「共通番号制度」が実現に向けて動き出した。
国民一人ひとりに番号を割り当て、年金や医療、介護、福祉、労働、税務などの情報を管理できるものとする方針である。すでに世界でも多くの国が導入をしている。
番号制度の扱いについては、一般行政サービスや民間利用など分野をまたいで広げれば広げるほど便利ではあるが、一方ではプライバシー権侵害のおそれ、犯罪の誘発など弊害が大きいと言われている。
ここでいくつかの資料を紹介します。
1,公明新聞より

7/26 公明新聞より

7/26 公明新聞より
4,経済ウォッチ 2011年5月第4週号~2011-2012年度経済見通し特集号、共通番号制度の問題点から、以下参照
共通番号制度の問題点
効率的な徴税
政府は、社会保障と税の一体改革案を6月中にまとめ、本年度中に全体像を法整備する予定である。見直しの対象は、年金、介護、医療の3分野の他に、現役世代に関わる子育て支援や雇用問題など、幅広い分野に及んでいる。
今回の改革案にあわせて導入が検討されているのが「社会保障・税に関する番号制度」(以下、番号制度)で、昨年11月以降、政府の主催する「社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会」において議論されている。
番号制度とは、国民に番号を付与し、納税に関する情報を効率的に把握する仕組みをいう。納税者は各種取引に際して相手方に番号を知らせ、相手方はその番号を記載した支払調書等を当局に提出する。一方、納税者は、当局に提出する確定申告等に番号を記載する。当局は納税者と取引の相手方の双方から提供される情報について、番号による名寄せ・突合(マッチング)が可能となる。
これにより、納税者の所得状況をより正確に把握できるようになり、職業による所得捕捉率の差の是正が可能になる。また、番号は納税だけでなく、年金や医療などの社会保障給付にも活用することが考えられている。
所得・金融資産を把握番号制度導入の根拠は、個人や世帯ごとの所得や金融資産を把握でき、徴税が効率的になるほか、所得に応じた社会保障給付や、消費税の逆進性対策として注目される給付つき税額控除の導入、金融所得課税の一体化などが行いやすくなるという点にある。
給付つき税額控除とは、所得が課税最低限以下で、税額控除の恩恵を受けられない低所得者層に対して税額控除相当分を給付金として支給する仕組みのことで、負の所得税とも呼ばれる。給付つき税額控除のメリットは、生活保護制度と比べ、勤労意欲を損なわないことであるといわれる。つまり、生活保護では、収入があれば、それだけ給付が減らされ所得が一定になるように調整されるため、勤労意欲を損なう。
これに対して、給付つき税額控除の場合、収入が増えても段階的に給付を続けることで手取の減少を少なくするため、勤労意欲を損なうことはない。給付つき税額控除では、世帯ごとの所得を正確に把握しなければならないため、番号が必要とされる。
金融所得課税の一体化とは、利子・配当・株式譲渡益等の金融所得の課税の仕方が異なっている現行の課税方式を統一し、金融所得間の損益通算や損失の繰り越しを認める仕組みをいう。金融所得課税一体化のメリットとしては、税制の簡素化、金融商品間の中立性の確保が挙げられる。また、損益通算の範囲の拡大につながることから、「貯蓄から投資へ」を促す効果も期待されている。金融所得課税を一体化すると、確定申告を通じて異なる金融商品間で損益通算をするため、当局の事務処理上、番号が必要とされる。
全国民に付番・ICカードを交付「社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会」は、個人に対して付番する番号については、住民基本台帳ネットワークを活用した新たな番号とし、法人等に対して付番する番号については、商業・法人登記の申請にかかる会社法人等番号を活用した番号とするとしている。また、番号を利用する分野は、年金、医療、福祉、介護、労働保険の各社会保障分野、国税及び地方税の各税務分野と広汎に設定されるようだ。各機関が有するデータに含まれる個人・法人の属性は、住民基本台帳ネットワークが保有する個人の属性(住所、氏名、生年月日、性別)・法人登記の内容と紐付けられることで、定期的に更新される。加えて、各機関間でデータのアクセス・やり取りを可能とする。これらをスムースに進めるため、情報連携基盤を整備する予定である。本人確認については、番号を利用する際、本人であることを証明するために全国民へのICカードの交付が検討されている。
先行国では成りすまし犯罪が多発番号制度は、既に導入済みの国の実例を踏まえ、分野別に異なる番号を限定利用するセパレートモデル、秘匿の汎用番号から第三者を介在させて分野別限定番号を生成・付番し、各分野で利用するセクトラルモデル、一般に公開された共通番号を幅広い分野に利用するフラットモデル、の3分類が可能である。
このうち、フラットモデルにおいては、個人情報が横断的にリンケージされ、しかも、公開されていることから、様々な弊害が生じている。米国では、可視化し公開したフラットモデルの番号制度(SSN社会保障番号)を採用しているが、社会保障番号を悪用した成りすまし犯罪が多発している。手口としは、自分名義で他人にクレジットカードが発行された、自分名義で他人に銀行口座を開設された、自分名義で他人が融資を利用した、などがあり、毎年100万人程度が被害者となっているといわれる。なかでも、発生件数が増加しているのが、内部の人間が情報を外部に売るというケースで、2005年には、10万人を超える銀行顧客の財務記録が、行員によって外部の業者に販売されていた。高福祉高負担国家として知られるスウェーデンでも、社会保障の不正受給や課税逃れを防止する見地から、フラットモデルの番号制度が導入されているが、米国同様なりすまし犯罪の多発に悩まされている。そのうえ、番号制度の対象が社会保障・税の他、預金、医療給付、運転免許、定期券購入など、日常生活全般に広く及んでいるため、「データ監視社会」ともいわれている。
このように、単一番号を税、年金、医療、など様々な分野で横断的に用いるフラットモデルは、プライバシー権侵害のおそれ、犯罪の誘発など弊害が大きい。分野横断的管理は回避すべきドイツ、フランスなどで採用されているのが、セパレートモデルである。
ドイツでは、行政分野ごとに異なる番号が用いられる。行政事務の効率化を図るために、分野横断的な番号の導入が試みられたことがあるが、連邦憲法裁判所が「行政機関は国民の生活を管理・監視するようなデータの利用をしてはならない」との判断を示し、導入は頓挫した。
フランスでは、全国民に社会保障分野で利用される国民登録番号が付与されるが、税・教育・預金・警察といった他の分野では利用されることはない。個人情報保護を担う独立行政機関は、「国民登録番号が分野をまたいで利用されると、これをキーとして国民の全情報が閲覧されるリスクがある」としている。平成26年6月にも全国民に番号が配布されるとのことだが、単一の番号で幅広い個人情報が一元的に管理されるフラットモデルは、米国やスウェーデンの実情を見ればわかるように、あまりにも問題が多い。
分野別に異なる番号を限定利用し、分野をまたいだ利用を認めないセパレートモデルが、番号制度の導入にともなう弊害を少なくするうえで望ましいと考えられる。
また、セクトラルモデルは、一部の国で採用されているが、第三者による分野別限定番号の生成・付番が公正になされれば、セパレートモデルと同様の効果があろう。