【情報と正しく向き合う】
〈Seikyo Gift〉インタビュー ジャーナリスト 国谷裕子さん――情報と正しく向き合う
2020年9月6日 #聖教新聞電子版
企画連載 私がつくる平和の文化Ⅱ
今回の「私がつくる平和の文化Ⅱ」に登場していただくのは、ジャーナリストの国谷裕子さんです。長年、報道番組のキャスターを務めてこられた視点から、コロナ禍における情報発信とコミュニケーションのあり方、そして、危機の時代を乗り越える意識変革の大切さについて語ってもらいました。(聞き手=木﨑哲郎、歌橋智也)
心の内を聴く直接の対話を
――NHK「クローズアップ現代」のキャスターとして、長年にわたり、多くの方にインタビューをしてこられました。
現在、テレビ報道では、直接対面して取材することが困難となり、オンラインでのインタビューが行われています。オンラインでは、距離を超えて、わざわざ会いに行かなくても話ができ、情報を得たり、相手の考え・意見を聞いたりできるというメリットがあります。
一方で、会ってこそできる真の意味での「対話」も、やはり求められてきます。相手が本当に言いたいことは何なのかを汲み取ろうとすれば、対面のインタビューで、相手が全身から発するメッセージを、こちらも全身で受け止める必要があります。
そばにいて、ちょっとした仕草や表情、言葉の選び方などに触れることで、何かを感じ取ったり、気付いたりすることができる。「本当はもう少し話してもいい」と思っていることを感じて、もう一歩深めて、心の底のところを引き出すこともできます。
特にこのコロナの時代、心の内を聴いたり、琴線に触れたりする深い対話が、とても大事だと思うんです。その意味では、インタビューに限らず、一対一で直接会って語り合うことの意義や重みといったことが、改めて認識されたと思います。
――今回の事態ではテレビ報道をはじめメディアも困難に直面しました。
かつてテレビ報道に関わった一人として、制作側の焦り、悩みを感じました。安全上、今まで当たり前のようにできていた取材ができなくなり、感染拡大がもたらす医療や経済への影響など、伝えなければならないことが多くあるにもかかわらず、思うように伝えられないからです。
そうした状況もあるためか、「PCR検査がなぜ増えないのだろう」といった、一般の人々が持ち続けている疑問にどこまで答え切れたか、背景が十分に届いていなかったのではないかとも感じます。
ただ制作側も、取材を放棄してはならないという強い思いで工夫して取り組まれている。まさにジャーナリズムの使命感が試されていると思います。
ジャーナリズムは、政府や自治体が政策決定の際に、どのような科学的な根拠をもとに、どんな議論がなされたのか、透明性を追求しなければならない。それが、私たちが納得し、結束して行動を変えていく上で、大事なベースになるからです。
立ち止まって、考える
――私たちは情報の受け手であると同時に、「情報の発信者」にもなれます。心すべきことは何でしょうか?
私たちは自分の取り巻く状況に不安を覚え、何らかの確かな情報がほしくなると、一生懸命、いろんな情報にアクセスします。その際、知らず知らずのうちに、信じたい情報、共感できる情報ばかりを入手してしまう傾向があります。友人や知人からも自分の考えと似通った情報が手元に集まってくる。
それを見て、「やっぱりそうなんだ」と、自分の考えをさらに補強し、強固にして、偏った情報に取り囲まれてしまう。そうなれば真に多様な考えを知る機会を失ってしまいます。
結果として、自分たちとは異なる意見を排除することにつながっていく。さらに、許せないと思える情報が入ってくると、強いリアクションを取ってしまい、攻撃的・差別的な言葉を発信しがちになり、それが感情の対立や分断を生み出すことにつながります。
自分の考えが正しいかどうか、正しい状況判断ができているかどうかを確認するには、あえて自分と異なった意見や見方に接し、一度立ち止まって、深く考えてみることが大切です。それは楽なことではないですが、自分の感情に訴え掛ける情報だけを取り込んでいては、先入観や偏見から逃れることはできないでしょう。
今はSNSなどで誰もが情報を発信することができますが、発信する前には、自分と反対の立場の人や違った考えを持っている人がいるかもしれない、この発信で傷つく人がいるかもしれないと想像し、一呼吸おく冷静さを持ってほしい。一人一人が情報と正しく向き合うことで、「対話の文化」ひいては「平和の文化」が築かれていくと思います。
市民の称賛に応えるニューヨークの医療従事者(4月、Noam Galai/Getty Images)
――今回のステイホームでは、いわゆる「ネット弱者」の課題も浮き彫りになりました。
お子さんがいるご家庭だと、両親も家でネットで仕事をしなければいけないのに、子どももオンライン学習があったりします。家に何台のパソコンが必要だろうってなりますよね。
それ以上に、ネットで買い物ができない人たちは、リスクを冒して買い物に行かなければならない。ネット環境がないゆえに仕事が受けられない人もいます。高齢者の方々の中にも環境がなかったり、操作ができなかったりする人もいます。私の母もスマホを持っていませんので安否確認は電話でしています。
そう考えると、誰もがネット弱者になり得るし、あらゆる面でネット弱者が被る不利益は大きい。課題は非常に重いと感じます。政治や行政が動かなければなりませんが、地域としても、あらゆる知恵を絞って、支え合っていくしかないですよね。
大阪のある社会福祉協議会では、高齢者の安否確認やつながりを保つために、往復はがきを使っていました。「お元気ですか?」ってお手紙を出して、向こうからも「元気です」ってお返事が来たりする。そうしたやり取りで心の交流を図っていました。また食事の提供ができなくなったので、お弁当を取りに来てもらいますが、手渡しする際、声を掛けて、お顔や様子を確認して帰ってもらう。苦心しながらも、できることを精いっぱいされていました。
こういう時こそ、心の絆を強く結び直し、つながり続けなければならないと思いますし、誰ひとり取り残さないという「持続可能な開発目標(SDGs)」の理念が、まさに現実の中で発揮されなければならないと痛感します。
警鐘は鳴らされていた
――今回のコロナが問い掛けたことは何でしょうか?
このパンデミックは、私たちに多くの貴重な教訓を与えました。
感染拡大に驚き、不意を突かれたように感じますが、実は、感染症の発生と急速かつ広範囲な蔓延は、すでに何年も前から科学者等から警鐘が鳴らされていました。それに対しての準備を怠っていたのです。
いったん起きてしまうと、医療体制や社会のセーフティーネットなどの脆弱性を露呈させ、一番弱いところに被害や痛みをもたらした。危機に備えるための体制の整備や投資は、決して怠ってはならないと改めて思います。
それと同時に、自分たちさえ良ければいいという一国主義的な考えは、もはや通用しないということです。他が良くならなければ、結局、自分のところに返ってくる。社会全体が結束し、そして、グローバルに協調して戦わないと打ち勝つことはできません。そのためには、他者への意識と行動こそが大切になってくると思うのです。
さらに今、世界で警鐘が鳴らされている最大のリスクが気候危機です。これまでのように二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を続ければ、地球温暖化によって生じるさまざまな気象災害、海面上昇、生物多様性の喪失、食料生産への打撃などにより、地球上の生命が安全に生きられる持続可能な環境を維持することはできなくなります。
今回の危機をきっかけに、電力をはじめとする産業や消費生活において、二酸化炭素の排出を最大限に減らす脱炭素化を進めるために、ビジネスや生活、社会のあり方を徹底的に考え直し、システムチェンジをしなければならないのです。そのためには若い人たちのアイデア、発想が大事です。どんどん出してほしい。それが社会を変える力になります。
これからの時代を創造し、社会を構築していく主役は若者です。大人世代は若者を対等のパートナーとし、持っている技術力や経済力、ノウハウを提供する。それぞれが蛸壺から出て、若者と共に縦横無尽に連携しながら、新しく変えていく議論をしなければなりません。今、始めなければ、本当に手遅れになってしまうのです。
くにや・ひろこ 大阪府生まれ。米国ブラウン大学卒。1981年、NHK総合「7時のニュース」英語放送の翻訳・アナウンスを担当。87年からキャスターとしてNHK・BS「ワールドニュース」「世界を読む」などの番組に出演。93年から2016年までNHK総合「クローズアップ現代」のキャスターを務める。1998年「放送ウーマン賞’97」、2002年「菊池寛賞」(国谷さんと「クローズアップ現代」のスタッフ)、11年「日本記者クラブ賞」、16年「ギャラクシー賞特別賞」を受賞
【一般質問!!】
6月定例会での一般質問は、6月18日(月)と19日(火)で、2日間とも9:30から開会します。
今回私は、1番くじを引きましたので、18日の9:30からになります。ちなみに、泉議員は4番目と登壇となります。
質問要旨は下記の通りです。
1. 中小企業振興による地域活性化について
(1)生産性向上特別措置法における中小企業者の設備投資について
①中小企業者への支援内容について
②支援の判断基準について
③支援の目標について
(2)中小企業者への情報提供の方法について
2.防災対策について
(1)避難所の開設及び運営に向けた取り組みについて
①防災研修及び防災訓練での支援について
②避難所派遣職員の研修について
③今後の取り組みについて
(2)防災ラジオについて
①緊急放送の内容及び放送体制について
②試験放送について
③試験放送以外の利用について







