今なぜ、マイナンバーが必要なのか。
このような視点からの「マイナンバーの基礎」と題した研修を受けました。
少子高齢化人口減少社会の進むなか、マイナンバー制度導入の背景と社会的要求。
特に、税・財政と社会保障の問題や行政の効率化、行政の縦割りを解消するためには、分断されている行政機関相互の情報を連携させる手段として、やはり個人の情報を紐付ける仕組みが必要と改めて感じたところであります。
マイナンバーカードの基礎(8月9日 講師:富士通総研 榎並利博)
Ⅰ 我が国の番号制度の経緯
1グリーンカード制度の挫折…非課税貯蓄の仮名口座を防止目的に提案された。しかしながら郵政省や郵政族議員、金融業界の反対により、実施延期後廃止になる。
2住基ネットと反対運動
・住民台帳番号制度 確実な本人確認、セーフティの基礎として活用を自治体より声が上がる。
・反対派の論拠…情報漏えいの危険性・国家権力暴走の危険性・代替え手段(なよせ)がある。
3環境の変化(崩れる反対派の論拠)
・情報漏えいの危険性…運用の信頼性が高まったこれまで、『 一回も漏えいなし』
・国家権力暴走の危険性…最高裁が住基ネット合憲判決
・代替え手段(なよせ)がある…年金の納付記録問題で名寄せの問題が顕在化する。
名寄せによる本人確認不可能、基礎年金番号は台帳による裏付けがないため国民に大きな不利益を与えている事が顕在化、社会的問題となる。
社会環境の変化…自らの安全のためには自らのプライバシーを公共に提供しなければならないという社会的意識変化が生まれる。
4共通番号制度のメリット
・正確な本人確認
・弱者に対するセーフティネットの構築
・不正行為の防止及び監視
・事務時事業の効率化…定額給付金問題(事務経費850億円) 外部との情報連携(1000億円)
#年金問題の真実…ソフトを開発すれば5000万件の照会可能との誤った説が流布。
根本的に日本人の名前は名寄せ不可能(漢字の外字やJISの包摂基準 外字は行政、JISは民間)ふりがなの問題…法的に正しいふりがなはない。
行政手続きにおける漢字の問題…邊邉 、斎 斉 齋等
#行政事務の無駄…自治体と外部との連携は紙ベース、番号で確認すればデーターのままで確認できる。
Ⅱ マイナンバーへの動き
1.マイナンバーの背景
2008年、年金問題をきっかけに新たな動きが始まる
マイナンバー法案…12年民主政権時に提案、審議未納で廃案、13年自公政権で再提案成立
2.マイナンバーの概念…社会保障・税に関る共通番号 (国税・地方税・年金・医療・介護・労働保険)
3.なぜ今、共通番号が必要か
共通番号とは、単なる利便性の追求、事務効率の問題ではない。社会制度を抜本的改革に必要不可欠なもの。「国民と国の権利関係(権利と義務)を明らかにするもの。」
・少子高齢化社会の到来、費用増大による社会保障制度の行き詰まり。
・危機的な国の財政状況…国及び地方の長期財務残高は、約1093兆円。GDPの198%。
・税・社会保障制度の再構築は、国民の受益と負担を明確にする必要がある。
・共通番号により所得と資産を明確になる。
Ⅲ マイナンバー法の概念と意義
1.マイナンバー法とは
マイナンバー法の構成
1・付番:1人に一つずつユニークな番号、基本4条件とセット
2・本人確認
3・情報連携
マイナンバー法の意義
各省庁を横断する内閣府の所管とし、国の行政手続の基礎とすると決定した。
自治体における番号通知、カードの交付を法定受託事務とした。
Ⅳ ロードマップと自治多業務への影響
1.番号制度における二つの立場
個人番号利用事務実施者…主に行政機関等
個人番号関係事務実施者…主に民間企業等
2.自治体の体制及びスケジュール
2017年度は、最終段階であるが、マイナポータル等2017年7月秋に延期。
情報照会者…個人情報をネットワークシステム経由で照会。添付書類の削減可能。
これまでの業務のプロセスの見直しが必要
情報提供者…機械的に応答して情報を提供…マイポータルによるサービス
3.その他の分野における付番と業務プロセス
防災…災害救助法で救助または扶助金の支給、被災者再建支援法の支給業務
要援護リストへの活用の検討 自治体の判断
4.特定個人情報保護評価について 法律第27条 評価表の公表義務付け
各自治体の評価表のチェックが必要
しきい値判断 特定個人情報保護評価指針解説 第三者点検
個人情報保護委員会委員会規則で定める事項を評価
マイナンバー法と個人情報保護法の改正 2015年9月3日成立
1預貯金口座へのマイナンバー付番
5.漏えい後の問題と影響
構造的な要因と今後の対応 民間お企業であれば致命傷になる危険性
をはらんでいる。
漏えい事件がもたらしたもの
サイバーセキュリティ基本法が2016年4月に改正されている。
感想
マイナンバー制度導入の背景と社会的要求
- 財政と社会保障の問題…超高齢社会が進むなか、限られた歳入で、社会保障制度を維持するためには、所得や給付状況など個々人の状況を正確に把握することが必要不可欠であります。その為には、個人情報を管理するための識別番号が必要になります。
- 行政の効率化…業務を効率化するためには、行政の縦割りを解消することが不可欠です。分断されている行政機関相互の情報を連携させる手段として、やはり個人の情報を紐付ける仕組みが必要です。
今回の研修で、日本文化の漢字社会が個人の識別の大きな障害であり、名寄せには限界があり事を理解した。また、これらの事が行政効率を妨げる原因にもなり、消えた年金の根本原因だということも理解しました。
また、住基ネットに反対した、地方自治体が試みた個人情報の漏洩テストでは一回もシステムを突破できなかったことやこれまで住基ネットからの情報漏洩は一回もないとの事が説明されました。
国民に市民にも、マイナンバーの必要性、そしてシステムの安全性を理解してもらうべく広報すべきと考えます。
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