2月18日、市民公開議員研修会を議場にて開催しました。

今回の研修会は、山梨学院大学法学部  江藤俊昭教授 teto0717@gmail.com をお迎えして、「住民自治を推進する議会」――18歳選挙権年齢の引き下げを踏まえて――と題して講演をいただきました。
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江藤講師は、今、地方分権ご地域経営に於いて地方議会の果たす役割りが重要であり、議会の権限や役割を議会・住民が認識することが必要。

住民福祉向上のための議会改革が求められている。議会は住民自治の根幹と話されました。


江藤講師の講演レジメです。

はじめに:地方政治台頭の時代の市民教育:政治的リテラシーの向上に向けて

――基本的考え方――

  • 若者だけの問題ではない(低投票率)
  • 学校教育の重要性とともに、まちづくりにかかわる(実感としての政治行政)
  • 「民主主義の学校としての地方自治」=議会の役割の再確認 

1.政治・政治家不信の蔓延?

  • 不満の蔓延
  • 地方議会議員の不満6割
  • 議員の不祥事を改革のチャンスに 
  • 地方政治の負の連鎖と正の連鎖の可能性
    • 地方政治の現状――地方政治の負の連鎖から正の連鎖へ(資料1)
    • その難しさ――不満の蔓延の理由

ⅰ市場原理優先――自己責任

ⅱ格差の拡大――「安定した職業」、税金による
「白票」賛美の意味
    多数派支持
    すべての政策が一致することなどあり得ない! 

2.地方行政重視の時代から「調整と統合」の地方政治の重視へ

  • 地方行政重視の時代から「調整と統合」の政治の重視へ

① 地方分権改革=地域経営の自由度の高まり→政治の重要性

② 財政危機=「あれもこれも」から「あれかこれか」へ→政治の重要性

 

(2)水戸黄門主義が期待されている???

——首長主導型民主主義:首長主導の強調=議会不信——

① 水戸黄門はいつもいるのか

② 水戸黄門を求める発想を問う

 

(3)もう1つの地域民主主義:さまざまなレベルの討議を重視し、議会(議事機関)と首長等(執行機関)が切磋琢磨

——討議重視・機関競争主義型民主主義——

  • 議会に驚くべき権限を与えている(自治体の法律=条例、予算、決算、主要な計画、執行権限にも)
  • なぜ議会に権限を与えるのか(住民代表機関+議事機関)(二十四の瞳効果=多様性、12人の怒れる男たち効果=論点の明確化・妥協の可能性、オセロ的発想を脱却する効果=世論形成)

 

*驚くべき権限の自覚を!!=議会改革の起点

議決責任の再確認→説明責任の確認→議員間討議(問題をえぐり出す、第3の道の発見)→独善性の排除(調査研究、住民との意見交換(議会報告会))

 

参考 自治法第96条  普通地方公共団体の議会は、次に掲げる事件を議決しなければならない。

一  条例を設け又は改廃すること。

二  予算を定めること。

三  決算を認定すること。

(四~十四 省略 財産の処分、契約など)

十五  その他法律又はこれに基づく政令(これらに基づく条例を含む。)により議会の権限に属する事項

○2  前項に定めるものを除くほか、普通地方公共団体は、条例で普通地方公共団体に関する事件につき議会の議決すべきものを定めることができる。

 

3.議会基本条例と総合計画

(1)国政は異なる地方政治

① 二元代表制(機関競争主義)=議会内に与党も野党もない→政策・監視機能の重視

議決事件をしっかり議決、その追加と議決、首長提案の説明義務、質疑応答の手法(一問一答(単発から議論を踏まえた上での)、反問)

② 一院制、直接民主主義の導入→住民参加を積極的に導入=行政にも議会にも

議会報告会、意見交換会(会津若松市議会)、審議会メンバーとの交流

公聴会・参考人制度の活用、陳情・請願を政策提言として受け止める

③ 議会の存在意義=討議と決定(政策立案、討議、議決、監視)→委員会から

議会の意思をまとめ上げる議員同士の討議

住民を巻き込んだ議論

*住民に開かれ住民参加を促進し(閉鎖的ではなく!)、首長とも切磋琢磨し(与党野党関係は存在せず、監視と政策立案の役割を発揮しつつ、議員の質問に対する執行機関からの反問権も認める!)、議会の存在意義である議員同士の討議と議決(質問のいいっぱなしではなく!)を重視する議会である。

第138条の2  普通地方公共団体の執行機関は、当該普通地方公共団体の条例、予算その他の議会の議決に基づく事務及び法令、規則その他の規程に基づく当該普通地方公共団体の事務を、自らの判断と責任において、誠実に管理し及び執行する義務を負う。

第121条  普通地方公共団体の長、教育委員会の委員長、選挙管理委員会の委員長、人事委員会の委員長又は公平委員会の委員長、公安委員会の委員長、労働委員会の委員、農業委員会の会長及び監査委員その他法律に基づく委員会の代表者又は委員並びにその委任又は嘱託を受けた者は、議会の審議に必要な説明のため議長から出席を求められたときは、議場に出席しなければならない。

 

(2)議会基本条例の意義:住民自治を進める議会基本条例

――議会基本条例はバクハツ!これがなかったら…――

  • それぞれの自治体の議会の規範とすべきルールなし
  • 議会改革の到達点がわからない
  • 議会改革を進めていても(実際にどのくらいかどうか…)、次期議会ではわからない
  • 構成要素(何を規定するか)

 

*もう1つの議会基本条例の意義

① 条例づくりを学ぶ

② 議員間討議を学ぶ

 

(3)地域経営を担う議会の活動視点——自治・議会基本条例と総合計画

① 地域経営の軸(ヘソ)=総合計画

② 実効性ある総合計画が!

ⅰ予算と連動、ⅱ個別計画と連動、ⅲ首長の任期と連動

 

(4)総合計画を中心とした質問

 

4.新たな選挙の動向

(1)マニフェスト型選挙の広がりと課題

① 誤解

② 検証の場を(熊本県御船町)

(2)地方選挙制度の課題

  • 首長選挙

相対多数→当選者が住民の意志の多数派とは異なる場合も

  • 市町村議会議員選挙

大選挙区単記非移譲式→議員も住民も全体がみにくい

  • 都道府県議会議員選挙の選挙区について

ⅰ地域性と代表制――中途半端な制度

ⅱ無投票当選率と競争率

 

(3)選挙管理委員会による新たな動き

  • 広島県選挙管理委員会(2013年):フラッシュモブ等
  • 大学に投票所を開設
  • 高校等への出張講義

 

*留意点:「中立性」の意味:多様な意見を踏まえること!

 

5.市民教育・主権者教育のもう一歩(資料2)

(1)行政への住民参加・協働――まちづくり

① 若者へのまなざし

ⅰ山形県遊佐町

ⅱ高知市こどもファンド

ⅲ新城市若者議会

② 一般的な制度

ⅰ充て職、公募制、抽選制

ⅱ白紙から

ⅲ尊重する

 

(2)議会からの主権者教育

① 議会報告会・議会制度検討委員会等による開かれた議会による候補者の「増加」

ⅰ議会報告会・意見交換会

ⅱ議会政策サポーター制度(長野県井飯綱町議会)

ⅲ議会だよりモニター制度(長野県井飯綱町議会)

② 議会が候補者に研修

ⅰ議会・議員評価

ⅱ議会会改革の到達点を研修(議会基本条例や総合計画)(岩手県滝沢市議会)

 

(3)大学生による高校生教育(資料3)

① アクティブ授業(提携している昭和町議会委員とのワークショップ・模擬議会)

② 出張講義(毎年行っている試みのさらなるバージョンアップ):副読本、選挙管理委員会との協働

ⅰなぜ若者が政治に関心を持つことが必要か

ⅱ政策はベターしかない(裏も表もある!)

 

6.新しい政治の条件整備(資料4)

――行政改革の論理と議会改革の論理――

(1)行政改革の論理(効率性重視)と議会改革の論理(地域民主主義の実現)

① 行政改革の論理と議会改革の論理

② 条件を考えるのは現在の議員のためではない(参加のハードルを低くする)

 

(2)「政治」の見える化から成果の報告を!

 

むすび――議会事務局・議会図書室の充実――(資料5)

 

参考 議員活動の変化

類型 従来の要望の要望活動

(「口利き」活動)

今日の要望活動

(新たな議員活動)

環境 ・財政が豊富

・行政主導(議員がバラバラ、が会としては作動できず)

・財政危機

・政治が台頭(機関としての議会の作動、政策提案型議員の存在)

役割 地元・分野の利益をインフォーマルな場で行政に追及する

*「総与党」化の状況の下で作動しやすい

・従来の「口利き」活動と類似したもの

→実現が困難であることを説明

・政策実現の2つのルート

→すぐに対応(災害時など)

→政策実現へ(一般質問、議会としての対応)

住民像 受動的で断片化志向の住民(議員や行政へのお願いでは主体的だが活動はしないという意味) 主体的で相対的・総体的志向の住民(主体的に活動するとともに、自らの利害だけを追求するわけではない)

 一般質問の録画をご覧いただけます。
http://www.kashiwazaki-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=speaker_result&speaker_id=118

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