大津市議会議員 佐藤弘

一人のひとを どこまでも大切に 心豊かな まちづくりを目指します

自治体の生成AI活用状況からー議会答弁から考えるAIと政治

AI生成機能 行政 議会 議員活動 / 2026年4月27日

総務省から、令和7年度「地方自治体におけるAI・RPAの実証実験・導入状況等調査」の調査結果が公表され、地方自治体での生成AIの導入推進や具体的な活用事例が掲載されています。
私たちの住む大津市でも、最新の調査報告を見ると生成AIの導入が進んでいることがわかります。
全国的な調査データを見ると、自治体における生成AIの活用用途のトップ3は以下のようになっています。

  1. あいさつ文案の作成(1,292件)
  2. 議事録の要約(1,131件)
  3. 議会の想定問答の文案の作成(1,085件)

この結果から、気になるのは、全国的に見て「議会想定問答の作成」に生成AIが活用されているケースが非常に多いのが特徴です。
大津市のデータを見ても、例規案や企画書案の作成などと並んで、やはり「議会の想定問答」での活用にチェックがついています。

ある人口約5.8万人の自治体の事例では、生成AIに過去の答弁を学習(RAG)させたことで、150問を超える質問のうち最大96%の答弁案作成や資料準備にAIを活用し、職員の深夜残業が減るなど大きな業務効率化が図られているそうです。
本市も含め、このように議会対応にAIが活用されていること自体は、職員の皆さんの負担軽減や働き方改革に繋がるため、決して否定するものではありません。むしろ、定型的な作業をAIに任せることで、より市民に寄り添った本質的な業務に時間を割けるようになる素晴らしい取り組みだと言えます。
ただ、ここで一つ感じるのは「答弁を作る側(行政)がAIをフル活用しているなら、質問をする側(議員)もAIを活用すべきではないか」ということです。
行政側が過去のデータや関連法令を瞬時に分析して精緻な答弁を準備してくるのであれば、議員側も生成AIを活用して多角的な視点から課題を分析し、より深く掘り下げた、鋭い議会質問を組み立てることがこれまで以上に重要になってくるはずです。
生成AIという強力なツールを、行政の「守り(答弁)」だけでなく、議会の「攻め(質問)」にも活かしていく。双方がテクノロジーを駆使して議論を深めることで、地方議会はより質の高い、市民にとって有意義な場へと進化していくのではないでしょうか。
これからの議会論戦が、AIのサポートによってどのように深化していくのか、一市民としても非常に楽しみです。

市民意見の聴取精度を高めるためにいま求められること

まちづくり 市民協働 行政 行革 / 2026年4月26日

―― 長野市の調査研究事例(令和8年3月)を手がかりに

はじめに ―― なぜ「市民意見の聴取」を改めて問い直す必要があるのか

人口減少、ライフスタイルの多様化、急速なデジタル化のなかで、自治体が市民の声をどう拾い上げ、政策に反映するかは、住民自治の根幹に関わる重大な課題となっている。市民アンケート、パブリック・コメント、ワークショップ、住民懇談会など、これまで多くの自治体で多様な手法が運用されてきたが、近年は回答率の低下、若年層の声の届きにくさといった構造的な課題が顕在化している。

この課題に正面から向き合い、新たな手法の検証と既存手法の精度向上を体系的に取り組んだのが、長野県長野市と一般財団法人地方自治研究機構が共同で実施した調査研究「市民意見の聴取に関する調査研究」(令和8年3月)である。本報告書は、公益財団法人日本財団の助成を受け、長野市の次期総合計画(令和9年度〜令和18年度)策定を見据えて取りまとめられたものであり、全国の自治体にとって示唆に富む内容となっている。

本稿では、同報告書の知見を踏まえ、議会人として市民意見聴取の精度・効果を高めるために何が必要かを、3つの視点から提案として整理したい。


第1部 ―― 長野市が直面した課題から見える「全国共通の構造的問題」

回答率の低下は確実に進行している

長野市の事例で最も衝撃的なのは、市民アンケートの回答率がこの数年で急速に低下している事実である。報告書によれば、長野市の「まちづくりアンケート」の全体回収率は、令和3年度の67.1%から、令和6年度には49.5%へと17.6ポイント低下している。同様に、第五次総合計画推進のための市民アンケートの回答率も、平成29年度の58.8%から令和6年度には42.8%へと低下した。

この水準まで回答率が下がると、報告書が指摘するように「データの信頼性低下やセグメント分析の困難化」が課題として顕在化する。施策の根拠資料としての性格上、これは看過できない問題である。

若年層の声が届かない構造

さらに深刻なのは、回答者の年齢構成の偏りである。令和6年度の総合計画推進のための市民アンケートでは、回答者全体に占める18歳〜39歳の若年層の割合は16.0%にとどまる一方、長野市の総人口に占める同年齢層の割合は24.2%。母集団と標本のかい離が約8ポイントに達している。

長野市は次期総合計画策定方針において「特に未来を担う若者世代の意見等を活かした計画とする」と明記しているが、現状の手法のままでは、この理念を達成することは困難である。

(出典) 一般財団法人地方自治研究機構・長野市『市民意見の聴取に関する調査研究』令和8年3月、第1章第2節「市民意見聴取の課題」(pp.20-21)、序章「調査研究の背景と目的」(p.3)


第2部 ―― 長野市が試みた解決策と全国60自治体の実態

新旧手法の併用という発想

長野市の調査研究で特筆すべきは、「デジタルプラットフォーム(以下、DP)による新手法」と「従来の郵送アンケートを中心とする旧手法」を二者択一ではなく、それぞれの特性を踏まえて連携・補完させるという視点である。

長野市は実証実験として、株式会社Groove Designsの「my groove」を活用し、「Nagano Canvas(ながの・キャンバス)」と銘打った市民意見プラットフォームを令和7年8月19日〜令和8年3月31日の期間で運用した。

全国アンケート調査が示した活用実態

報告書では、長野市以外の中核市・指定都市・特別区など84市区を対象とするアンケート調査が実施され、60件の有効回答が得られている。その結果、約45%(行っている41.7%+試行的3.3%)の自治体が既にDPを活用した意識調査を実施しており、デジタル手法の活用は確実に広がっていることが確認された。

導入の経緯として最も多かったのは「若年層が回答しやすいと考えたから」(70.4%)であり、これは多くの自治体が抱える共通の問題意識である。

一方で、運用上の課題として挙げられたのは以下の点である。

  • 回答数が安定的に確保できない(44.4%)
  • 不正回答や同一人物の複数回答への懸念が残る(29.6%)
  • 利用したプラットフォームの機能・操作性に課題(25.9%)
  • 高齢者層の参加がやはり十分ではない(22.2%)

つまり、デジタル化は若年層対策の万能薬ではなく、別の課題を生むという冷静な現実認識が必要である。

(出典) 同報告書、第2章第2節「他の自治体へのアンケート調査の実施」(pp.37-52)、第3章「デジタルプラットフォームによる市民意見聴取の実証実験」(pp.57-)


第3部 ―― 議会・行政が取り組むべき5つの提案

長野市の事例と全国調査の結果から、市民意見聴取の精度・効果を高めるために必要な視点を、以下の5点に整理して提案したい。

提案1 「問い」の質を最重要視する ―― テーマ設計に最も時間をかける

報告書の事業者ヒアリングで最も強調されていたのは、意見聴取の成否は「問い」の設計で決まるという点である。報告書は次のように記述している。

「投稿を考える者が、具体的な内容を考えることができる『問い』とすることで、短期間であっても多くの市民から意見を寄せられる結果となった事例がある一方、全てをカバーするような抽象度の高い『問い』とすると、期待するほどの回答が集まらない事例があった」

長野市のNagano Canvasでは、

  • 問1 「10年後など将来も暮らすときにどんなまちだと暮らしやすいですか?」
  • 問2 「10年後など将来も長野市に残したいものはなんですか?」

という、身近で具体的に答えやすい問いが設定された。その結果、問1には51名、問2には72名が選択式設問に回答し、自由記述にも30名(問1)・41名(問2)が投稿している。

議会・行政への提案として、アンケートやパブリック・コメントの設問を作成する際には、(1)市民の生活実感に即していること、(2)選択肢が精選されていること、(3)自由記述欄を併設して具体的な思いを汲み取ること――を要件として明文化することが望ましい。

提案2 「プロセスの可視化」と「フィードバック」を制度化する

報告書の事業者ヒアリングでは、意見が施策にどう反映されたかを示さなければ、次の投稿につながらないという指摘が複数社から挙げられている。

「後の取組にどのように意見が反映されたかが示されないと、意見を投稿した市民にとって、意見が役に立ったのかどうかが分からず、次の投稿に繋がらなくなる傾向にある」

議会・行政への提案として、(1)意見聴取がどの政策プロセスのどの段階に位置するかを冒頭で明示する、(2)聴取終了後、寄せられた意見への市の見解(採用・部分採用・不採用とその理由)を一覧で公表する、(3)個別意見への回答が困難な場合でも、意見の傾向と反映方針を文書化して公開する――この3点を制度として確立すべきである。

これは、現行のパブリック・コメント制度を含めた意見聴取制度全般に適用すべき原則である。

提案3 広報は「ターゲットを絞る」ことに徹する

報告書では、広報手法として最も効果的だったのは「公式SNS・公式LINE」(81.5%の自治体が活用)であった。事業者ヒアリングでも、以下のような重要な指摘がある。

「広報活動は、マスメディアを活用した広報ではなく、ターゲットを明確にした広報活動を行うことが効果的であるとの指摘がなされた。例えば、こどもに関連した計画の意見聴取に当たっては、母親向けのメディアに広告を出稿した事例などが挙げられた」

長野市のNagano Canvasでも、「市公式LINE(登録者約3万人)」「市公式アプリ(約7,000人)」「市公式X(フォロワー約19,000人)」を活用しつつ、市内商工会議所加入企業、金融機関、市立保育園・小中学校保護者へとターゲットを絞ったメール配信を段階的に実施している。

議会・行政への提案として、広報を「全体周知」と「ターゲット周知」の2層構造に分け、各テーマに応じた到達経路を事前に設計するべきである。特に、子育て世代には保育園・幼稚園・学校経由、若年層には大学・高等教育機関経由、高齢者には自治会・地域包括支援センター経由――というように、意見を聞きたい相手に確実に届く経路を意識的に選択する必要がある。

提案4 デジタルと対面(ワークショップ)を補完的に組み合わせる

長野市の実証実験では、Nagano Canvasに寄せられた意見をその後の総合計画審議会の作業部会(ひと部会・まち部会・産業部会、各15名程度)のワークショップに持ち込み、議論の起点として活用するという接続設計が行われた。

報告書では、Nagano Canvasの結果を踏まえた作業部会において「産業部会の『商工業』のテーマの中でも、ひと部会で扱う『こども・若者』やまち部会で扱う『コミュニティ』『都市整備』など、領域を横断する意見交換が積極的に行われた」と記録されている。

これは、デジタル意見聴取が単独で完結するのではなく、対面の熟議の質を高める入力情報として機能した事例として注目に値する。

議会・行政への提案として、市民意見聴取の設計段階から「デジタル→集約→対面熟議→計画反映→フィードバック」という一連の流れを描き、各段階の責任主体と期間を明記した工程表を作成すべきである。

提案5 母集団代表性の限界を認識し、複数手法を併用する

報告書は、Nagano Canvasの結果について重要な留意事項を明記している。すなわち、デジタル意見聴取は「回答者の属性が偏っている可能性があることなどから、母集団(市民)の代表性がない点に留意が必要」との指摘である。

実際に、Nagano Canvasの問1の回答者では、年齢を回答した人は76.5%にとどまり、約4分の1が年齢未登録であった(まちづくりアンケートでは99.9%が回答)。報告書はこの点について「積極的な意見表明と個人情報の提供がトレードオフの関係になっている可能性がある」と分析している。

議会・行政への提案として、デジタル手法は「広く・深く・多様な意見を拾う質的調査」、無作為抽出郵送調査は「統計的代表性を確保する量的調査」と位置づけを明確に区別し、両者を併用したうえで、それぞれの結果を分けて公表することが必要である。一方の結果のみを根拠にして政策判断をすることは避けるべきである。



おわりに ―― 「聴く」から「ともにつくる」へ

長野市の調査研究は、市民意見聴取の手法を巡る議論を、単なる「アンケート回答率の改善」から、「市民とともにまちをつくるプロセスをどう設計するか」という、より本質的な問いへと押し上げた点に意義がある。

報告書のサブタイトル「Nagano Canvas 〜つながる、広がる、みんなの声〜」が示すとおり、市民の声は集計されるべきデータであると同時に、市民同士・市民と行政が出会い、対話する**場(キャンバス)**でもある。回答率という単一指標に一喜一憂するのではなく、市民の参加機会の総量と質を中長期で向上させていく――その視点こそが、人口減少時代の地方自治に求められている。

議会人としても、執行機関に対して市民意見聴取の「設計段階での議論」と「結果の検証段階での説明」を求めていく責務がある。長野市の事例は、その問いを立てるための具体的な参照点を提供してくれている。


参考資料

介護保険の「住宅改修」を賢く使うために〜最新報告書から課題と対策〜

社会保障 福祉 行政 高齢者 / 2026年4月10日

「住み慣れた自宅で、いつまでも安心して暮らしたい」

そう願う多くの方にとって、手すりの設置や段差の解消といった「住宅改修」は非常に心強い味方です。

しかし、いざ利用しようとすると「何が対象になるの?」「自治体によって判断が違うって本当?」といった不安を感じることもあるかもしれません。先日、厚生労働省の事業として公表された最新の報告書「住宅改修の給付実態等の把握と指導監督のあり方に関する調査研究事業報告書 をもとに、利用者側の視点で役立つ情報を整理し、スムーズに制度を活用するためのヒントを考えてみました。

1. 「住宅改修」のイマ。みんなはどう使っている?

報告書によると、全国の住宅改修の使われ方には以下のような特徴があります。

・一番人気は「手すりの取付け」:改修全体の約8割を占めています 。転倒予防がいかに重視されているかがわかります。

・「要介護1」や「要支援2」での利用が多い:身体の変化を感じ始めた早い段階で、予防的に改修を行う方が多い傾向にあります

・改修費用は「6万円以下」が最多:20万円の支給限度額を一度に使い切るのではなく、必要な箇所を少しずつ直す賢い使い方が一般的です

2. 利用者が直面しやすい「3つの課題」

報告書では、自治体(保険者)によって給付の判断が分かれたり、迷ったりするケースが多数報告されています。利用者として特に注意したいポイントは以下の通りです。

① 「これって対象?」の境界線がわかりにくい

例えば、以下のようなケースは判断に迷いやすい事例として挙げられています。

  • 敷地内の玄関から「公道」に出るまでの手すり設置

  • 階段の踏み面を広げる工事(段差の高さが変わらない場合)

  • デザイン性や機能性が非常に高い(高価な)部材の使用

② マンションや賃貸住宅での制約

単身世帯や借家住まいの方が増える中、共同住宅の共有部(廊下など)への改修は、他の居住者の同意が必要になるなど、ハードルが高くなる場合があります

③ 事務手続きや専門性の壁

  • 自治体の窓口担当者の多くは一般事務職であり、リハビリテーションの専門職が直接審査に関わるケースは限られています 。そのため、提出する「理由書」の内容が不十分だと、本当に必要な工事でも認められないリスクがあります。


3. 【提案】納得のいく住宅改修にするための3ステップ

これらの課題を踏まえ、市民の皆様が後悔しない改修を行うための対策を提案します。

ステップ1:ケアマネジャー・専門職との「目的」の共有

「手すりが欲しい」という要望だけでなく、「一人でトイレに行けるようになりたい」「庭の手入れを続けたい」といった具体的な生活の目標を伝えましょう。自立支援につながる根拠が明確であれば、自治体への申請も通りやすくなります

ステップ2:自治体の「判断基準(事例集)」をチェック

多くの自治体では、過去の判断事例をまとめたマニュアルやQ&Aを公開しています 。工事を契約する前に、自分の希望する内容がその自治体で認められやすいものか、ケアマネジャーを通じて確認してもらうのが安心です。

ステップ3:「福祉用具」との組み合わせを検討する

工事が難しい場所や、将来的に身体状況が大きく変わる可能性がある場合は、住宅改修(固定式)にこだわらず、置き型の手すりやスロープなどの「福祉用具貸与」を検討するのも一つの手です 。どちらが自分にとって最適か、専門職のアドバイスを受けながら比較検討しましょう。


まとめ

住宅改修は、単なるリフォームではありません。あなたの「自立」を支え、ご家族の負担を減らすための大切な投資です。

もし判断に迷うような特殊なケースであれば、自治体の窓口には「専門職による助言」を求める仕組みもあります 遠慮なく相談し、納得のいく住まいづくりを進めてください。

「質問に役立つ行政関連情報」のリンクエラー修正しました

情報 行政 / 2026年3月28日

質問に役立つ行政関連情報」のリンクにエラーがあり、正しく開けない状態になっていました。

現在は修正済みですので、参考情報としてご活用いただければ幸いです。

政治資金収支報告書のオンライン提出で「ICカードリーダーの初期化に失敗しました」…2時間の格闘を救ってくれた解決策

未分類 行政 / 2026年3月16日

今年もやってきた「政治資金収支報告書」の提出時期。
「収支報告書作成ソフトVer7.0」で入力が終わって、あとはマイナンバーカード(ICカード)を使って送信するだけ……。

そんな達成感に浸りかけた瞬間、画面に表示されたのは非情なエラーメッセージでした。

「ICカードリーダーの初期化に失敗しました。」

「えっ、設定は合っているはずなのに?」
そこから私の、設定との孤独な格闘が始まりました。結果として、解決までに費やした時間は丸2時間。

同じように「収支報告書のオンライン提出」という重要な局面で、このエラーに足止めを食らっている方のために、私が救われた解決策をご紹介します。

 「送信できない!」絶望の2時間を救ったアドバイス

ICカードリーダーを抜き差ししても、ソフトを再起動しても一向に改善しない初期化エラー。
刻一刻と時間が過ぎる中、こちらのブログのアドバイスが突破口となりました。

参考にした記事: [解決方法!申請用総合ソフト「ICカードリーダーの初期化に失敗しました。」 | リノベでゆとり暮らし]

(https://mihimarublog.com/renovation/cardreader/#i-2)

この記事のおかげで、ようやくリーダーが認識された時の安堵感。

収支報告書の提出期限が迫っている方、エラーが出た方、まずこの記事をチェックして設定を見直してみてください。

法務省の「登記・供託オンライン申請システム」のダウンロードも必要ですね。

申請用総合ソフト ダウンロード・手引書ページ
[https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/download.html]

政治資金収支報告書のオンライン化は、事務作業の効率化には欠かせませんが、今回のようなシステムトラブルが最大の壁となります。

「2時間も格闘してしまった……」と落ち込みそうになりましたが、こうした経験を共有することで、他の誰かの作業時間を短縮できるかもしれませんね。

 

住民の命を守る条例の「伝家の宝刀」は適法か?〜土砂搬入禁止区域指定を巡る重要な判例を読み解く〜

政治 環境 行政 防災 / 2026年3月9日

近年、全国各地で激甚化する豪雨災害。それに伴い、盛り土(土砂の埋立て)による災害リスクへの懸念が高まっています。熱海市での悲劇を繰り返さないため、行政にはこれまで以上に毅然とした対応が求められています。

しかし、行政が「危険だから」といって、一方的に民間の事業を止めたり、私有地の利用を制限したりすることは、法的にどこまで許されるのでしょうか?

今回は、その重要な指針となる最近の判例(条例に基づく土砂搬入禁止区域指定の適法性 土砂搬入禁止区域指定処分取消等請求事件(大阪地判令和6年4月18日))について、分かりやすく解説し、地方自治の現場にどのような影響を与えるのか、共有したいと思います。


事件の概要:進行中の事業に「待った」をかける

事案は、ある事業者が農地や山林に他所から土砂を運び込み、埋立てようとしていた計画に始まります。

これに対し、自治体側は「無秩序な土砂の搬入は、土砂崩れなどの災害を招く恐れがある」と判断。自治体独自の「土砂条例」に基づき、その土地をピンポイントで「土砂搬入禁止区域」に指定しました。

事業者は、「すでに計画を進めていた(あるいは着手していた)のに、後から禁止されるのは不当だ」「私有地の利用制限として過剰であり、違法だ」として、指定の取り消しを求めて裁判を起こしました。

裁判の最大の焦点

裁判では、以下の2点のバランスが激しく争われました。

  1. 業者の「財産権・営業の自由」: 自分の土地をどう使うかは自由であり、これまでの準備が無駄にならないという期待。
  2. 住民の「生命・身体の安全(公共の福祉)」: 災害を未然に防ぎ、住民の命を守るという行政の責務。

裁判所の判断:住民の安全が優先される

大阪地裁は、自治体側の判断を支持し、「指定は適法」との判決を下しました。

今後の参考とすべき、判決の重要ポイントは以下の通りです。

1. 「命」を守るための規制は正当である

裁判所は、土砂災害防止は「住民の生命・身体の保護」に直結すると認めました。そのため、条例で強い規制をかけ、たとえ私有地であっても利用を制限することは、地方自治の権能として適法であると判断されました。

2. 進行中の事業にも介入できる

業者の「後出しジャンケンだ」という主張に対し、判決は「過去の行為を罰する」のではなく、「将来発生しうる危険(災害)を今止める」ための処分であると整理しました。住民の命に関わる危険がある場合、行政は進行中の事業であっても、毅然と介入できることが示されたのです。

3. 「専門的知見」に基づく行政の裁量

「どこを禁止区域にするか」という判断には、高度な専門性が必要です。裁判所は、自治体が外部専門家による地質調査や安定計算に基づき、「危険性がある」と判断したプロセスに不合理な点はなく、行政の裁量権の範囲内であると結論づけました。

行政の視点

この判決は、今後の地方自治の実務に、2つの大きなメッセージを送っています。

  1. 行政へのエール: 防災のために、条例という「武器」を使って、強力な行政処分を行うことへの法的な後ろ盾が強化されました。
  2. 行政への宿題: 強力な権限を行使するには、業者が納得せざるを得ない「科学的・客観的な根拠(外部専門家の意見や調査データ)」を、丁寧なプロセスで積み上げる必要があります。

行政が「専門的知見を持つ」と言っても、それが担当職員の主観や勘であってはなりません。行政側が判断の根拠としたデータが、利害関係のない第三者の専門家によって裏付けられているかを、厳しくチェックしていく必要があります。

おわりに

今回の判例は、「私有財産権」よりも「住民の安全」を優先する法的根拠を明確にしました。

大津市においても、盛り土規制法(改正)に伴う新たな運用が進んでいますが、この判決の精神(=プロセスを尽くした、命を守るための毅然とした介入)が、適切に反映されているか。引き続き、議会の場を通じて確認し、提言を行ってまいります。


3月2日 代表質問を行いました

まちづくり 介護 保健 子育て 教育 行政 議会 高齢者 / 2026年3月2日

本日(2026年3月2日)、大津市議会において会派を代表して代表質問を行いました。
今回の質問は、令和8年度(2026年度)予算編成の考え方と、それを支える市政運営の軸(防災・子育て・高齢者福祉・観光・働き手確保・新庁舎整備など)大きく5項目について、方針と実行性を確認するものです。

1.市長の政治姿勢と令和8年度予算編成の方針について

(1)令和8年度予算の財政規律

(要旨)

  • 事業見直しを「不退転の決意」としたが、具体的に

    • どの分野で、どんな基準で見直したのか

    • 廃止・縮小・統合など、実際に踏み込んだ事例は何か

  • 義務的経費(人件費・扶助費・公債費など)が増える中で、将来投資とのバランスをどう取るのか


(2)「防災」を新たな柱とした市政運営

(要旨)

  • 「防災」を単なる施策ではなく、まちづくりの根幹として
    市政全体にどう浸透させ、災害に強いまちを牽引するのか(市長の決意と具体)


(3)新たな財源確保(宿泊税の検討)

(要旨)

  • このタイミングで宿泊税を検討する意図

  • 導入に向けた議論スケジュール感

  • 確保した財源を市民・観光客へどう還元するビジョン


2.重点施策「ひと」:子育て支援と高齢者福祉について

(1)学校給食費の無償化(国制度活用)と今後

(要旨)

  • 国の上限額を実際の給食費が上回った場合、超過分も市が負担し、完全無償化(自己負担ゼロ)を担保できるか

  • 当初は中学校が対象外。義務教育の公平性の観点から中学校へ拡大すべきではないか

  • 無償化後も、栄養・質・地産地消を後退させず継続できるか


(2)子どもの育ちと健康を守る新たな支援(4歳・5歳相談会等)

(要旨)

  • 相談後のフォローはどの部署が主体か

  • 就学・学校教育へどう円滑につなげるか

  • 教育委員会との連携を含む具体像


(3)高齢者の社会参画と認知症施策

(要旨)

  • 大学連携の啓発など、新たな展開を通じて
    地域コミュニティや若い世代をどう巻き込むのか(具体)


3.「まち」:歴史文化資源の活用とにぎわい創出について

(1)坂本城跡の保存と活用

(要旨)

  • 保存と活用のバランス

  • 住民の生活環境への配慮

  • アクセス整備をどう進めるか


(2)広域観光・インバウンド対策

(要旨)

  • 坂本地域を「明智光秀ゆかりの地」として、比叡山延暦寺・日吉大社等とどう回遊性を生むか

  • 誘客促進と受入環境整備(多言語、交通、案内等)をどう進めるか


4.就労機会の創出と社会参加(介護人材確保等)について

(1)短期就労マッチングシステム導入

(要旨)

  • システム導入だけで終わらせず、企業開拓・周知・登録支援を含め、利用促進をどう戦略化するか


(2)いきいきライフセミナー(高齢者の社会参加)

(要旨)

  • セミナーと就労マッチングをどう連動させ、実際の社会参加へつなげるか

  • 高齢者の生きがいと労働力確保を、どう一体で進めるか


(3)農業の担い手確保と「週末農業」

(要旨)

  • モデル地区の想定と都市部住民の呼び込み方

  • 体験で終わらせず、就農や耕作放棄地解消へつなげる道筋


(4)主任ケアマネ資格取得支援、現状分析と人材確保

(要旨)

  • 必要人数をどう把握して予算編成したか

  • 主任ケアマネ増による効果

  • ケアマネの現状をどう分析し、量と質の両面でどう確保するか


5.防災と行政経営の基盤:新庁舎整備について

(1)地域防災力の強化とハード整備(体育館空調等)

(要旨)

  • 小学校体育館空調などの整備を、地域防災力向上の中でどう位置付けるか

  • 単発整備で終わらせず、災害対応力全体の底上げにつなげる戦略か


(2)介護現場のBCP実効性、要配慮者の安否確認・避難支援

(要旨)

  • 介護事業所BCPが、安否確認手順・地域連携・訓練を通じて機能する体制か

  • 市としてどんな指導・支援をしているか


(3)文書管理の適正化とペーパーレス(新庁舎整備と一体で)

(要旨)

  • 文書管理制度の見直しと削減計画が、庁舎規模・保管スペース縮減にどう反映されるのか

  • 文書量削減目標の設定と、庁舎面積への具体的な影響

  • 一過性の整理で終わらせず、継続的なペーパーレスへつなげる仕組み

  • 文書管理適正化を、庁舎ダウンサイジングや働き方改革にどう結び付けるか(戦略)

自民党の“非課税”疑惑と、中道改革連合の“ゼロ税率”は何が違うのか?

政治 行政 / 2026年1月26日

衆院選を控え、食料品の消費税を「ゼロ」にするという公約が飛び交っています。しかし、同じ「0」でも、その仕組みによって皆さんの家計への恩恵が大きく削られる可能性があることをご存知でしょうか。

中道改革連合が厳しく追及しているのは、自民党の公約にある「対象外」という言葉の曖昧さです。

1. 「非課税」と「ゼロ税率」の違い:負担額シミュレーション

食料品の軽減税率(8%)分を減税する場合、国の税収減(=国民への還元)は約5兆円規模と言われています。しかし、「非課税」と「ゼロ税率」では、その「5兆円」の行方が変わります。

項目 ゼロ税率(中道改革連合 案) 非課税(自民党案の懸念)
家計の負担軽減 約5.0兆円(8%分がフル還元) 約3.5兆円(実質3〜5%還元に留まる)
国の負担(税収減) 約5.0兆円 約3.5兆円
事業者の負担 なし(仕入税額の還付あり) あり(仕入れの税金が自己負担に)

 

2. なぜ「非課税」だと国の負担が減るのか?

「非課税」の場合、お店は消費者から税金を取りませんが、一方で「仕入れにかかった消費税」を国から返してもらう(還付を受ける)ことができません。

  • 国の視点: 小売店が卸業者に支払った消費税などは、そのまま国の税収として残ります。そのため、国が失う税収は、ゼロ税率(5兆円)よりも少なく済みます。

  • 国民の視点: お店は損をしないために、還付されない仕入れコスト分(約1.5兆円〜2兆円相当)を商品の本体価格に上乗せせざるを得ません。結果として、税率は0%になっても、価格そのものが上がるため、生活者の手元には十分な減税効果が届かないのです。

3. 中道改革連合のスタンス:ごまかしのない「ゼロ」を

私たち中道改革連合が掲げるのは、一貫して「ゼロ税率(免税)」です。 これは、事業者が仕入れで支払った税金を国がしっかり払い戻す仕組みです。これこそが、物価高に苦しむ皆さんの家計に「5兆円」を丸ごと届ける唯一の方法です。

自民党が「対象外」という曖昧な言葉を使い、国の負担をこっそり減らしながら、事業者や消費者に負担を押し付ける「隠れた増税」を行うことは断じて許されません。

自民党は今すぐ、その「ゼロ」が事業者の還付を認める「ゼロ税率」なのか、認めない「非課税」なのかを国民に明らかにすべきです。

中道改革連合は、皆さんの「手取り」を本当に増やすため、誠実で明確な税制改革を訴えてまいります。

 

「貢献寿命」を伸ばす地域へ——瀬田学区 新年交歓会でお伝えしたこと

まちづくり 地域活動 子育て 福祉 行事 行政 高齢者 / 2026年1月10日

1月10日、瀬田学区の新年交歓会が開催され、私も挨拶の機会をいただきました。
市議会議員としてご紹介いただきましたが、同時に学区の副会長として、日頃から地域の皆さんと活動を共にしています。
来賓というより「同じ仲間の一人」として、感謝の気持ちと、これからの地域づくりへの思いをお伝えしました。

地域の支え合いを「次につなぐ」ことが課題に

全国的にも、そして私たちの地域でも、自治会加入率の低下などを背景に、地域の支え合いをどう継続し、次の世代へつないでいくかが大きなテーマになっています。
この課題に向き合う際、今日ぜひ共有したい視点としてお話ししたのが「貢献寿命」です。

「貢献寿命」とは何か

「貢献寿命」とは、東京大学の秋山弘子名誉教授が提唱されている考え方で、社会とつながり、役割を持ち、誰かの役に立つ・感謝されるといった関わりを持ち続けられる人生期間を指します。
ここで大切なのは、貢献寿命が“無理な自己犠牲”を求めるものではない、という点です。

私からは次のようにお伝えしました。
貢献寿命とは、無理な自己犠牲ではなく、挨拶や声かけ、見守りといった日々の小さな関わりを続けることです。
それは地域の安心を支えるだけでなく、ご自身の元気や健康、そして「役に立てた」という代えがたい幸福感を実感することにもつながります。

「参加したい」が届く仕組みへ

いま地域では担い手が固定化しがちです。しかし、瀬田学区には15,000人の方が暮らしています。
その中には「参加したいが、きっかけがない」「自分にできる役割が分からない」という方も少なくないはずです。

だからこそ、地域の中に

  • 人と活動(活躍の場)をつなぐ機会

  • 活動を知ってもらい、引き継ぎを進める“伝える機会”
    を増やしていくことが重要だと考えています。

行政の支援にも期待——“場”だけでなく“機会づくり”へ

当日は市長も出席され、市民活動センターを直営方式に改め、地域活動支援を強化していく考えも示されています。
行政には、単に場所を用意するだけでなく、団体同士や世代をつなぎ、引き継ぎを支える「機会づくり」への支援を、ぜひ一層進めていただきたいとお伝えしました。

「できる人が全部やる」からの転換

地域側も、参加の形を見直すタイミングです。
「できる人が全部やる」から、**「できる範囲で、短い時間でも、選べる役割がある」**へ。
そのように参加の入口を増やせば、自治会や地域団体は、もっと参加しやすく、続けやすくなるはずです。

新年交歓会は、日頃の活動への感謝を確かめ合う場であると同時に、今年の地域づくりの方向性を共有する場でもあります。
今日の出会いを大切にしながら、関わりの輪を少しずつ広げていければと思います。

本年も、皆さまと一緒に、瀬田学区の安全・安心と、温かなつながりを育ててまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

 

今年も「瀬田しじみブラス」の皆さんに懐メロを中心に演奏をしていただきました。

新年のご挨拶|協働とDXで、安心・安全の大津へ

ICT活用 まちづくり 行政 議員活動 防災 / 2026年1月1日

皆さま、新年あけましておめでとうございます。
旧年中は、温かいご支援と多くのご意見をお寄せいただき、誠にありがとうございました。

本年も「現場の小さな声を丁寧に受け止め、確かな前進につなげる」ことを軸に、安心・安全な暮らしの実現へ全力で取り組んでまいります。
また、行政サービスや地域活動の負担を少しでも軽くし、同時に新しい価値を生み出せるよう、ICT・AIの活用も進めてまいります。


2026年に取り組みたいこと

1)防災・防犯と「日常の備え」を、無理なく続けられる形に

地域の自主防災防犯の活動に携わる立場として、日常の延長で備えが進む仕組みづくりを重視します。

  • メリット:いざという時の被害軽減、見守りの強化、地域のつながりの維持につながります。
  • 留意点:担い手に負担が偏ると継続が難しくなるため、「短時間参加」「単発参加」など参加設計の工夫が不可欠です。

2)協働のまちづくりの再設計(“担い手不足”を前提に)

大津市でも自治会加入率の低下が課題となっており、計画面でも工夫が求められています(例:令和7年で48.3%)。

  • メリット:役割分担を整理し、参加の意義を「見える化」できれば、参加の裾野拡大が期待できます。
  • 留意点:発信だけでは参加は増えにくく、地域実情に応じた柔軟な運用(見直しの仕組み)が必要です。

3)市役所DX/地域DXを「便利さ」と「安心」の両立で

DXは、デジタルが得意な方の利便性向上だけでなく、窓口・手続き・情報提供の質を上げ、誰にとっても分かりやすい行政につなげることが大切です。

  • メリット:手続き時間の短縮、情報の探しやすさ向上、職員・地域の作業負担軽減が期待できます。
  • 留意点:スマホやネットが苦手な方が取り残されないよう、紙・電話・窓口を含む“多様な入口”を確保します。

暮らしの中の「困った」「ここが不便」「こうなったら助かる」という声こそが、まちを良くする出発点です。
本年も、地域を歩き、現場で伺い、行政と議会をつなぎながら、一つずつ形にしてまいります。

2026年が、皆さまにとって健やかで実り多い一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。