検証の50.2%とほぼ同じでした。
 
  先日(11/9)行なわれた衆議院予算委員会での公明党からの質疑に対し
て厚生労働大臣は、「先進諸国でも米国やドイツでは支給開始を65歳から
67歳に上げている。ただ、中長期的課題とすぐに対応すべき課題を整理すべ
きだった。混乱させ、不安を与えたことは申し訳なかった。」
「来年の通常国会や再来年という短時間の中での法案提出は考えていない。」
と答弁し、現時点での見直しは考えていないことを明言しました。
 
 今後の課題としては、非正規労働者もすべて厚生年金に加入できる体制
をつくること、そして制度として現状の根幹を堅持しつつ、低年金所得者の額
を引き上げていくべきことです。

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鈴鹿市 藤浪清司
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