人権を学ぶことで「自分は悪くない」「自分が強くなれた」とのメッセージを送っている。
以下は人権教育の映画完成発表会から、SGI会長のメッセージ。(http://d.hatena.ne.jp/yoshie-blog/touch/20140909から)
【メッセージ 苦難を乗り越えた体験が悩める人々の希望の光に】
一、ここジュネーブにおける国連人権理事会の会期中に、映画「尊厳への道―人権教育の力」の初公開の機会を得ましたことに、世界192ヵ国・地域のSGI(創価学会インタナショナル)メンバーを代表し、心より御礼申し上げます。
昨年の12月、国連総会で「人権教育および研修に関する国連宣言」が採択されました。その冒頭で明確に位置付けられたように、人権教育と研修は、「すべての人のあらゆる人権および基本的自由の普遍的尊重と遵守を促進するための基礎」(阿久澤麻理子訳)であります。と同時に、人権文化の建設と発展に向けて誰もが貢献できるように、人々をエンパワーしていく(内発的な力を引き出す)ための原動力となるものに他なりません。
一、「人権文化の建設」という課題を展望する時、私の胸に改めて浮かんでくるのは、明年で採択65周年を迎える「世界人権宣言」の成立に尽力したエレノア・ルーズベルトの、次の有名な言葉であります。
「普遍的な人権とは、どこからはじまるのでしょう。じつは、家の周囲など、小さな場所からなのです。あまりにも身近すぎて、世界地図などにはのっていません。ご近所の人、かよっている学校、働いている工場や農場、会社などの個人個人の世界こそ、はじまりの場なのです」(デイビッド・ウィナー著、箕浦万里子訳『エリノア・ルーズベルト』偕成社)
今回の映画で紹介されている三つの事例は、いずれも、こうした「小さな場所」で起こった変革のドラマを追ったものです。そこでの出来事は、世界の人々の耳目を騒がすようなニュースに比べれば、あまりにも目立たず、ささやかな変化に見えるかもしれない。しかし、その当事者である「一人一人の人間」にとっては、自らの尊厳を取り戻し、かけがえのない人生を切り開く上で“根源的な変革”としての重みを持つものであります。
それは、やがて、家庭へ、地域へ、さらに社会へ「変革の波動」を広げる源泉ともなっていくのではないでしょうか。
その意味において、今回の映画に込めたメッセージの核心は、「変化は一人から始まる。一人から変革を起こすことができる」との一点にあります。
一、映画では、水面に広がる波紋の映像をバックに、長い間、虐げられてきた一人の女性が、“自分の体験をもとに、同じ問題に苦しむ女性たちの力になりたい”“そうした存在に自分がなれてこそ、私は幸せを感じることができる”と、未来への決意を静かに語る場面が出てきます。
たとえ小さくても一石を投じることができれば、波紋は幾重にも広がっていく――。
どんな人にも、自分の境遇を乗り越え、周りの環境を動かし、社会をより良い方向へ向けていく力が備わっていると、私は確信してやみません。
こうした一人の人間の内なる変革を促す「エンパワーメント(内発的な力の開花)」から、身の回りに変革の波動を広げていく「リーダーシップ」の発揮へと、昇華を果たす道を開くことに、人権教育の真価はあるといってよいでありましょう。自らの置かれた境遇に苦しんでいた人々が、やがて他の苦しんでいる人々に対し、「希望の光」を与える存在となっていってこそ、人権教育の目的は“完結”するといえるのではないでしょうか。
一、「世界人権宣言」の制定以来、これまで国際社会では、人権を法制度的に保障するための枠組みや、侵害された場合の救済手段についての整備が進められてきました。その更なる充実とあわせて、人権教育を通じて日頃から侵害を起こさない社会的な土壌を育み、一人でも多くの人々が「人権文化の建設」の担い手となっていく流れをつくり、定着させる必要があります。
本日、初上映する映画がその一助となり、国連人権理事会を擁するこのジュネーブの地から時代変革への力強い潮流が広がっていくことを念願するとともに、人権教育アソシエイツ(HREA)や国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)をはじめ、志を同じくする関係諸団体の皆様と今後も力を合わす、「人権文化の建設」に向けての活動を前進させていくことを固くお誓いし、私のメッセージとさせていただきます。 (要旨)
(聖教新聞 2012-09-26)