持続可能な公共交通ネットワーク構築を求める緊急要望
札幌市ではバス運転手不足が深刻化し、12月の冬ダイヤから路線の廃止や減便などにより激変。市民生活に大きな影響を与えかねない緊迫した状況です。スピード感をもって対応すべく、札幌市議会公明党は、秋元札幌市長に対し「持続可能な公共交通ネットワーク構築に向けた緊急要望」を提出し、5項目にわたる政策を提言・緊急要望をいたしました。
私も発言の機会を頂き、これまで力を注いで推進してきたデマンドバスによる代替交通については、今後必要としている地域に円滑に導入するためにサポートするコーディネーター制度の創設が必要であるということ、民間事業者による車両の協力も必要になってくるということや、バス路線の激変に対応するためにも交通体系の基軸となる地下鉄延伸が必要な地域があると、申し上げました。
特に、機動系交通機関の無い清田区は、バスネットワークに依存しているため、今後も続くであろう運転手不足によるバス路線の減便や廃止は市民生活に大きな影響を与えるため地下鉄延伸をする必要がある。現在は、離れた場所にある地下鉄駅まで走っているバス路線も、地下鉄延伸により駅が増えれば、そこに繋ぐバス路線へと短縮も可能になる。
加えて、2030オリンピック・パラリンピック招致を踏まえたまちづくりの観点から地下鉄延伸の可能性を検討するとされていたけれど、現段階ではそれができない状態となった。今は、市民の足を守るという観点から地下鉄延伸を検討して頂きたい、今が地下鉄延伸のチャンスである、と要望いたしました。
うなずきながら聞いていた市長からは、「お話にあったようにバス事業だけでなくデマンド交通や民間事業者の車両など、様々な組み合わせが必要になってくる。地下鉄延伸についても、バス路線の減便等の状況を加味した検討をしなければならないと思う。実現していくためには、運輸連合的な視点も必要かもしれない。」等の発言がありました。
市民の暮らしになくてはならない公共交通ネットワーク。バス路線が激変していく今この時に、市民の足を守るためには、新たな挑戦が必要です。本日の緊急要望を踏まえ、調査と検討を開始しスピード感のある対応を求めました。緊急要望の内容は次の通りです。↓
「持続可能な公共交通ネットワーク構築に向けた緊急要望について」
近年、全国的にも課題となっているバス事業者の運転手不足については、札幌圏の路線バスにおいても深刻化しており、このほど北海道中央バスが12月の冬ダイヤ改正時に644便のバス路線において、路線の廃止や短縮、減便、バス停の廃止を申請しており、市民生活に多大な影響を与えかねない緊迫した状況である。
加えて、新型コロナウイルス感染症の影響によりバス事業者の収支が悪化し、路線バスを維持するための札幌市の補助金も大幅に増額するなど、人口減少による利用者減も見込むと、今後の先行きも不透明である。
こうした現状を踏まえ、札幌市はスピード感を持って、市民の足を守るための持続可能な公共交通ネットワークを構築すべきである。
ついては、喫緊の課題であるバス運転手不足に対応するための支援策を早急に実施するとともに、国土交通省が示す地域公共交通活性化再生法のもと、本市のマスタープランとしての地域公共交通計画を策定し、地域公共交通の活性化及び再生に向けた取り組みを講じるよう、以下の通り緊急要望する。
記
①バス路線の休廃止や減便による暮らしへの影響を調査し、交通弱者を生まぬよう地域に寄り添った適切な対応を行うこと。また市民への早め早めの情報提供に努めること。
②バス運転手の確保と定着に向けた支援策を早急に講じること。
③今後の対策として、地域の実状に合わせたデマンド交通など代替交通の円滑な導入をサポートするコーディネーター制度を早急に創設すること。また、商業施設や病院等の送迎サービスとの連携など多様な交通ネットワークを検討すること。
④札幌市の新たな交通体系構築に向け、MaaSの導入や、交通体系の基軸となる地下鉄の延伸について具体的な検討を始めること。
⑤札幌市公共交通協議会の議論を踏まえた地域公共交通計画策定にあたっては、市民意見を十分に反映するとともに、即効性と実効性のあるものにすること。