【新宿区議会】令和5年第4回定例会 公明党 代表質問(時光じゅん子)
※新宿区議会 令和5年第4回定例会の会議録がアップされました。
令和5年11月30日、新宿区議会の代表質問に公明党の時光じゅん子が質問に立ちました。
【会議録】代表質問 時光じゅん子
【議会中継】代表質問 時光じゅん子
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◆2番(時光じゅん子) 新宿区議会公明党の時光じゅん子でございます。
令和5年第4回定例会に当たり、会派を代表して、区長並びに教育委員会に質問いたします。
終わりの見えないロシアによるウクライナ侵略やイスラエル・パレスチナ情勢の激化、北朝鮮の繰り返される弾道ミサイルの発射などで国際環境の不透明感が増しています。また、エネルギーや食料品などの幅広い分野での物価高騰により家計に重い負担があるため、区民生活は大変厳しい状況にあります。
今月11月15日、公明党の創立者が逝去されました。私たち新宿区議会公明党は、党創立者からいただいた「大衆とともに」との立党精神を胸に、今後の区政課題に全力で取り組んでいく決意を申し上げます。
以下、質問に入らせていただきます。
質問の第1は、令和5年度の区政課題と今後の取り組みについてです。
吉住区長は令和4年11月に3期目の区長選挙に再選され、1年が経過しました。区長は「区民とともに新宿の未来を創る」ための区政運営に取り組まれており、区議会公明党も吉住区政に大きな期待をしております。
令和5年度は第二次実行計画の総仕上げに取り組む年度であり、次期総合計画への橋渡しとなる第三次実行計画を策定する年であります。このことを踏まえて、最初に2点伺います。
1点目は、歌舞伎町対策についてです。
1月8日に吉住区長は、小池知事と意見交換を行いました。質疑として、歌舞伎町対策、学校給食費無償化、西武新宿線の連続立体交差化などについての区政課題について発言をされました。この中で、歌舞伎町対策については今後、記者会見を行い、メンズコンセプトカフェやホストクラブの高額請求問題に対して発言する旨の意向が示されました。
その後、11月17日の区の記者会見で、歌舞伎町対策についての具体的な対応策について説明がありました。
このことを踏まえて、伺います。
現在課題とされている売掛制度については、課題と対応策を整理し、適切な対応が求められています。また、歌舞伎町対策についてはこれまで以上に東京都や関係団体などと連携し、重点的に対応を行っていく必要があります。区のお考えをお伺いします。
2点目は、区政の信頼回復について伺います。
区職員による不祥事や、業務上の事故が続いています。区職員の大麻所持による逮捕事案や、架空残業・架空勤務が判明した事案が発生しました。区長はこれらの事案をどのように受け止めているのか、また、信頼回復のためどのような取組を行っていく必要があると考えているのか伺います。
次に、今後の取組について4点伺います。
1点目は、政府の物価高騰対策に係る区の取組についてです。
今般、政府が決定したデフレ完全脱却のための総合経済対策には、各地域の実情に合わせてきめ細かな支援策を進めることができる重点支援地方交付金の予算が追加されました。ついては同交付金を効果的に活用し、物価高騰から区民の生活を守り、経済の着実な回復を図るため、区議会公明党として着実に、かつ迅速に実行するように要望しました。
ここで、2つ伺います。
1つ目は、政府の物価高騰対策、1世帯当たり7万円の低所得世帯等への支援についてです。
国の補正予算成立後になりますが、新宿区において、年内の予算化に向けて迅速に対応することが求められています。現時点における区のお考えをお伺いします。
また、区議会公明党は、住民税均等割非課税の低所得世帯等への支援とともに、給付対象となっていない区民に対しても対象を拡大するように区独自の支援策を要望しております。区の御所見を伺います。
2つ目は、今般、政府が決定したデフレ完全脱却のための総合経済対策については、各地域の実情に合わせてきめ細やかな支援策を進めることができる重点支援地方交付金の推奨事業メニューが追加されました。今回の重点支援地方交付金推奨事業メニューについての支援について、区はどのような支援を検討され、準備を検討されているのか伺います。
2点目は、環境省による新宿御苑で実施予定の実証事業についてです。
事業説明については、令和4年12月21日に新宿御苑管理事務所で行われました。この事業は新宿御苑内で行われる計画ですが、福島の復興という観点では、国全体で改めて考えていくことが大事であります。また、除染土壌等については30年以内に福島県外で最終処分することについて、国民への周知が不足していることも指摘されており、今後も丁寧な説明をしていくことが求められています。
このようなことからも、新宿御苑内で行われる実証事業については、近隣住民だけではなく、多くの区民や公園利用者等に説明を行っていくことが大切であります。
区は環境省に対してどのような連携を行っているのか、これまで以上に区民の様々な意見をお届けし、区民視点で行っていただきたいと考えていますが、区の御所見を伺います。
3点目は、神宮外苑地区の再開発について伺います。
区議会公明党は、これまでも神宮外苑の再開発について、白亜の絵画館を背景に4列に整然と連なるイチョウ並木は外苑の中で特に守るべきものであり、将来においても保全していくべきであると要望してまいりました。また、再開発に伴う既存樹木の伐採については、保存や移植などの工夫により自然環境の保全に努めることを求めてまいりました。
9月29日に事業者より、東京都都市整備局に対して「神宮外苑地区のまちづくりにおける樹木の保全について(要請)」に係る報告がありました。この報告の中に「新ラグビー場敷地の既存樹木の伐採に着手する前に、環境影響評価書で示した検討を行った結果としての樹木の保全に関する具体的な見直し案を示し、見直し案を含め、環境影響評価審議会に変更届として報告いたします」との回答がありました。
ここで伺います。
区として、事業者が環境影響評価審議会に提出予定の変更届をどのように認識されているのか、また、変更があった場合の対応をどのように想定されているのか伺います。
4点目は、障害者福祉施策の取組として、失語症者向けの意思疎通支援について伺います。
障害者基本法第3条は「全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られること。」と規定しています。
区は、この趣旨を踏まえ、令和2年6月に新宿区手話言語への理解の促進及び障害者の意思疎通のための多様な手段の利用の促進に関する条例を制定し、障害の特性に応じた意思疎通のための多様な手段、主に聴覚障害者に向けた手話や要約筆記、視覚障害者に向けた点字や拡大文字を用いるなど、意思疎通のための施策を推進されており、この条例の取組について、区議会公明党は令和5年第2回定例会代表質問でも質問しています。
先日、意思疎通の支援が必要な失語症者支援の団体から、具体的な意思疎通支援の在り方について要望をお伺いする機会がありました。失語症者は発語ができない、言語としての組み立てができない、もしくは言語の中身の理解というところに障害があるとのことでした。こうした方々への支援も条例の趣旨にかなっていると言えるのではないでしょうか。
東京都では、平成30年度から失語症者向け意思疎通支援者養成事業を開始し、現在6年目を迎え、養成講座を修了した、支援を行うことができる人材も充実してきていると聞いています。
こうした中、区として失語症者向けの意思疎通支援事業を実施すべきと考えますが、御所見を伺います。
以上、御答弁願います。
◎区長(吉住健一) 時光議員の御質問にお答えします。
令和5年度の区政課題と今後の取り組みについてのお尋ねです。
初めに、売掛制度の課題と対応策についてです。
歌舞伎町のホストクラブ等で高額請求が多発し、その借金返済のため性風俗店に誘導されたり、借金を抱えた本人の家族に対し高額な返済要求が発生している状況が社会問題となっています。このため、区ではホスト業界に対して売掛制度の自主規制を求めるとともに、12月7日から、被害に遭っている女性や御家族の心に寄り添った法律相談を実施してまいります。
また、事件性が認められる事案については警察とも連携を図って対応するとともに、歌舞伎町商店街振興組合、青少年を守る父母の連絡協議会と連携を図り、被害者への支援対策を推進してまいります。
このような取組を進める中、国や都から連携の申出も受け、11月24日には、悪質ホストクラブ等問題に関する連絡協議会により関係機関で情報共有を行ったところです。
ホストクラブ等における売掛金による高額請求被害等、歌舞伎町で起きている事態について、国や都ともさらに連携を強化し、一丸となってこの問題に取り組んでまいります。
次に、歌舞伎町対策についてです。
区ではこれまで安全安心パトロール隊を増員し、パトロール時間帯を延長するとともに、都や支援団体が主催するイベントや町会等との夜間合同パトロールに参加するなど、地元町会・商店街、都、警察、関係団体等と緊密に連携し、歌舞伎町地区に集まる女性や未成年者等の安全確保に取り組んできました。今後も午後3時から翌午前5時までの安全安心パトロール隊の体制を維持し、見守り活動を行うとともに、子ども未来基金助成金、協働推進基金助成金等を通じて、歌舞伎町で活動する様々な団体を支援してまいります。
また、東京都青少年問題協議会の答申を踏まえ、都が本年10月に設置した「トー横」における青少年の被害等の防止に係る情報連絡会において、関係部署の取組、答申の概要、今後取り組むべき方向性等について情報共有を図りました。
今後も地元町会・商店街、都、警察、関係団体等との連携をさらに強化しながら、歌舞伎町地区の安全・安心対策を推進してまいります。
次に、区政の信頼回復についてのお尋ねです。
御指摘のとおり、区職員の大麻所持による逮捕や架空残業・架空勤務による給与の不正受給、個人情報の滅失など、区職員による不祥事や事故が相次いで発生いたしました。これらの事態は区民の皆様の負託を受けた区政への信頼を大きく損ねるものであり、改めておわび申し上げます。
一連の事態の発生を受け、公表当日に緊急の部長会を開催し、綱紀粛正と服務規律の徹底を各部長に指示いたしました。また、臨時の庁内放送を通じて、「一人ひとりが公務員としての初心に立ち返り使命感を持って職務に取り組む」こと、「不祥事や事故を起こさないという強い自覚と倫理感を持つ」こと、そして「全庁一丸となって信頼回復に向けて地道に取り組む」ことを全職員に呼びかけました。
さらに、自らの監督責任を明らかにするため、さきの区議会定例会において私と副区長の給料を減額する条例を可決していただきました。
こうした取組に加え、職員による架空残業・架空勤務の再発防止に当たっては、弁護士と自治体の組織運営に精通する有識者で構成する新宿区勤怠管理適正化対策委員会を設置し、区の勤怠管理における問題点を明らかにするとともに、緊急に取り組むべき対策や今後、取り組むべき方策についての提言を取りまとめていただきました。
この提言を踏まえ、早急にICカードによるタイムレコーダーの導入など勤怠管理方法の見直しを進めるほか、服務監察の見直しや研修の充実など、区が取り組むべき対策を着実に実行していきます。
また、通報対象事実に関する調査については現在も継続しているところであり、調査が完了し次第、速やかに通報対象職員に対する懲戒処分を行うとともに、不正に受給した給与の返還を求めていきます。
区政の信頼を取り戻すため、私をはじめ職員一人ひとりがそれぞれの立場で自らの責任を果たし、職務に邁進するとともに、全庁一丸となって信頼回復に向けて取り組んでまいります。
次に、政府の物価高騰対策である1世帯当たり7万円の低所得者世帯等への支援についてのお尋ねです。
今回の給付金は、11月2日に閣議決定された経済対策において、住民税非課税世帯に対し1世帯当たり7万円を迅速に給付することとされたものです。区としても、物価高により厳しい状況にある世帯に対し早急に支援を届けるべきと考え、年内に給付を開始できるよう、今定例会における補正予算上程の準備を進めているところです。
次に、今回の給付金の対象を区独自に拡大することについてです。
国は経済対策において、7万円の給付対象とならない世帯に対しては、定額減税に加え、一定の所得層を対象に何らかの支援を行うとしており、その支援の具体的な内容は年末に決定するとしています。そのため、現時点で区独自に給付対象を拡大する考えはありませんが、国の動向を注視しながら適切な支援について検討してまいります。
次に、重点支援地方交付金の推奨事業メニューについてのお尋ねです。
エネルギー価格や食材料費などの物価高騰により、区民生活や中小企業者の事業は大きな影響を受けていることから、区は様々な支援を実施してきました。
区民生活への支援としては、物価高騰対策臨時給付金の支給を行い、現在、新たに給付金の準備を進めているところです。中小企業者には、エネルギー価格高騰緊急対策支援を追加するなど、事業の継続支援と経営の安定化に向けた取組を行っています。子育て世帯への支援については、学校給食費の多子世帯の御家庭に対する助成を実施しており、来年4月からの無償化に向けて準備を進めています。
こうした中、国の重点支援地方交付金の追加分を活用し、障害者施設や介護施設、私立保育所、私立幼稚園等への支援として、食材料費について物価高騰対策緊急助成事業の拡充を実施してまいります。
次に、新宿御苑で実施予定の実証事業においての区と環境省との連携と、区民視点に立ち、国に対し意見を伝えることについてのお尋ねです。
区では、昨年12月21日に開催された新宿御苑で実施予定の実証事業に関する説明会の後、区民の方々から寄せられた様々な御意見や御要望を国に伝えています。その際には、実証事業の実施に先立ち、除去土壌の安全性などについて分かりやすく丁寧な説明を行うとともに、広く開かれた説明会を行うよう要請してきました。また、区としても、国に対して情報を公開するよう求め続けてきたところです。
国ではこうした要請などを踏まえ、改めて事業の進め方について検討し、11月21日、区にその方針を通知してきました。通知では、今年度から専門家やIAEA--国際原子力機関よる助言を得ながら、最終処分、再生利用に関する基準省令等の策定に向けた本格的な検討に着手することが示されるとともに、セシウム以外の核種の調査にも着手したことが明らかにされました。
また、再生利用の安全性や管理方法等についてより分かりやすい説明を行うためには、これらの取組の成果を取りまとめることが重要であり、今後の説明会の開催時期については、幾つかの議論すべき事項を踏まえながら検討していくことも示されています。
この通知に添付されたスケジュール案によると、令和6年度末までに除去土壌等の再生利用基準省令の検討、策定を進め、令和7年度以降に再生利用の本格化を推進する予定であることから、区としても、引き続き国における事業の検討状況等を注視してまいります。
また、国が改めて事業の進め方の検討を進める中で、区は、国に対して今後も区民の方々から寄せられる様々な御意見を伝えるとともに、丁寧で分かりやすい情報提供を促してまいります。
次に、神宮外苑地区の再開発についてのお尋ねです。
都は事業者に対し、新ラグビー場の建設に伴う樹木の伐採までに、樹木の保全について見直し案を示すよう要請しました。これを受け、事業者は地区内の全ての樹木を対象に改めて調査を行っており、本年12月以降にその結果を都に変更届として提出する予定です。
区においても、これまで事業者に対し樹木の保全や開発後の植樹、修景に努めることを求めてきました。さらに、今回の見直し案の検討に当たっては、対象となる樹木が風致地区条例に基づく伐採の許可を既に受けているか否かにかかわらず、既存樹木のさらなる保全に向けた検討を行うよう要請したところです。事業者から提出される見直し案には、これまでの都や区の要請が反映されるものと考えています。
今後、見直し案に基づき環境影響評価書が変更され、伐採の変更許可申請が提出された際は、法令の規定や許可基準にのっとり、厳正に審査を行ってまいります。
次に、失語症者向けの意思疎通支援についてのお尋ねです。
区はこれまで、区内の失語症者の団体や支援者と支援の在り方について意見交換を重ねてきました。
区内及び近隣区に在住している東京都の養成講座の修了者は増えてきており、安定的に失語症者を支援するための環境が整ってきていると考えています。こうしたことから、新宿区手話言語への理解の促進及び障害者の意思疎通のための多様な手段の利用の促進に関する条例の基本理念にのっとり、失語症者に寄り添った、円滑な意思疎通を支援する事業の令和6年度からの実施に向けて準備を進めてまいります。
◆2番(時光じゅん子)
質問の第2は、行政サービスの一層の向上についてです。
新宿区は今年10月に、令和6年度から令和9年度までの4か年における総合計画の第三次実行計画素案を策定し、公表しました。
御存じのように、この第三次実行計画素案は、平成30年度から令和9年度までの10年間において新宿区総合計画で掲げた目標を達成することとなっており、この4か年は次期の総合計画の礎を築く重要な4年間です。さらなる行政サービスの向上のためにも効果的、効率的な業務の推進が重要と考え、3点にわたり質問いたします。
1点目は、多様な決済手段を活用した電子納付の推進についてです。
区においては公金の納付について、電子マネー等による新たな決済手段を導入し、区民の利便性の向上を図っており、納付手段は着実に利便性が高まっています。今後、区は第三次実行計画素案の令和6年度において、コード決済等の対象拡大に向けた検討を行うようでありますが、今後の検討内容についてお聞かせください。
2点目の質問は、区民の利便性を高めるための行政手続のオンライン化等の推進についてです。
現在、区はRPA等のICTの利活用などによる窓口サービス、業務手順や執行体制の見直しに取り組まれており、これまでも窓口業務のワンストップ化や、GIS、AIチャットボットの活用や電子申請による受付など、ICTの利活用で窓口業務サービスの向上や職員の負担軽減につなげています。
行政手続のオンライン化による実績数は令和5年9月末時点で420もの手続改善となっており、職員の努力を評価しています。しかし、区が行っている行政サービスのオンライン化の実態を知らずに、来庁される区民もいると聞いております。
なお、これまで区が行っている行政手続のオンライン化による「行かない窓口」の取組の状況と、今後の課題をお聞かせください。
また、区としては「書かない窓口」の実現に向けた検討を令和6年度に行い、令和9年度には実現に向けて、窓口受付において導入を計画しています。「書かない窓口」の実現によって「待たない窓口」にもつながるものと認識しており、その実現のためには持続可能な組織や仕組みを構築し、着々と窓口業務の改善を図ることが大切です。
「書かない窓口」づくりについて、区のお考えをお聞かせください。
3点目の質問は、自治体DXを推進する人材の育成についてです。
区は第三次実行計画素案の新規計画事業において、デジタルトランスフォーメーション--DXを全庁挙げてさらに進めていくために「職員一人ひとりの意識改革やスキルの習得が必要」であるとし、DXに取り組む人材の育成を進めることとしています。
そこで、具体的な区の取組方針及び事業展開のための研修、学習の内容等をお聞かせください。
また、DX推進に向けては、今後の発展のためにもデジタル人材の計画的な採用や育成プログラムについて専門家を交えて検討し、対応することが必要と考えます。区のお考えをお聞かせください。
以上、御答弁願います。
◎区長(吉住健一) 行政サービスの一層の向上についてのお尋ねです。
初めに、多様な決済手段を活用した電子納付の推進についてです。
電子納付の導入により、窓口での釣銭の受渡しがなくなることによる待ち時間の短縮や、来庁せず公金の納付ができることから、区民サービスの向上につながると考えています。このため、区では令和3年度から、窓口における住民基本台帳手数料や印鑑手数料などの納付方法として交通系電子マネーを導入しました。また、令和4年度からは特別区民税、都民税、軽自動車税、国民健康保険料及び介護保険料の納付方法として、ネットバンキングやクレジットカードでの納入のほか、コード決済を導入しています。
今後、電子申請におけるコード決済等の導入や他の手続の手数料、施設使用料などについて、利用状況及び導入費用などの費用対効果を考慮しながら対象の拡大に向けて検討してまいります。
次に、区民の利便性を高めるための行政手続のオンライン化等の推進についてのお尋ねです。
初めに「行かない窓口」の取組状況と今後の課題についてです。
区では、来庁することなく24時間申請手続を可能にする東京電子自治体共同運営電子申請サービスや、マイナポータル・ぴったりサービスを活用した行政手続のオンライン化を推進しています。令和5年9月末時点で延べ420件の手続に導入しており、令和5年度の申請件数については1万2,000件を超えています。
今後の取組としては、今年度実施している区政モニターアンケートの電子申請の利用状況や、電子申請を希望する手続についての調査結果を踏まえ、引き続き行政手続のオンライン化に取り組んでいくとともに、効果的な周知方法について検討してまいります。
次に、「書かない窓口」の実現に向けた取組についてです。
ホストコンピュータで運用している住民記録、税、国民年金、印鑑登録の4業務や各業務システムの標準準拠システムへの移行に伴い、システム間のデータ連携を円滑に行うことができることから、来庁者の申請書類の作成負担の軽減や受付時間の短縮に向け、窓口受付における支援システムの導入を検討しています。
検討に当たっては、他自治体の先行事例である北海道北見市をはじめとする「書かないワンストップ窓口」やマイナンバーカードを活用した申請書作成システムなどを参考に、区に最も適したシステムを導入する予定です。
このシステム導入や窓口業務の業務改善を図ることにより、「書かない窓口」「待たない窓口」の実現に向けて取り組んでまいります。
次に、自治体デジタルトランスフォーメーションを推進する人材の育成についてのお尋ねです。
初めに、具体的な区の取組方針及び事業展開のための研修、学習の内容等についてです。
御指摘のとおり、全庁的にデジタルトランスフォーメーションに取り組んでいくためには職員一人ひとりの意識改革やスキルの習得が必要です。そのため、今年度中にICTの効果的、実践的な活用ができる人材の育成を目指した新宿区ICT人材育成方針を策定し、第三次実行計画に位置づけ、令和6年度から計画的に人材育成に取り組んでまいります。
方針では、情報システム部門の職員をはじめ管理監督者及び一般職員に求められる人材像を定め、これに基づき職員一人ひとりの意識を高めていくために、ICTに対する苦手意識の払拭や業務に当たってのICTの重要性の認識を深めるための意識改革を進めるとともに、実践的なスキルやノウハウの習得などの研修を実施します。研修の実施に当たっては、多くの職員が効率よく受講できるe-ラーニングの活用も検討してまいります。
次に、デジタルトランスフォーメーションの推進に向け、デジタル人材の計画的な採用や育成プログラムについての検討や対応についてです。
デジタルトランスフォーメーションを推進していく中で、最先端のICTに精通している人材の採用や育成は重要であると認識しています。このため、国の地域情報化アドバイザー派遣制度を活用し、ICTの専門家の助言を受け、人材の育成に取り組んでいるところです。
また、来年度は、ICTに関する知識や実務経験のあるICT人材の採用を予定しています。
さらに都内全域のデジタルトランスフォーメーションの実現を目指し、本年7月に発足したGovTech東京の人材紹介サービスを積極的に活用し、デジタル人材の確保、育成を進めてまいります。
◆2番(時光じゅん子)
質問の第3は、町会・自治会活性化推進条例についてお伺いします。
町会・自治会は、防災・防犯、環境美化、地域福祉、地域交流等、様々な地域活動を行い、地域コミュニティづくりの中心的な役割を担っています。一方で、近年の生活スタイルや価値観の多様化、また、区内の大規模なマンション建設も多く、新しく区民になる方も増えており、住民同士のつながりの希薄化が進んでいます。さらに数年間に及ぶコロナ禍により、地域活動が制限されて人々の交流の機会が減り、地域コミュニティの希薄化への危機感が増大しました。
町会・自治会の現状を見ると、他の自治体と同様に、新宿区でも町会・自治会加入率の低下が続いています。平成25年に48.09%だった町会・自治会加入率は今年44.07%と、10年間で4ポイント減少しています。私も町会イベントに顔を出し、皆様のお話をお伺いさせていただくと、役員の高齢化や役員の引受手の不在、町会・自治会活動の担い手不足などの課題が多く挙げられ、全ての町会・自治会がそうでないにしろ、町会・自治会運営の厳しさが見てとれました。
こうした状況の中で、区は今年度から地域住民、マンション、事業者、地域団体等が町会・自治会が行っている様々な地域活動に自主的に関わるための(仮称)町会・自治会活性化推進条例の制定に向けて検討を進めています。
8月から9月にかけて町会・自治会の役員の皆さんと10地区で意見交換会を開催し、10月31日には第1回の検討委員会が開催されました。今年度は条例骨子案を作成する予定であるということです。
まず初めに、この条例の制定により何を目指すのか、改めて条例の目的について区長の見解をお聞かせください。
2点目の質問は、様々な地域組織等との連携についてです。
地域においては青少年団体、女性団体、PTA、民生・児童委員、清掃協力会など、それぞれの分野の課題に取り組んでいる組織、団体があります。こうした組織でも、町会・自治会と同様に高齢化や活動の担い手不足という課題を抱えています。
大規模災害や非常時の助け合い、子どもや高齢者の見守り、地域の安全・安心など様々な地域課題があり、しかも高度化、複雑化しています。今後、地域活動の町会・自治会と各分野の地域組織・団体との連携強化、そして連携を促すためのコーディネート--マッチングが非常に重要であり、必要になってくると思います。
組織同士が連携するコーディネート--マッチングについて、区のお考えをお聞かせください。
3点目の質問は、条例の目的を実現させるための施策についてです。
条例の内容については(仮称)町会・自治会活性化推進条例検討委員会で議論、検討していくと思いますが、条例を制定した後、理念だけに終わらずしっかり効果を発揮していくことが大切です。条例の効果を上げるための取組を考え、地域とともに行っていくべきだと思います。
これまでも、区では加入促進のための啓発物配布やコンサルティング事業、SNS講座など、様々な町会・自治会活性化の施策に取り組んできたことは承知していますが、今後、この条例が実際に有効に機能するような施策、例えば事業者や区民が自然と関わりたくなるようなインセンティブといった仕掛けづくり等、様々な施策が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
最後に、今後を見据えた地域センターの在り方についてです。
区内10か所の地域センターは、コミュニティ活動の拠点として、開設当初から町会やPTA、商店会など地域団体の代表等で構成された管理運営委員会が指定管理者としてその運営を行ってきました。地域センターの設置目的である「会議、集会、その他文化的活動等の場を提供し、区民相互の交流を通して地域における区民の触れ合いと連帯意識の形成を促進する」ことを目指し、各地域センターでは、地域センターまつりをはじめ様々な交流事業やにぎわいづくりの事業を、地域の団体や学校等と連携しながら行っています。
一方で、労務管理への負担や災害時の対応への不安の声があるということも、昨年の第4回定例会の我が会派の質問で御答弁いただいています。
昨年度、公募も含めた運営の検討もされたと思いますが、コミュニティの拠点としてより一層地域センターの役割が重要になっていく中、今後、地域センターの在り方をどう考えるのかお聞かせください。
以上、御答弁願います。
◎区長(吉住健一) 町会・自治会活性化推進条例についてのお尋ねです。
初めに、本条例を制定する目的についてです。
これまで地域においては、それぞれの町会・自治会が防災・防犯、福祉、交流など様々な活動に取り組むなど、地域コミュニティの中心的な役割を果たしてきました。
近年、町会・自治会加入率の減少や活動の担い手不足等が深刻化しています。古くから地域を支えている区民がいる一方、マンション建設に伴う新規転入者の増加や流動性の高い単身世帯、外国人留学生等が一定数いる中で、同じ地域に住み、活動する区民や事業者等が自分たちの地域に関心を持ち、関わりを持ってもらうことが大きな課題です。
本条例は、多くの区民やマンション居住者、事業者、大学等が地域の一員として住みよいまちづくりのための町会・自治会活動に関わり、地域コミュニティの活性化を図ることを目的としています。
次に、様々な地域組織等との連携についてのお尋ねです。
昨年度、実施した区政モニターアンケートの結果で、区民が重要だと思う町会・自治会活動の上位5項目は避難所運営・防災訓練、安全パトロール、高齢者の見守りや支えあい、環境美化・清掃、子育て支援などが挙げられました。
こうした地域課題は多様化、複雑化しており、これらに的確に対応するためには専門人材や各分野の地域組織、NPO等、様々な主体との連携強化が必要です。
区内の町会・自治会の中には、イベントやプロジェクトごとに他の町会、商店会、地元企業、大学など様々な主体と連携し、活動を行う町会・自治会も増えています。防災や地域の見守り等の活動では、民生・児童委員やPTA、NPO等との連携事例も見られます。
今後、他自治体の取組も研究し、活動に必要な専門人材やプロボノ等の活用、コーディネートの体制づくりなどに取り組み、町会・自治会をはじめ地域で活動する様々な団体や組織の連携強化を図ってまいります。
次に、条例の目的を実現させるための施策についてのお尋ねです。
本条例では、町会・自治会活動の意義及び重要性や町会・自治会、地域住民、事業者等それぞれの役割、区の責務等を定め、区の基本的な考え方や方向性を示します。8月から9月にかけて開催した町会・自治会との意見交換会でも、条例の趣旨や目的は理解を得られましたが、条例のための具体的な施策を求める声が上がりました。
現在、区は、この条例を推進するために必要な施策について、庁内の検討会議を立ち上げ検討を行っています。町会・自治会組織の活性化や、区民や事業者等の参加を促進するインセンティブの仕組み、さらには地域組織やNPO等との連携強化等、様々な施策を展開することで条例の実効性を担保し、地域コミュニティの活性化を推進してまいります。
次に、今後を見据えた地域センターの在り方についてのお尋ねです。
区内10所の地域センターの管理運営は、町会・自治会をはじめ青少年育成委員会、PTA、商店会など地域団体の代表等で構成される地域センター管理運営委員会が担っています。各地域センターでは、管理運営委員会により、交流事業をはじめ地域資源を活用したにぎわいづくりや身近な情報発信など、地域の声を反映した様々な事業が実施されており、地域コミュニティづくりの拠点としての役割を果たしていただいています。
しかし、管理運営委員会からは、指定管理者としての労務管理の負担や担い手不足、災害時の対応への不安のお声をいただいています。このため、区は昨年度、地域センターまつりなどのコミュニティ事業以外の業務について民間事業者を活用することもできるよう、各地域センターに提案させていただきました。最終的には現行体制を維持し、令和6年度からの第7期指定管理も非公募方式での選定となりましたが、引き続き第8期指定管理に向け、安定した運営と地域の活性化につながる地域センターの在り方について、各管理運営委員会とともに検討してまいります。
◆2番(時光じゅん子)
質問の第4は、生活困窮世帯の子どもへの学習支援の推進について伺います。
さきに公表された新宿区第三次実行計画素案、以下「三次実計素案」には、新規の計画事業として生活困窮世帯の子どもへの学習支援の推進が掲げられました。
家庭環境などを理由に学習面で不利な状況に陥りかねない子どもたちに学びの場を提供することは、子どもの可能性を開いていくため、非常に重要な事業であると考えます。また、この事業では対象年齢を高校3年生までとしていることから、多様な進路を選択できる環境の提供にもつながり、貧困の連鎖を断ち切る足がかりともなり得ます。その意義からも、この事業が新規の計画事業として三次実計素案に盛り込まれたことを高く評価し、かつ大いに期待するところから、以下、2点にわたり質問いたします。
1点目の質問は、事業内容についてです。
この事業では、学習支援だけでなく訪問事業も組み込まれております。三次実計素案では、その目的を「早期から専ら子どもの生活のリズムに合わせた訪問支援を行うことで、将来の進路や職業選択等に対し夢や希望を持つことについて、保護者や子どもの理解の促進や意識の醸成を図る」と記しており、訪問事業は学習支援を支える重要な位置づけにあると考えます。ともすれば困難な家庭環境の中で諦めや悲観等で自己否定に陥りがちな意識、マインドセットを変えることは学びへの意欲を増し、学習支援につながるからです。
そこで伺いますが、この事業の内容、特に訪問事業の詳細についてお聞かせください。
訪問事業については、さきの福祉健康委員会での質疑で委託事業者による訪問支援であることの御説明をいただきましたが、担当のケースワーカーとの連携は非常に重要です。ケースワーカーでは補えない部分をどのように補完し、どのように共有していくのか御所見を伺います。
2点目の質問は、この事業に対する認識についてです。
この事業は最終的に貧困の連鎖を断つことが目的であり、短期的な成果では推しはかることのできない息の長い事業であると認識しています。訪問事業によってマインドセットを変えることは容易ではないと思います。ある意味では、岩に爪を立ててがけを登るような厳しい挑戦であるのかもしれません。しかし、地道に続けていくことで雪解け水が堰を切ったようにあふれ、大地を潤す春が必ず来るように、事業の成果も必ず現れてくると確信いたします。
そこで伺いますが、この事業の意義は大変重要なものであると考えますが、その成果はすぐに目に見えるものではなく、時間がかかるため、長期的な展望が必要であると考えます。三次実計素案では指標も示されておりますが、この事業に対する区の認識や展望をお聞かせください。
以上、御答弁願います。
◎区長(吉住健一) 生活困窮世帯の子どもへの学習支援の推進についてのお尋ねです。
初めに、訪問事業の詳細についてです。
この訪問事業では、生活困窮世帯の小学4年生から高校3年生までの約150名を対象とし、専門知識を持った委託事業者による最大で週1回の訪問を計画しています。訪問では、家庭環境や生活習慣等に課題を抱え、自ら声を上げにくい子どもたち一人ひとりの状況や思いを酌み取り、ニーズに合わせた相談に応じられるようにします。
次に、ケースワーカーでは補えない部分をどのように補完し、共有していくのかについてです。
訪問事業では、ケースワーカーでは難しい平日の夕方以降や土曜日など子どもの生活リズムに合わせた訪問を実施することで、子どもとの関係づくりに力を入れます。ケースワーカーとは定期的に情報共有する機会を設け、一体的に支援に当たります。
次に、事業に対する区の認識や展望についてのお尋ねです。
この訪問事業は、早期から子どもや保護者に働きかけていくことで、将来、大学や専門学校への進学や希望職種への就職など多様な進路選択をかなえることを目指しています。短期的に目に見える効果を出すことは難しいと考えていますが、支援実績を積み上げる中で着実に子どもとの信頼関係を構築し、将来への夢や希望を自然と持ち続けられるよう力を尽くしてまいります。
◆2番(時光じゅん子)
質問の第5は、認知症施策について伺います。
新宿区は現在、高齢者保健福祉計画・第9期介護保険事業計画を策定されています。その中で、認知症高齢者への支援体制の充実を重点施策の1つとして取り組まれています。
こうした中、同僚議員が今月、福祉健康委員会で、認知症対策に先駆的に取り組んでいる神戸市で、認知症の診断助成制度と事故救済制度から成る認知症神戸モデルを視察してきました。視察の内容を踏まえて今後、区が策定する計画に反映し、実施されることを要望して、以下、2点質問いたします。
1点目は、認知症の診断助成制度の実施についてです。
認知症を早期に発見して適切な支援に結びつけることは、一人でも多くの区民が住みなれた地域で安心して暮らし続けるためにとても重要です。早期発見のメリットは、症状が軽いうちに今後の生活の準備を家族で話し合うことができたり、早めに治療することで改善ができるものがあります。また、アルツハイマー型認知症は適切なケアで進行をおくらせることができると言われています。
神戸市では、認知症の早期受診を支援するために認知症診断助成制度を実施しています。この制度では年に1度、65歳以上の市民を対象に、461か所の身近な医療機関で無料で認知機能検診を受けることができます。検診の結果、認知症の疑いがある場合は、さらに72か所の専門の医療機関において無料で精密検査ができる仕組みです。
都内では、自己負担なしで認知機能検査を杉並区や江東区、中野区、豊島区、練馬区等をはじめ多くの区や市で既に実施しています。新宿区は認知症・もの忘れ相談医や専門医による相談体制を整備されていますが、今後、認知症の人が増加することを見据えて、認知症が発症する前に、より多くの区民の認知症の早期発見につながるきっかけづくりをさらに工夫する必要があるのではないでしょうか。そのために、一定の年齢に達した区民を対象に、医療機関で自己負担なしで受診できる認知症の診断体制を整備してはどうでしょうか、御所見を伺います。
2点目は、認知症の事故救済制度の創設についてです。
認知症の人が日常生活の中で偶然な事故を起こしたときには、家族にも賠償責任が生じる可能性があります。平成19年に愛知県大府市で、認知症の高齢者が1人で出かけて電車にはねられ死亡した事故で、鉄道会社が家族に高額の損害賠償を求めて提訴を起こしました。その後、平成28年3月に最高裁は、このケースの場合、監督義務者不在として家族に賠償責任を認めませんでした。しかし、その訴訟を通して、監督責任を問える状況であれば家族などが責任を負う可能性があることが認識されるようになりました。
また、加害者に賠償責任がない場合は、被害者への救済はありません。
こうした背景から、神戸市は平成31年4月から、認知症の事故救済制度を実施してきました。制度の内容は、認知症の方が損害賠償の責任を負った場合に、委託先である民間の賠償責任保険から賠償金が支給されます。また、認知症の方が起こした事故で被害に遭われた方に見舞金が支給されます。
こうした制度は神戸市に限らず、認知症の人が第三者に傷害を負わせたり器物損壊をしたりして、本人や家族などに対して損害賠償を請求される事態に備え、民間の賠償責任保険を活用して損害を補償する保険事業を開始する自治体が増えています。日本総研の調査では、令和2年7月時点で、葛飾区や中野区をはじめ60の市区町村が補償制度の運用を始めています。
今後、新宿区においても、認知症の御本人や家族が住みなれた地域で安心して暮らすことができるように、民間の損害賠償保険の周知や加入を支援する施策に取り組むべきと考えます。御所見を伺います。
以上、御答弁願います。
◎区長(吉住健一) 認知症施策についてのお尋ねです。
初めに、認知症の診断助成制度の実施についてです。
認知症への不安がある方には、まずかかりつけ医への相談を進めるとともに、認知症・もの忘れ相談医リストの紹介もしています。また、認知症・もの忘れ相談を区内3か所で年24回行っており、認知症サポート医等による認知機能の検査を無料で実施しています。検査の結果、認知症の疑いのある方には、専門医療機関への紹介状を発行しています。
今年度から、認知症・もの忘れ相談チラシの裏面に自分でできる認知症の気づきチェックリストを掲載し、新たに75歳以上となった一人暮らし及び高齢者のみの2,546世帯の方に送付しました。あわせてチェックリストを掲載している「高齢者くらしのおたすけガイド」を、65歳以上の高齢者がいる世帯など5万4,000世帯を対象に、令和6年3月に送付する予定です。
さらに、各高齢者総合相談センターでは認知症初期集中支援チームによる相談体制を整備するとともに、日々の生活相談や地域での見守り活動を推進し、早い段階からより多くの気づきにつながるよう取り組んでいます。
早期に診断を受け、症状が軽いうちに本人や家族が認知症への理解を深め、病気と向き合うことで、今後の生活の備えをすることができます。多くの方にチェックリストを活用していただき、地域での見守り活動を通して認知症の早期発見に努めてまいります。
御指摘の、医療機関で自己負担なく受診できる認知症の診断体制の整備については、他自治体や神戸市の事例を参考にしながら事業のスキームや費用対効果を研究し、相談事業の実施場所の拡充も含め、関係機関と検討してまいります。
次に、認知症の事故救済制度の創設についてのお尋ねです。
御指摘のとおり、神戸市をはじめとした複数の自治体において、民間の賠償責任保険を活用し、認知症の方が起こした事故等の損害を補償する制度が運用されているところです。
民間の損害賠償保険の周知や加入を支援する取組については、高齢者総合相談センターにおいて、相談内容に応じ、既存の保険等の御案内を行ってまいります。
◆2番(時光じゅん子)
質問の第6は、マンション施策の推進について伺います。
新宿区住宅マスタープランによれば、マンションなどの共同住宅は区内住宅の8割以上を占めています。そして老朽化したマンションが増え、また、居住者の高齢化や住戸の賃貸化に伴う所有者不在などにより、管理組合が適正に機能しないマンションが増えています。管理不全マンションを生み出さないためにも、マンション対策を急速に推進する必要があります。
このような中、令和2年6月にマンション管理の適正化の推進に関する法律の一部が改正。行政が管理組合などに、より関与しやすくなりました。この機会を活かし、マンション関連施策のさらなる推進を期待し、以下、3点伺います。
1点目の質問は、新宿区マンション管理適正化推進計画についてです。
区は、令和6年2月を目途に新宿区マンション管理適正化計画素案、以下「計画素案」を策定中で、現在、11月16日に期日を迎えたパブリック・コメントの意見を踏まえ、計画を作成中です。
初めに、パブリック・コメントには何件の意見、どのような意見が寄せられ、どのように意見が反映されたのか伺います。
計画素案には、管理計画認定制度、助言・指導及び勧告の新たな取組を盛り込んでいます。それぞれがどのようなもので、どのような効果を期待するのか伺います。
第三次実行計画素案、以下「三次実計」では、認定件数を3件、指標--令和9年度末の目標も年3件としています。区内における管理計画策定を進めなければならないマンション数を考えるとき、もっと多くの認定マンションが望まれ、来年度以降には認定件数を増加させるべきと考えるところですが、区はどのような考えで認定件数の設定を行ったのか、その意図について御説明ください。
また、計画素案では、管理計画認定支援サービス手数料補助事業、管理計画認定取得促進補助事業、長期修繕計画作成費補助事業も実施するとしています。特に期待するのは管理計画認定取得促進補助事業ですが、計画素案では、具体的な事業内容について検討中となっています。ぜひ管理組合などがメリットと魅力を感じる事業としていただきたいと思うところですが、促進補助事業についてどのようにお考えか伺います。
2点目の質問は、マンション施策の連携についてです。
三次実計では、関連事業として町会・自治会活性化支援、マンション防災対策の充実が示されています。これらの施策のキーポイントはマンションであり、それぞれがしっかりと連携し、施策の推進をすることが重要です。都市計画部、総務部、地域振興部とまたがることになりますが、より強力な連携で施策の推進をしていただきたいと考えます。
区はそれぞれのマンション施策推進における連携についてどのようにお考えか、御所見を伺います。
地域で声を聞くと、マンションの防災訓練など防災対策を進めたいとの話をよく耳にします。しかし、区が行う中高層マンション自主防災組織防災資機材支給事業を知っている方は少ないと感じます。マンション側にも大きなメリットのある事業ですので、より周知に力を入れていただきたいと思います。
三次実計の「防災対策の充実」では、新たに自主防災組織結成に向けたマンション戸別訪問の実施が掲げられており、この取組に大きな期待を寄せるところですが、どのように行っていこうとお考えか、中高層マンション自主防災組織防災資機材支給事業の周知と併せ、御所見を伺います。
3点目の質問は、管理組合のないマンションへの取組についてです。
管理不全の大きなリスクを抱えているのが管理組合のないマンションです。管理組合は様々な施策の窓口であり、対策の難しい原因となっているかと思います。今後はさらなる取組を期待するところですが、区の御所見を伺います。
以上、御答弁願います。
◎区長(吉住健一) マンション施策の推進についてのお尋ねです。
初めに、マンション管理適正化推進計画についてです。
区では、マンションの老朽化や管理組合の担い手不足から管理不全になることを防ぐため、新宿区マンション管理適正化推進計画を策定します。計画策定に向けては、これまで弁護士や建築士など様々な専門家や区民委員等で構成される住宅まちづくり審議会において議論を重ねてきたところです。
作成した計画素案に対するパブリック・コメントでは、居住者間の交流の促進や管理計画認定制度の運用、耐震化の促進など多岐にわたる83件の御意見をいただきました。今後はこれら意見を踏まえ、計画への反映を検討していきます。
計画素案にある管理計画認定制度は、区が管理計画を認定することで居住するマンションが市場で高く評価されることが見込まれるため、管理組合による主体的な管理の促進が期待されます。また、管理不全のマンションに対しては助言、指導及び勧告を行うことで管理状況の改善を促していきます。
第三次実行計画に定めた認定件数については、他自治体の実績等を参考にした上で、制度の開始直後であることから3件と設定したものです。今後は周知等を重点的に行うことで、認定取得マンションを増やしていきます。
管理計画認定取得促進補助事業については、認定の取得への動機づけ及び居住者の利便性向上を目的に、宅配ボックスの設置に係る費用の補助を検討しているところです。
次に、マンション施策の連携についてのお尋ねです。
新宿区民の居住形態の8割超がマンション等の共同住宅であり、マンション形態が多様化する中、町会・自治会への加入促進やマンションの適正な維持管理、防災対策等の施策を関係部署がこれまで以上に連携して推進することが重要です。
昨年度から実施しているタワーマンションへの戸別訪問では、マンション内のコミュニティ活動、地域との関わり、防災の取組状況等をヒアリングし、地域との接点づくりや必要な支援等を関係部署が連携して行っています。また、本年10月からは区公式LINEを活用し、マンション向けのコミュニティ、防災、建物管理等のニュース配信を開始しています。
引き続き関係部署の連携を強化しながら、マンション居住者のニーズに応じた効果的な支援を進めてまいります。
次に、マンション自主防災組織の防災資機材助成事業の周知と、マンション戸別訪問の実施についてです。
御指摘のマンション自主防災組織への防災資機材の助成事業は、令和元年度から開始し、令和4年度までに41棟の組織に助成してまいりました。しかし、コロナ禍で自主防災組織の活動が滞ることなどもあり、近年は実績が伸び悩んでいることから、助成制度を活用していただけるよう一層の働きかけが必要と強く認識しています。
このため、令和4年度から実施しているタワーマンションに加え、区のアンケート調査に回答のあったマンション管理組合に対して令和6年度から直接戸別訪問を実施し、マンション防災講話や防災訓練の実施を働きかけてまいります。マンション自主防災組織の結成に前向きな管理組合に対しては、新たにエレベーターチェアや防災備蓄品等の支援を行うなど、組織の結成を後押ししてまいります。
また、防災資機材の助成事業の周知については、これまで広報新宿や区ホームページをはじめマンション管理セミナーの場やマンションと地域との防災訓練などで行ってまいりましたが、今後は区公式LINEを活用した情報発信や戸別訪問での事業説明など、さらなる周知に取り組んでまいります。
次に、管理組合のないマンションへの取組についてのお尋ねです。
老朽化したマンションが増え続ける中、居住者が主体的に管理を行っているマンションでは適切な維持修繕が定期的に実施されており、その多くで長年、快適に住み続けられています。一方、管理組合がないマンションは管理計画認定制度の対象外であることに加え、維持修繕も十分に行われていないことなど様々な課題があると認識しています。
区は、これまでもマンション管理士等の専門家による相談事業やマンション管理セミナーを通じ、管理組合の設立や運営に関する助言を行ってきました。併せて広報新宿等により管理組合の必要性について定期的に周知啓発してきたところです。
今後はさらに管理組合のないマンションに対し、区から管理組合の必要性を説明する資料を送付するとともに、専門家等の派遣を働きかけるなど、これまで以上に管理組合の設立に向けた取組を強化してまいります。
◆2番(時光じゅん子)
質問の第7は、交通環境の整備についてです。
令和5年11月18日に東京都市計画道路補助第74号線の大久保三丁目から高田馬場四丁目までの約460メートルの区間が交通開放されました。これまで新宿区議会公明党は、道路整備に当たり、ガード下の路面勾配の緩和や安全対策などの要望を行ってきました。この道路の開放により、これまで以上に歩行者と車両の整理が行われ、安全性も向上します。また、鉄道交差部において大型の緊急車両の通行が可能になるなど、地域の防災が向上し、地域においても、早稲田大学や戸山公園、落合中央公園などの広域避難場所を結ぶ道路が整備されることにより、防災対策が強化されます。さらには小滝橋交差点が改良されて中野方面へ直進可能となるため、交通の円滑化により交通の利便性も向上します。
このことを踏まえて、4点質問いたします。
1点目は、補助第74号線の整備については長い年月が必要とされました。これまで区は都と連携しながら、区道の接道部分の安全対策や周辺の交通環境の整備に取り組まれてきました。整備されるまでの期間についてどのように総括されているのか、また、今後の課題をどのように認識されているのか伺います。
2点目は、補助第74号線の開放後の整備について伺います。
補助第74号線について、多くの区間が東京都道になりますが、立体交差部分より西側から小滝橋交差点までの一部は区道となっています。幅員が確保されているところについては地域の状況に合わせて休憩できるベンチを設置できるよう、都道、区道にかかわらず検討していただきたいと考えますが、御所見を伺います。
3点目は、小滝橋交差点の交通環境の整備についてです。
この交差点は補助第74号線の諏訪通りと早稲田通り、小滝橋通りなど五差路から成る区内でも主要な交差点となります。補助第74号線の整備により、小滝橋交差点は中野方面への直進が可能となります。近隣にはスーパーや飲食店、小滝橋バス停、クリニックや診療所などがあり、多くの人も利用します。特に御高齢の方や車椅子を利用される障害者が安全に通行できるよう、新宿区移動等円滑化促進方針に基づいた取組が行われると思いますが、歩道のバリアフリー整備についての御所見を伺います。
4点目は、立体交差の東側の、つつじ通りとの交差点についてです。
この大久保スポーツプラザ入口交差点では周辺地域の開発が進み、特に通勤時などは混雑しており、歩行者も車両も課題がありましたが、補助第74号線の開通により改善が見込まれます。
今後の道路の利用状況を見ながら安全対策に取り組んでいくことが求められます。区の御所見を伺います。
次に、自転車の通行空間の整備と安全対策について伺います。
区は、第三次実行計画素案の中でも自転車通行空間の整備を計画していますが、これまでの整備状況をお聞かせください。
また、自転車通行空間があっても逆走する自転車が散見されますが、警察と連携し、さらなる自転車の走行ルールの周知が求められています。この点、区のお考えを伺います。
次に、自転車用ヘルメット購入費用助成について伺います。
区議会公明党は、これまで繰り返しヘルメット着用の啓発と購入費用助成を訴えてきました。現在の購入費用助成の利用実績をお聞かせください。
また、自転車用のヘルメット着用を推進するためには、自転車商協同組合や交通安全協会などの関係団体へ助成制度の一層の周知を行い、今後も助成制度を継続していく必要があると考えますが、区の御所見を伺います。
以上、御答弁願います。
◎区長(吉住健一) 交通環境の整備についてのお尋ねです。
初めに、補助第74号線整備の総括と今後の課題認識についてです。
補助第74号線の鉄道交差部は、本年11月18日に諏訪通りトンネルが開通したことで、これまで大久保スポーツプラザ入口交差点を通過していた車両の多くがトンネルを通過することになりました。これにより歩道付近を通過する車両が減少し、歩行者の安全性が向上するとともに、東西方向の車両交通が円滑化し、災害時の避難や輸送の迅速化など地域の防災性の強化が期待されます。
これまで事業の実施に当たっては、道路計画の高架方式からアンダーパス方式への見直しや歩道部分の勾配の緩和など、地域の声を踏まえた整備が進められてきました。また、工事中に発生する車線の切替えや歩行経路の変更などの際には、予定を現地に掲示するだけでなく、事前に町会や周辺住民にチラシを配布するなど丁寧な周知を行ってきました。
都市計画道路に係る課題については、整備に伴う生活道路や工事中の歩行経路の変更、工事中の騒音や振動など長期にわたる区民生活への影響に適切に対応することが必要であると認識しています。今後も引き続き、都市計画道路の整備状況に応じて整備主体や警察と連携し、区民生活への影響が最小限となるよう地域への丁寧な対応を行ってまいります。
次に、補助第74号線の交通開放後の整備についてのお尋ねです。
区は、令和3年11月に策定した新宿区移動等円滑化促進方針に基づき、新宿通りなどで高齢者をはじめとした当事者の方々の意見や要望を踏まえ、休憩できるベンチの設置を進めています。補助第74号線の区道区間においても、地域からの提案や要望が寄せられた際、現地の状況等を確認の上、ベンチの設置について検討していきます。
また、都は歩道への休憩できるようなベンチの設置について、高齢者等の通行状況、地元団体等による維持管理の協力、地域の特性等を考慮し、必要に応じて検討することにしています。区では今後、都と協議する場などを捉え、促進方針に基づいた整備がされるよう要請していきます。
今後も、高齢者等に優しく歩きやすい道づくりを一層推進してまいります。
次に、小滝橋交差点の交通環境の整備についてのお尋ねです。
小滝橋交差点については、補助第74号線の諏訪通りトンネル開通に伴い、都による交差点改良工事が実施されています。整備内容として、歩道を広げ、横断歩道を短くする交差点のコンパクト化、視覚障害者誘導用ブロックの設置などバリアフリー整備が実施され、誰にとってもより安全に利用できる交差点へ改修されます。
引き続き、誰もが安心して快適に通行できる道路空間の整備について、都と連携して取り組んでまいります。
次に、つつじ通りとの交差点についてのお尋ねです。
諏訪通りトンネルの開通により当該交差点を通過する車両が減少し、歩行者と車両との交差の改善が見込まれます。一方で、トンネル開通に伴いこれまでの車両や人の流れが大きく変化することで、新たに通行に関する問題が発生することも考えられます。
これまでも、トンネルに先駆けて開通した側道部においてスピードを上げて歩道を通行する自転車が増加したことから、安全を注意喚起する看板を設置するなど迅速な対応が行われてきたところです。今後も変化する交通の流れを十分に注視するとともに、効果的な安全対策の実施を都や警察に働きかけてまいります。
次に、自転車の通行空間の整備と安全対策についてのお尋ねです。
初めに、自転車通行空間の整備状況についてです。
区では新宿区自転車ネットワーク計画に基づき、自転車通行空間の整備に努めています。現在、整備対象路線に定めた100.6キロメートルのうち55.4キロメートル、約55%の整備が完了しました。令和6年度は、早大南門通りほか2路線の整備を予定しています。引き続き自転車通行空間の整備を推進してまいります。
次に、さらなる自転車の走行ルールの周知についてです。
御指摘のとおり、区内では、自転車通行空間が整備された道路であっても逆走等のルール違反が散見されます。区ではこれまでも警察と連携し、小・中学生を対象にした交通安全教室やフードデリバリー配達員を対象とした街頭指導などを実施してきました。また、地域センターまつり等のイベントでは、チラシ、反射材等の啓発物品の配布に加え、自転車シミュレーターを使った体験型の啓発も取り入れています。
現在、国では自転車の交通違反に係る検挙件数の急激な増加に対応するため、16歳以上を対象とした交通反則通告制度、いわゆる青切符の導入が検討されています。区では国の動向を注視するとともに、関係機関と連携し、様々な機会を捉えながら、引き続き区民への自転車の走行ルールの周知啓発の取組を進めてまいります。
次に、自転車用ヘルメット購入費助成の利用実績と今後の推進についてのお尋ねです。
区では本年8月14日から自転車用ヘルメット購入費助成の申請受付を開始して以来、11月22日時点での申請件数は3,847件、申請額の合計は約1,100万円となっており、予定数の7割に達しています。
引き続き、より多くの方のヘルメット着用につながるよう、自転車用ヘルメット購入費助成を推進してまいります。そのため地域センターまつりやふれあいフェスタ、子育てメッセなど多くの子どもたちや区民の方が集まるイベントの機会を捉えた周知活動に引き続き取り組むとともに、自転車商協同組合をはじめとした自転車用ヘルメットの販売店の方々や、交通安全協会にも御協力をいただき、助成制度の周知を図ってまいります。
また、申請手続における申請者の負担軽減を図るため、従来の窓口または郵送による申請方法に加え、電子申請を導入することを検討しています。
区では、このような取組を通じて引き続き自転車用ヘルメット購入費助成を推進し、より多くの方に自転車用ヘルメットを着用いただけるよう取り組んでまいります。
◆2番(時光じゅん子)
質問の第8は、子育て支援についてお伺いします。
新宿区はこれまで、安心できる子育て環境の整備として、保育所の待機児童対策や放課後の子どもの居場所の充実、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援の充実、また、子育てに係る経済的支援として高校3年生までの医療費無償化の拡大、小・中学校の入学祝金の支給、さらに来年度からは小・中学生世帯への給食費無償化の実施予定など、様々に取り組まれてきました。これらの取組を高く評価するとともに、私たちのもとにも、多くの子育て世帯やその関係者からも喜びの声や今後の子育て支援に対する期待の声を寄せていただいています。
1点目の質問は、現今の区政を取り巻く環境を踏まえて、子育て支援への認識や思い、また、将来を見据えた展望について区長のお考えをお聞かせください。
2点目の質問は、児童手当についてです。
公明党は児童手当の創設をリードしてきた生みの親であり、実現後は一貫して拡充を推進してきた育ての親として、制度創設以来、対象の拡大や支給額のアップに貢献し、党を挙げた一大運動として取り組んできました。また、昨年11月には、子ども政策を政治の柱に据えた社会の実現と少子化・人口減少を克服するための具体策を示した子育て応援トータルプランを発表し、その柱の1つが児童手当の拡充であります。
具体的には、親の収入による所得制限を撤廃し、支給対象を中学卒業から高校卒業まで拡大、多子世帯の経済的な負担を考慮し、第三子以降の加算対象を高校生まで広げ、1人当たり3万円を支給としています。
今回、政府が子ども未来戦略方針に盛り込み、来年12月から前倒しで支給を実施する予定の拡充策は、公明党の子育て応援トータルプランで掲げ、実現を求めたものであります。その上で、新宿区内の現時点における児童手当拡充後の支給対象者やそれに伴う財源について、どの程度になると予測しているのか。いずれにしても、来年度の当初予算に盛り込むなど周到な準備をして臨むべきと考えますが、お考えをお聞かせください。
3点目の質問は、児童相談体制の整備についてです。
区は児童相談所運営体制の整備として、児童相談所の開設を目指し、専門性を備えた人材の確保と育成に取り組まれてきています。
しかし、これまで取り組む中で、新宿区の地域特性として歌舞伎町など日本有数の繁華街を抱え、全国から若い世代が集まり、そのためホテルやインターネットカフェ、友人宅等を転々として経済的困窮、無保険等の多くの問題を抱える妊婦やトー横キッズと呼ばれる若者が多いことへの対応など、様々な課題も見えてきたのではないかと思います。改めて、これまでの取組と現状の認識についてお聞かせください。
また、今回示された第三次実行計画素案において、「児童相談体制の整備」として「虐待などの問題から子どもを守るため、児童相談所の設置について検討しつつ、都区連携による取組として東京都児童相談センター内に設置した新宿区子ども総合センター分室の効果も踏まえ、新宿区の子どもや子育て家庭にとって最適な児童相談体制の整備に向けて取り組んでいく」としています。
そこで伺いますが、現状における区の課題を踏まえた今後の児童相談体制について、どのような考えで、どのように進めていかれるのかお考えをお聞かせください。
4点目の質問は、夏休みなどの長期休業における学童クラブの弁当の提供についてです。
このことについては9月に行われた決算特別委員会において、新宿区の学童クラブの夏休みなどの長期休業における弁当の提供の把握について、こども家庭庁からの放課後児童クラブにおける食事の提供についての事務連絡に対する区の考え方について、学童クラブを利用されている保護者からの様々な意見を踏まえ、区は現時点でどのような支援を検討されているかについてなど私が質問させていただきました。その際「どういった形で区が関わっていくのがいいのか、また、保護者の皆様の御意見、個数、契約の継続性、廃棄についてどのような形がいいのか等、研究を行ってまいります」との御答弁をいただいています。
そこで、具体的にどのような研究をされたのかお伺いします。
子育て支援という観点から考えるならば、保護者の負担軽減を図るため、区として夏休みなどの長期休業における学童クラブの弁当の提供支援を行うべきであり、これまでの「研究」ではなく「検討」を行い、新たな年度より取り組むべきと考えますが、お考えをお聞かせください。
以上、御答弁願います。
◎区長(吉住健一) 子育て支援についてのお尋ねです。
初めに、子育て支援への認識や思い、また、将来を見据えた展望についてです。
新宿区で生まれ、育ち、未来を担う子どもたちが健やかに、自分らしく成長していけるまちの実現を目指して様々な施策に取り組んでまいりました。国においても「こどもまんなか社会」を掲げ、全ての子どもが幸福な生活を送ることができる社会の実現に向け、来月には「こども大綱」をまとめるとしています。これからも国や都との役割分担や連携を図りながら、子どもの成長や子育てに関する様々な支援策を幅広く充実させるとともに、子ども・子育てを見守り、支える地域社会の実現に向け取り組んでまいります。
次に、児童手当についてのお尋ねです。
法改正の国会審議はこれからですが、拡充の内容は、所得制限が撤廃され受給者数が増えること、支給対象児童が中学生年代までから高校生年代までに広がること、第三子以降の支給額を増額することです。また、最近の首相発言から、手当の支給回数を年3回から年6回とするとともに、多子加算における第三子の定義を変更することも併せて実施されるものと見込んでいます。
制度改正後の区における対象児童数は、令和5年10月時点の約1万9,000人から約3万4,000人に増加するものと予測しています。また、令和6年度予算は、令和5年度予算との比較で約6億4,000万円の増になると現時点で試算していますが、制度改正が通年化する令和7年度予算以降はさらに膨らむことになります。令和6年度当初予算への計上やシステム改修等の準備が遅滞なく行えるよう、今後も積極的に情報を収集し、制度改正後の初回支給日となると見込まれる来年12月に備えてまいります。
次に、児童相談体制の整備に関するこれまでの取組と現状の認識、区の課題を踏まえた今後の児童相談体制についてのお尋ねです。
区では児童相談所の設置に向けて、計画的に人材確保と育成を進めています。業務に必要な専門性を身につけるため、他自治体の児童相談所等への派遣研修を行っていますが、職員への指導を行うスーパーバイザーの育成にはまだ時間を要する状況です。
区における児童虐待相談は年々増加していることから、対応の迅速化を図るため、令和5年7月に都児童相談センター内に区子ども総合センターの分室を設置しました。分室の職員は都に虐待通告が入った際の緊急受理会議に参加し、都と協議の上、区の子育て支援サービスを活用した支援が適したケースを地域の子ども家庭支援センターでの対応につないでいます。一時保護や施設入所等の法的権限による対応は都が行い、虐待の予防や再発防止のための継続的支援は区が行うという役割分担の下、分室を核とした都区連携の取組により、ケースの状況に応じた適切な対応を図っています。
区児童相談所の設置に係る当初の想定を超える課題として、現在、都児童相談センターで対応している区外児童の増加があります。繁華街で警察に補導され、対応を引き継いだ児童を住所地の児童相談所へ移送する業務が急増しており、対応に要する人員や時間、費用等の負担が大きくなっていると伺っています。区が児童相談所を開設する際にはこれらの対応を全て都から引き継ぐことになるため、他区の児童相談所よりも多くの人員配置等が必要となります。
また、施設整備についても、児童相談所本体のほか、一時保護所の定員拡大の必要性についても認識しているところです。
今後も区児童相談所の設置についての検討を進めつつ、区の児童や子育て家庭にとって最適な児童相談体制を整えてまいります。
次に、夏休みなどの長期休業期間中における学童クラブでの弁当の提供についてのお尋ねです。
この間、保護者が自主的に行っている取組では契約の継続性、最低注文数があること、児童が急に休んだ場合に保護者が弁当を取りに行くことなどに苦慮されていることを認識したところです。これらを踏まえ他区に聞き取りを行った結果、令和5年10月時点で、来年度実施予定の区も含め、23区中12区において弁当の提供に係る取組を行っていることを確認しました。
新たな年度からの取組については、学童クラブ利用児童保護者の弁当作りの負担を軽減するとともに、児童の健全な育成を推進するため、区学童クラブにおける長期休業期間中の弁当の提供を令和6年度の夏休みから実施できるよう、具体的な検討を行ってまいります。
◆2番(時光じゅん子)
質問の第9は、新宿区における教育環境の整備について伺います。
東京都教育委員会は、今年9月に行われた教員採用試験の倍率を小学校で1.1倍、中・高共通で1.8倍など、全体の最終倍率は1.6倍と公表しました。これは昨年の2.1倍に比べ減少しています。
このような状況は、全国的に教員になる人材が減少していることや、35人学級の導入等により必要な教員数が増加するなど、教員不足は深刻な問題となっており、待ったなしの早急な対策が必要です。
この教員のなり手が減少している背景には、教員の長時間勤務が大きな要因の1つとなっています。この解決の一助として、新宿区教育委員会では「教員の勤務環境の改善・働き方改革第一次・第二次報告書」を作成し、教員が健康でやりがいを持ちながら子どもたちと向き合い、質の高い教育活動を継続できるよう、教員に対するタイムレコーダーの導入をはじめとして、学校経営推進員、学校経営補助員を配置するなど具体的な取組を実施してきました。
このことを踏まえて、教員の働き方改革について3点伺います。
1点目は、部活動運営支援事業について伺います。
東京都の調査では、都立高校の教員で昨年10・11月に過労死ラインに相当する1週間の勤務時間が60時間以上の教員の割合が26.6%にも上り、その一因が部活動であることが分かりました。そこで、部活動に対してアンケートを取った結果、部活動指導を少なくしたいと考えている教員は50.4%、外部人材に委ねるべきと考えている教員は56.5%に上っています。
また、新宿区立の学校においても、長時間勤務の要因の1つに部活動が挙げられます。
新宿区は令和5年度から部活動運営支援事業の一部を民間委託化し、人材確保に取り組んでいます。令和5年度の部活動運営支援事業の状況と、来年度に向けた取組についてお考えをお聞かせください。
2点目は、ICTを活用した教育について伺います。
「新宿区版GIGAスクール構想」に基づく児童・生徒1人1台のタブレット端末の導入による効果は、各校において、誰一人取り残すことなく個別最適な学びや協働的な学び、また、学習機会の確保の充実をはじめ教員の働き方改革にもつながっています。そのため、教員のサポートを含むICTを活用した教育の充実に向けてのICT支援員の体制強化は大変重要です。
区は、さらなる強化として、令和4年8月からICT支援員の巡回滞在時間を3時間から8時間に拡充しました。ICT支援員による支援体制の拡充による教員の働き方改革の効果の検証と、今後のサポート体制についてお聞かせください。
3点目は、教員のメンタルヘルスについて伺います。
現在、教員が過度のストレス等により心の病で休職に陥るメンタルヘルスの問題が、学校現場で重く受け止められています。
東京都教育委員会は12月より、教員が悩みをLINEで相談できる窓口を開設し、気軽に相談できる環境整備を整え、心の不調を未然に防ぐ取組を行うとしています。区における教員のメンタルヘルスについての取組状況をお聞かせください。
最後に、自閉症・情緒障害特別支援学級について伺います。
先日、次のような御相談を受けました。「私の子どもは他人との意思疎通や対人関係の形成が困難なため、通常学級の小学校ではなく自閉症・情緒障害特別支援学級のある小学校に通わせたいが、新宿区内にはないため、引越しを余儀なくされていて困っている」と大変悩んでいました。
御存じのように、自閉症・情緒障害特別支援学級とは、知的発達に遅れのない自閉症等の児童・生徒を対象とし、少人数の児童・生徒で編制される学級です。また、通常の教育課程に準ずることを基本に各教科及び領域の指導を行うとともに、学習上、生活上の困難を改善、克服するための自立活動の指導を行う学級のことであり、現在のところ23区内で開設している区も複数あり、学級数は年々増えていると聞いています。
しかし、本区には一校もないため、新宿区にもぜひ設置をしてほしいとの御要望をいただいております。教育委員会はこのような区民の要望についてどのようなお考えか、お聞かせください。
また、他自治体の設置状況から、今後、新宿区でも検討を視野に入れ、設置すべきと考えますが、お考えをお聞かせください。
以上、御答弁願います。
◎教育長(針谷弘志) 新宿区における教育環境の整備についてのお尋ねです。
初めに、部活動運営支援事業の状況と来年度に向けた取組についてです。
教育委員会では令和元年度から毎年、10部活動程度に会計年度任用職員を部活動指導員として配置し、部活動の質の向上と教員の働き方改革を推進してまいりました。令和5年度は部活動指導員の安定的確保のため、部活動指導業務の一部を委託化し、区立中学校9校、区立小学校9校においてバスケットボール、バドミントン、吹奏楽、書道など、30部活動程度に配置を拡充しました。
9月に実施した部活動指導員導入後のアンケートにおいては、「校務に充てる時間や休暇を取る機会が増えた」「部活動の負担が減少した」と感じた教員の割合が95%となっており、教員の負担軽減として一定の成果が上がっているものと認識しています。
来年度に向けた取組といたしましては、例年行っている部活動指導員需要調査等により全区立学校の配置希望を丁寧に把握するとともに、各校の実情に応じて的確に配置できるよう、部活動指導業務の一部委託を継続、拡充しながら、部活動の質の向上と教員の負担軽減、働き方改革を一層推進してまいります。
次に、ICTを活用した教育についてのお尋ねです。
教育委員会では、「新宿区版GIGAスクール構想」に基づくタブレット端末導入に伴い、授業中のICT機器の操作に関するトラブル対応や教材提供等の新たな学校業務への対応のため、全区立学校を対象に月4回、1日8時間終日滞在で支援を実施しています。このように支援体制を拡充したことで、より多くの教員への授業準備、教材等の作成支援につなげています。
これらの成果として、学校からは「教材作成の時間が確保できた」「授業の事前準備の負担が減って助かる」「トラブルが発生した際すぐ対応できる」「新たに導入された電子黒板もすぐ操作方法を教えてもらえた」などの意見が届いており、ICT支援体制の拡充は教員の働き方改革に寄与していると考えています。
今後も教育委員会では、ICT支援員による対応とともに、学校間の情報交換やICT活用の好事例の共有等を図ることで、教員の負担軽減につながるようサポートしていきます。
次に、教員のメンタルヘルスについてのお尋ねです。
主な取組としては、教員のメンタル不調の未然防止のためのストレスチェックや長時間労働による健康障害防止のためのセルフチェック、産業医及び保健師による健康相談、面接相談を定期的に行っています。
研修等での取組としては、新任教員研修会において心理士との全員面談を行うとともに、定期的に元小・中学校長の学校支援アドバイザーが教員の健康状態等の把握も行っています。また、副校園長研修会では、日常的な教員の状況把握と速やかな対応、管理職等からの適切なバックアップが行われるよう毎年研修を行っています。
今後も本取組を継続し、教員のメンタルヘルスケアに取り組んでまいります。
次に、自閉症・情緒障害特別支援学級についてのお尋ねです。
自閉症・情緒障害特別支援学級の教育課程は小・中学校の教育課程に準ずるものとされており、通常学級と同様に、学習指導要領に示された全ての内容を学びます。年間の授業時間数の合計は小・中学校と変わりませんが、教科の指導時間数を減らして自立活動のための時間を設定するため、通常の学級の児童・生徒に比べ少ない時間数で教科の学習内容を習得する必要があります。
また、東京都教育庁指導部による令和5年度教育課程編成状況調査の結果では、先行設置の自治体における自立活動の指導時間数は週当たり平均二、三時間程度で、まなびの教室とほぼ同じ指導時間数となっています。さらに、文部科学省が実施した令和3年度特別支援学級及び通級による指導の実態調査の結果からは、調査対象となった児童・生徒の50%程度は、年間の総授業時間数の半分以上を小人数の在籍学級ではない通常の学級で受けていることが分かりました。
現在、新宿区では、自閉症・情緒障害等の児童・生徒は、個の実態に応じて設定された時間数でまなびの教室の指導を受けています。さらに、在籍学級での学習及び生活については特別支援教育推進員や学生ボランティア等を活用して支援の充実に努めているところです。
自閉症・情緒障害特別支援学級の設置には、教科等の学習及び自立活動の適切な授業時数の設定、各児童・生徒の障害の状態や特性、発達段階に合わせたきめ細かな指導とともに、卒業後を見通した進路指導を行う体制の整備などが必要です。今後もまなびの教室等での取組を実施、継続しながら、他の自治体の動向を注視しつつ、これらの課題についても研究を行ってまいります。
以上で答弁を終わります。
◆2番(時光じゅん子) ただいま新宿区議会公明党の代表質問に対しまして区長並びに教育委員会から大変丁寧な御答弁をいただきまして、大変にありがとうございました。
以上をもちまして代表質問を終わらせていただきます。御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)