大津市議会議員 佐藤弘

一人のひとを どこまでも大切に 心豊かな まちづくりを目指します

障害福祉サービスの現場から見える課題と改善の方向

介護 社会保障 / 2026年6月30日

― 利用者の声と厚労省調査報告から考える「支援の質」と「制度のすき間」 ―

制度の整備が進む一方で、現場の声は届いているか

令和7年度厚生労働省の調査報告書では、全国129自治体を対象に「障害福祉サービス事業者の指定事務」や「総量規制」「意見申出制度」の運用実態が分析されました。 この報告書は、制度の入口である「事業者指定」がいかにサービスの質を左右するかを明らかにしています。 一方、現場の利用者からは「生活が苦しい」「支援が足りない」という切実な声が上がっています。 本記事では、利用者の声・調査データ・改善案を重ね合わせ、今後の支援のあり方を考えます。

◆障害福祉サービス事業者等の指定の在り方に関する調査研究 報告書
◆障害福祉サービス利用者等の生活実態調査

【利用者の声】生活のリアルな困りごと

  • 「食費や光熱費が上がって、月末は本当にギリギリ」
  • 「年金だけでは暮らせない。働きたいけど体調が続かない」
  • 「家事ができないのに、支援時間が短くて困っている」
  • 「夜間に発作が起きた時、頼れるところがない」
  • 「お金の管理ができず、詐欺が怖い」
  • 「一人暮らしで話し相手がいない」

こうした声は、在宅で障害福祉サービスを利用する人々の生活の現実です。 支援の量・質・制度の運用が、生活の安定に直結しています。

【データで見る現状】数字が示す課題

項目 内容
生活が「苦しい」と回答  37.1%
平均月収  約10万円(年金+工賃)
工賃中央値  約1万円
貯蓄中央値  約30万円
医療的ケアが必要な人  18.9%
金銭管理が自分でできる人  32%
単身者割合  約33%
居宅介護利用時間  平均22.6時間/月(中央値10時間)

これらの数字は、生活基盤の脆弱さと支援量の不足を示しています。


【図表】家計と支援量のイメージ

【在宅利用者の家計イメージ】

収入(月平均)
--------------------------------
障害年金    :約 7〜8万円
工賃(中央値) :約 1万円
その他収入   :数千円〜数万円
--------------------------------
合計      :約 10万円前後

支出(月平均)
--------------------------------
住居費     :約 20,000円
食費      :約 30,000〜35,000円
光熱費     :約 10,000〜15,000円
医療費     :数千円〜1万円
日用品     :約 10,000円
--------------------------------
合計      :約 8〜10万円
(※貯蓄が難しい構造)



【訪問系サービスの利用量】

居宅介護(身体介護・家事援助)
--------------------------------
平均利用時間 :22.6時間/月
中央値    :10時間/月
必要量の声  :「30〜50時間は必要」

重度訪問介護
--------------------------------
利用者の声  :「夜間の見守りが不足」
「医療的ケアに対応できる事業所が少ない」
--------------------------------

【厚労省報告書の要点】制度運用の課題と改善方向

報告書では、自治体の指定事務や関連制度の運用に以下の課題が指摘されています。

1. 指定事務のばらつき

自治体ごとに確認項目や審査方法が異なり、サービスの質確保に差がある。 → ガイドライン整備による平準化が必要。

2. 総量規制の実施率の低さ(約2割)

供給量が見込量を超えても規制に踏み切れない自治体が多い。 → 地域ニーズを反映した見込量の算出と公募制の併用が有効。

3. 意見申出制度の活用不足

都道府県では半数が活用または検討中だが、指定都市・中核市ではほぼ未活用。 → 制度の周知と実効性ある条件付与の仕組みが必要。

4. サービスの質確保策

事前説明会・管理者面談・指定前研修など、制度理解を深める取組が効果的。 → 指定段階での質確保を制度化すべき。


【改善案】行政・地域が取り組むべき方向

① 生活基盤の支援強化

  • 住居費・光熱費の補助
  • 食費支援や生活支援金の拡充
  • 工賃向上と就労支援の強化

② 訪問介護・外出支援の拡大

  • 必要量に応じた支援時間の確保
  • 買い物・外出支援の充実
  • 単身者への重点支援

③ 医療的ケアに対応できる体制整備

  • 医療的ケア対応の訪問介護・看護の拡充
  • 夜間・緊急時の支援体制の構築
  • 医療と福祉の連携強化

④ 相談支援の質向上

  • 本人中心の計画作成
  • 医療・就労・家族との連携を計画に組み込む
  • モニタリングの強化

⑤ 孤立防止の地域支援

  • 地域の見守り体制
  • 交流の場の整備
  • 常設の相談窓口の充実

⑥ 制度間の不整合の解消

  • 障害福祉サービスの自己負担軽減
  • 生活保護基準との整合性改善
  • 交通費・医療費の負担軽減

【まとめ】「制度」と「生活」をつなぐ視点を

厚労省の報告書が示すように、制度の整備は進んでいます。 しかし、利用者の生活実感に寄り添う運用がなければ、支援の質は担保されません。 今後は、制度の入口(指定)から出口(生活支援)まで一貫した質の確保が求められます。 地域の声を政策に反映し、誰もが安心して暮らせる障害福祉サービスの仕組みを築いていくことが、次の一歩です。

それは得か?損か?複雑に絡む社会保険制度を学ぶ

党活動 社会保障 議員活動 / 2026年4月29日

4月27日、公明党滋賀県本部の社会保険研修会において、藤井社会保険労務士事務所(大津市)の藤井貞男社会保険労務士を講師にお招きし、社会保険制度の基礎から実践的な相談対応まで幅広くご講義いただきました。今回は研修の中で特に「目からウロコ」だった2つのテーマを市民の皆さんにも共有します。


テーマ① 老齢年金の「繰り下げ受給」は本当に得なのか

「65歳よりも遅く年金を受け取り始めれば、その分金額が増える」——これは事実です。しかし、繰り下げが必ずしも「得」とは言えないケースがあることを研修で改めて確認しました。

繰り下げると年金額はどれだけ増えるのか

老齢年金の繰り下げ受給では、1ヶ月繰り下げるごとに0.7%増額されます。

受給開始年齢 増額率
65歳(基準) ±0%
70歳まで繰り下げ +42%
75歳まで繰り下げ +84%

一見、大きなメリットに思えますが、次の5つの落とし穴があります。

「繰り下げが得になるとは限らない」5つの理由

① 家族構成による影響:加給年金が止まる

老齢厚生年金には、「加給年金」という家族手当のような上乗せ給付があります。受給者が一定の要件を満たす配偶者や18歳未満の子を扶養している場合に加算されますが、老齢厚生年金を繰り下げている間は、加給年金も受け取れません。

加給年金額(令和8年度)の目安は以下の通りです。

  • 配偶者分:約39万7,500円/年(月約3万3,100円)
  • 子1人分:約22万7,900円/年

70歳まで5年間繰り下げた場合、その間の加給年金(配偶者分だけで約198万円)を丸ごと受け取れないことになります。繰り下げで増える年金額と、繰り下げ期間中に失う加給年金を必ず比較してください。子どもが多い世帯ほど、この影響は大きくなります。

② 配偶者との年齢差:繰り下げ中の生活費をどう賄うか

年金を繰り下げる期間は、年金収入がゼロ(または減少)になります。その間の生活費は、貯蓄・配偶者の収入・就労収入などで賄わなければなりません。

例えば、夫65歳・妻60歳(5歳差)で夫が70歳まで繰り下げる場合、繰り下げ期間5年間の生活費は月25万円とすると25万円×60ヶ月=1,500万円となります。これを貯蓄から取り崩す場合、金融資産の状況によっては現実的でない場合もあります。

年齢差が大きい(夫が年上など)場合、妻がまだ若く働いている間は夫の年金を繰り下げられても、配偶者が高齢になってからは生活費の確保が難しくなる場合があります。保有する金融資産・固定資産の状況も踏まえて判断することが重要です。

③ 18歳以下の子がいる場合:子の加算が受けられない

老齢基礎年金には、一定の子(18歳到達年度末まで、または1・2級障害の20歳未満)がいる場合に「子の加算」が加わります。しかし、老齢基礎年金を繰り下げている間はこの加算も止まります。

子の加算額(令和8年度)の目安は以下の通りです。

  • 第1子・第2子:各約22万7,900円/年
  • 第3子以降:各約7万5,900円/年

例えば、50歳で子をもうけた場合、65歳時点で子は15歳です。老齢基礎年金を68歳まで繰り下げると、子の加算(3年分=約68万円)を受け取れません。晩婚化・晩産化が進む現代では、65歳時点でまだ子が18歳以下という方も珍しくありません。該当する場合は必ず確認が必要です。

④ 国民健康保険料・所得税が増える

繰り下げにより年金月額が増えると、それに連動して国民健康保険料と所得税の負担も増加します。「増えた年金額」がそのまま手取りになるわけではありません。

具体的なイメージとして、老齢基礎年金満額(令和8年度)は847,300円/年(70,608円/月)です。70歳まで繰り下げると70,608円×1.42=約100,300円/月となり、増加分は約29,700円です。しかし、この増加分に対して国民健康保険料(所得割)と所得税が課税されるため、手取りの増加は約29,700円より少なくなります。実際の増加額は市町村・世帯状況により異なりますが、増加分の2〜3割程度が税・保険料に消えるケースもあります。

国民健康保険料は前年の所得(年金収入)をもとに計算されます。住んでいる市町村によって保険料率が異なるため、必ず居住地の市区町村窓口や年金事務所で試算してもらうことをお勧めします。

⑤ 健康寿命:「損益分岐点」を超えて生きられるか

繰り下げ受給は、受け取り始めてから一定の年齢(損益分岐点)を超えて生きてはじめて、65歳受給開始より総受給額が上回ります。

70歳から受給を開始した場合、65歳〜69歳の5年間(60ヶ月)は年金ゼロです。70歳以降に増額分(42%)で5年分の取りこぼしを回収するにはおおよそ11〜12年かかるため、約81〜82歳が損益分岐点となります(税・保険料の増加を考慮するとさらに遅くなります)。

厚生労働省の公式データによると、日本人の平均寿命・健康寿命は以下の通りです。

  • 平均寿命:男性81.09歳、女性87.14歳(令和5年簡易生命表)
  • 健康寿命:男性72.57歳、女性75.45歳(令和4年度)

健康寿命と損益分岐点を比べると、健康寿命の時点ではまだ回収できていない可能性があります。介護状態になった後も年金は受け取れますが、自分でお金を使える状態かどうかも考慮が必要です。「長生きすれば得」は事実ですが、「いつまで健康でいられるか」という現実的な視点も同時に持つことが大切です。

繰り下げを検討する際のチェックリスト

  • 加給年金・子の加算の対象になっていないか
  • 繰り下げ期間中の生活費は確保できるか(金融・固定資産の確認)
  • 国保料・所得税の増加分を試算したか
  • 自分・配偶者の健康状態・健康寿命を考慮したか
  • 配偶者との年齢差・家族全体の収入状況を整理したか

繰り下げを検討する際は、必ず年金事務所または社会保険労務士への個別相談をお勧めします。個々の状況によって最適な選択は異なります。


テーマ② 「扶養に入ったまま収入を抑える」は本当に賢い選択か

「社会保険に入ると手取りが減る」「扶養の範囲で働く方が損をしない」——そう考えてパートの収入を106万円や130万円以内に抑えている方は少なくありません。しかし、研修では長期的な視点から見ると必ずしもそうとは言えないことが示されました。

社会保険加入のメリット vs デメリット

扶養のまま(社会保険未加入) 社会保険加入
視点 短期的な見方 長期的な見方
手取り額 増える 一時的に減る
傷病手当金 受給不可 受給可能
出産手当金 受給不可 受給可能
老齢厚生年金 増加なし 将来増加
障害厚生年金 受給不可 受給可能

傷病手当金とは何か

健康保険の被保険者(本人)が、業務外の病気やケガで休業する場合、月給の約3分の2が最長で通算1年6ヶ月支給されます(健康保険法第99条)。国民健康保険の被保険者や、健康保険の被扶養者(家族加入)の方は対象外です。

支給額の計算式:支給開始日以前12ヶ月間の各月標準報酬月額を平均した額 ÷ 30日 × 3分の2

年収の壁と2026年の主な制度変更

現在、収入に応じて以下のような「壁」が存在します(2025〜2026年時点)。

年収 壁の種類 内容・変更点
93〜110万円 住民税 自治体により異なる。2025年分から住民税(均等割・所得割)が課税。
106万円 社会保険 従業員51人以上の企業・週20時間以上勤務等の要件で厚生年金・健康保険への加入義務。2026年10月に賃金要件撤廃予定。
130万円 社会保険 社会保険の被扶養者から外れる基準。2026年4月から判定方法が変更となり、労働契約書ベースでの年間収入見込みで判定。
178万円 所得税(本人) 令和8年(2026年)分から本人に所得税が課税開始。年収665万円以下が対象。

社会保険加入を長期的に考えると

社会保険に加入することで手取りは一時的に減っても、傷病手当金・出産手当金の受給権、老齢年金の増額、障害を負った場合の障害厚生年金受給など、長期的な生活保障が得られます。「損をしない」という短期的な判断だけでなく、ライフプラン全体で考えることが大切です。


まとめ

  • 年金の繰り下げ受給は単純に「得」とは言えず、家族構成・健康寿命・税負担への影響を踏まえた個別判断が重要。
  • 「扶養内」に収入を抑えることの短期的メリットと、社会保険加入による長期的な生活保障のメリットを比較することが大切。
  • 2026年4月から130万円の壁の判定方法が変更されており、最新情報の確認が必要。
  • 個別の状況については、社会保険労務士や年金事務所への相談を強くお勧めします。

制度は複雑で、一般的な「常識」が自分の状況に当てはまらないこともあります。

「認知症の人をケアする家族等を取り巻く認知症施策のこれから」政策提言から

政治 社会保障 福祉 / 2026年4月28日

認知症の人を日々支える家族の負担は、制度が整ってきた今もなお大きく、見えにくいまま残されています。 特に、診断直後の不安、情報の届きにくさ、働きながらの介護、心理的負担、地域の支え合いの弱体化など、家族を取り巻く課題は多岐にわたります。

こうした現状を踏まえ、日本医療政策機構(HGPI)は2026年4月に 認知症の人をケアする家族等を取り巻く認知症施策のこれから」政策提言 を公表しました。

本記事では、この提言の中核となる 「7つの提言」 を、

  • なぜ必要なのか(課題)
  • 何を目指すのか(必要性)
  • どんな内容なのか(提言の内容) を、わかりやすい図解で整理して紹介します。その下にもテキストで一覧表にしました。

提言 課題 必要性 提言の内容
① オンライン・リンクワーカー 診断直後に情報が届かず家族が迷子になる 初期の不安・孤立を防ぎ、早期支援につなぐため 全国共通のオンラインナビサイトを整備し、診断直後から情報をプッシュ通知。相談窓口・地域資源へ確実に接続
② 家族支援の「報酬化」 家族支援が制度で評価されず、現場の善意に依存 支援の質を安定させ、継続的な家族支援を可能にするため 医療・介護で家族支援を報酬化。アセスメント〜支援〜再評価を加算として評価
③ 選べる認知症カフェ(機能タグ化) カフェの内容が分かりにくく参加しづらい 孤立防止の場として活用しやすくするため カフェに機能タグを付与し、自治体・医療機関が紹介しやすい仕組みを整備
④ 職域から届く家族支援 働きながら介護する人が職場で孤立 企業が早期発見・相談につなぐ役割を担うため 保険者単位で相談機能を整備し、企業がゲートキーパーとして地域につなぐ
⑤ 家族への心理支援の標準化 家族のうつ・疲弊が深刻だが支援が標準化されていない 心理的負担の軽減がケアの質向上につながるため CBT等の科学的根拠に基づく心理支援を標準化し、アクセス経路を整備
⑥ つながるケアDX 医療・介護・家族の情報がつながらず家族が“情報の運び屋”に 空白期間の孤立防止や早期対応のため 医療・介護・家族が共有できる情報基盤を整備し、継続的支援を実現
⑦ 未来に届く互助システム 地域の支え合い活動が担い手不足で持続困難 制度だけでは支えきれず地域の互助が不可欠 地域の相互扶助活動を継続できる財源・人材・運営の仕組みを整備

介護保険の「住宅改修」を賢く使うために〜最新報告書から課題と対策〜

社会保障 福祉 行政 高齢者 / 2026年4月10日

「住み慣れた自宅で、いつまでも安心して暮らしたい」

そう願う多くの方にとって、手すりの設置や段差の解消といった「住宅改修」は非常に心強い味方です。

しかし、いざ利用しようとすると「何が対象になるの?」「自治体によって判断が違うって本当?」といった不安を感じることもあるかもしれません。先日、厚生労働省の事業として公表された最新の報告書「住宅改修の給付実態等の把握と指導監督のあり方に関する調査研究事業報告書 をもとに、利用者側の視点で役立つ情報を整理し、スムーズに制度を活用するためのヒントを考えてみました。

1. 「住宅改修」のイマ。みんなはどう使っている?

報告書によると、全国の住宅改修の使われ方には以下のような特徴があります。

・一番人気は「手すりの取付け」:改修全体の約8割を占めています 。転倒予防がいかに重視されているかがわかります。

・「要介護1」や「要支援2」での利用が多い:身体の変化を感じ始めた早い段階で、予防的に改修を行う方が多い傾向にあります

・改修費用は「6万円以下」が最多:20万円の支給限度額を一度に使い切るのではなく、必要な箇所を少しずつ直す賢い使い方が一般的です

2. 利用者が直面しやすい「3つの課題」

報告書では、自治体(保険者)によって給付の判断が分かれたり、迷ったりするケースが多数報告されています。利用者として特に注意したいポイントは以下の通りです。

① 「これって対象?」の境界線がわかりにくい

例えば、以下のようなケースは判断に迷いやすい事例として挙げられています。

  • 敷地内の玄関から「公道」に出るまでの手すり設置

  • 階段の踏み面を広げる工事(段差の高さが変わらない場合)

  • デザイン性や機能性が非常に高い(高価な)部材の使用

② マンションや賃貸住宅での制約

単身世帯や借家住まいの方が増える中、共同住宅の共有部(廊下など)への改修は、他の居住者の同意が必要になるなど、ハードルが高くなる場合があります

③ 事務手続きや専門性の壁

  • 自治体の窓口担当者の多くは一般事務職であり、リハビリテーションの専門職が直接審査に関わるケースは限られています 。そのため、提出する「理由書」の内容が不十分だと、本当に必要な工事でも認められないリスクがあります。


3. 【提案】納得のいく住宅改修にするための3ステップ

これらの課題を踏まえ、市民の皆様が後悔しない改修を行うための対策を提案します。

ステップ1:ケアマネジャー・専門職との「目的」の共有

「手すりが欲しい」という要望だけでなく、「一人でトイレに行けるようになりたい」「庭の手入れを続けたい」といった具体的な生活の目標を伝えましょう。自立支援につながる根拠が明確であれば、自治体への申請も通りやすくなります

ステップ2:自治体の「判断基準(事例集)」をチェック

多くの自治体では、過去の判断事例をまとめたマニュアルやQ&Aを公開しています 。工事を契約する前に、自分の希望する内容がその自治体で認められやすいものか、ケアマネジャーを通じて確認してもらうのが安心です。

ステップ3:「福祉用具」との組み合わせを検討する

工事が難しい場所や、将来的に身体状況が大きく変わる可能性がある場合は、住宅改修(固定式)にこだわらず、置き型の手すりやスロープなどの「福祉用具貸与」を検討するのも一つの手です 。どちらが自分にとって最適か、専門職のアドバイスを受けながら比較検討しましょう。


まとめ

住宅改修は、単なるリフォームではありません。あなたの「自立」を支え、ご家族の負担を減らすための大切な投資です。

もし判断に迷うような特殊なケースであれば、自治体の窓口には「専門職による助言」を求める仕組みもあります 遠慮なく相談し、納得のいく住まいづくりを進めてください。

がん相談支援センターをもっと身近に

医療 環境 生活 社会保障 福祉 / 2026年4月9日

がん相談支援センターをもっと身近に

― 国の協議会で“認知度低下”が指摘。大津市として何ができる?

厚生労働省の第93回がん対策推進協議会(議事録)では、 「がん相談支援センターの認知度が後退傾向」 という重要な指摘がありました。

がん相談支援センターは、 治療・仕事・お金・家族の悩みまで無料で相談できる“がんの総合窓口”。 しかし「そもそも存在を知らない」という市民が多いのが現状です。

大津市でも、

    • がん患者数は増加傾向
    • 高齢化率が高く、家族の支援力が弱まりやすい
    • 若い世代はSNS中心で、病院の掲示物が届きにくい という地域特性があります。

だからこそ、“知らないまま困る人”を減らす周知が急務です。


がん相談支援センターとは?(大津市の市民向けにやさしく)

がん相談支援センターは、 全国のがん診療連携拠点病院に必ず設置されている無料相談窓口です。

大津市から利用しやすいのは

    • 滋賀医科大学医学部附属病院(草津市)
    • 大津赤十字病院(大津市)
    • 近江八幡・長浜など県内の地域拠点病院

通院していなくても利用できます。

相談できる内容

    • 治療のこと(説明が難しい、医師に聞きづらい…)
    • 仕事と治療の両立
    • 医療費・生活費の不安
    • 家族の悩み
    • AYA世代(15〜39歳)の就学・就労
    • 在宅療養や介護サービスの相談

専門の看護師・医療ソーシャルワーカーが対応します。


なぜ認知度が下がっているのか(国の議事録より)

協議会では、次の課題が指摘されました。

    • 病院内での案内が十分でない
    • 初診〜治療開始までに紹介されない
    • 若い世代は制度を知らないまま困難に直面
    • 情報が医療者から患者に届いていない

つまり、 「必要な人に情報が届いていない」 という構造的な問題です。


大津市の地域性を踏まえると、課題はさらに深い

大津市は

    • 通院先が市外に分散しやすい(草津・守山・京都など)
    • 高齢者が多く、情報源が“紙中心”
    • 若い世代は“病院の掲示物を見ない”
    • 湖西・南部・中心部で生活圏が異なる

という特徴があります。

そのため、 「病院に掲示しておけば届く」では不十分 なのが大津市の現実です。


【大津市版】市民に届けるための周知方法は

大津市の実情に合わせて、行政・医療機関・NPOがすぐに実行できる施策を整理しました。

1. 市役所・地域包括支援センターでの“見える化”

    • 介護保険窓口
    • 地域包括支援センター
    • 市民部窓口(転入者向け案内)
    • 子育て総合支援センター

がん相談支援センターの案内カードを常設 → 高齢者・家族・若年層に自然に届く導線をつくる

2. 大津市内の医療機関での“統一掲示”

    • 大津赤十字病院
    • 市内クリニック
    • 調剤薬局

統一デザインのポスター・リーフレットを市が作成し配布 → どの医療機関でも同じ情報が得られる状態に

3. 公共交通 × 周知(大津市ならでは)

    • 京阪電車
    • 近江鉄道バス
    • コミュニティバス

車内広告・デジタルサイネージで短いメッセージを流す → 通勤・通学者に届く

4. AYA世代向け:大学・高校との連携

大津市は大学・高校が多い地域。

    • 大学の保健センター
    • 高校の保健室
    • キャリアセンター

「若い世代のがんと支援制度」ミニ冊子を配布 → 就学・就労の悩みを抱えるAYA世代に直接届く

5. SNSでの短い発信(若年層向け)

    • Instagram
    • X(旧Twitter)
    • LINE公式アカウント(市のアカウント)

「がんの不安、無料で相談できます」という短いメッセージを定期発信 → 若い世代は“短い・画像中心”が効果的

6. 地域のつながりを活かす

    • 民生委員
    • 自治会
    • 公民館
    • 市民活動センター

地域の支援者が“相談先を知っている”状態をつくる → 高齢者・独居世帯に届きやすい


「障害年金」初診日の数日の差で年金額が大きく変わる

社会保障 / 2026年3月26日

「初診日」という運命の分かれ道。数日の差が人生を左右する?

障害年金の手続きを考えたとき、最も高いハードルとして立ちはだかるのが「初診日」の証明です。

実は、この「たった1日」がいつかによって、もらえる年金の額や、そもそも受給できるかどうかが劇的に変わってしまうという不条理な現実があります。

なぜ、これほどまでに初診日が重要視されるのでしょうか?

初診日が「運命」を決める3つの理由

  • 年金の種類が決まる:初診日に「国民年金」に入っていたか「厚生年金」に入っていたかで、将来受け取る金額に大きな差が出ます。厚生年金の方が圧倒的に手厚いのが現状です。

  • 「3級」の壁:障害の状態が少し軽い「3級」の場合、厚生年金なら受給できますが、国民年金(基礎年金)だと1円も支給されません。

  • 保険料の納付要件:初診日の前日までに一定期間、保険料を納めていなければ、どんなに重い障害があっても受給資格を失います。

現場で起きている「不条理」な課題

現在の制度では、20歳前の傷病や、初診日の証明が難しい精神疾患などで多くの人が苦しんでいます。特に、昔受診した病院がなくなっていたり、カルテが廃棄されていたりすると、「初診日が証明できない」という理由だけで、本来救われるべき人が制度からこぼれ落ちてしまうのです。

「具合が悪くてやっとの思いで病院に行った日」が、その後の生活を支える命綱の太さを決めてしまう。この仕組みには、現在の社会状況に合わせた柔軟な改善が求められています。

 


【参照元】

障害年金の審査で知ってほしい電子申請のポイントと活用法

ALS 介護 社会保障 電子情報 / 2025年12月27日

障害年金の申請は、思った以上に難しい

障害年金の申請は、必要な人にとって生活の基盤を支える大切な制度です。しかし実際には、

  • 書類の複雑さ
  • 医師との連携の難しさ
  • 審査結果が想定と違うケースの多さ など、当事者にとって大きな負担となる場面が少なくありません。

「正しく申請したつもりなのに不支給だった」 「どこを改善すれば良いのか分からない」

こうした声は決して珍しくありません。制度そのものが複雑である以上、当事者だけで完璧に対応するのは難しいのが現実です。

電子申請の導入は“手続きの壁”を下げる大きな一歩

2024年以降、障害年金の申請や審査請求において電子申請が利用できるようになり、これまでの「紙と郵送中心」の手続きから大きく前進しました。

電子申請には、次のようなメリットがあります。

✔ 自宅から手続きができる

窓口に行く負担が減り、体調や移動の制約がある人にとって大きな助けになります。

✔ 書類の不備を減らしやすい

入力フォームがガイドしてくれるため、記入漏れや添付忘れが起きにくくなります。

✔ 手続きの進捗が把握しやすい

郵送のように「届いたのか不安」という状況が減り、安心感が高まります。

✔ 支援者との連携がしやすい

家族や支援者がオンラインで確認しながら進められるため、サポートがしやすくなります。

電子申請は、障害者本人だけでなく、支援者・相談員・医療機関にとっても「手続きの見通しを立てやすくする」重要なツールになりつつあります。

それでも審査結果が思い通りにならない理由

電子申請は便利になりましたが、審査の基準そのものが変わるわけではありません。 そのため、

  • 病状の伝わり方
  • 日常生活の困難さの記載
  • 医師の診断書の内容 などが十分に反映されていないと、結果が想定と異なることがあります。

大切なのは、 「制度の基準に沿って、困難さを正しく伝えること」 です。

電子申請はそのための“土台”を整えてくれる存在であり、申請の質を高めるためのサポート役として活用できます。

社会保険審査官の決定に不服がある場合(再審査請求)

  • ●再審査請求書(PDF [91KB] / Word [35KB])
  •   記載例(PDF [201KB])
  •   委任状(PDF [87KB] / Word [24KB])

(続)消費税と社会保障財源ー現状と課題

政治 社会保障 経済 / 2025年9月4日

参院選を前に消費税の時限的減税が議論されましたが、経済学者からは懐疑的な意見が多く見られます。引き続きこれらの声をまとめて見ました。

インフレ下での消費喚起は、供給力拡大が伴わない限り物価高をさらに悪化させる可能性があります。また、一度減税すると元に戻すには大きな政治的エネルギーが必要であり、社会保障の重要な財源である消費税の長期的な減収は、日本の厳しい財政状況を一層悪化させかねません。国債残高は1,000兆円を超え、市場からの信認が損なわれれば国債金利が急騰し、企業や家計にも悪影響を及ぼすリスクがあります。

社会保障の財源は主に社会保険料と公費(消費税を含む税金)で構成されています。消費税は、年金、医療、介護などの社会保障を支える重要な財源とされています。

日本は高齢化が進行しており、医療、年金、介護を含む社会保障給付費が増加しています。これに加えて、昨今では子育て支援に対する財政需要も高まっています。こうした背景から、社会保障の財源をどのように確保し、給付を抑制するかが大きな課題となっています。消費税の増税は、社会保障費の増加や財政悪化の「結果」として捉えるべきであり、2012年の消費税増税も、当時の与野党3党が合意した「社会保障と税の一体改革」の一環でした。

もし消費税による財源確保が困難であるならば、自己負担の引き上げか社会保険料の増額に頼らざるを得ず、それも避けたいのであれば、給付水準の見直しが必要となります。

参議院選挙などでは、多くの野党が消費税の減税を公約に掲げ、自民党も一律給付などの経済対策を打ち出しています。しかし、こうした政策は「減税ポピュリズム」と揶揄され、将来を見据えず選挙目当ての近視眼的な政策であるとの批判があります。

一般的に、世間では消費税が「諸悪の根源」のように思われがちで、国民の消費税に対する見方は極めて厳しいです。アンケート調査でも、「逆進的である」「景気に悪影響」という認識が広まっています。消費税の導入や税率引き上げは、議論の度に政府・与党が選挙での敗北など、国民の反発に直面してきました。経済学者の間では、消費税の一時的減税は不適切だとの意見が85%を占め、財政慎重論が圧倒的多数派です。これは、脱デフレによる税収増が一時的なタイムラグの結果であり、長期金利の上昇が財政赤字膨張への懸念を反映していると理解されているためです。

消費税の逆進性が問題視されることが多いですが、源泉徴収(天引き)で課税の実感が乏しい他の税に比べ、買い物の度に税負担を実感するという心理的抵抗も国民の強い反発の要因と考えられます。

いわゆる「減税ポピュリズム」の背景には、国民、特に勤労者の不満があります。資料では、勤労者の負担が重いのは消費税よりも社会保険料であると指摘されています。

株式会社政策メディア:

    ◦ 現役世代の不満が生んだポピュリズム: https://www.seisakumedia.com/news/2025/09/3.html

明治安田総合研究所:

    ◦ 政府不信が阻む子ども・子育て支援金への理解: https://tinyurl.com/4h5tvpjn

RIETI (独立行政法人経済産業研究所):

    ◦ 社会保障財源の課題と今後の在り方について (PDF資料): https://www.rieti.go.jp/jp/special/af/data/099_sato.pdf

    ◦ rietichannel (YouTube): 社会保障財源の課題と今後の在り方について(動画のチャンネル): https://www.youtube.com/@rietichannel

    ◦ RIETIのコラム・寄稿(佐藤主光フェローの執筆記事はこちらから参照できます): https://www.rieti.go.jp/jp/columns/

        ▪ いま必要な経済対策 生産力増・社会保険料軽減を

        ▪ 経済を見る眼 一律給付なら公金受取口座の普及を

        ▪ 経済を見る眼 消費税減税に断固反対せざるをえない理由

        ▪ 経済を見る眼 財政健全化へ「新ルール」を導入すべきときだ

千葉市の地域生活支援拠点事業を視察しました

介護 社会保障 福祉 議員活動 / 2024年7月19日

16日から17日にかけての視察では、千葉市が最後となります。

千葉市では地域生活拠点支援事業及び基幹相談支援センターについて説明を受けました。

「地域生活支援拠点事業」とは、障害のある方が地域で安心して暮らせるよう、相談支援や緊急時の受け入れ、自立のための体験機会の提供などを行うための事業です。

千葉市では、平成29年からこの事業を開始し、令和4年4月には、それまで別々に整備していた「地域生活支援拠点」と「障害者基幹相談支援センター」を統合しました。

統合後の具体的な取り組みとしては、

  • 相談支援: 障害のある方やその家族からの相談にワンストップで対応し、必要なサービスにつなげています。医療的ケア児や重症心身障害児に関する実態調査の結果も活用し、支援が必要な方を早期に発見する取り組みは大変参考になるものと考えます。
  • 緊急時の受け入れ・対応: 短期入所事業所等と連携し、緊急時の受け入れ体制を確保しています。重度の障害のある方については、事前に複数の事業所で連携し、受け入れられるようチームを組んでいます。
  • 体験の機会・場の提供: 障害者支援施設や精神科病院からの地域移行や親元からの自立にあたり、グループホームでの共同生活体験や一人暮らしの体験の機会を提供しています。
  • 専門的人材の確保・養成: 医療的ケアが必要な方や強度行動障害のある方などへの専門的な対応ができる人材の育成にも取り組んでいます。

20240717_地域生活支援拠点等事業の整備状況について(千葉市

 

有料道路の障害者割引がオンラインで

市民相談 社会保障 / 2023年7月12日

以前、障害者の方から有料道路の障害者割引制度の手続きが大変だとの相談があった。

わざわざ市役所まで行かなくてはならなかったからだ。

7月15日付けの広報おおつに、オンライン申請開始のお知らせが掲載されていた。

マイナンバーカードが必要だが、これで相談のあった方も喜んでいるのではないでしょうか?

色々問題はありますが、でもマイナンバー活用のメリットを知ってほしいですね。

有料道路の障害者割引オンライン (ブログ)