大津市議会議員 佐藤弘

一人のひとを どこまでも大切に 心豊かな まちづくりを目指します

高齢者の“活躍寿命”を延ばすために

まちづくり 地域活動 市民協働 生活 高齢者 / 2026年8月11日

🟦高齢者の“活躍寿命”を延ばすために

(Works197「活躍寿命を延ばせ」紹介)

高齢化が進む日本では、「何歳まで働けるか」「健康に長く活躍できるか」が大きな関心事になっています。 リクルートワークス研究所が発行する Works197(2026年8月号) では、 “活躍寿命(キャリアロンジェビティ)” をテーマに、国内外の専門家が最新の知見を語っています。 高齢者の健康・働き方・学び直し・世代間交流など、地域活動にも役立つ内容が多く掲載されています。またセミナーの案内もあります。

🔗 Works197「活躍寿命を延ばせ」公式ページはこちら https://www.works-i.com/works/no197.html

🟩記事の主なポイント(概要)

1. 科学がもたらす「長寿社会」の新しい姿

老化研究や AI の進化により、人生100年時代が現実味を帯びてきました。 長く働くことが当たり前になる社会で、企業も個人も新しい準備が必要になります。 (参考:はじめにの内容 )

2. 企業が向き合うべき「活躍長寿」という課題

  • なぜ長く活躍することが経営課題になるのか
  • AI と長寿化が働き方をどう変えるのか
  • 日本企業が抱える壁とは何か (Section1の内容 )

3. 健康・脳・学び直しが“活躍寿命”の鍵

専門家は、

  • 健康管理は個人だけでなく企業の責任
  • 脳の健康寿命がキャリアの土台
  • 世代間交流が知識の循環を生む などを指摘しています。 (Section2の内容 )

4. 都市・企業・教育が変わる

海外では都市ぐるみで高齢者の活躍を支える取り組みも進んでいます。 老化を「問題」ではなく「機会」と捉える視点が広がっています。 (Chanceの内容 )

5. AIと長寿化がもたらす未来

「何歳まで生きるか選べる時代」が近づく中で、 人生の軸となる“哲学”が重要になると語られています。 (Section3の内容 )

🟩高齢者にとってのメリット

この特集は、次のような方に特に役立ちます。

  • 健康に長く働きたい
  • 学び直しや新しい挑戦を考えている
  • 地域での役割を広げたい
  • 世代間交流に関心がある
  • 企業の取り組みを知りたい

 

🟩Works197号オンラインセミナーの紹介

「活躍寿命を延ばせ ―活躍長寿に向け、企業と個人が備えるべきこと」

日時:2026年9月10日(木)12時00分~13時00分(開場:11時55分)
会場:オンライン
「お申込みはこちら」、2026年9月9日(水)15時までにお申し込みください。
登壇者
・後藤 宗明氏(一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ 代表理事)
・早野 元詞氏(東京理科大学 研究推進機構総合研究院 老化分子生物学寄附研究部門 准教授)
・佐々木 貴子(リクルートワークス研究所 Works編集長)

防災士会と自主防災会、それぞれの立場で見えてきた課題 ―瀬田学区の会合・班長会から―

地域活動 市民協働 防災 / 2026年8月3日

8月1日には瀬田学区防災士会の会合、8月2日には自主防災会の班長会(今回は救出救護班・避難誘導班)が開催されました。
地域防災の運営体制が今年から大きく変わる中で、それぞれの場で率直な意見交換が行われましたので、その内容と、そこから見えてきた課題についてご報告します。

■ 運営体制の変化と防災士会の役割

これまで瀬田学区の防災訓練は、防災士会が中心となって計画・準備・運営のすべてを担ってきました。しかし今年度からは、自主防災会が中心となって訓練を進める体制に移行しています。今年度の防災士会の会合では、この体制変更を受けて、防災士会と自主防災会がどのように連携していくかを打ち合わせる場を数回持ちました。

この体制移行に伴って浮かび上がってきたのが、防災訓練はもとより、自主防災組織全体の運営を今後誰が担っていくのかという人材の課題です。防災士という専門性を持つ人材と、自治会・自主防災会という地縁組織との役割分担、そして次の担い手をどう育てていくかは、瀬田学区に限らず多くの地域が直面している課題だと考えます。

■ 班長会で出された意見と課題

8月2日の班長会では、救出救護班と避難誘導班のそれぞれで役割の説明を行い、班長の皆さんと意見交換をしました。出された意見の中から、特に課題と感じた点を整理します。

① 自治会員以外の住民への対応について

「自治会員以外の人についてはどう対応するのか」という意見が出されました。以前から、自治会・自主防災会がなぜ自治会員以外の人まで対応する必要があるのかという声はありました。

普段から付き合いのある隣近所であれば、自然と声を掛け合う関係ができているはずです。この点については、行政や組織が一律のルールを示すというより、地域住民一人ひとりが自分自身で考え、行動を起こすべき性質の問題だと考えています。実際、大津市においても、安否確認は初動時の支所班では行わず、自主防災会をはじめとする地域団体に委ねられているのが現状です。行政の初動体制の限界を踏まえると、地域における互助の仕組みづくりが一層重要になります。

② 一時避難所での個別確認の方法

「一時避難所に集まった際、自治会員の世帯や人数は把握できるが、個別の確認はどう行うのか」という意見も出されました。一時避難所については、火災など特別な事情を除けば、私自身はその必要性についてやや疑問を感じている部分もあり、今後の議論の中で運用の在り方を整理していく必要があると考えています。

③ 他地域の被災経験からの学び

「東北、能登半島、熊本などで発生した災害の際、現地の自治会・自主防災会の活動における課題や成功事例を周知してほしい」という意見がありました。これは私自身も最も重要だと考えている点です。

制度や訓練プログラムを整えるだけでなく、実際に被災した地域の自治会・自主防災会がどのような判断を迫られ、何に苦労し、何がうまくいったのかを知ることは、平時の備えの質を大きく左右します。今後、こうした事例を学区内で共有していく機会づくりについて、行政とも相談しながら検討していきたいと考えています。

④ チェーンソーの使用指導・訓練について

防災訓練でのチェーンソーの使い方の指導・訓練を求める声も出されました。この点は検討課題とした上で申し上げると、実際に地域住民が倒木の処理などの本格的な救出活動を行うことは、安全面から見ても難しいというのが率直な認識です。

むしろ重要なのは、救出救護班として地域住民が担える活動の範囲はどこまでで、専門的な対応が必要な状況ではどう行政・消防・自衛隊などにつなぐべきかを、行政側からきちんと説明し、理解してもらうことだと考えます。役割の境界線を明確にすることが、かえって住民の安全確保につながります。

■ 平時の関係づくりが非常時を支える

今回の会合・班長会でのやり取りを通じて、改めて重要だと感じたのが、平時からの関係構築の大切さです。

この点について、東京財団政策研究所が2026年7月31日に発表した論考「地域は『正解のない問い』とどう向き合うか」(元テレビ朝日報道局プロデューサー・江野夏平氏、シニア政策オフィサー)が示唆に富む指摘をしています。この論考は、熊本県での最大震度7の地震を受けた災害情報基盤の重要性を論じたもので、九州朝日放送(KBC)が主催する「防災ネットワーク会議」への取材をもとにしています。

論考の中で紹介されている、九州大学大学院人間環境学研究院・杉山高志准教授の指摘が印象的です。防災には消火器の使い方やAEDの操作方法のように訓練で習得できる「正解がある問題」と、避難指示のタイミングや高齢者施設の避難開始時期のように、唯一の正解が存在しない「正解がない問題」があるという整理です。避難指示を早く出せば「何も起きなかった」と批判され、遅れれば人命に関わる。その判断の是非は、災害が終わった後でさえ明確にならないことが少なくないと論考は指摘しています。

そして、この論考が示す結論は次の一文に集約されています。

「自治体、研究者、気象の専門家、地域放送局などが、平時から課題を共有し、互いの役割を理解し、信頼関係を築いておくことである。その積み重ねが、非常時の情報共有や意思決定を支える基盤となる。」

これは自治体や専門機関の連携に限った話ではありません。今回の防災士会・自主防災会・班長会での議論も、まさに「正解のない問い」に向き合う場だったと感じています。自治会員以外への対応、一時避難所の運用、救出救護班の活動範囲——これらはいずれも、行政が一律のマニュアルで答えを示せる問題ではなく、平時から地域で議論を重ね、それぞれの立場を理解し合いながら、その時々の最善解を探し続けるべき課題です。

■ おわりに

瀬田学区の防災体制は、防災士会から自主防災会中心への移行という転換期にあります。この変化を単なる運営主体の交代で終わらせず、次の担い手をどう育てるか、自治会員以外の住民とどう関係を築くか、他地域の経験からどう学ぶかといった課題に、行政と地域が共に向き合っていく必要があります。

今回出された意見の一つひとつを大切にしながら、地域がより良い方向に進むよう、引き続き行政と地域の橋渡し役を担ってまいります。



【参考資料・出典】

  • 江野夏平「【論考】地域は『正解のない問い』とどう向き合うか ― KBC防災ネットワーク会議に見る新たな公共性 ―」東京財団政策研究所、2026年7月31日発表(https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=5014)

その空き家、どうする? ~地域と大津市で考えるこれからの空き家対策~

まちづくり 市民協働 / 2026年7月8日

7日、大津市自治連合会で空き家問題をテーマに研修会が大津市市役所で開かれ参加しました。

説明内容は資料をいただき、その内容に沿って説明が行われ、その後数人の方から質問がありました。

その概要を掲載します。(本記事は研修会の概要をメモから書き起こしたものです。記述に誤りがある可能性がございますので、予めご了承ください。)

1. 大津市からの説明内容(要点)

空き家の現状: 大津市の住宅総数は増加傾向にあるが、空き家件数は平成20年以降ほぼ横ばい(約1.8万〜1.9万戸、空き家率は約10〜11%で、10軒に1軒が空き家)。

市への通報は年間100〜200件あり、その約6割が「草木の繁茂」、約2割が「建物の損傷・崩落」。

何が問題か(放置によるリスク):

①草木繁茂や老朽化による景観・衛生の悪化。
②住みたい人が減ることによる地域の活力低下(負の連鎖)。
③不法侵入や放火、特殊詐欺の拠点化など安心・安全の低下。
本質は所有者の「無関心・放置」であり、エリアに関係なく発生する。

法律・制度の変更:

空家特措法:    管理不全や特定空家に認定され「勧告」を受けると、固定資産税の優遇(住宅用地特例)から外れ、税額が最大約6倍になる。
民法改正(R5.4施行):     隣地から越境してきた竹木の枝について、催告しても応じない場合や所有者不明の場合など、一定の条件下で自ら切り取り可能となった。
不動産登記法改正:    相続登記の申請義務化(R6.4施行、違反は10万円以下の過料対象)、住所等変更登記の申請義務化(R8.4施行、違反は5万円以下の過料対象)。

自治会へのお願い:

空き家は悪化(特定空家化)すると行政代執行の手続き等で解決に数年かかり、地域や自治会の負担が最も重くなる。

無理のない範囲での「早期発見・把握」「連絡先の共有」「予防の呼びかけ(生前整理・相続登記等)」「早めの市への相談・通報」という4つの取り組みを要望。

 

2. 質疑応答(質問と答弁)

Q1. 外国人への転売・マナー問題、および空き地(更地)化された後の対応は?

質問者: 空き家が外国人に転売され、周辺へのゴミ放置や無断の敷地改変(トラック進入用)など住民が困惑している事例がある。また、建物が解体されて空き地になった後、木が生い茂る問題はどうなるのか?

大津市・専門家 答弁:

外国人に売却するかどうかは所有者の自由であり、流通そのものを行政がコントロールすることは正直難しい。

建物がなくなり「空き地(更地)」になった場合は住宅政策課の所管(空き家対策)からは外れるが、その場合は「環境政策課」が窓口となり、同様に所有者を特定して行政対応をバトンタッチしていく。

Q2. 地域の先進事例(空き家調査・見守り)と、活動で発生する「ゴミ」処理の壁について

質問者(他学区の連合会長など): 過去にモデル地区として全数調査を行い、所有者に手紙を送って約40件の見守り契約を結んだ実績がある。しかし、ボランティアで空き家の草刈りや樹木伐採をしても、市から「産業廃棄物扱い」と言われ、家庭ゴミとして回収してもらえず処分に非常に苦労した。今後の大きな課題である。また、活動メンバーの高齢化や、ハチの巣駆除・草刈り機の保険料負担も重い。

大津市・専門家 答弁:

(東近江市や他都市の自治会への補助事例などを紹介しつつ)地域独自の先進的な見守り取り組みは非常に貴重。

ゴミ処分に関する課題(環境部との調整)については、こうした地域ぐるみの取り組みにおける障壁として重く受け止め、空き家対策として何ができるか、しっかりと市役所内で連携・検討を深めていきたい。

Q3. 相続登記の義務化における「取得を知った日」や「相続放棄」の期限について

質問者: 改正不動産登記法の「取得を知った日から3年以内」の定義や、相続放棄をする場合の期間はどうなるのか。何年も経ってから自分が相続人だと知るケースもあるが?

専門家(司法書士) 答弁:

「取得を知った日」は、遺産分割協議が整った日や遺言書で自分が所有者だと分かった日などケースによるが、通常は「自分が相続人であることを認識した日」からカウントする。遺産分割協議が長引いているからといって義務を免れるわけではない。

「相続放棄」に関しては、自分が相続に法律上関わることを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ手続きする必要がある。3年ではなく3ヶ月なので非常に短く、放置して過ぎてしまうと基本的にはプラスもマイナスも含めて相続したものとして扱われるため注意が必要。

Q4. 市役所の対応範囲と、民間大型ビルなどの扱いについて

質問者: 市の窓口に自治会で相談に行っても、最終的に「法務局で自分で調べて手紙を書いて」と言われるなど、対応が事務的に感じられることがある。また、小学校近くにある大きな法人所有のホール(ビル)が放置されており、以前から要望しているが「法人が所有・管理している」という理由で空き家対策の対象にならないのはなぜか?

大津市 答弁:

個別の窓口対応で不十分な点があったのなら申し訳ないが、実態として1年間使われていないような「空き家」であると確認できれば、市が責任を持って税情報や住民票等から所有者を突き止め、周囲に悪影響が出ている場合は是正を促す通知文を必ず送っている。

建物が民家でなくビル等であっても、法律上の「建築物」であれば空き家の対象にはなり得るが、法人が現在も何らかの形で「使用・管理」している状態(常態的な放置ではない)と認められる場合は、一概に空き家特措法の厳しい指導対象に指定できないという法的なハードルがある。

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◆配付資料

市民意見の聴取精度を高めるためにいま求められること

まちづくり 市民協働 行政 行革 / 2026年4月26日

―― 長野市の調査研究事例(令和8年3月)を手がかりに

はじめに ―― なぜ「市民意見の聴取」を改めて問い直す必要があるのか

人口減少、ライフスタイルの多様化、急速なデジタル化のなかで、自治体が市民の声をどう拾い上げ、政策に反映するかは、住民自治の根幹に関わる重大な課題となっている。市民アンケート、パブリック・コメント、ワークショップ、住民懇談会など、これまで多くの自治体で多様な手法が運用されてきたが、近年は回答率の低下、若年層の声の届きにくさといった構造的な課題が顕在化している。

この課題に正面から向き合い、新たな手法の検証と既存手法の精度向上を体系的に取り組んだのが、長野県長野市と一般財団法人地方自治研究機構が共同で実施した調査研究「市民意見の聴取に関する調査研究」(令和8年3月)である。本報告書は、公益財団法人日本財団の助成を受け、長野市の次期総合計画(令和9年度〜令和18年度)策定を見据えて取りまとめられたものであり、全国の自治体にとって示唆に富む内容となっている。

本稿では、同報告書の知見を踏まえ、議会人として市民意見聴取の精度・効果を高めるために何が必要かを、3つの視点から提案として整理したい。


第1部 ―― 長野市が直面した課題から見える「全国共通の構造的問題」

回答率の低下は確実に進行している

長野市の事例で最も衝撃的なのは、市民アンケートの回答率がこの数年で急速に低下している事実である。報告書によれば、長野市の「まちづくりアンケート」の全体回収率は、令和3年度の67.1%から、令和6年度には49.5%へと17.6ポイント低下している。同様に、第五次総合計画推進のための市民アンケートの回答率も、平成29年度の58.8%から令和6年度には42.8%へと低下した。

この水準まで回答率が下がると、報告書が指摘するように「データの信頼性低下やセグメント分析の困難化」が課題として顕在化する。施策の根拠資料としての性格上、これは看過できない問題である。

若年層の声が届かない構造

さらに深刻なのは、回答者の年齢構成の偏りである。令和6年度の総合計画推進のための市民アンケートでは、回答者全体に占める18歳〜39歳の若年層の割合は16.0%にとどまる一方、長野市の総人口に占める同年齢層の割合は24.2%。母集団と標本のかい離が約8ポイントに達している。

長野市は次期総合計画策定方針において「特に未来を担う若者世代の意見等を活かした計画とする」と明記しているが、現状の手法のままでは、この理念を達成することは困難である。

(出典) 一般財団法人地方自治研究機構・長野市『市民意見の聴取に関する調査研究』令和8年3月、第1章第2節「市民意見聴取の課題」(pp.20-21)、序章「調査研究の背景と目的」(p.3)


第2部 ―― 長野市が試みた解決策と全国60自治体の実態

新旧手法の併用という発想

長野市の調査研究で特筆すべきは、「デジタルプラットフォーム(以下、DP)による新手法」と「従来の郵送アンケートを中心とする旧手法」を二者択一ではなく、それぞれの特性を踏まえて連携・補完させるという視点である。

長野市は実証実験として、株式会社Groove Designsの「my groove」を活用し、「Nagano Canvas(ながの・キャンバス)」と銘打った市民意見プラットフォームを令和7年8月19日〜令和8年3月31日の期間で運用した。

全国アンケート調査が示した活用実態

報告書では、長野市以外の中核市・指定都市・特別区など84市区を対象とするアンケート調査が実施され、60件の有効回答が得られている。その結果、約45%(行っている41.7%+試行的3.3%)の自治体が既にDPを活用した意識調査を実施しており、デジタル手法の活用は確実に広がっていることが確認された。

導入の経緯として最も多かったのは「若年層が回答しやすいと考えたから」(70.4%)であり、これは多くの自治体が抱える共通の問題意識である。

一方で、運用上の課題として挙げられたのは以下の点である。

  • 回答数が安定的に確保できない(44.4%)
  • 不正回答や同一人物の複数回答への懸念が残る(29.6%)
  • 利用したプラットフォームの機能・操作性に課題(25.9%)
  • 高齢者層の参加がやはり十分ではない(22.2%)

つまり、デジタル化は若年層対策の万能薬ではなく、別の課題を生むという冷静な現実認識が必要である。

(出典) 同報告書、第2章第2節「他の自治体へのアンケート調査の実施」(pp.37-52)、第3章「デジタルプラットフォームによる市民意見聴取の実証実験」(pp.57-)


第3部 ―― 議会・行政が取り組むべき5つの提案

長野市の事例と全国調査の結果から、市民意見聴取の精度・効果を高めるために必要な視点を、以下の5点に整理して提案したい。

提案1 「問い」の質を最重要視する ―― テーマ設計に最も時間をかける

報告書の事業者ヒアリングで最も強調されていたのは、意見聴取の成否は「問い」の設計で決まるという点である。報告書は次のように記述している。

「投稿を考える者が、具体的な内容を考えることができる『問い』とすることで、短期間であっても多くの市民から意見を寄せられる結果となった事例がある一方、全てをカバーするような抽象度の高い『問い』とすると、期待するほどの回答が集まらない事例があった」

長野市のNagano Canvasでは、

  • 問1 「10年後など将来も暮らすときにどんなまちだと暮らしやすいですか?」
  • 問2 「10年後など将来も長野市に残したいものはなんですか?」

という、身近で具体的に答えやすい問いが設定された。その結果、問1には51名、問2には72名が選択式設問に回答し、自由記述にも30名(問1)・41名(問2)が投稿している。

議会・行政への提案として、アンケートやパブリック・コメントの設問を作成する際には、(1)市民の生活実感に即していること、(2)選択肢が精選されていること、(3)自由記述欄を併設して具体的な思いを汲み取ること――を要件として明文化することが望ましい。

提案2 「プロセスの可視化」と「フィードバック」を制度化する

報告書の事業者ヒアリングでは、意見が施策にどう反映されたかを示さなければ、次の投稿につながらないという指摘が複数社から挙げられている。

「後の取組にどのように意見が反映されたかが示されないと、意見を投稿した市民にとって、意見が役に立ったのかどうかが分からず、次の投稿に繋がらなくなる傾向にある」

議会・行政への提案として、(1)意見聴取がどの政策プロセスのどの段階に位置するかを冒頭で明示する、(2)聴取終了後、寄せられた意見への市の見解(採用・部分採用・不採用とその理由)を一覧で公表する、(3)個別意見への回答が困難な場合でも、意見の傾向と反映方針を文書化して公開する――この3点を制度として確立すべきである。

これは、現行のパブリック・コメント制度を含めた意見聴取制度全般に適用すべき原則である。

提案3 広報は「ターゲットを絞る」ことに徹する

報告書では、広報手法として最も効果的だったのは「公式SNS・公式LINE」(81.5%の自治体が活用)であった。事業者ヒアリングでも、以下のような重要な指摘がある。

「広報活動は、マスメディアを活用した広報ではなく、ターゲットを明確にした広報活動を行うことが効果的であるとの指摘がなされた。例えば、こどもに関連した計画の意見聴取に当たっては、母親向けのメディアに広告を出稿した事例などが挙げられた」

長野市のNagano Canvasでも、「市公式LINE(登録者約3万人)」「市公式アプリ(約7,000人)」「市公式X(フォロワー約19,000人)」を活用しつつ、市内商工会議所加入企業、金融機関、市立保育園・小中学校保護者へとターゲットを絞ったメール配信を段階的に実施している。

議会・行政への提案として、広報を「全体周知」と「ターゲット周知」の2層構造に分け、各テーマに応じた到達経路を事前に設計するべきである。特に、子育て世代には保育園・幼稚園・学校経由、若年層には大学・高等教育機関経由、高齢者には自治会・地域包括支援センター経由――というように、意見を聞きたい相手に確実に届く経路を意識的に選択する必要がある。

提案4 デジタルと対面(ワークショップ)を補完的に組み合わせる

長野市の実証実験では、Nagano Canvasに寄せられた意見をその後の総合計画審議会の作業部会(ひと部会・まち部会・産業部会、各15名程度)のワークショップに持ち込み、議論の起点として活用するという接続設計が行われた。

報告書では、Nagano Canvasの結果を踏まえた作業部会において「産業部会の『商工業』のテーマの中でも、ひと部会で扱う『こども・若者』やまち部会で扱う『コミュニティ』『都市整備』など、領域を横断する意見交換が積極的に行われた」と記録されている。

これは、デジタル意見聴取が単独で完結するのではなく、対面の熟議の質を高める入力情報として機能した事例として注目に値する。

議会・行政への提案として、市民意見聴取の設計段階から「デジタル→集約→対面熟議→計画反映→フィードバック」という一連の流れを描き、各段階の責任主体と期間を明記した工程表を作成すべきである。

提案5 母集団代表性の限界を認識し、複数手法を併用する

報告書は、Nagano Canvasの結果について重要な留意事項を明記している。すなわち、デジタル意見聴取は「回答者の属性が偏っている可能性があることなどから、母集団(市民)の代表性がない点に留意が必要」との指摘である。

実際に、Nagano Canvasの問1の回答者では、年齢を回答した人は76.5%にとどまり、約4分の1が年齢未登録であった(まちづくりアンケートでは99.9%が回答)。報告書はこの点について「積極的な意見表明と個人情報の提供がトレードオフの関係になっている可能性がある」と分析している。

議会・行政への提案として、デジタル手法は「広く・深く・多様な意見を拾う質的調査」、無作為抽出郵送調査は「統計的代表性を確保する量的調査」と位置づけを明確に区別し、両者を併用したうえで、それぞれの結果を分けて公表することが必要である。一方の結果のみを根拠にして政策判断をすることは避けるべきである。



おわりに ―― 「聴く」から「ともにつくる」へ

長野市の調査研究は、市民意見聴取の手法を巡る議論を、単なる「アンケート回答率の改善」から、「市民とともにまちをつくるプロセスをどう設計するか」という、より本質的な問いへと押し上げた点に意義がある。

報告書のサブタイトル「Nagano Canvas 〜つながる、広がる、みんなの声〜」が示すとおり、市民の声は集計されるべきデータであると同時に、市民同士・市民と行政が出会い、対話する**場(キャンバス)**でもある。回答率という単一指標に一喜一憂するのではなく、市民の参加機会の総量と質を中長期で向上させていく――その視点こそが、人口減少時代の地方自治に求められている。

議会人としても、執行機関に対して市民意見聴取の「設計段階での議論」と「結果の検証段階での説明」を求めていく責務がある。長野市の事例は、その問いを立てるための具体的な参照点を提供してくれている。


参考資料

市内28学区の地域課題の取り組みをまとめてみた

まちづくり 地域活動 市民協働 / 2025年10月25日

大津市自治連合会から依頼のあった、各学区への地域課題に関する調査票が提出されました。
この28学区からの調査結果をもとに、参考となる取り組み事例をまとめました。

瀬田学区防災訓練に参加しました

地域活動 市民協働 防災 / 2025年10月4日

10月4日、瀬田学区の防災訓練が瀬田小学校体育館で行われ、参加しました。
今回はあいにくの雨のため、屋内での訓練となりました。

訓練の企画・計画は、防災士会の皆さんにご担当いただきました。
当日は、12自治会から約120名の方が参加されました。

訓練は4つのグループに分かれて行われ、
①ファストコンタクト
②AEDによる心肺蘇生
③簡易トイレの使用方法
④エコノミー症候群予防体操
の順に体験を実施しました。

それぞれの訓練を通じて、いざという時に備える意識を高めることができました。
今後も地域全体で防災意識を持ち続け、協力して取り組んでいきたいと思います。

秋まつりに向けて準備を進めています

まちづくり 地域活動 市民協働 文化 行事 / 2025年10月3日

11月1日と2日に開催される「瀬田学区秋まつり」に向けて、第2回実行委員会が開かれました。

私の担当は、プログラムの作成や会場レイアウトの調整、そして特に自治会ごとの役割分担をまとめた計画書づくりです。

当日の実行委員会では、その計画内容を説明しましたが、大きな指摘もなく、ほぼ了承をいただくことができました。

これで準備の方向性も固まり、あとは実施に向けて、それぞれが動き出す段階です。
当日を楽しみにしながら、しっかり準備を進めていきたいと思います!

「誰かの役に立つ」が最高の長寿薬?幸福感がアップする「貢献寿命」のすすめ

交流 地域活動 市民協働 / 2025年9月25日

「人生100年時代」と言われて久しくなりましたが、「ただ長生きするだけで本当に良いのだろうか?」と感じることがあります。
近年注目されているのは「健康寿命」、すなわち健康で自立して生活できる期間を延ばそうという考え方です。
けれども、さらに豊かで幸せな人生を送るためのカギは、そこに隠されているのです。

そこで今回ご紹介したいのが、新しい視点である「貢献寿命」です。


「貢献寿命」とは?

「貢献寿命」とは、**「社会とつながり、役割を持ち、誰かの役に立ち、感謝されるといった関わりを持ち続けられる期間」**のことを指します。

この考え方を提唱したのは、東京大学の秋山弘子名誉教授です。単に長生きする、健康でいるだけではなく、社会との関わりの中でイキイキと過ごす時間こそが大切であることを示しています。

実際に研究では、「社会とのつながりが豊かな人ほど長生きする」「誰かのために行動する人は幸福度が高い」といった結果も報告されています。つまり「誰かの役に立つ」という体験そのものが、心身の健康や幸せにつながる“最高の長寿薬”と言えるでしょう。


「貢献寿命」を延ばす5つのヒント

「貢献」と聞くと、ボランティアや自己犠牲のような大きな取り組みを想像してしまうかもしれません。しかし「貢献寿命」の対象はもっと広く、日常のささやかなことまで含まれます。
具体的には、次の5つの関わり方が考えられます。

1. 仕事を通じた貢献

年齢に関わらず、仕事を通じて役割を果たすこと。パートタイムや短時間の勤務であっても、社会とのつながりを生む大切な貢献です。

2. 助け合いによる貢献

ボランティア活動はもちろん、家族や孫の世話、近所の人との助け合いも含まれます。日常のちょっとしたおすそ分けや挨拶も、立派な「貢献」の一つです。

3. 経済面での貢献

地域のお店で買い物をすることや、税金を納めることも社会経済を支える重要な貢献といえます。

4. 知識や経験の継承による貢献

長年培ってきた仕事のスキルや趣味の知識、人生経験などを次の世代に伝えること。これも非常に価値ある貢献です。

5. 存在そのものによる貢献

特別な行動をしなくても、自分の存在そのものが家族や友人の心の支えになることがあります。「生きているだけで誰かの力になっている」——そんな形の貢献も確かにあるのです。


日常の中で「貢献」を意識する

日々の暮らしの中で、ほんの少しだけ社会や周囲との関わりを意識してみる。
それだけで人生はより豊かに、そして張りのあるものへと変わっていきます。

たとえば、近年は自治会離れが進んでいますが、自分のためだけに時間を消費するのではなく、地域活動を通じて「誰かの役に立っている」という実感を得ることで、自分自身の幸福感を高めることができます。
その積み重ねが、心身ともに健康で、充実した毎日へとつながっていくのです。


参照元記事

地域の力で守る琵琶湖の環境 ~一斉清掃に85名が参加~

まちづくり 市民協働 環境 / 2025年6月9日

6月8日(日)、大津市内全域で実施された「琵琶湖一斉清掃」に、私たちの自治会は100世帯程ですが、86名という多くの方々にご参加いただきました。

当日は、早朝7時に集合し、地域を4つの清掃区画に分けて活動を開始。

天候にも恵まれ、1時間あまりの作業で周辺の草刈りやゴミ拾いなど、無事に清掃活動を終えることができました。

今回の清掃は、自治会の行事ではなく、地域住民の皆さんが主体となって琵琶湖の環境を守るために行う事業です。

この取り組みを広く知っていただくため、事前に趣旨を伝えるチラシを地域に配布しました。

参加者の多くは自治会員の方々でしたが、自治会に加入されていない方の中にも、自主的に草刈り機を持参し、積極的にご参加くださった方がいらっしゃいました。こうしたご協力は本当に心強く、参加者一同、大変ありがたく感じております。

私たちの身近な自然である琵琶湖。その環境を守る活動には、一人ひとりの力が欠かせません。今後も地域が一丸となって、環境保全の輪を広げていきたいと思います。

地域の清掃活動(ノーポイ運動)に参加しました!

まちづくり ボランティア 市民協働 環境 / 2024年12月1日

12月1日はノーポイ運動の実施日。

瀬田学区の自治会長や各種団体の皆さんと一緒に、地域清掃活動に参加してきました!

瀬田駅近くのダイエー前に集合し、まずは啓発活動を行いました。その後、瀬田支所まで道路や側溝に落ちているゴミを拾い集めました。

たくさんのゴミが集まりましたが、皆さんと協力して清掃活動に取り組むことで、地域を綺麗にすることは気持ち良いですね!

ちなみに、各自治会でも「クリーニングデイ」として清掃活動が行われます。ぜひ、皆さんにも積極的に清掃活動に参加してください!

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