人にやさしい多文化共生のまちづくりについて (平成22年11月 第4回定例会 一般質問)
平成22年11月30日、第4回定例会の一般質問に立ちました。
質問のテーマは、「人にやさしい多文化共生のまちづくりについて」です。
質問と答弁は下記の通りです。
◆3番(野もとあきとし) 野もとあきとしです。私は、人にやさしい多文化共生のまちづくりについて一般質問いたします。
平成22年、新宿区の統計によれば、新宿区の外国人登録人口は、平成17年1月1日現在、2万8,272人、平成22年1月1日は3万5,211人で、この5年間で約7,000人増加しています。特に、区内の出張所管内別外国人登録人口では、平成22年1月1日現在、大久保特別出張所管内には、25.9%の方が外国人登録をされており、区内の外国人登録人口の33.4%が集中しています。
この大久保についての記事が、本年4月から日本経済新聞の夕刊で、毎週土曜日に全12回にわたり掲載され、全国的にも注目を集めています。テーマは「アジア人が集う街 東京『オオクボ』に住んでみる」で、記者が大久保に1カ月住み、取材を行い、さまざまな角度から大久保のまちを紹介しております。
記事には「コリアンタウンと呼ばれる大久保。だが、この街の魅力は韓国料理や韓流スターのグッズだけではない。アジアを中心に多様な国の人々が集い、学び、働き、暮らす。ここは異文化の宝庫だ。大久保にいれば、世界が見える。そう言っても過言ではないほど、いろいろなことを知り、刺激を受けた1カ月間だった」とあります。
私も日常的に大久保地域で活動していますが、記事の内容については、新たな発見が多く、大久保のまちの持つ魅力や可能性を再認識いたしました。
また、今年度、日本で初めての第三国定住による難民の受け入れが始まりました。この秋来日した難民の方々は、新宿区内にある定住支援施設で6カ月間にわたる日本語学習や生活指導といった定住のためのプログラムを受講されていると聞いています。先日は、国連難民高等弁務官が新宿区長を表敬訪問し、新宿区の受け入れについて謝意を表明されました。
パイロットケースであるこの事業は、政府が今後しっかりと事業を遂行するとともに、その結果を検証していくことが必要と認識しておりますが、新宿区で難民の方々が生活を営み、日本での定住を目指して努力されていることは、外国人を受け入れる新宿区の懐の深さと地域における理解のたまものと改めて思います。
こうしたことは、区長が多文化共生のまちづくりを常に念頭に置いた区政を運営されているあかしであると高く評価するとともに、今後も多文化共生施策をさらに推進していくべきとの思いを強くしています。
このことを踏まえて、最初に多文化共生について3点お伺いいたします。
1点目は、ネットワーク事業の推進についてです。
しんじゅく多文化共生プラザ条例第3条では、プラザが行う事業として「多様な文化を持つ人々がともに生きる地域社会の形成に資する活動を行う団体及び個人のネットワークづくりの推進に関すること」を規定しています。
そうしたネットワークの推進のために、平成17年度にしんじゅく多文化共生プラザを設置した後、町会や商店会、プラザ利用団体、外国人支援団体、行政などをメンバーとするネットワーク連絡会を立ち上げ、多文化共生に関する情報の共有や地域課題の解決に尽力されてきたと思います。
今年度は、この連絡会をどのように運営され、その成果はどのようなものであったのか、また、これからの連絡会をどのように発展させていこうとお考えかお聞かせください。
2点目は、多文化共生のビジョンについてお伺いします。
区長は、区長就任に当たっての所信の中で、区政への取り組みの原点の一つに、新宿のまちの多様性・多文化共生で切り開く持続可能な都市新宿と述べております。また、外国人が多く住み暮らすことを新宿の特性として積極的にとらえ、互いに理解し合い、ともに生きる多文化共生のまちづくりを進めるとして、具体的な施策を示しています。
最終的に区長の言われる多文化共生のまちづくりとは、どんなまちを目指しているのか、区民にわかりやすく御説明ください。
3点目は、しんじゅく多文化共生プラザの機能強化についてお伺いします。
先月、私は、長岡市国際センター「地球広場」の視察を行いました。地球広場は建物の1階にあり、だれもが気軽に入場できるようなオープンスペースで、さまざまな工夫を凝らした展示がありました。
センター長の羽賀智信氏は、世界各地で国際協力に携わってきた経験を活かして、積極的に地球広場の運営に携われており、特に日本語学習支援では、一人ひとりの日本語の習得状況に合わせた個別の支援を行い、きめ細やかに取り組まれていることや、長岡市は中越大震災の経験から、災害などの緊急時にラジオ放送のスイッチが入り、市役所からFMながおかを通じて直接放送する仕組みがあり、長岡に住む外国人のための多言語放送がいかに重要であるかを説明していただきました。私は、長岡市の地球広場における多文化共生への先駆的な取り組みに感動いたしました。
国際都市新宿は、しんじゅく多文化共生プラザを中心拠点として、新宿区未来創造財団の多文化交流や国際相互理解の事業なども積極的に行っており、全国をリードするものと評価しております。
現在、しんじゅく多文化共生プラザの設置から5年が経過し、さらなる機能強化を図るときが来たと考えますが、これまでの取り組みをどのように分析し、今後、どのような機能強化をお考えか伺います。
最後に、外国にルーツを持つ子どもたちの進学について、教育委員会にお伺いします。
区長は、所信表明で、外国にルーツを持つ子どもに日本語等学習支援とあわせて、子どもの成長を地域ではぐくむ生活支援に取り組むことをうたっています。
新宿区は、諸外国から多くの外国人が移り住むまちです。保護者とともに移り住んできた子どもたちは、日本の学校生活に適応することや日本語を習得しなければならないという現実に向かい合わざるを得なくなります。新宿区の日本語サポート指導は手厚く、その充実ぶりには目を見張るものがあります。
教育センターで行われている日本語サポート教室を30時間、さらに学校での日本語サポート指導を中学生は60時間を上限に受けることが可能です。加えて、初期個別補充指導や放課後日本語学習支援も受けられると聞いています。
ただ、これだけの手厚い日本語サポート指導の体制をもってしても、中学校3年生においては、日本語の習得が不十分であるがゆえに、進路が限定されたり、文化的な背景の違いから、保護者が高校進学について理解が進まないなどの問題もあるのではないでしょうか。
そこで、教育委員会に伺います。
外国にルーツを持ち、日本語の習得が十分でない生徒に対して、進学は重要な問題です。さまざまな習慣や考え方が異なる文化の中での外国人生徒に対する進路指導についてお聞かせください。
また、今後、外国人が多くなることにかんがみ、日本語サポート指導を一層充実させる必要があると考えますが、御所見をお聞かせください。答弁願います。
◎地域文化部長(酒井敏男) 野もと議員の御質問にお答えいたします。
まず、ネットワーク事業の推進についてのお尋ねです。
多文化共生のまちづくりを進めていくためには、外国人と日本人、団体などの相互のネットワークづくりが重要と認識しています。平成17年度に設置したネットワーク連絡会は、多文化共生に関する情報を共有し、地域課題の解決のために役割を果たしてきましたが、今年度はこの連絡会をさらに活性化するために、6月の全体会で会則を定め、新宿区多文化共生連絡会と名称を変更し、会長、副会長、ファシリテーターの役割分担を行いました。
その上で、「しんじゅく多文化共生プラザのあり方検討」「外国にルーツを持つ子どもの学習支援」「外国人の災害支援ネットワーク」という課題別の分科会を設置し、それぞれ検討を行い、中間のまとめを作成しました。その結果を10月の全体会に諮り、連絡会として承認されました。
今後は、引き続き各分科会の議論を深め、年度末までに今後の方針を固め、区の施策に反映させていきます。
また、さまざまな国籍の外国人や地域団体にも積極的に声をかけ、新たな課題に対応するための分科会を立ち上げるなど、これからも一層の活性化を図ってまいります。
次に、多文化共生のまちづくりについてのお尋ねです。
外国人登録者数が約3万5,000人、区民の9人に1人が外国人という新宿のまちは、多いときで119カ国の国籍の外国人が住み暮らしています。多文化共生のまちづくりは、こうした新宿ならでは多様性を尊重しながら、日本人と外国人が互いの文化的違いを認め合い、地域の中で協力しながら生活していくことを基本として進めていくことが大切と考えています。
他方、地域においては、言葉や生活習慣の違いによるコミュニケーション不足から誤解やトラブルを生じることも少なくありません。
こうしたトラブルを未然に防ぎ、地域で日本人と外国人がともに生活していくためには、コミュニケーションの基本となる日本語学習の充実はもちろんのこと、地域で生活する上で、当然守るべきルールとマナーの周知を図ります。
具体的には、「新宿生活スタートブック」を改訂するとともに、生活情報紙や外国語版広報紙の配布場所の拡大、外国語ホームページの活用によるルールとマナーの周知徹底に努めてまいります。
今後とも、新宿に集い、暮らす日本人と外国人が互いに顔の見える環境を築きながら、理解し合える多文化共生のまち新宿をつくってまいります。
次に、しんじゅく多文化共生プラザのこれまでの取り組みと今後の機能強化についてのお尋ねです。
しんじゅく多文化共生プラザは、平成17年9月の開設以来ことしの8月末で、利用者数が11万人を超えるなど、日本人と外国人の交流拠点として活用されてきたと認識しています。
また、日本語学習支援や情報提供の中心的役割も果たしており、現在もほぼ毎日、日本語ボランティアがプラザで日本語を教えています。英語、中国語、ハングル、そのほかタイ語、ミャンマー語の相談員を置くなど多言語での外国人相談も充実させ、同じフロアにある入国管理局が管轄する外国人総合相談支援センターとタイアップして、在留資格から生活相談までワンストップでの外国人相談にも対応しています。
これまでは、プラザの存在を広く知ってもらうこと、プラザを拠点に外国人施策を展開することを主眼に取り組んできましたが、今後は、より積極的なコーディネーターとしての役割が必要と認識しています。
プラザの機能強化を図るため、今年度設置した新宿多文化共生連絡会に「しんじゅく多文化共生プラザのあり方検討」という分科会を立ち上げ、中間のまとめをつくりました。中間のまとめでは、「プラザをより利用しやすい施設にするために、親子での利用を促進する」「プラザの存在を知らない日本人に向けたPRを積極的に行う」「外国人コミュニティに声かけを行い活性化を図る」などの意見がありました。今後は、分科会でさらに議論を深め、ホームページの充実や利用者アンケート、利用者懇談会によるニーズの把握、プラザを知ってもらうためのイベントの実施など具体的な施策を熟考する中で、機能強化に取り組んでまいります。
◎教育委員会事務局次長(蒔田正夫) 次に、外国人生徒に対する進路指導についてのお尋ねです。
国籍にかかわらず、中学生に対して、自己の個性や能力・適性を発揮できるような進路を選択する力を身につけさせることは、極めて重要な指導です。特に、外国人生徒への進路指導については、入試の仕組み、成績のつけ方などを十分に理解していないことが多いため、まず初期日本語サポート指導の中で、日本語指導だけでなく、高校進学に関するガイダンスを行えるようにしています。
また、本年6月には、新宿未来創造財団が主催する「外国人・帰国子女のための高校進学ガイダンス」に、教育委員会職員及び中学校の進路指導主任が出席し、卒業後の進路や入試の手続などについて説明をしています。
さらに、各学校では、進路に関する三者面談において、要望に応じ通訳が同席するなどの対応をしています。
今後も、外国人生徒が適切な進路選択を行うことができるよう、きめ細かな対応に努めてまいります。
次に、日本語サポート指導の充実についてのお尋ねです。
外国から移り住んだ子どもたちが、日本で自立し、多文化共生のまちづくりの担い手となるためには、言葉の習得と異文化の理解が必要です。そのため、教育委員会では、教育ビジョンの基本施策に「外国籍等の子どもへの日本語サポート体制の充実」を掲げ、日本の学校生活への適応と日本語の初期指導に積極的に取り組んでいます。
とりわけ、中学生の日本語サポート指導については、平成21年度から放課後の日本語学習支援を実施し、日本語指導のみならず、教科の補充学習にも取り組んでいます。
今後、現在の日本語学習支援をより効果的に各教科の指導に結びつけるための方策を日本語学級の設置も含め、検討するなどして、日本語サポート指導の充実を図ってまいります。
以上で答弁を終わります。
◆3番(野もとあきとし) ただいまは丁寧な御答弁をいただき、ありがとうございました。
我が会派は、多文化共生について、日本人だから、外国人だからというのではなく、ともに喜び、ともに悲しみ、連帯していくことが大切であると考えています。今後も人にやさしい多文化共生のまちづくりのさらなる推進をお願いして質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)