平成20年11月 第4回定例会 代表質問
(野もとあきとし) 平成20年第4回定例会に当たり、新宿区議会公明党を代表して、区長並びに教育委員会に質問いたします。
政府・与党の新たな経済対策の柱となる総額2兆円の定額給付金については、急激な物価高と所得の伸び悩みに苦しむ家計を支援するための生活支援と金融不安に伴う景気の先行き不安に対応するための経済対策という2つの意味合いがあると言えます。
定額給付金について、国民、識者や経済界から評価と期待の声が相次いでいます。
〔「そうだ」と呼ぶ者あり〕
一部に「ばらまき」「経済効果が薄い」などと批判がありますが、全く的外れな言いがかりであります。「ばらまき」との批判は、かつてない厳しい経済情勢の中で、最も苦しんでいる庶民の生活の現状を理解できない、庶民感覚とかけ離れた鈍感な主張であると言わざるを得ません。
〔「そうだ」と呼ぶ者あり〕
今、政治が何もしないことのほうが余りにも無慈悲ではないでしょうか。「経済効果が薄い」との声には、あるシンクタンクでは、「今回の定額給付金はGDP(国内総生産)を0.4%程度も押し上げる効果はあるだろう」とはじき出しています。収入を貯蓄に回す余裕のない中、消費を下支えする効果が期待でき、日々の生活に苦しむ家計にとって大きな救いとなることは明らかであります。
〔「そのとおり」と呼ぶ者あり〕
17日付の日本経済新聞に「定額給付金の支給についてどう思う」との問いに賛成が63%に上り、「好意的な反応のほうが多い」としています。賛成の理由も「家計が苦しいので助かる」が約5割を占めています。
一方的なマスコミ報道が目につく中での調査でしたが、庶民の生活に切迫感が強くうかがえます。国民は、今冷静になって給付金の支給に大いなる期待を寄せていると思います。政府が給付金交付を決定した直後、各マスコミに登場した首長たちの苦しみの窮状を一顧だにしない身勝手なコメントに、区民の皆様はどれだけ落胆されたか、私は聞いていて激しい憤りを禁じ得ませんでした。首長はだれを第一に守るのか。確かに事務量はふえます。しかし、この苦痛より不景気の影響をもろに受けて塗炭の苦しみにあえぐ住民の苦痛ははかり知れません。その住民生活を支え、何らかの救いの手を差し伸べるのが首長、職員の公務員としての責務ではないでしょうか。
〔「そうだ」と呼ぶ者あり〕
我が党本部にも、多くの首長から「早期実施を」と評価と期待の声が寄せられています。公明新聞11月18日付1面に掲載された宮城県栗原市長の「一日も早い支給を待ち望んでいる。今回の定額給付金を「困っている市民に尽くしたい」との気持ちを伝えたく、幹部職員が先頭に立ち、職員で手分けして市民のお宅を訪問し、手渡しでの支給を考えている」と述べられています。この精神こそ、首長、公務員の姿勢であると考えます。
また、「定額給付金は嵐のような経済状況の中で、暖かい日差しのように国民に希望をもたらす政策になると期待しています」との声も寄せられています。支給された暁の区民の喜ぶ顔を思い浮かべながら、具体的な質問に入ります。
〔「よし、頑張れ」と呼ぶ者あり〕
質問の第1は、当面の税財政状況と区民生活支援についてであります。
現在、区財政は平成12年度以降8年連続の黒字となり、好調な状況を維持しています。しかしながら、内外の経済状況に目を転じますと、100年に一度の暴風雨と言われるようにアメリカに端を発した金融危機の拡大は世界じゅうを駆けめぐり、世界同時不況の様相を強くしています。
このため、2008年度国の一般会計税収は、当初見積もりの53.5兆円より5兆円超も減る見通しになったほか、東京都の2008年度の税収も、当初予算に比べて1,000億円を超える減収になる公算が大きくなってきたと言われています。
そこでお伺いします。
1点目は、現時点における区税収入の状況は、当初見込みと比べ、どのような状況になっているのかお伺いします。
2点目は、来年度以降の区税収入についてですが、今の時点で正確に把握するのは難しいとは思いますが、今後、どのような傾向になると見込んでいるのかお聞きします。
3点目は、都区財政調整交付金についてです。このままの状況で都税収入が減収になると、当然ながら交付金の原資にも大きな影響を与えるおそれがあります。区としては、来年度以降の交付金についてどのような見込みを持っているのかお伺いします。
4点目は、100年に一度と言われる今回の金融危機による区民生活への影響を区長はどうとらえているのか、また、今後の経済状況を展望すると、今までのような好調な財政状況がいつまでも維持できるとは限らない中、区としては来年度以降、このような経済情勢を踏まえ、どのように財政運営をしていこうと考えているのかお伺いします。
5点目に、この経済不安の中で、区民生活を支援するために支給される定額給付金については、あす28日に国は都道府県の担当者に定額給付金の実施方式の素案を示すことになっていますが、我が党は先日、区長に対し「給付の実務を担う区の現場で混乱なく確実、迅速に年度内の実施を行うよう」要望書を提出いたしました。庁舎にプロジェクトチームなどを早急に立ち上げ、準備作業に万全を期すべきであると考えますが、区長の御所見を伺います。
◎区長(中山弘子) 野もと議員の御質問にお答えします。
当面の税財政状況と区民生活支援についてのお尋ねです。
まず、現時点における区税収入の見込みについてですが、今年度の区税収入実績は10月末時点で約228億1,726万8,000円となっており、前年同月末実績と比較してほぼ同額となっています。最終的には、当初予算額の405億8,762万1,000円に対して5億円から6億円程度上回る区税収入を確保できるのではないかと見込んでいます。
次に、来年度以降の区税収入の傾向についての御質問ですが、11月17日の政府発表によれば、7月から9月期の国内総生産(GDP)は、7年ぶりに2四半期連続のマイナス成長を記録したということです。こうしたことから、今年度の実質成長率はほぼゼロ成長となる公算が高いと報じられています。
実際、毎月勤労統計調査の現金給与支給総額調を見ても、ことしの1月から3月までは前年同月末比で7%から6%台の伸びを示していましたが、4月以降は月を追うごとに伸び率が小さくなり、8月末の時点では2%台にまで落ち込んでいます。
このような厳しい状況を踏まえて、来年度以降の区税収入にどのような影響が出るか、ぎりぎりまで慎重に見きわめていきたいと考えています。
次に、来年度の都区財政調整交付金の見込みについてのお尋ねです。
都区財政調整交付金の原資である市町村民税法人分は、景気変動の影響を受けやすい税目となっています。そのため、過去の事例を見ると、市町村民税法人分の当初フレームの額では、平成2年度に8,920億円あったものが、バブル経済崩壊の影響を受けて、平成6年度には4,680億円となり、47.5%もの大幅な減収となったこともあります。
平成20年度の国税収入においては、原材料価格の高騰や米国経済の減速などにより、法人税収の大幅な減収が懸念されています。
また、金融危機や円高が企業収益のさらなる悪化をもたらし、都区財政調整交付金の原資である市町村民税法人分にも大きな影響を与えることが予想され、その減収は避けられないものと考えています。
次に、今回の金融危機による区民生活への影響についてです。
今回の世界的な金融危機は深刻な景気停滞を招いており、国民生活や地域経済にも大きな影響を及ぼしています。
区は、こうした状況に対して、区独自でより幅広い業種に対応できる「商工業緊急資金融資制度」の検討を行うとともに、障害者、高齢者、子育て家庭等への支援を拡充し、区民の暮らしを支えるセーフティネット機能の充実を図ってまいります。
次に、経済情勢を踏まえた今後の財政運営についてです。
私としては、景気の後退局面においても、今まで区が培ってきた財政対応力を十分に活用して実行計画事業を着実に実施するとともに、区民生活に影響を与える喫緊の課題に対しても積極的に対応してまいります。
次に、定額給付金について、庁内にプロジェクトチームなどを早急に立ち上げ、準備作業に万全を期すべきではないかとのお尋ねです。
定額給付金は、現下の社会経済情勢を背景に、国の追加経済対策の重点分野である「生活者の暮らしの安全」の一つとして、経済対策とともに生活支援対策を目的としたものと認識しています。また、住民間の公平性、窓口の混乱、膨大な事務量等から所得制限を設けることは考えておりません。
お尋ねの準備作業についてですが、早急に庁内にプロジェクトチームを立ち上げ万全を期したいと考えています。また、地域振興券の経験等を踏まえて、窓口や人員の体制づくり、広報等による区民への周知、詐欺事件の防止策等を検討し、給付金が確実・迅速に、また混乱なく区民に交付されるようにしていきます。具体的な対応の詳細は、総務省の説明会等を踏まえて検討してまいります。
◆3番(野もとあきとし) 質問の第2は、新宿区の消費者行政についてであります。
消費者行政のあり方が問われている中、消費者の安全・安心を脅かす事件が相次いでいます。公明党は、結党以来、食の安全などの消費者問題に18年前の野党時代から取り組み、いち早く「消費者庁の設置」を重点政策として掲げてまいりました。現在、中山区長も消費者行政推進会議の一員として、今まで10回にわたり会議に参加し、議論されてこられたと思います。
そこで、1点目の質問は、この大都市新宿における消費者行政のあり方や役割について、区長はどのような認識を持ち取り組むべきであるとお考えか、御所見をお聞かせください。
2点目の質問は、今後の消費生活センターのあり方についてであります。
本年6月27日、閣議決定された「消費者行政推進計画」には、「この組織が消費者行政において司令塔的役割を果たすためには、何よりも地方自治体との緊密な協力が必要であり、消費生活センターの強化・充実を前提にした緊密な全国ネットワークが早急に構築されなければならない」とあります。
新宿区においても、消費生活センターについては、第一次実行計画においてその機能を充実することが示され、シルバー人材センター移転後の跡施設へ移転することになっています。
しかしながら、今後の消費者行政のあり方を考えますと、消費生活センターについては、食品安全の面での保健所との連携が必要となるほか、多重債務の相談など具体的な局面において、福祉事務所や本庁各課との連携が必要となってきます。こうした点を考慮すると、消費生活センターの機能を十分に発揮できるような環境にするべきと考えますが、今後、どのように進めていかれるのか御所見を伺います。
3点目の質問は、消費者にとって最も重要な食の安全や食品表示などの相談体制についてであります。
現状では、食品衛生法に係る食品の相談は保健所で行ってはいますが、今後、消費者庁が設置された場合、JAS法及び食品衛生法の表示規制に関する企画、立案や、基準の制定権限が消費者庁に移行する予定となっているため、現状のあり方では極めて不十分であり、区として双方を総合的に対応できる相談体制を整備すべきと思いますが、お考えをお聞かせください。
4点目の質問は、消費生活相談と多重債務特別相談についてであります。
「消費者行政推進基本計画」では、基幹的なセンターにおいて、365日24時間対応の相談窓口を開設する方針が示されています。このような基幹的なセンターの機能は、恐らく国の国民生活センターや都道府県の消費者生活センターが担うものと思いますが、こうした窓口が開設されることで、休日、夜間の相談者に対応でき、消費者被害の早期対応や、食品や製品事故の拡大防止につながるものと期待しています。
新宿区も、これまで午前9時から午後4時の相談時間を1時間延長するなど、相談しやすい環境整備に力を注いでいますが、基幹的なセンターによる休日・夜間の相談窓口が開設されれば、区民にもしっかりと周知するとともに、閉庁時間帯にも区民に案内できるよう対応することが必要です。
また、本年4月よりスタートした多重債務特別相談は毎月第4火曜日に実施しているわけですが、月1回のため、月前半に相談があった場合は、法律相談センターや法テラスに誘導しているとのこと、さらに利用状況も、1日18人の枠に対して約半数という状況であり、よって、相談の利用促進を図るための体制づくりが必要であると思いますが、区長のお考えをお聞かせください。
◎区長(中山弘子) 消費者行政についてお答えします。
まず、新宿における消費生活行政のあり方や役割についてのお尋ねです。
このたびの消費者庁の設置を象徴とした消費者行政の改革は、これまでの「産業育成の派生的な消費者保護」から「国民本位の消費者行政」に大きく転換するものであり、そのために縦割りを排して消費者行政を一元化する行政の大改革と言えます。
私も消費者行政推進会議の一員として、生活者本位の消費者行政への転換に向けて、地方自治体が何をすべきかなど、さまざまな観点から意見を申し上げてきました。生活者に最も身近な基礎自治体こそが消費者行政の最前線として改革の成否を決するほどの大きな役割を担っていると認識しています。
御存じのとおり、新宿区では高齢者の悪質商法被害防止ネットワークや多重債務特別相談など、新宿区が持つ地域の力を総合化して、時宜に応じた施策を展開してきました。
このように、生活者に最も身近な基礎自治体は、地域のさまざまな資源と迅速に連携できることや、関係部門が一体となって取り組める強みを持っています。
今後も、新宿区は基礎自治体が持つ強みを活かし、消費者が安心して豊かに暮らせるまちづくりに向けて、区民の視点に立った総合的な消費者行政を推進していきます。
次に、今後の消費生活センターのあり方についてのお尋ねです。
区では、第一次実行計画において、平成23年度にシルバー人材センター跡施設に消費生活センターを移転し、機能充実を図ることとしていますが、真に生活者本位の消費者行政を推進するためには、御指摘のように保健所、福祉事務所及び本庁の高齢者部門などとの緊密な連携が欠かせません。
これまでも、食品の安全などでは保健所と、多重債務などの問題は福祉事務所、高齢者の消費者被害では、高齢者サービス課と連携を図ってきましたが、今後はさらに迅速かつ一体的に取り組める体制づくりが求められると考えています。
このため、御指摘の趣旨に沿って、保健所や福祉事務所を初めとした関係部門との横断的かつ総合的な対応が迅速に行えるよう、移転場所も含めて早急に体制整備を進め、消費生活センターの機能充実を図ってまいります。
次に、食の安全や食品表示などの相談体制についてのお尋ねです。
このたびの国の消費者行政改革は、食の安全を脅かすさまざまな事件を契機として議論が始まりました。
食の安全が社会問題となる中、消費者が安心して豊かな暮らしが営めるよう、消費者に最も身近な区としても、食の安全に積極的に取り組んでいく必要があると認識しています。
御指摘のとおり、この臨時国会に提出されている消費者庁設置法案によると、食品衛生法や農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律、いわゆるJAS法などの食品表示に関する基準の策定などの権限が消費者庁に一元化される予定です。
区としても、保健所と消費生活センターが一体となって、食品衛生法やJAS法を含めた食品表示に関する総合的な相談体制を整備することは重要であると考えます。
今後、区民や事業者への的確な情報提供も含め、食の安全に向けた取り組みについて積極的に検討してまいります。
次に、消費生活相談と多重債務特別相談についてのお尋ねです。
まず、消費生活相談についてお答えします。
御指摘のとおり、国の消費者行政推進基本計画では、全国ネットワークの代表的な窓口において、休日・夜間を問わず相談が受けられる体制を構築する方針が示されています。私も消費者行政推進会議の中で、その必要性を認めつつ、効率性も考慮すれば、国民生活センターまたは都道府県の消費生活センターが集中的にその役割を担うことが望ましいと意見を申し上げました。
このような、365日24時間対応の相談窓口が開設された際には、区としても区民に積極的に周知を図るとともに、新宿コールセンターや消費生活相談室の留守番電話のメッセージで御案内するなど、相談者を適切に誘導できるよう対応を進めてまいります。
続いて、多重債務特別相談についてですが、弁護士による多重債務特別相談については、10月までの実績が39件という状況ですが、それ以外に消費生活センターでおおむね100件程度の相談を受けて法律相談センターや法テラスにつなぐなど、債務整理等の諸問題に対応しています。
また、この11月から特別区民税の催告書を送付する際に、消費生活センター、法律相談センター、法テラスなどの多重債務の相談窓口の御案内を同封し、相談者の掘り起こしを進めてまいります。
今後は、弁護士による多重債務特別相談の利用促進を図るため、相談日の設定をふやすなど工夫しながら多重債務問題の解決に努めてまいります。
◆3番(野もとあきとし) 次に、現在策定中の「高齢者保健福祉計画・第4期介護保険事業計画」素案について3問質問します。
質問の第3は、地域で支え合う認知症高齢者支援についてであります。
高齢者保健福祉計画では、だれもが人として尊重され、ともに支え合う地域社会の実現を目指すシステムを3カ年で構築していくという具体が示されました。重点的取り組みの大きな柱は、認知症になっても安心して暮らし続けられる支援体制であります。
本年4月から認知症サポーター講座が開催され、多くの区民が認知症を正しく知り、地域での支え合いの小さな輪が広がってきております。
そこで2点伺います。
1点目は、認知症早期対応医療連携システムについてです。
新宿区は、これまで認知症の予防、早期発見、早期対応について10カ所の地域包括支援センターや地域での見守りなど積極的に取り組んできており、保健所では専門医による「物忘れ相談」「認知症専門相談」が実施されております。
相談受診体制では、平成18年度から医師会に委託をし、「認知症対応かかりつけ医」の養成研修を実施されています。
しかし、こうした個々の対応を強化することも重要ですが、高齢者人口の増加に伴い、認知症患者の相談・受診・治療が行政・かかりつけ医・専門大病院、さらには介護に携わるヘルパーなどによる機能的、一体的に連携することで、早期発見、適切な治療による病状の進行をおくらせ、改善につなげていくことが可能となります。その意味からも、医療ネットワークシステムが急がれます。
第2回定例会での質問に対し、認知症医療体制整備を地域保健医療体制整備協議会で検討しますと答弁されています。医療体制整備に対し、協議会ではどのような議論がなされたのか、また、計画の策定に「かかりつけ医や病院等の認知症への対応を強化します」とありますが、協議会の意見がどのように反映されたのかお聞かせください。
先ほど申し上げたとおり、認知症患者の増加傾向は予想以上のスピードで強まることは間違いないことで、「認知症医療ネットワークシステム」を早急に発足すべきと考えます。区長はいつごろまでにシステム構築を図ろうとお考えになっておられるのか、御所見を伺います。
2点目は、認知症高齢者見守り支援についてです。
認知症高齢者及び家族の生活を支援する仕組みの中に介護保険適用外の福祉サービスの必要性が述べられています。日常生活に支障がある認知症高齢者に対し、介護保険サービスの給付では、認知症の見守りや外出支援は対象になっておりません。在宅で生活する認知症本人、介護家族の抱えている課題の中には、外出時の付き添い、声かけ、話し相手などです。また、日ごろの認知症の介護のため家族が買い物に出られないときなど、自由な時間がとれないことです。こうしている間でも、家庭の中では大きな問題として戦っています。毎日向き合っている家族の笑顔が見られる温かい支援が必要です。
また、認知症高齢者を介護している家族の身体的・精神的負担の軽減を図ることにより、在宅での生活の維持ができるのではないかと考えます。例えば認知症サポーターの育成は、気づきと理解の輪を広げることを目的としていますが、実際に困っている人に手を差し伸べる有償サポーター制度に拡大できればと考えます。
〔「そうだ」と呼ぶ者あり〕
認知症高齢者とその家族を支援していくためには、ぜひとも区独自の認知症高齢者見守り支援事業の検討を要望します。御所見を伺います。
◎区長(中山弘子) 地域で支え合う認知症高齢者支援についてのお尋ねです。
最初に、認知症早期対応医療連携システムについてですが、まず、地域保健医療体制整備協議会でどのような議論がなされたかについてです。
10月の協議会では、認知症に対応できるかかりつけ医の「認知症・物忘れ相談医リスト」を配布し、認知症専門医、かかりつけ医、保健センター、地域包括支援センターの職員などで構成する「認知症高齢者保健医療福祉ネットワーク連絡会」の状況について区から報告するとともに、そこでは、認知症専門医とかかりつけ医のさらなる連携の必要性について御意見をいただきました。この御意見を踏まえ、高齢者保健福祉計画素案では、「認知症医療ネットワークの推進」を掲げ、積極的に取り組んでいくこととしています。
次に、認知症医療ネットワークシステムの構築については、認知症医療ネットワークの推進の一環として、認知症専門医とかかりつけ医の診療連携のシステムを平成21年度中に構築してまいります。
次に、認知症高齢者の見守り支援につながる新たな介護保険外のサービスについてのお尋ねです。
区としても、認知症高齢者とその家族への支援は重要な課題であると認識しています。したがって、介護者への支援策として認知症高齢者を介護する御家族のリフレッシュのためにホームヘルパーを派遣し、介護保険では対象とならない見守りや話し相手などの支援を行う事業の検討を具体的に進めています。
また、認知症サポーターの役割を拡大することについては、今後サポーターとなられた方々の意見なども聞きながら、サポーターの活動領域をどのようにふやしていけるのか、検討してまいります。
◆3番(野もとあきとし) 質問の第4は、重点的取り組み2の「在宅療養体制の整備」についてであります。
医療制度改革による入院日数の短縮化、また高齢者人口の増加、そして在宅への中間施設への入居もままならないという現状により、今後、在宅で療養される高齢者の方々の増加が予想されます。
また、一方で、新宿区では先進的に30年も前から、訪問看護業務を営々と行ってきた区民健康センターのおかげで、住みなれた御自宅で過剰な医療処置に遭うことなく、在宅での療養生活をし、そしてそれぞれの意思で最期を迎えることも決して珍しいことではありません。今回、重点的な取り組みとした「在宅療養体制の整備」は、そういう意味でタイムリーな施策であり、新宿区の大病院が多いという地域特性や、今まで積み上げてきた福祉・保健行政の財産を遺憾なく発揮していただけると、大変期待をしているところです。
そこで伺います。
1点目は、新宿区内の医療機関に対して、区としてどのように理解を促進させ、何からアプローチされるつもりですか、お伺いします。
2点目は、この事業の大きな柱は、何といっても区内のそれぞれの訪問看護ステーションの充実が必要です。なかなか看護師さんが定着していない現状の中で、どのようにして機能を強化していくおつもりか、お伺いします。
3点目は、医療機関で十分にできないリハビリテーションを地域でどのように分担するかということです。
療養度の重い軽いにかかわらず、リハビリ体制の充実は喫緊の課題です。区内にある老人保健施設のリハビリ体制を福祉部、健康部が連携して一段と強化するべきと考えますが、いかがですか。
4点目は、この在宅療養に対する区民の皆さんへの理解はどのようにして推進していくおつもりですか。区が現在緩和ケアを行いながら、最期まで家で過ごしたい人の訪問看護をされていること等、今までの実績を通じて区民の皆さんに広くお知らせすべきと思いますが、区のお考えをお聞かせください。
◎区長(中山弘子) 在宅療養体制整備についてのお尋ねです。
最初に、医療機関に対する理解の促進についてです。
区民が安心して在宅で療養生活を送るためには、病院の看護師が地域の在宅療養の実情をよく理解していることが重要と考えます。そこで、区内の病院看護師が区内訪問看護ステーションでの実習を通して在宅療養の現場を体験し、理解するための事業を計画しています。
次に、訪問看護ステーションの機能強化についてです。
在宅療養を進めるためには、訪問看護を行う看護師の確保が不可欠です。しかし、区内の訪問看護ステーションでは人材が不足しており、例えば土日の訪問看護に十分対応できていない現状があります。そこで、就労していない看護師に区内の訪問看護ステーションで体験実習をしていただくなどして、訪問看護に関心を持っていただき、その方が訪問看護師としての就労につながるよう、人材の育成を行ってまいります。
次に、区内にある老人保健施設のリハビリ体制の強化についてのお尋ねです。
区民が障害や病気を持ちながら、その人らしく自立した生活を送るためには、地域でのリハビリテーションが重要です。そこで、区では医療機関でのリハビリテーションを終了した方が円滑に自宅に戻れるよう、福祉部と健康部が連携し、病院から介護老人保健施設を経て在宅療養に移行していく場合のリハビリテーションモデルを構築していきます。
次に、在宅療養に対する区民の理解推進についてのお尋ねです。
医療機関の機能分化や高度化が進み、在院日数が短くなり、多くの方が在宅療養されるようになりました。しかし、多くの区民にとっては、在宅療養のイメージがしづらく、退院時に初めて在宅での療養生活に直面し、不安になることが多くあります。そこで、区では在宅療養について考えるシンポジウムを開催するなどして、新宿区の在宅療養を支える仕組みや実例を知っていただき、区民が安心して新宿区で暮らし続けられるように努めてまいります。
◆3番(野もとあきとし) 質問の第5は、介護保険料についてであります。
区は、先ごろ次期「高齢者保健福祉計画・第4期介護保険事業計画」素案を公表され、パブリックコメントや地域説明会が実施されました。地域説明会では、この計画により、サービスや施設の整備充実がどのように具体的に進むのかという質問が多かったように思います。
家族やみずからの高齢化が進む中で、介護を必要とする方々にとっては切実な声であり、この計画への期待の大きさがわかります。計画の策定に向けて、これらの声を酌み取って最大限の努力を要望します。
一方で、介護保険サービスを支える介護保険料は、サービスの量の増加に伴い上昇することになり、新宿区は23区の中では高いほうの区と聞いています。必要な方には必要なサービスが届くとともに、利用の適正化を図っていただき、保険料に区民の納得が得られることが重要なことと考えます。また、さまざまな経済状況の区民の方々がいる中で、保険料をどのように負担していただくかについても十分な検討が必要です。
このような観点から、我が党は第3回定例会や決算特別委員会で低所得者等の方々への配慮や前期同様の保険料段階の細分化への見直しを要望しました。
そこで伺います。
1点目は、素案を拝見しますと、要望にこたえてきめ細かな配慮がなされており、高く評価するものですが、第4期介護保険料素案を設定するに当たっての区の考え方を改めて伺います。
2点目は、素案では保険料に影響を与える新たな介護報酬が未定、そのため、保険料は再計算が必要とされています。この点については、10月30日、新たな経済対策に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議により、新たな生活対策が取りまとめられ、介護人材等の緊急確保対策の実施等とともに、介護報酬改定による介護従事者の処遇改善が位置づけられました。内容は、介護従事者の処遇の向上を図るため、プラス3%の介護報酬改定を実施するとともに、1,200億円の基金を設置し、改定に伴う介護保険料の急激な上昇を抑制するというものです。
国の緊急特別対策を踏まえて、区においても高齢者の方々の不安が晴れるような対応を期待するものであります。
そこで伺います。
介護保険料の最終決定に向けてどのような見通しを持っておられるのか、御所見を伺います。
◎区長(中山弘子) 介護保険料についてのお尋ねです。
最初に、介護保険料を設定するに当たっての区の考え方へのお尋ねです。
第4期の保険料段階を設定するに当たっては、第3期の10段階を12段階へと細分化し、これまで以上に負担能力に対応した設定とすることを基本的な考え方としました。
具体的な対応には、まず非課税層への対応として、第1段階及び第2段階については、第3期の保険料と同額になるように保険料の負担軽減を図ります。また、区の特別対策として、第3段階のうち公的年金収入額及び合計所得金額の合計額が100万円以下の方については、同様に第3期の保険料と同額となるよう、負担軽減を引き続き行います。
第3期で設けていた税制改正に伴う激変緩和措置については、平成20年度で終了するため、引き続き負担軽減策を講じた保険料段階を設定します。
課税層の段階については、500万円未満の段階を2段階から4段階へ細分化を図り、これまで以上に負担能力に応じた保険料段階を設定しました。また、所得段階が500万円以上の区分では、保険料基準額に対する負担割合を第3期よりふやしたものとし、より負担能力に応じた負担割合とします。
次に、介護保険料の最終決定に向けての見通しについてのお尋ねです。
「新たな経済対策に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議」においては、介護従事者の処遇改善のための緊急特別対策として、介護従事者の処遇の向上を図るため、3%増の介護報酬の改定が予定されています。また、その際に保険料の上昇を段階的に抑制する措置を講じることも検討されています。現段階では、詳細は明らかではありませんが、今後、社会保障審議会の介護給付費分科会での議論を踏まえ、平成21年度の介護報酬改定内容や抑制策の具体的な方策が明らかになるものと考えています。
介護保険料の最終決定に向けては、これまで第4期介護保険事業計画素案では、介護報酬が未定のため再計算が必要としていましたが、国が示した考え方に沿って、介護報酬の上昇による負担増が抑制されるよう適切に対応してまいります。
◆3番(野もとあきとし) 質問の第6は、妊婦健診の完全無料化についてです。
我が党は、これまで妊婦健診の無料化や出産一時金の引き上げ、就学前教育1年間の無償化など、子育て世帯への支援策を国に要望してきました。
先月22日に、厚生労働大臣に我が党として、昨今の物価上昇などの景気・経済状況を踏まえ、子育て世帯へのさらなる負担軽減策の必要性を強調し、妊婦健診について厚生労働省が望ましいとする14回分の健診費用の基礎健診部分の完全無料化を求めたところです。
そんな中、10月30日に発表された政府・与党の新たな経済対策に、14回分の健診費用の無料化が主張どおり盛り込まれました。
そこで伺います。
1点目は、11月14日に行われた衆院厚生労働委員会の質疑で、2010年度までの措置とはいえ、「現在地方財政措置されていない残りの9回分は、半分を国庫補助、半分を地方財政措置でやる」と、不交付団体にも配慮した支援内容となっていると厚生労働大臣が答弁されていました。
今回の妊婦健診無料化についての国からの支援が国庫補助という形となったときは、区としての財政はどの程度財源負担が軽くなるのか、お聞かせください。
2点目は、こうした国の動きに合わせて、新宿区としてなお一層の完全無料化に向けた取り組みをすべきと考えます。受診票という形式をとりながらも、超音波検査を初め、検査項目にこだわらない内容となれば、使いやすいという声もいただいているところです。御所見を伺います。
◎区長(中山弘子) 妊婦健診についての完全無料化についてのお尋ねです。
まず、国から国庫補助による支援がある場合の区の財政負担についてです。
詳細な内容について、国からの通知はまだありませんが、現在公費負担している妊婦健康診査の14回分のうち9回分について、半分の国庫補助があった場合は、4,500万円程度が区の財政負担軽減に寄与すると試算しています。
次に、妊婦健康診査の完全無料化に向けての取り組みについてのお尋ねです。
現在、区では、14回分の妊婦健康診査受診票と1回分の超音波検査受診票を交付しています。今後、妊娠経過を適切に把握するとともに、安心して出産できるよう超音波検査の回数をふやすなどして、妊婦健診の取り組みを充実させてまいります。
◆3番(野もとあきとし) 質問の第7は、子育て家庭への経済的負担の軽減についてであります。
厚生労働省は、2007年「働く女性の実情」を男女雇用機会均等法が制定されてからの長期的変化の状況をまとめました。この調査結果では、出産や子育てで就業が制限されがちだった25歳から29歳と、30歳から34歳層の既婚女性のうち、働く人の割合が5割までふえていることが明らかにされています。働く女性がふえた一方で一向に減らない家事、育児、子どもを抱えて悩みながら働く女性も多いのが実態です。
子育て家庭の経済的負担の割合は、年収の約3割にも及ぶとされています。したがって、出産をちゅうちょする理由の第1は、経済的負担が挙げられています。新宿区では、我が党の要望も受けとめていただき、子育て中の家庭への経済的支援策をこれまで充実させてきました。区民からは大変喜ばれています。
また、こうした経済的負担軽減は女性の社会進出を円滑に推進し、さらには男女共同参画社会の実現に大きな弾みとなり、少子化解消の一助にもなります。
一方、教育基本法では、幼児教育は「生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なもの」と位置づけられており、幼児教育が重要であることはだれもが認めるところであります。先進諸国では、幼児教育の無償化など支援強化が大きな流れとなっています。
例えば英国では、2004年度までに3歳から4歳児の幼児教育の無償化、5歳から義務教育。アメリカでも、就学前1年(5歳児)公立幼稚園が一般的で無償。お隣韓国でも2005年から5歳児に対する幼児教育・保育を無償化しています。日本でも幼稚・保育一元の政策が進み、幼稚園に子どもを預けるお母様も就労の機会を望んでいます。幼児教育の無償化については、国会で公明党の質問に対し、福田前首相が将来の無償化の財源、制度などを検討する必要があると見解を示し、本格的な議論が高まっています。
新宿区としても、保育園の第3子以降の保育料無償化のほか、就学1年前の幼稚園・保育園の年長児(5歳児)を対象に、保育料の将来的な無償化に向けて検討すべきと考えますが、区長の御所見をお伺いします。
◎区長(中山弘子) 保育園の第3子以降の保育料無料化のほか、就学1年前の幼稚園・保育園の年長児(5歳児)を対象に保育料の将来的な無償化に向けて検討すべきであるとのお尋ねです。
新宿区では、「子育てしやすいまち」を目指し、子育て中の家庭の支援をさまざまな角度から実施しています。特に子どもが小さいときは、親の経済的負担が重く、家計に占める子育ての経費の割合が大きいのが一般的です。その負担軽減を図るため、現在、児童手当等を支給するほか、子ども医療費助成により中学3年生までの医療費の健康保険自己負担分を助成しています。
また、私立幼稚園と公立幼稚園の保育料格差是正等を目的とし、私立幼稚園の保護者へ入園料、保育料の補助を行うほか、就園奨励費の補助も行っています。
このうち、保育料補助と就園奨励費の補助については、兄弟がいる場合の同時就園条件を小学校3年生まで拡大しています。保育園の保育料については、保護者の経済的負担を軽減する趣旨から、定率減税の段階的廃止時も減税されたものとみなして保育料を算定するなど、税制改正に伴い、保育料が増額とならないような対応をしてきました。お尋ねの第3子以降の保育料無料化については、現行保育料体系の見直しの際、あわせて検討したいと考えています。
また、就学1年前の幼稚園・保育園の年長児の保育料無償化については、すべての子どもたちに幼児教育を保障するとともに、経済的負担の軽減にもつながると考えますが、現在行っている経済的負担軽減策の実施状況や家計の総体的な負担等を総合的に考慮し、国などの動向も踏まえながら検討すべき課題であると認識しています。
◆3番(野もとあきとし) 質問の第8は、保育所待機児童の解消策についてであります。
区では、待機児童解消のため、受け入れ枠の拡大や延長保育の実施、一時保育など保育サービスの拡充を積極的に図り、待機児童の解消に取り組まれてきました。その結果、平成15年度には89人いた待機児童が平成19年度には26人まで減少しました。しかしながら、今年度の4月には再び増加に転じ、60人の待機児童が発生しています。さらに、11月では165人まで増加しています。
そこで伺います。
1点目は、年度後半に待機児童が増加していく中で、来年4月には待機児童がどのような状況になると区は考えていられるのか、御所見を伺います。
2点目は、区長は待機児童の解消策として、学校跡地等、公有地の積極的活用も視野に入れていく旨、さきの第2回定例会での我が党の質問に対し答弁されていますが、具体的にどのようにお考えなのか御所見を伺います。
例えば、早急に活用できる施設として、信濃町の仮園舎として現在活用している旧四谷第三小学校・幼稚園舎が考えられます。ここは将来的には、地元の方々も含めた再開発も予定されているところですが、計画が決まるまでの間の暫定措置として引き続き保育園として活用すべきと考えますが、御所見を伺います。
3点目は、この際緊急的な措置として、休園中の幼稚園の活用や用途に余裕のある区有地の洗い出しなど、地元の意向や用途地域の問題、保育需要との関係などさまざまな観点から保育園として活用できるところがあるか否か、早急に検討すべきと考えますが、御所見を伺います。
4点目は、実行計画では、認証保育所の整備も計画されています。認証保育所については、今までも待機児童解消策として一定の役割を果たしていますが、認証保育所を誘致するための条件整備についてさらなる検討をしていく必要があります。無論、この際には必要な補助制度の検討とともに、事業者の適性、能力について調査するとともに、リスク負担についての考え方などについても事前に事業者と十分詰めておく必要があります。これらの点について御所見を伺います。
◎区長(中山弘子) 保育園待機児童の解消策についてのお尋ねです。
まず、来年4月に想定される待機児童の状況についてです。
平成19年4月時点での待機児童を解消するため、平成15年度から受け入れ枠の拡大や認証保育所の整備等を行った結果、89名いた待機児童を26名まで減らすことができました。しかし、家庭の経済的事情や就労機会の増大、価値観の変化等で保育需要が想定以上に増大し、ことしの4月には待機児童が60名に増加しました。
また、11月1日現在では、待機児童は165名に達しています。特にゼロ歳の待機児童が109名となり、11月におけるゼロ歳の待機児童数としては、過去最大となっています。来年4月の待機児童数について正確に予測することは困難ですが、公立保育園の定員拡大や、来年3月に開設を予定している認証保育所で一定程度待機児童を解消できるとしても、現状から見ると、この4月の待機児童数を上回ることが想定されます。
次に、信濃町保育園の仮園舎として使用している旧四谷第三小学校・幼稚園舎を暫定的に引き続き保育園として活用することについてです。
現在、仮園舎として使用している旧四谷第三小学校については、再開発等が予定されていることから暫定的な使用になりますが、待機児童解消の緊急対策として、信濃町保育園の分園としての活用を早急に検討してまいります。
次に、緊急的措置として休園中の幼稚園舎や区有地等を洗い出し保育園として活用できるか、早急に検討することについてです。
休園となっている幼稚園舎等で待機児童が多く発生している地域にあるものについては、有効に活用していきたいと考えています。その際、保育園だけでなく、定員を超過している学童クラブへの対策も組み合わせながら、多角的に活用を検討する必要があると考えています。また、そのほかの区有地で活用できそうな財産についても同様に考えてまいります。
次に、認証保育所を誘致するための条件整備やチェックについての区の考え方です。
認証保育所は、現在区内では6施設が開設されており、270名の定員となっています。認証保育所は駅に比較的近く、またゼロ歳児保育・13時間の開所をしているなど、利用者の利便性に即した運営により、認可保育園に準じる機能を担っており、待機児童の解消に相当程度寄与しているものと評価しています。しかし、駅に近接している物件を事業者が認証保育所として確保することが困難になってきている状況が見られ、早急に事業者が参入しやすい条件整備をしていく必要があると考えております。
一方、残念なことですが、昨今、他の自治体では認証保育所が経営難で突然廃園し、利用者に影響が出たり、補助金の不正受給で不信感を与える事例の発生も報道されています。
認証保育所が利用者から信頼され、安心して利用できるようにしていくためにも、認証の段階での審査を厳格に行うことはもちろん、事業開始後も東京都と連携し、必要に応じ適宜、指導、監督していくべきであると認識しています。
◆3番(野もとあきとし) 質問の第9は、自殺防止の総合対策についてであります。
新宿区の健康づくり行動計画の3つの柱の1つ、心の健康づくりの中目標に、うつ対策があります。うつ病は言うまでもなく自殺の要因となることもあり、区としてうつ病の予防、早期発見、早期対応策を今年度から推進し、自殺の予防も進めているところです。
国も平成18年10月に「自殺対策基本法」を施行し、本年10月31日には自殺対策加速化プランを発表しました。平成10年度以降、新宿区でも年間60名以上の方が、多い年には80名以上の方が自殺によって亡くなっています。中高年層の自殺が多いことは全国の状況と同じですが、特に、新宿区では20代、30代の若い年齢層の自殺が多い状況が特徴と聞いています。自殺の原因は、うつ病などの健康問題や失業、多重債務などの経済、生活問題などが複雑に関係していると言われております。
そこで、現在の景気の減速傾向が強まる中、セーフティネットとしての自殺防止の総合対策を早急に構築していくべきと考えます。
そこで伺います。
1点目は、例えば相談窓口を徹底してお知らせするとか、相談体制の充実など、今年度中にすぐできることを喫緊に検討されて実施すべきと考えますが、いかがですか。
2点目は、来年度に向けて健康部だけの所管から全庁的な仕組みづくりをつくるべきと思いますが、そうしたことも含めて総合施策をどのように考えているのか、御所見を伺います。
◎区長(中山弘子) 自殺防止の総合対策についてのお尋ねです。
まず、今年度中にできる自殺防止の取り組みの実施についてです。
自殺の現状と社会的取り組みの必要性について認識を深めるため、この10月に区職員を対象に「ゲートキーパー養成講座」を行いました。また、11月に地域関係団体を対象に「生きるための支援を考える講座」を開催しました。
また、来年2月には、広く区民に自殺防止や命の大切さを普及啓発するためのシンポジウムを開催する予定です。
さらに、自殺防止にかかわるさまざまな関係機関やNPOの情報や区の自殺防止にかかわる「相談窓口一覧」などを配布することによって、相談窓口の周知を徹底します。
次に、全庁的な仕組みづくりや総合施策についてのお尋ねです。
区では、本年3月に庁内関係職員から成る「自殺対策検討会」を設置し、全庁的に検討を進めているところです。今後、区民や地域の関係機関等を交えた「自殺総合対策会議」を設置して、地域ぐるみのネットワークの強化を図ってまいります。
また、区独自の職員向け相談窓口ハンドブックや区民向け小冊子を作成するとともに、相談員の養成につながる自殺防止ワークショップを開催するなど、総合的に自殺対策に取り組んでまいります。
◆3番(野もとあきとし) 質問の第10は、みどり・公園用地の確保とみどりの基金の活用についてであります。
今、定例会において、おとめ山公園隣接地取得のための買収経費として、土地開発公社の債務負担行為の限度額の増額が上程されています。区はこの間、好調な区財政を受け、富久公園用地の買収など積極的に土地の確保を図ってきました。みどりを保全し、公園用地をふやすために、必要なときに必要な手当てをすることについては、我が党としても全面的に賛意を示すものです。
〔「そうだ」と呼ぶ者あり〕
しかしながら、眼下の経済状況を考えますと、今後の税収動向には十分注意が必要であり、今までのような好調な財政状況が維持できるとは限りません。
そこで、今後のみどり・公園用地の確保とみどりの基金の活用について質問します。
1点目は、現在、区はみどりの確保のために「みどりの基金」を約10億2,400万円、そして、公園の整備のために「公園整備基金」を約2,400万円積み立てています。
いずれも、計画的にみどりや公園の整備保全のために活用することを想定して積み立てているものですが、その目的、趣旨からして、この2つの基金は似通ったものと言えます。今後の財政状況を考えると、この2つの基金を個別に運用するよりは、統合して規模の拡大を図り、活用の幅を広げるべきと考えますが、御所見を伺います。
2点目は、基金の積み立て目標についてお伺いします。
みどりの基金と公園整備基金の2つの基金を統合すると、現時点では、10億4,800万円程度となります。しかしながら、この金額をもってしても、新宿区内の地価を考慮すると、大きな緑地など買い取りが発生すれば、すぐに枯渇してしまうおそれがあります。積み立てられる金額には、その時折の財政状況により、おのずと限界があります。
区内のみどりを保全し、着実に公園などを整備していくためには、なるべく継続的に基金の積み立てを行うとともに、区民等に基金の存在を広くPRし、積極的に寄附を呼びかける仕組みが必要と思いますが、区の考え方をお聞きします。
3点目は、みどりの推進審議会の役割と今後のみどり・公園用地の確保についてお伺いします。
新宿区みどり条例第27条によると、みどりの推進審議会の所掌事項として、みどりの基金の処分に関することとあります。しかしながら、実態として審議会がどの程度その処分についてかかわっているのかが不明です。
今後、みどりや公園用地を取得するに当たっては、みどりの推進審議会でその必要性について十分議論し、区民の理解を得ていく必要があります。
その際には、土地の取得という迅速な決断を必要とする事項のため、審議会の運営についても柔軟に行っていけるような体制づくりがあわせて必要と考えますが、お考えをお聞かせください。
◎区長(中山弘子) みどり・公園用地の確保とみどりの基金の活用についてのお尋ねです。
初めに、みどりの基金と公園整備基金の統合についてです。
みどりの基金の目的は、「区内に残された貴重な緑地を公園用地として取得し、もって区内の緑地の保全に資するため」、また、公園整備基金では「公園の建設、改修、その他の整備に係る資金に充てるため」としています。
御指摘のとおり、この2つの基金は似通っているものの、みどりの基金では残された貴重な緑地以外の土地を取得することはできませんし、公園整備基金では、用地取得を想定していません。両基金を統合することによって規模の拡大を図り、活用の幅を広げることができるため、今後統合について検討を進めていきます。
次に、基金の積み立て目標についてのお尋ねです。
両基金には、みどりの保全や公園整備に役立ててほしいという個人、事業者や団体等から多くの寄附をいただいており、区としてもみどりの基金に10億円余の積み立てをしてきました。
今後とも、区の財政状況を考慮しながら、できる限り基金を積み立てていきます。あわせて、基金について広くPRするとともに、基金を活用した実績を積み重ね、それを区民や事業者の皆さんにお示しすることによって、寄附していただけるよう呼びかけてまいります。
次に、みどりの推進審議会の役割と今後の用地確保についてのお尋ねです。
新宿区みどりの条例では、みどりの基金の処分に際しては、みどりの推進審議会において審議することになります。御指摘のように迅速な決断が求められる場合には、臨時で開催するなど、機動的な運営について検討してまいります。
◆3番(野もとあきとし) 質問の第11は、住宅施策についてであります。
初めに、ワンルームマンションの検証について伺います。
ワンルームマンション条例は「区民の円滑な近隣関係の維持と良好な居住環境の形成に資することを目的」とされております。そのつくりは、部屋の面積を初め、高齢者や家族向け住戸の設置割合や、管理人室や緊急連絡先の位置、駐輪場の台数、廃棄物の保管場所や持ち出し場所に至るまで、まさしく条例の目的を完遂すべく詳細なつくりになっております。しかし、残念なことに時を経るに従い、せっかくの条例が遵守されない事例が見受けられます。
例えば、ごみ出しや緊急連絡先の設置位置、あるいは町会との取り決めが守られなくなるなどと、その多くは管理会社の変更により発生します。また、一般的にも工事完了後に形態を変更してしまう事例も少なくありません。そこで、管理業務を初め、駐輪場など想定とは違う利用のされ方をしていないかなど、定期的に検証する必要があると考えます。
場合によっては、住宅課と専門性を持った建築指導課が調査を行うなど、人的配置も考慮に入れながら区民に安心を与える、生きた条例にすべきではと思います。御所見を伺います。
2点目は、今後の借上型区営住宅制度について伺います。
借上型区立住宅は、契約期間の満了時期が近づき、あわせて国や都からの補助金の期間も終了予定となります。入居者の方からも、契約満了時期が近づくにつれ、今後の成り行きを大変心配し、少しでも早く状況を知りたいとの要望を受けています。
借上型区立住宅の中でも、区民住宅の見直しについては、平成20年第1回定例会で御答弁いただいておりますが、借上型区営住宅は、住宅に困窮している方々のセーフティネットとして、その役割は引き続き重要であります。
そこで、借上型区営住宅の契約終了に伴う住宅戸数の減少や費用対効果を考えた場合、長期的展望に立ち、公有地を利用した区営住宅の建設や既存の住宅の建てかえの際に戸数をふやすことなどを視野に入れ、検討することも必要と考えます。
住宅まちづくり審議会の答申に「区営住宅の供給を初め、高齢者や障害者等、市場では自力で適正な水準の住宅を確保できない世帯に対する施策については、行政がその役割を果たしていく必要がある」と記載されているように、今後とも区営住宅を的確に供給していくために、今から対策を立てるべきではでないでしょうか。お考えをお聞かせください。
〔「いい質問だ」「とんでもない」と呼ぶ者あり〕
◎区長(中山弘子) 住宅施策についてのお尋ねです。
初めに、ワンルームマンション条例が遵守されているか、定期的に検証する必要があるとのお尋ねです。
区は、ワンルームマンション条例を平成16年4月に施行し、建築に伴う近隣とのトラブルの防止や良好な住環境の維持に努めてきました。さらに、今年度、近隣との調和や少子高齢化への対応を一層図るため、条例を改正したところです。
お尋ねの条例の遵守については、これまでもワンルームマンション工事に係る計画書や完了届、必要に応じた現場調査により確認してきたところです。しかしながら、条例施行後4年以上を経過し、この間には条例が遵守されておらず、改善を指導したワンルームマンションもあります。
御提案の調査については、届け出の総件数が300件以上となっているため、職員の体制づくりが課題ではありますが、計画的に調査を進められるよう検討してまいります。
次に、借上型区営住宅が契約満了を迎えるに当たり、今から対策を立てるべきとのお尋ねです。
借上型区立住宅のうち、住宅に困窮している低所得者向けに供給している借上型区営住宅については、平成24年度から所有者との契約期間の満了を迎える住宅が発生してきます。
御指摘のとおり、借上型区営住宅は、住宅に困窮している方々のセーフティネットとしてその役割は重要であり、契約満了に伴う住宅戸数の減少については、適切な対応が必要であると考えています。
現在、借上型区民住宅の契約期間の満了に伴う対応策について、区民住宅制度全体としてのあり方を検討しているところです。
今後は、借り上げ型区営住宅についても、区民住宅とあわせて検討を進めるとともに、御提案の既存住宅の建てかえの際に戸数をふやすことなども含め、さまざまな対応策について検討してまいります。
◆3番(野もとあきとし) 質問の第12は、「新宿区教育ビジョン」についてであります。
平成18年12月に教育基本法が約60年ぶりに改正され、また学校教育法など教育3法も改正されるなど、教育制度は大きな変革期にあります。
こうした教育の大幅な改正を踏まえ、新宿区教育委員会はおおむね10年を計画期間とする「新宿区教育ビジョン(素案)」を10月に作成されました。この教育ビジョンは、10年後を見据えた子どもの将来像としての教育目標が示され、さらに10年間の教育施策の方向性として、「3つの柱と14の課題」が掲げられています。
これまで教育委員会は素案の区民説明会を3回開催し、あわせてホームページでもパブリックコメントを実施してきたわけであります。そして、平成21年2月に計画が策定されるということです。
そこで4点質問します。
1点目は、「教育ビジョン(素案)」が作成されたプロセスについてお尋ねします。
教育ビジョンは、今後の新宿区の教育にとって大変重要な教育目標であり、また地域との連携という視点からいっても、より多くの区民の声が直接反映されなければなりません。これはいつごろ着手し、どのような体制で検討されてきたのか、伺います。
2点目は、今後の教育ビジョンをどう成案させていくかということです。これまで区民説明会、パブリックコメントを実施されてきたようですが、今回示された素案・教育ビジョンはあくまで区民議論のためのたたき台で、区民の意見が十分反映される柔軟性を持ったものと考えますが、区民への説明は十分にできたのでしょうか。また、パブリックコメントの状況をどのように反映されていかれるのでしょうか、伺います。
3点目は、この教育ビジョンを貫く理念は何なのか、また、教育目標達成の原動力、柱となるものは何なのかをお伺いします。
このビジョンでは、「今、求められる教育の姿」の中で「生きる力」の育成がうたわれ、その要素として「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」のバランスのとれた「生きる力」を目指すとしています。我々公明党は、この要素を引き出し、より高めていくための読書の推進を強く訴えてきました。
「第二次新宿区子ども読書活動推進計画」で見ると、小・中学校の児童・生徒の不読者率、読書をしない子どもたちの割合は改善されていない実態が浮き彫りにされています。しかし、現状と課題の中では、読書が言語能力向上の一手段としかとらえられていないようですが、読書は人間形成の基礎となるもので、思考・判断などの知的活動を強化したり、感性、情緒をはぐくむ基礎能力を高めていくものと確信します。つまり、教育が目指す子ども像をつくり上げていく底流に読書が存在することが重要であるということであります。
ぜひ読書を新宿教育の重点の一つにするよう御検討いただきたいと再度申し上げておきたいと思います。
4点目は、学校の教育力の強化について伺います。
課題1の「確かな学力」の向上で、学習意欲や学習習慣について教育委員会が実施した「平成19年度確かな学力の育成に関する意識調査」によると、「目当てを持って授業に勉強に臨む」「家で計画的に勉強する」児童・生徒は、学年が上がるにつれ減少しているということです。学校と家庭の役割から考えると、学校の努力目標がより求められる数値ではないかと考えます。そこで、取り組みの方向の第1に「区立学校として義務教育で身につけるべき基礎学力を保証します」と明記されたことは、教育委員会の決意の深さが感じられ、高く評価いたします。そのために、「放課後等の補習体制や補習教材を整えるなど、すべての子どもが確実に基礎学力を身につけるよう指導体制を強化します」とありますが、どのような現状にあり、今後の取り組みとしてはどのようなことを考えておられるのか、御所見を伺います。
◎教育長(金子良江) 教育委員会への御質問にお答えします。
「新宿区教育ビジョン」の作成プロセスについてのお尋ねです。
教育委員会において、ビジョンの審議、策定を行っていくに当たり、昨年度末に事務局内に事務局管理職と幼稚園長、小・中学校長で構成する検討会議を設置しました。検討過程では、有識者との懇談を2回、幼・小・中のPTA代表、学校評議員、スクールコーディネーターとの教育懇談会を3回実施するなど、学校教育に携わる方からの意見聴取を行いました。また、各学校長会、副校長会、教頭会並びに教務主任会、生活指導主任会に対し、「新宿区の目指す子ども像」や「今後の区立学校のあるべき姿」などについてアンケートを実施し、学校現場の意見を踏まえ、検討作業を進めてきました。
教育委員会では、この検討会議からのビジョンの骨子を踏まえ、教育委員会定例会、臨時会及び教育委員協議会で審議を重ね、10月2日の定例会でビジョンの素案を決定したところです。
次に、区民意見のビジョンへの反映についてのお尋ねです。
今後、具体的な取り組みや数値目標を盛り込んだビジョンの成案を策定するに当たり、パブリックコメントで寄せられた御意見や具体的な提案等を極力反映させてまいります。また、地域説明会や幼・小・中PTA等の学校関係団体、区長会連合会等の地域団体への説明会でいただいた御意見についても明らかにし、区民の意見が十分に反映できるよう進めてまいります。
次に、読書を新宿区の教育の重点の一つにすることについてのお尋ねです。
新学習指導要領において、言語は知的活動だけではなく、コミュニケーションや感性や情緒の基盤であり、豊かな心をはぐくむ上でも、言語に関する能力を高めていくことが求められています。そのためには、各教科における言語活動の充実とともに、読書活動が不可欠です。
教育委員会としては、これまでも読書活動の推進が重要であるとの認識のもと、その充実に努めてまいりました。具体的には、スクールスタッフやボランティアの活用により、学校図書館教育を充実させるとともに、各学校で取り組んだ読書感想文を文集として発行するなどしています。
今後も、新宿の教育の重点の一つとして、学校図書館を初め、区立図書館の環境を整備するとともに、各学校において言語に関する能力の育成のために、朝読書のみならず各教科での調べ学習などでの図書の活用を積極的に行い、子どもが本に触れる機会をふやし、読書活動が充実するよう支援してまいります。
次に、「すべての子どもが確実に基礎学力を身につけるよう、指導体制を強化することについて」の現状と今後の取り組みについての御質問です。
現在、各学校では、児童・生徒の基礎学力を身につけさせるために、教員に加えて、教育ボランティアや地域の方々などに協力していただき、放課後や土曜日、長期休業期間などさまざまな方法で補習を行っています。しかしながら、各学校の努力だけでは補習の日数が限られる、協力者の確保に限界がある等の課題があり、区立学校としての一定の基礎学力の保証をする体制を確保するには、補助教材も含め、人的・予算的なサポートの必要性があると認識しています。
教育委員会としましては、現在、各学校で行われている放課後等での補習体制を一層充実させるために必要な支援体制づくりに取り組んでまいります。
◆3番(野もとあきとし) 質問の第13は、裁判員制度と法教育の充実についてであります。
昨今、ひき逃げによる交通事故や大学生の薬物の所持や使用の事件、また宅配業者を装った殺傷事件等が連続して発生しています。これらのニュースに接し、同様の犯罪の未然防止に社会全体で取り組み、社会規範について改めて国民一人ひとりが考え直す必要があると考えます。
ところで、いわゆる裁判員法が平成16年に公布され、平成21年5月21日までに裁判員制度がスタートすることになりました。これにより、私たちのいずれかも原則として裁判員となることが現実のものになりました。また、先般、告示された新学習指導要領では、法教育の重要性が指摘されておりました。
日本では、戦後、外国の制度を参考にしながら、現在の司法制度が形づけられ、国民の間には司法や裁判というものに対し絶大なる信頼や尊敬の念を持っていることと思います。しかしながら、反面、「司法にかかわることは専門家に任せておけばよい」という意識が今なおあるのも事実ではないでしょうか。また、子どもたちの規範意識が低下していると言われています。そのような中で裁判員制度が導入され、法教育の重要性が指摘されているのは、この裁判員制度の導入をインセンティブにしながら、いま一度国民全体で法や民主主義の認識の再確認を図ることが大切であり、そのための取り組みが法教育というものであると私は受けとめています。
そこで教育委員会にお伺いします。
1点目は、そもそも法教育の重要性をどのように認識しておられるのか。2点目は、学校において、裁判員制度や法教育を推進するためには、指導者とりわけ教員が果たす役割は大きいと考えますが、新宿区では教員研修をどのように実施してこられたのか。3点目は、今後、法教育を学校教育の中でどのように進めていかれるおつもりなのか、お伺いします。
新たな時代の自由かつ公正な社会の担い手をはぐくむためにも、また、国民一人ひとりが法の役割を十分認識し、みずから司法に能動的に参加していく心構えを身につけることができるようにするためにも、まずは、学校教育の中で法教育が一層推進されることを期待しております。
◎教育長(金子良江) 法教育の重要性の認識についてのお尋ねです。
平成18年2月に出された中央教育審議会経過報告では、現在、裁判員制度の導入などの新しい仕組みが設けられており、将来の社会を担う子どもたちによりよい社会の形成に向け、主体的、積極的に社会に参加し、課題を解決していく力を身につけることが求められると指摘しております。
法教育とは、法律の専門家ではない一般の人々が、法や司法制度、これらの基礎となっている価値を理解し、法的な物の考え方を身につけるための教育です。これにより、事実を公正に認識し、問題を多面的に見る力や自分の意見を明確に述べ、他人の主張を公平に理解しようとする態度や能力を育成することを目指しております。
また、区民一人ひとりが互いの多様な個性を認め合う、多文化共生を目指す新宿区においては、法が相互尊重のルールであることを実感し、身につけることが大切です。
教育委員会としては、個人の尊厳、自由、公正等、法の基礎にある理念や原則を学ぶ法教育を推進することが重要であると考えております。
次に、法教育にかかわる教員研修についてのお尋ねです。
昨年度、新宿区立中学校教育研究会社会部会では、弁護士を講師に招き、ルールづくりの模擬授業を教員が体験したり、牛込第三中学校における弁護士会による実践授業を教員が参観したりすることで、法教育の指導方法を学びました。
また、本年度は夏季集中研修において「裁判の傍聴」と「裁判員制度と法教育」について4つの講座を設定し、合わせて695名の教員が受講しました。裁判員制度と法教育の講座においては、ビデオ視聴と検事からの説明により制度を理解し、弁護士から法教育の意義と方法について講義がありました。
受講後の教員の感想には、裁判員制度について「みずから深くかかわることと受けとめ、見識を広めることができた」とあり、また、法教育については、「学級等におけるルールづくりなどの日々の指導が大切であることがわかった。また、民主主義とは何か再確認できた」とあり、裁判員制度及び法教育について教員の理解を深めることができました。教育委員会としては、学校において法教育を推進する教員の研修が重要であるとの認識から、今後も研修を充実してまいります。
次に、学校における法教育の推進についてのお尋ねです。
小学校における法教育は、決まりを守るだけではなく、その必要性を理解させることが大切です。体験的な活動等を通し、社会の一員として必要な資質の基礎を身につけさせ、日常生活や遊びの中からルールをつくる実践や、相手の立場で考え行動することを学ぶことが重要です。
また、中学校では、法が単に規制のためのものではなく、国民生活をより豊かにするものであることや、多様な人々が共生するための相互尊重のルールであることなどを理解させる必要があります。また、正解のある問いばかりでなく、判断が立場によって規定され、しかも多様な立場が存在するとの認識を持つことが大切です。
指導については、発達段階に応じ、社会科だけでなく、他の教科、道徳、特別活動のほか、総合的な学習の時間を活用して実施します。
教育委員会としては、各学校が家庭や地域、弁護士等法曹関係者との連携のもと、児童・生徒に法や決まりに基づき、社会の形成に主体的、積極的にかかわる態度を育成するよう支援してまいります。
以上で答弁を終わります。
◆3番(野もとあきとし) すべての項目に大変御丁寧な答弁をいただき、ありがとうございました。
定額給付金の交付が速やかに円滑に実施されることを望み、これからも区民の要望一つ一つを真剣に受けとめ、公明党の立党精神でもある「大衆とともに」を胸に議員活動をしていく決意を申し上げ、代表質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
