議題62号 財産の無所貸付(土地)については、去る6月5日、副市長より下記の提案理由の説明がなされました。
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安政町地内の市有地を太陽光発電設備設置用地として、柏崎あい・あーるエナジー株式会社に対して貸し付けることについて、令和5(2023)年6月20日から令和15(2033)年3月31日までの期間において無償といたしたいものであります。

柏崎あい・あーるエナジー株式会社は、皆様御承知のとおり、本市脱炭素エネルギー利活用の促進に関する条例に規定する地域エネルギー会社に位置付けられており、脱炭素エネルギーの利活用について、本市と共に政策的に事業を行う会社であります。

本土地の貸付けは、柏崎あい・あーるエナジー株式会社が当該貸付地において、太陽光発電事業により、安価で安定的な脱炭素電力の市内供給の実現を目指すものであり、当該事業は本市の政策実現を担う公益性の高い事業であることから、無償で行いたいものであります。

なお、御議決をいただいた後、正式に使用貸借契約を締結いたしたいものであります。

議案 議第62号 財産の無償貸付けについて(土地)


6月20日、本会場にて閣議案の採決が行われました。
6月15日の総務常任委員会での質疑などを踏まえ下記の様な賛成討論を行いました。

討論 議題62号財産の無所貸付について

討論
公明党を代表し賛成の立場で討論します。今回の「財産の無償貸付」について主に、1.収益事業に対する普通財産の無償貸付及び貸付期間の妥当性。

2.市長が代表者である会社との双方代理、利益相反の存否の視点から審査をいたしました。
 

最初に無償貸付及び期間の妥当性であります

公有財産は、公共性に配慮しつつ効率的運用を要請されるとともに,負担の公平の観点からも「適正な対価」の徴収が原則であります。市の財産の貸付については、行政財産・普通財産であろうと本来、有償が原則ということであります。

 

地方自治法第237条で、財産の管理処分が定められております。

第237条第2項では、「第238条の4第1項の規定の適用がある場合を除き、普通地方公共団体の財産は、条例又は議会の議決による場合でなければ、これを交換し、出資の目的とし、若しくは支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けてはならない。」と定められており、柏崎市も、これに基づき「新潟県柏崎市財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例」を定めいています。

普通財産の無償貸付は、この「財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例」に沿った契約になりますが、あい・あーるエネジー株式会社が行うエネルギー事業は、市のエネルギー政策を推進する公益性はあるが、公共的団体には当たらないことから、市の「財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例」の第4条には該当しないが故に議会に、地方自治法の第96条第6項を適用した議決承認を求められたものです。 

法第237条2項を拡大解釈すれば、「議会の議決」があれば、適正な対価なく無制限に貸付けることができるような解釈が可能かと思われますが、大喜多武男著の「公有財産管理の実務」によれば、「普通財産の無償貸付には、公共性又は公益性が特に強い場合に限られるものであるから、地方公共団体から無償貸付けを受けた財産を営利の目的に供し、利益をあげるときは、地方公共団体としてその事務事業を助成する必要もなくなることになるので、営利を目的とする事業に供し、利益をあげるような事業に対して無償貸し付けをすることは避けるべきである。」とし、法第96条第6項の議会の承認は、無制限の裁量ではなく客観的な妥当性が求められるとしています。

他の自治体が行っている財産の無償貸付に対する、包括外部監査報告書や監査報告書等においては、「たとえ、公益的団体が運営する事業であっても、収益がある場合は、直ちに無償貸付けとすることは合理的ではない。」また、「貸付期間が長期に渡る場合、貸付当初に無償で貸付けたからといって、以後にその判断を維持すべきかどうかについては常に検証すべきであり、財務状況を含め検討することが望ましい」等々の報告がなされています。
本事件の無償貸付期間は、市の財務規則では貸付限度の最長となる10年であります。
無償貸付及び貸付期間については、委員会の質疑において、現在の電力状況等を踏まえ、会社の運営を軌道に乗せ、会社の財務状況を見ながら無償貸付け及び貸付期間について検討する旨の答弁がありました。財産の貸付は、負担の公平の観点からも「適正な対価」の徴収が原則であり、他自治体の監査事例等を考慮すれば当然のことであります。広平・公正・透明性を確保した財産管理に努めていただきたい。

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次に双方代理・利益相反について述べさせて頂きます。

本事件の無償貸付において、「民法第108条」の双方代理には当たらないとの見解が示されました。理由は、契約者が市は市長、会社は取締役で契約しているからとのことであります。
当市と同じような契約で双方代理・利益相反が争われた裁判があります。生駒市と第三セクターの新電力会社「いこま市民パワー」との契約では、双方代理を回避するために市長と「いこま市民パワー」の取締役電力部長が契約を行っており、双方代理には当たらないと生駒市は主張したが、判決では市長の指揮下で行われた契約で民法108条の双方代理・利益相反に当たるとしています。

 

今回の無償貸付契約は、形式的には生駒市と同じで、市長と取締役との契約にし、双方代理を回避していますが、市長の強い指揮の基でなされた契約であると考えられ、双方代理の法律行為に当たるとの疑念が残ります。

財産の貸付契約は市民の財産を適正に管理する観点からも、あらゆるリスクを考慮し、リスクを排除したものでなければなりません。
質疑において、双方代理、民法の第108条・第116条については今後の研究課題としたいとの趣旨の答弁でしたが、あらゆるリスクを排除するためにも、民法第116条での対応を検討することを強く申し述べておきます。

最後になりますが、市の財産は市民の大事な財産であります。本来、普通財産であったとしても、適正な対価による譲渡や貸付をするのが原則であります。特に、減額貸付や無償貸付は「補助金的性格」を持っているとされています。

 

市は、第三セクター等に対する市の関与の在り方について、「第三セクター等に関する指針」において、「市からの財政的関与が直接第三セクター等の収益に結び付かないように留意する必要があります。補助金等の執行や、委託事業の取扱い赤字補塡のための出資・補助金等の公的支援は行わないものとします。

市有財産の貸付、指定管理、一部業務委託等については、他の団体との公平を期するため、市はその運営や経営状況を常に把握するとともに、適正かつ公正に行われているか管理監督に努めます。」と明確に定めています。 

本事件のように市長が社長を兼職している第三セクターへの土地の無償貸付は、市民がいわゆる「お手盛り」との疑念を抱く恐れもあります。

市民に疑心を抱かせることの無いよう「第三セクター等に関する指針」に照らして、事業の必要性・効率性・有効性を常に評価し、事業推進に努めていただきたい。以上、意見を付して賛成討論といたします。

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