保育所等における諸課題の改善を
子ども未来局所管の決算特別委員会が開かれ、保育所等における諸課題について質問に立ちました。
札幌市の調査により、市内の約3割の施設で保育士不足を実感しているとの結果が出て、昨今叫ばれている保育士不足の状況が数値としても明らかになりました。
さらに今年はコロナ禍において、保育士の採用環境にも影響が生じ、保育士の養成課程においては、例年保育所等の現場で実施している保育実習の回数減少や、実施時期の遅れ等の事象が発生、それに伴い就職活動の時期もやや遅れが生じています。
また例年、札幌市などが開催している合同施設説明会等のイベントも、秋口まで予定されていたものは全て中止となるなど、志を持って保育現場に飛び込もうと決意している学生や、保育士採用を希望する保育所等において、就職・採用活動に対して不安が広がっているといった声もあります。
そこで、保育人材の確保に係る現状に対する札幌市の認識と、現状に対して何か対策を講じるべきとの考えから今後の取り組みについて伺いました。
札幌市からは、就職・採用活動に影響が出ていると認識しており、コロナ禍の現況に配慮した形で、12月に2回、初のオンライン形式の施設説明会を行うこと、来年度以降は回数を増やして継続していきたいとの今後の方針が示されました。
初めての試みですが、保育士の確保は札幌の保育行政の根幹を支えるものであるため、是非成功させて頂きたいと願っています。
次に、待機児童対策に繋がる各区役所に配置されている保育コーディネーターについて質問しました。
これまで札幌市は、保育ニーズの内容を丁寧に聞き取りながらニーズに合った多様な保育サービスを積極的に情報提供する等、丁寧な対応をしてきました。
しかし、このような細やかな対応を行う職員が区役所にいることについて、一部市民からは「知らなかった」「知っていたら利用したかった」という声が届き、更なる周知の必要性を求めました。
今後は、これまでの周知方法に加え、乳幼児の各健診時等で子育て家庭にダイレクトで知らせたいとの答弁があり、今後保育コーディネーターの利用者が増えることで待機児童数の減少にも効果が出ることを期待しています。
最後に、保育所等を運営する園の立場から質問させていただきました。
公明党は、2年前、全国で「100万人訪問・調査」運動を実施し、私も地元地域をはじめ、市内各地でヒアリングを行ってきました。また、昨年は幼児教育・保育の無償化に関する実態調査にも歩かせて頂き、この二つの取り組みを通じて、前職で携わってきた保育業界の方々からのヒアリングで事務処理に関する困りごとについて多くのご相談を頂きました。
現状、保育所等の施設を運営するに当たって、各施設が利用児童の状況や保育体制といった様々な項目を書類に落とし込み、自治体に対して申請することで運営費等の給付を受けられる仕組みとなっています。
さらに、平成27年度からの「子ども・子育て支援新制度」や、昨年度スタートした幼児教育・保育の無償化等、国の新たな制度が順次行われている中、申請書類の作成等に従来以上に手間がかかり困っている、との現場の声を受け、議会でも取り上げてきました。
札幌市においては、様式の改善、説明や相談対応といった施設対応を適宜行ってはきましたが、それだけでは大きく状況は改善しないと危惧しておりました。
給付費の申請は、事務ノウハウのほか、職員の勤務条件といった人事労務に関する知識なども必要であり、更にコロナ禍に伴って、保育所側は施設の消毒等を始めとした感染予防策、札幌市においてもコロナ予防に係る補助金等の給付事務など、新たな事務が増えている中、withコロナ、afterコロナのことを考えると、今後、札幌市として改善策を講じる必要があると求めました。
札幌市からは、今後、社会保険労務士や行政書士等、専門性の強みを活かす企業団体と市が連携協定を結び、保育所等の事務負担軽減を進めるモデル事業を推進したいこと、この事業を通じて今後は各保育園がそれぞれ活用できる事業に発展させていきたい旨の方針が示されました。
これは全国的にも、先進的な取り組みであり、これまで寄せられてきた現場の声が届き、今後の大きな改善に繋がるものと、取り組みを注視して参ります。
今回の連携協定のように、札幌市が潤滑油的に専門家と保育所等の橋渡しをすることで、審査する行政側も、申請する保育所等の現場側も、双方の事務負担の軽減が進むのではないかと思っています。
この取り組みにより、これまで以上に、コロナ禍における感染予防対策、保育運営や保護者対応に専念できることにより、良質な保育サービスの提供に繋がることを願っています。