品川区議会区民委員会は10月26日(月)~28日(水)まで岡山市、北九州市、佐賀市、佐世保市を行政視察で訪問し、商店街の活性化事業や観光客誘致促進事業について調査・研究してまいりました。
10月26日
<岡山市 ㈱天満屋岡山本店>
免税手続き一括カウンター
本年4月1日から、地方における免税店の更なる拡大に向け、免税手続一括カウンターを運営する第三者に、まとめて免税手続を委託できる「手続委託型輸出物品販売場制度」が創設されました。
こうした動きを受けて、今年5月28日、地元の表町商店街とロマンチック通り商店街が加盟店の天満屋岡山店と連携し、商店街として全国初の免税手続き一括カウンターを開設しました。
2014年に大規模デパートが岡山駅前にオープンし、商店街への人の流れの減少など、衰退への危機感を持った天満屋が中心となり、地元商店街と連携し、説明会等を実施し、オープンにこぎつけたとの事でした。
今のところ土・日に平均10名程度の利用にとどまってはいるが、市内にある日本三大名園の一つ後楽園には年間10万人近い外国人の来訪があることから、今後の展開が期待されています。
また、市内には多くの大学があり、留学生も多いことから、海外に住む親族や友人へのアプローチも含めた取り組みを推進したいとの事でした。
現状での成果は、免税店のステッカーが掲げられていることが、外国人観光客にとってはウエルカムの意思表示となっており、これまで以上に外国人訪問客が商店街に足を運ぶようになったとの事でした。また、ある文具店では、毎日のように数名の外国人観光客が訪れたことで、品ぞろえを考えたり、英会話に取り組むようになるなど、商店主のモチベーションが上がったとの話がありました。
品川でも2020年オリンピック・パラリンピックを見据えた外国人観光客の誘致策の一つとして、また商店街活性化の一助として、検討すべき取り組みと感じました。
27日
<北九州市>
商店街の活性化に関する条例とその取り組み
北九州市では、平成25年11月から商店街の活性化に関する条例が施行されました。
商店街は、地域経済の発展や地域コミュニティづくりの担い手として大きな役割を果たしている一方で、社会情勢の変化や商店数の減少、商店街未加入事業者の増加などにより、維持・発展が困難になってきています。
こうした状況を受けて、市議会では商店街を所管する経済港湾委員会を中心に、議論を重ねた結果、議員提出の政策条例として提案され、全議員の賛成のもと、全会一致で可決・成立したとの事でした。
条例の第1条には、当事者である商店会、事業者だけでなく市や大規模デパートなどの近隣事業者、経済関係団体や建物所有者等の責務を明らかにすることで、活性化を図り、市民生活の向上へ寄与することを目的としており、それぞれの団体の責務も条文で明確に定めています。
市では条例の施行を受けて、PR用のパンフレットを1万部作成し149の商店会や大規模小売店、関係業界団体等に配布し啓発を実施する中、加入促進マニュアルも作成するなど積極的に取り組んだ結果、「未加入店舗への勧誘がやりやすくなった」「イベントへの協力が増えた」等の効果が出始め、条例制定1年後の加入率は70%を維持できたとの事でした。
今回、私が感銘を受けたのは、各議員・会派の主張や考えを超えて、委員会等の場を中心に意見集約し、政策提案したことでした。
品川区でも商店街は単なる買い物の場としてだけでなく、地域住民にとっての貴重なコミュニティの場であり、安全・安心の担い手としても期待されており、条例制定も含め、今後のさらなる取り組みの推進を図ってまいりたいと決意しました。
<佐賀市 NPO法人ユマニテさが>
中心市街地活性化のための商店街の空き店舗活用
佐賀市では、深刻化する中心市街地の衰退という課題に対して、「TMO佐賀」を発展解消し、新たに「NPO法人ユマニテさが」が中心となって、佐賀市街なか再生計画に基づき、「住む人・来る人・歩く人」を増やすため、地域内に4つの核となるエリアを設け、にぎわいづくりや魅力の発信等に取り組んでいます。
その中の一つ、「わいわい‼コンテナ」プロジェクトについてお話を伺いました。
同プロジェクトは、街なかに増え続ける空き地や青空駐車場を借りて、中古コンテナを使った交流空間を創出し、回遊性を促すプログラムや街なかの賑わい再生への効果的な仕組みを検証する社会実験として様々な取り組みを行っていました。
例えば、子どもから大人まで、誰もが立ち寄れる「憩いの場」として、雑誌や絵本、マンガなどを閲覧できるミニ図書館を設置しており、視察当日は雨にもかかわらず、数名の来訪者で賑わっていました。
その他にも、設置された交流コンテナで、子ども向けの英語教室や、絵本の読み聞かせ会、高齢者のコーラスグループなど、子どもから高齢者まで、世代を超えた交流も図られているとの事でした。
さらに同法人では、チャレンジショップ事業「CAST」として、開業を目指す若者等が1年間、店舗経営しながらノウハウを学べるよう、3店舗分のスペースを貸し出し、創業時には半額を返却する事業を実施しており、平成17年から10年間で24店舗がオープンし、ほとんどの店舗が中心市街地活性化のエリア内での開業となり、賑わいづくりの一助となっているとの事でした。
28日
<佐世保市>
観光客誘致促進事業
佐世保市は、平成26年の観光客数が5,873,000人で対前年9%の増となり、11年ぶりに500万人台を超え、今年度は、過去最高の600万人台を目指して観光客誘致に取り組んでいます。
そんな中、市長自らの発案で、佐世保の美しい!楽しい!美味しいの「させぼ観光3しいGO!作戦」を展開し、市民がすすめる佐世保の3しいを募集し、フェイスブックで発信するなど、市民挙げての“おもてなし”に取り組んでいるとの事でした。
また、外国人観光客誘致のため、平成26度に佐世保港の岸壁を整備し、7万7千tクラスの客船が接岸できるようになり、今年度は、中国船を中心に、40を超えるクルーズ客船が入港する予定との事で、こうした人の流れを市内で受け入れるための、観光施策のさらなる充実を目指しているとの事でした。
このような中、観光客数は平成24年から、25年からは、観光消費額とあわせて、長崎市を抜き、県内ナンバー1の観光都市を継続しているとの事で、素晴らしい取り組みの一つでも、品川の観光施策に反映できるよう、取り組んでまいります。