大津市議会議員 佐藤弘

一人のひとを どこまでも大切に 心豊かな まちづくりを目指します

市民意見の聴取精度を高めるためにいま求められること

まちづくり 市民協働 行政 行革 / 2026年4月26日

―― 長野市の調査研究事例(令和8年3月)を手がかりに

はじめに ―― なぜ「市民意見の聴取」を改めて問い直す必要があるのか

人口減少、ライフスタイルの多様化、急速なデジタル化のなかで、自治体が市民の声をどう拾い上げ、政策に反映するかは、住民自治の根幹に関わる重大な課題となっている。市民アンケート、パブリック・コメント、ワークショップ、住民懇談会など、これまで多くの自治体で多様な手法が運用されてきたが、近年は回答率の低下、若年層の声の届きにくさといった構造的な課題が顕在化している。

この課題に正面から向き合い、新たな手法の検証と既存手法の精度向上を体系的に取り組んだのが、長野県長野市と一般財団法人地方自治研究機構が共同で実施した調査研究「市民意見の聴取に関する調査研究」(令和8年3月)である。本報告書は、公益財団法人日本財団の助成を受け、長野市の次期総合計画(令和9年度〜令和18年度)策定を見据えて取りまとめられたものであり、全国の自治体にとって示唆に富む内容となっている。

本稿では、同報告書の知見を踏まえ、議会人として市民意見聴取の精度・効果を高めるために何が必要かを、3つの視点から提案として整理したい。


第1部 ―― 長野市が直面した課題から見える「全国共通の構造的問題」

回答率の低下は確実に進行している

長野市の事例で最も衝撃的なのは、市民アンケートの回答率がこの数年で急速に低下している事実である。報告書によれば、長野市の「まちづくりアンケート」の全体回収率は、令和3年度の67.1%から、令和6年度には49.5%へと17.6ポイント低下している。同様に、第五次総合計画推進のための市民アンケートの回答率も、平成29年度の58.8%から令和6年度には42.8%へと低下した。

この水準まで回答率が下がると、報告書が指摘するように「データの信頼性低下やセグメント分析の困難化」が課題として顕在化する。施策の根拠資料としての性格上、これは看過できない問題である。

若年層の声が届かない構造

さらに深刻なのは、回答者の年齢構成の偏りである。令和6年度の総合計画推進のための市民アンケートでは、回答者全体に占める18歳〜39歳の若年層の割合は16.0%にとどまる一方、長野市の総人口に占める同年齢層の割合は24.2%。母集団と標本のかい離が約8ポイントに達している。

長野市は次期総合計画策定方針において「特に未来を担う若者世代の意見等を活かした計画とする」と明記しているが、現状の手法のままでは、この理念を達成することは困難である。

(出典) 一般財団法人地方自治研究機構・長野市『市民意見の聴取に関する調査研究』令和8年3月、第1章第2節「市民意見聴取の課題」(pp.20-21)、序章「調査研究の背景と目的」(p.3)


第2部 ―― 長野市が試みた解決策と全国60自治体の実態

新旧手法の併用という発想

長野市の調査研究で特筆すべきは、「デジタルプラットフォーム(以下、DP)による新手法」と「従来の郵送アンケートを中心とする旧手法」を二者択一ではなく、それぞれの特性を踏まえて連携・補完させるという視点である。

長野市は実証実験として、株式会社Groove Designsの「my groove」を活用し、「Nagano Canvas(ながの・キャンバス)」と銘打った市民意見プラットフォームを令和7年8月19日〜令和8年3月31日の期間で運用した。

全国アンケート調査が示した活用実態

報告書では、長野市以外の中核市・指定都市・特別区など84市区を対象とするアンケート調査が実施され、60件の有効回答が得られている。その結果、約45%(行っている41.7%+試行的3.3%)の自治体が既にDPを活用した意識調査を実施しており、デジタル手法の活用は確実に広がっていることが確認された。

導入の経緯として最も多かったのは「若年層が回答しやすいと考えたから」(70.4%)であり、これは多くの自治体が抱える共通の問題意識である。

一方で、運用上の課題として挙げられたのは以下の点である。

  • 回答数が安定的に確保できない(44.4%)
  • 不正回答や同一人物の複数回答への懸念が残る(29.6%)
  • 利用したプラットフォームの機能・操作性に課題(25.9%)
  • 高齢者層の参加がやはり十分ではない(22.2%)

つまり、デジタル化は若年層対策の万能薬ではなく、別の課題を生むという冷静な現実認識が必要である。

(出典) 同報告書、第2章第2節「他の自治体へのアンケート調査の実施」(pp.37-52)、第3章「デジタルプラットフォームによる市民意見聴取の実証実験」(pp.57-)


第3部 ―― 議会・行政が取り組むべき5つの提案

長野市の事例と全国調査の結果から、市民意見聴取の精度・効果を高めるために必要な視点を、以下の5点に整理して提案したい。

提案1 「問い」の質を最重要視する ―― テーマ設計に最も時間をかける

報告書の事業者ヒアリングで最も強調されていたのは、意見聴取の成否は「問い」の設計で決まるという点である。報告書は次のように記述している。

「投稿を考える者が、具体的な内容を考えることができる『問い』とすることで、短期間であっても多くの市民から意見を寄せられる結果となった事例がある一方、全てをカバーするような抽象度の高い『問い』とすると、期待するほどの回答が集まらない事例があった」

長野市のNagano Canvasでは、

  • 問1 「10年後など将来も暮らすときにどんなまちだと暮らしやすいですか?」
  • 問2 「10年後など将来も長野市に残したいものはなんですか?」

という、身近で具体的に答えやすい問いが設定された。その結果、問1には51名、問2には72名が選択式設問に回答し、自由記述にも30名(問1)・41名(問2)が投稿している。

議会・行政への提案として、アンケートやパブリック・コメントの設問を作成する際には、(1)市民の生活実感に即していること、(2)選択肢が精選されていること、(3)自由記述欄を併設して具体的な思いを汲み取ること――を要件として明文化することが望ましい。

提案2 「プロセスの可視化」と「フィードバック」を制度化する

報告書の事業者ヒアリングでは、意見が施策にどう反映されたかを示さなければ、次の投稿につながらないという指摘が複数社から挙げられている。

「後の取組にどのように意見が反映されたかが示されないと、意見を投稿した市民にとって、意見が役に立ったのかどうかが分からず、次の投稿に繋がらなくなる傾向にある」

議会・行政への提案として、(1)意見聴取がどの政策プロセスのどの段階に位置するかを冒頭で明示する、(2)聴取終了後、寄せられた意見への市の見解(採用・部分採用・不採用とその理由)を一覧で公表する、(3)個別意見への回答が困難な場合でも、意見の傾向と反映方針を文書化して公開する――この3点を制度として確立すべきである。

これは、現行のパブリック・コメント制度を含めた意見聴取制度全般に適用すべき原則である。

提案3 広報は「ターゲットを絞る」ことに徹する

報告書では、広報手法として最も効果的だったのは「公式SNS・公式LINE」(81.5%の自治体が活用)であった。事業者ヒアリングでも、以下のような重要な指摘がある。

「広報活動は、マスメディアを活用した広報ではなく、ターゲットを明確にした広報活動を行うことが効果的であるとの指摘がなされた。例えば、こどもに関連した計画の意見聴取に当たっては、母親向けのメディアに広告を出稿した事例などが挙げられた」

長野市のNagano Canvasでも、「市公式LINE(登録者約3万人)」「市公式アプリ(約7,000人)」「市公式X(フォロワー約19,000人)」を活用しつつ、市内商工会議所加入企業、金融機関、市立保育園・小中学校保護者へとターゲットを絞ったメール配信を段階的に実施している。

議会・行政への提案として、広報を「全体周知」と「ターゲット周知」の2層構造に分け、各テーマに応じた到達経路を事前に設計するべきである。特に、子育て世代には保育園・幼稚園・学校経由、若年層には大学・高等教育機関経由、高齢者には自治会・地域包括支援センター経由――というように、意見を聞きたい相手に確実に届く経路を意識的に選択する必要がある。

提案4 デジタルと対面(ワークショップ)を補完的に組み合わせる

長野市の実証実験では、Nagano Canvasに寄せられた意見をその後の総合計画審議会の作業部会(ひと部会・まち部会・産業部会、各15名程度)のワークショップに持ち込み、議論の起点として活用するという接続設計が行われた。

報告書では、Nagano Canvasの結果を踏まえた作業部会において「産業部会の『商工業』のテーマの中でも、ひと部会で扱う『こども・若者』やまち部会で扱う『コミュニティ』『都市整備』など、領域を横断する意見交換が積極的に行われた」と記録されている。

これは、デジタル意見聴取が単独で完結するのではなく、対面の熟議の質を高める入力情報として機能した事例として注目に値する。

議会・行政への提案として、市民意見聴取の設計段階から「デジタル→集約→対面熟議→計画反映→フィードバック」という一連の流れを描き、各段階の責任主体と期間を明記した工程表を作成すべきである。

提案5 母集団代表性の限界を認識し、複数手法を併用する

報告書は、Nagano Canvasの結果について重要な留意事項を明記している。すなわち、デジタル意見聴取は「回答者の属性が偏っている可能性があることなどから、母集団(市民)の代表性がない点に留意が必要」との指摘である。

実際に、Nagano Canvasの問1の回答者では、年齢を回答した人は76.5%にとどまり、約4分の1が年齢未登録であった(まちづくりアンケートでは99.9%が回答)。報告書はこの点について「積極的な意見表明と個人情報の提供がトレードオフの関係になっている可能性がある」と分析している。

議会・行政への提案として、デジタル手法は「広く・深く・多様な意見を拾う質的調査」、無作為抽出郵送調査は「統計的代表性を確保する量的調査」と位置づけを明確に区別し、両者を併用したうえで、それぞれの結果を分けて公表することが必要である。一方の結果のみを根拠にして政策判断をすることは避けるべきである。



おわりに ―― 「聴く」から「ともにつくる」へ

長野市の調査研究は、市民意見聴取の手法を巡る議論を、単なる「アンケート回答率の改善」から、「市民とともにまちをつくるプロセスをどう設計するか」という、より本質的な問いへと押し上げた点に意義がある。

報告書のサブタイトル「Nagano Canvas 〜つながる、広がる、みんなの声〜」が示すとおり、市民の声は集計されるべきデータであると同時に、市民同士・市民と行政が出会い、対話する**場(キャンバス)**でもある。回答率という単一指標に一喜一憂するのではなく、市民の参加機会の総量と質を中長期で向上させていく――その視点こそが、人口減少時代の地方自治に求められている。

議会人としても、執行機関に対して市民意見聴取の「設計段階での議論」と「結果の検証段階での説明」を求めていく責務がある。長野市の事例は、その問いを立てるための具体的な参照点を提供してくれている。


参考資料

自治会は本当に必要?「防犯・防災の要」を次世代へつなぐ3つの具体的アイデア

まちづくり 地域活動 防災防犯 / 2026年4月25日

「自治会の役員は大変そうだから、できれば断りたい」
「正直、自治会に入るメリットはあるの?」

最近、そんな声を耳にすることが増えました。

実際、全国的に自治会の加入率は低下傾向にあり、役員の高齢化や担い手不足も深刻な課題になっています。

私自身も自治会長を務めていますが、今年も引き継いでくださる方が見つからず、4年目に入りました。
私たちの自治会でも、会員数は98世帯となり、以前の半分以下になりました。だからこそ、「加入してほしい」とお願いするだけでなく、「参加しやすい自治会に変える」努力が必要だと感じています。

しかし、自治会は本当に不要なのでしょうか。

大地震などの災害時、日々の防犯、高齢者や子どもの見守り。いざという時に一番頼りになるのは、遠くの誰かではなく、隣近所に住む人たちです。

岐阜県各務原市の「持続可能な自治会運営に向けた調査研究」を見ると、これからの時代に合った自治会のあり方について、多くのヒントが見えてきます。

地域のつながりを守りながら、役員や会員の負担を減らすために、特に大切だと感じた3つの視点を紹介します。


1. 活動をスリム化し、無理をしない自治会へ

まず必要なのは、これまでの「当たり前」を見直すことです。

自治会の行事や会議の中には、昔から続いているからという理由で続けているものも少なくありません。しかし、共働き世帯が増え、高齢者も長く働く時代になった今、以前と同じやり方を続けることは難しくなっています。

たとえば、すべての行事に全員参加を求めるのではなく、必要な人が、必要な時に、できる範囲で関わる形に変えていくことが考えられます。

また、報告だけの会議は、メールやチャット、文書共有で済ませる。行事も、毎年同じ内容で続けるのではなく、本当に地域に必要なものかを見直す。
(※私も、連絡には公式LINEアプリで連絡網を作っています。)

自治会を続けるためには、「頑張り続ける」のではなく、「無理なく続けられる形に変える」ことが大切です。


2. デジタルを活用し、スキマ時間でつながる

仕事や育児、介護などで忙しい世代にとって、決まった時間に集まることは大きな負担です。

そこで役立つのが、デジタルの活用です。

たとえば、回覧板をスマートフォンでも確認できるようにすれば、情報を受け取るために家で回覧を待つ必要がなくなります。防災情報や地域のお知らせも、必要な時にすぐ確認できます。

また、「掃除なら手伝える」「SNSの更新ならできる」「防災訓練の日だけ参加できる」といった一人ひとりの得意分野や空き時間を、地域活動につなげる仕組みも考えられます。

ただし、デジタル化を進める際には、高齢者やスマートフォンに不慣れな方への配慮も欠かせません。紙の回覧をすぐになくすのではなく、紙とデジタルを併用しながら、少しずつ移行していくことが現実的です。

デジタルは、人とのつながりをなくすためのものではありません。むしろ、忙しい人や参加しづらかった人が、地域とつながるための新しい入口になります。
(※大津市でも、CHIKUWA(ちくわ)回覧アプリの導入支援を進めています。CHIKUWAは、自治会・町内会の“紙の回覧板”をデジタル化し、スマホで回覧・既読確認・資料共有ができる地域コミュニティ向けアプリです。)


3. 行政とのパートナーシップを見直す

自治会が、地域のことを何でも引き受ける必要はありません。

これまで自治会は、行政からの配布物、調査、各種依頼、行事への協力など、多くの役割を担ってきました。しかし、その積み重ねが役員の負担となり、「自治会長は大変そう」「役員になりたくない」という印象につながっている面もあります。

これからは、自治会でなければできないことに力を集中する必要があります。

たとえば、災害時の安否確認、近所同士の声かけ、地域の困りごとの把握などは、自治会だからこそできる役割です。

一方で、事務作業、専門的な作業、広報やデータ管理などは、行政や外部サービス、民間事業者、NPOなどと役割分担することも考えられます。

自治会、行政、民間、地域団体が、それぞれの得意分野を活かしながら支え合う。そうしたパートナーシップが、これからの自治会運営には必要です。


自治会は「義務」ではなく、地域の安心をつくる仕組み

自治会活動は、誰かに押しつけられて行うものではありません。

「義務だからやる」のではなく、「自分たちのまちを少しでも住みやすくするために、できる範囲で関わる」。そんな考え方に変えていくことが大切です。

役員を一部の人に任せきりにするのではなく、少しだけ手伝える人、得意なことだけ関われる人、情報を受け取るだけでも地域とつながる人。いろいろな関わり方があってよいと思います。

自治会離れを止めるために必要なのは、昔の形に戻すことではありません。

今の暮らしに合った、無理のない自治会へ変えていくことです。

地域の絆を守りながら、負担は減らす。
その両立こそが、これからの自治会に求められる「新しいカタチ」ではないでしょうか。



参照:
持続可能な自治会運営(自治会役員等の負担軽減・加入促進)に向けた調査研究

自治会に入っていてよかった ─ そう思えるまちをつくるヒント

まちづくり / 2026年4月20日

自治会に入っていてよかった ─ そう思えるまちをつくるヒント

加入率25%の現実から考える

私の地域では、自治会に入っている世帯が全体の4分の1ほどになってしまいました。「入らなくても困らない」「何をやっているのか見えない」「付き合いが面倒」──理由はさまざまですが、このままでは災害時の助け合いも、子どもを見守る目も、お祭りや地域行事も、支え手がいなくなってしまいます。

どうすれば「入っていてよかった」と思ってもらえる自治会になれるのか。先日、国立教育政策研究所が令和7年12月に開いたシンポジウム「これからの時代の社会基盤としての社会教育を考える」の報告書を読んで、大きなヒントをもらいました。

「社会教育」という言葉は硬く聞こえますが、中身はとてもシンプルです。人と人がつながり、学び合いながら、自分たちのまちを自分たちで育てていく営みのこと。今日はこの報告書から読み取れたことを、できるだけ普段の言葉に置き換えて紹介し、自治会の活性化にどう活かせるかを考えてみます。


報告書が出した「結論」をひとことで言うと

報告書を貫いているメッセージを、私なりに一言でまとめるとこうなります。

「まちの土台は、便利な制度や立派な施設ではなく、人と人とのゆるやかなつながりと、そこで生まれる学び合いから育つ」

登壇された皆さんが共通しておっしゃっていたのは、次のような考え方でした。

  • 地域の課題は、行政が上から解決するものではなく、住民どうしが顔を合わせて話し、動くなかで解きほぐされていく
  • そのきっかけをつくる「場」と「つなぎ役」がいれば、地域は自然と元気になっていく
  • 学びは教室で教わるものだけでなく、一緒に何かをやる過程で「うっかり」身についていくものでもある

つまり、「まちの土台(社会基盤)をつくる」とは、建物や制度をつくることではなく、人のつながりと、その人たちが育ち合う関係をつくることだ、というのが報告書の結論です。


ヒント1:「防災」は最強の入口。でも、防災だけで終わらせない

「防災」は、たしかに自治会に人を呼び込む最強のテーマです。報告書でも、北海道恵庭市の藤野さんが、胆振東部地震(2018年)の経験をふまえて、とても示唆に富む話をされていました。

藤野さんは防災担当として、各地域で「避難所運営マニュアル」をつくる学習会を開きました。でも、マニュアルを完成させることそのものが目的ではなかったのです。

「マニュアルづくりを通して、この地域がどう変わってほしいか」を意識して取り組んでいた

ここが重要なポイントです。マニュアルをつくるために町内会員や民生委員、福祉施設の人が集まって話し合う。すると、防災の話から始まって、気づけば「そういえば、あの一人暮らしのおばあちゃん、大丈夫かな」「登下校の見守りも手薄だよね」という話に広がっていく。藤野さんはこれを 「こぼれ出た地域活動」 と呼んでいました。

自治会への応用

  • 「防災マニュアルをつくる会」を、単なる作業会にしない
  • 地図を広げて「ここに足の悪い人がいる」「ここの道は冬に凍る」と話すなかで、自然と顔見知りが増える設計にする
  • マニュアルができた後に、そこから派生する活動(見守り、買い物支援、子ども110番など)を歓迎する空気をつくる

自治会員であってよかったと思える瞬間は、「いざというとき助けてくれる人の顔が浮かぶ」という安心感が芽生えたときです。 その安心感は、書類ではなく、一緒に何かをした時間からしか生まれません。


ヒント2:「寛容さ」があるまちに人は残る

島根県の離島・海士町(あまちょう)で長年まちづくりに関わってきた豊田さんの話も印象的でした。

豊田さんが紹介していた調査によると、若い人が地方を離れて都会に出ていく一番の理由は、給料の高さではなく「寛容性の差」だったそうです^2。つまり、「よそ者に冷たい」「新しいことをやろうとすると止められる」「昔からのやり方を押し付けられる」──こうした空気が若い世代を遠ざけている。

豊田さんはこれを 「いいじゃんいいじゃんおじさん(おばさん)」の存在が大事だと表現していました。誰かが何かやりたいと言ったとき、まず「いいじゃん、やってみなよ」と言ってくれる人がいる地域は、若い人も残るし、新しい人も入ってくる。

自治会への応用

  • 新しく入った人や若い世代の提案に、まず「いいね、やってみよう」と言う
  • 「うちの自治会はこうだから」という言葉をぐっと飲み込む
  • できない理由を並べるより、小さくでも試してみる文化をつくる

自治会離れの背景には、「入っても意見が通らない」「決まりごとが多くて息苦しい」という声もあるはずです。寛容さは、加入率を上げるための最も安価で効果的な施策かもしれません。


ヒント3: 「道草」できる場所が、人を育て、まちを育てる

静岡県焼津市で「みんなの公民館まる」を運営している鈴木さんの話は、とてもユニークでした。

この「まる」は、行政ではなく民間(寄付と企業スポンサー)で運営されている公民館です。中高生を中心に、地域の大人や企業も出入りする、いわば「人生の道草を食える場所」。子どもが「飲み会がしたい(ジュースで)」と言い出せば、「いいじゃん、やろう」と大人が本気で付き合う。小学生がイベントで釣りゲームの出店を考える。高校生が新聞を発行する──こんなことが日常的に起きています。

鈴木さんが大切にしているコンセプトは、「自分でつくる・参画する居場所」。誰かがお膳立てした場所ではなく、そこに通う人が一緒につくっていく場所だから、愛着が生まれる。

自治会への応用

  • 自治会館や集会所を、「会議のために集まる場所」から、「ふらっと立ち寄れる場所」へ少しずつ変える
  • 子どもや若い世代が「やってみたい」と言ったことを、多少予算が合わなくても応援する
  • 役員が全部お膳立てするのをやめて、住民に「関わる余地」を残す

人は、自分が少しでも手を入れた場所と活動に愛着を持ちます。 「お客さん」として扱われる自治会より、「一緒につくる仲間」として迎えられる自治会のほうが、辞めにくくなるのは当然のことです。


ヒント4: 「目的」より「きっかけ」を大事にする

報告書のシンポジウムでは、コーディネーターの青山先生が、こんな印象的な言葉を使っていました。

「うっかり学んじゃう」「こぼれ出る活動」

人は、「勉強しろ」「参加しろ」「つながれ」と言われるほど、距離を取りたくなるものです。でも、何か楽しそうなこと、美味しそうなこと、役に立ちそうなことにうっかり関わってしまったら、そこから学びも人間関係も自然に育っていく。

自治会の役員会が「出席義務」の集まりになっているなら、それは一度見直す価値があります。年に数回でいいので、義務感なしに集まれる「うっかりイベント」をつくってみる。たとえば──

  • ご近所ごはん会(各家庭から一品持ち寄り)
  • ハザードマップを見ながらのまち歩き(最後にカフェで休憩)
  • 子どもと一緒にやる夏祭りの準備(完成品より過程を楽しむ)
  • 防災備蓄品の試食会(消費期限前のものをみんなで食べる)

こうした場の副産物として、顔見知りが増え、困ったときに声をかけ合える関係が育ちます。


ヒント5: 地域の「土壌」は、耕しつづけないと固くなる

特別講演をされた東京藝術大学の日比野克彦学長は、こんなことを話されていました。

人の健康を支えるのは、薬や手術といった医学的な処方だけではなく、人とのつながりが処方される 「社会的処方」 であり、さらにその根っこには、文化や芸術にふれる 「文化的処方」 がある。

難しく聞こえるかもしれませんが、要するにこういうことです。

人が元気に生きていくには、薬や病院だけでは足りない。誰かと話す、一緒に何かをつくる、地域のお祭りに出る──そういう「日常のつながりと楽しみ」そのものが、人を健康にしている。

自治会が担ってきた盆踊り、清掃活動、子ども会、敬老の集い。こうした活動は、一見するとお金にも数字にもならない「無駄なこと」に見えるかもしれません。でも、実はこれらがまちに住む人の心と体を静かに支えてきたのです。

この土壌は、耕し続けないと固くなります。そして一度固くなった土壌を、もう一度柔らかく戻すのは、とても時間がかかります。加入率25%というのは、土壌が固くなりかけているサインかもしれません。


まとめ ── 「入っていてよかった」を生むための5つの問い

報告書から学んだことを、自治会活動に置き換えて問いの形にまとめます。役員会や総会で話し合うきっかけにしてみてはいかがでしょうか?

  1. 顔が見える? ── 防災や見守りを「書類」で終わらせず、一緒に体を動かす場にできているか
  2. 寛容か? ── 新しい提案や若い世代の声に「いいじゃん」と言える空気があるか
  3. 関われる余地はあるか? ── 住民が「お客さん」ではなく「つくり手」になれる場面があるか
  4. うっかり集まれるか? ── 義務ではなく、楽しみで集まれる機会が年に何度かあるか
  5. 土壌を耕しているか? ── 数字にならない営み(挨拶、雑談、お祭り)を大切にしているか

おわりに

報告書のなかで、広島県三次市の豊田さんはこう語っていました。

「帰ってきたい鮭を育てるのか、鮭が帰りたくなる川をつくるのか」

自治会も同じではないでしょうか。「入れ入れ」と呼びかけるだけでは人は増えません。「入りたくなる自治会」を、いまの会員でつくっていくしかない。

その第一歩は、難しい制度や大きな予算ではなく、隣の人に声をかけること、新しい提案に「いいね」と返すこと、一緒に何かをやってみること──そんな小さなことから始まるのだと、この報告書は教えてくれました。

加入率を数字で追いかけるのも大事ですが、まずは「うちの自治会に入っていてよかった」と言ってくれる人を、一人ずつ増やしていきたいと思います。


出典

国立教育政策研究所 社会教育実践研究センター『令和7年度 教育研究公開シンポジウム これからの時代の社会基盤としての社会教育を考える ~今、なぜ社会教育なのか~』(令和8年3月発行)。
本報告書は令和7年12月13日に開催されたシンポジウムの講演録・調査結果・アンケート結果をまとめたもの。
特別講演:日比野克彦氏(東京藝術大学長)、調査研究報告:志々田まなみ氏(国立教育政策研究所生涯学習政策研究部総括研究官)、シンポジウム登壇者:藤野真一郎氏(恵庭市教育委員会)、豊田庄吾氏(三次市教育委員会)、鈴木貫司氏(NPO法人わかもののまち/みんなの公民館まるセンター長)、コーディネーター:青山鉄兵氏(文教大学准教授)。

「知ってから考える」市民参加のあり方を問う

まちづくり / 2026年4月19日

先日、株式会社日本総合研究所のオピニオンコラム「思考が生まれる参加へ」(譚林宣氏、2026年4月14日)を読みました。市民参加の質について深く考えさせられる内容で、私自身が日頃から感じていることと重なる部分が多く、ぜひ皆さんと共有したいと思います。


参加しているのに、考えていない?

このコラムで著者の譚氏は、自治体が企画した市民参加ワークショップに参加した経験から、ある違和感を率直に語っています。付箋に書き、貼り、まとめていくという形式の場で、「参加しているのに、考えていない」という感覚が徐々に強まったというのです。

参加の「量」は確保されているのに、その「あり方」には問題が残る——。市民参加の目的は本来「住民の声を聴くこと」にあるはずが、方法が形式化するにつれ、手続きそのものが前面に出て、熟考のプロセスが後景に退いてしまっている、と著者は指摘します。

この指摘は、私には非常に鋭く響きました。


SNSの「炎上」と、置き去りにされる現実

自治体が何らかの議案や方針を示すと、SNS上で批判の声が一斉に上がることがあります。「けしからん」「ひどい」——そういった言葉が飛び交い、あっという間に炎上状態になることも珍しくありません。

しかし、その批判の多くが、十分な情報を持たないまま発せられているケースが少なくないと感じています。

例えば、水道料金の値上げ。「なぜ上げるのか」という怒りは理解できます。しかし、全国の水道事業が老朽化した管路の更新費用と人口減少による収入減という二重の課題に直面し、料金を据え置いたままでは経営が立ち行かなくなる自治体が相次いでいることも事実です。背景を知った上であれば、「やむを得ない」と受け止める方も多いのではないでしょうか。

また、幼稚園の運営をめぐる問題も同様です。これまでいくつもの自治体で、子どもたちが保育園に通うことが主流となり、幼稚園の園児数が大きく減少しています。幼稚園のあり方そのものを見直し、統合も含めて検討することはやむを得ない選択であり、その中で職員の処遇をどう考えるかは、単純に「けしからん」と断じられるような話ではなく、複雑な課題が絡み合っています。背景を知らないまま批判することは、問題の本質を見えにくくしてしまいます。


情報が変える「意見」

「討論型世論調査(Deliberative Poll)」という手法があります。スタンフォード大学のジェームズ・フィシュキン教授が提唱したもので、最初に政策課題についてアンケートを取り、次に参加者に賛否両面の客観的な情報を提供したうえで熟議を行い、再度アンケートを実施するというものです。この手法では、情報提供と熟議を経ることで、最初の意見から大きく変化するケースが確認されています。

つまり、人の意見というものは、持っている情報の量と質によって変わり得るものです。「反対」が唯一の答えではなく、十分な情報と熟慮のもとで判断を更新できることを、この研究は示しています。


「参加」の質を高めるために

コラムの中で著者は、北海道森町での「100スケッチ」というワークショップの取り組みを紹介しています。10年後の自分と周囲の風景を絵で描くというこの試みでは、10代から80代まで101人が参加し、絵を描く前に十分に考える時間を設けることで、参加者一人ひとりが自分の思いをゆっくりと掘り起こしながら表現することができたといいます。著者はこれを、「まだ言葉になっていない思考や感覚」を場に出すためのプロセスとして評価しています。

このエピソードが示しているのは、参加とは単に「その場にいること」「意見を言うこと」ではないということです。考える時間と情報が与えられて初めて、参加は意味を持つのだと思います。

市民が行政や政策に参加することは、民主主義の根幹です。しかし情報なき参加は、時として建設的な議論を妨げ、本来解決すべき課題の本質から目を逸らせてしまうことがあります。コラムの言葉を借りれば、「民意が政策に届かないと感じられているのは、声が不足しているのではなく、思考が十分に育まれる前に収集されてしまっているから」かもしれないのです。

私自身も議員として、「もっと丁寧に現状を説明しなければ」と痛感する場面が多くあります。批判を受け流すのではなく、背景にある事実をわかりやすく伝え、ともに考える関係を築くこと——それが地方自治に携わる者の責任だと考えています。

SNSで流れてくる情報だけで結論を出す前に、ぜひ一度、公式の資料や行政の説明資料にも目を向けてみてください。そして疑問があれば、議会や行政窓口にご相談いただければと思います。対話こそが、「思考が生まれる参加」への第一歩だと信じています。


参考: 譚林宣「思考が生まれる参加へ」株式会社日本総合研究所 オピニオンコラム(2026年4月14日) https://www.jri.co.jp/column/opinion/detail/16573/

地名は誰のものか―失われる地域の記憶をどう守るか

まちづくり / 2026年4月18日

私たちは日常的に駅名や町名、住所を使っていますが、地名は単なる場所のラベルではありません。その土地の歴史や文化、暮らしの記憶を宿す大切な社会資産です。ところが、日本では地名の命名や管理、表記が行政機関ごとに個別に扱われてきたため、統一的な方針が弱く、さまざまな問題が起きていると、日本学術会議がまとめた地名問題に関する文書で指摘しています。

文書が問題視しているのは、まず市町村合併や住居表示の変更、再開発などによって歴史ある地名が消えていることです。地域の由来や記憶を伝えてきた名前が失われると、その土地らしさも薄れてしまいます。さらに、ローマ字表記や外国地名の日本語表記が統一されていないため、観光や物流、行政の現場でも混乱が生じています。加えて、公共施設などの名称が商業化によって頻繁に変わることも、市民の空間認識を不安定にする要因だとされています。

こうした課題に対し、日本学術会議は三つの対応策を提案しています。

  1. 行政・研究者・市民などが連携する横断的な組織を設け、地名の命名や変更に助言できる体制をつくること。
  2. 歴史的地名や災害に関わる地名も含めた地名データベースを整備し、標準化とデジタル化を進めること。
  3. 国際的な地名ルールづくりに参加し、先住民の言語文化の尊重などを国内制度にも反映させることです。

市民にとって望ましいのは、地名が一部の都合で簡単に失われたり変えられたりせず、公共性と地域性の両方が守られる社会です。
使いやすさのための標準化は必要ですが、それと同時に、その土地の歴史や文化への敬意も欠かせません。
地名を「みんなの共有財産」として扱い、便利さと記憶の継承を両立させる仕組みこそ、これからの社会に求められているのではないでしょうか。

「東はぴすこ」プレオープンセレモニー及び内覧会に出席しました!

まちづくり 保健 / 2026年3月27日

本日3月27日、玉野浦にある「東はぴすこ(老人福祉センター)」のリニューアルに伴うプレオープンセレモニー及び内覧会に出席してまいりました
本日は、出席した4名の市議会議員を代表して、地元議員の私から祝辞を述べさせていただきました。
■ 地域のふれあいと健康づくりの新たな拠点へ
「東はぴすこ」は、平成3年の開設以来、長きにわたり東部地域の高齢者の皆様の憩いの場として親しまれてきました
大津市では現在、「健康寿命の更なる延伸に向けた高齢者の健康づくりの拠点施設」として、市内5か所の老人福祉センターの機能充実を毎年度1施設ずつ進めています
祝辞の中では、先行してリニューアルされた「中はぴすこ」や「南はぴすこ」が大変好評を得ており、リニューアル前の浴場利用者数と比べて約2倍に増え、現在も増加傾向で推移しているという素晴らしい成果に触れました
このような素晴らしいアイデアをもって本施設の機能充実にご尽力いただいた、大津市をはじめとする関係者の皆様に深く感謝を申し上げました。
■ 内覧会で最新設備を体験!
セレモニー終了後の内覧会では、実際に真新しい施設を見学させていただきました
今回のリニューアルにより、60歳以上の市民の皆様であれば1回110円という手軽さで、本格的なトレーニングルームやシャワー室をご利用いただける素晴らしい環境が整いました
私自身も実際にトレーニングマシンの使用体験をさせていただきましたが、フレイル予防や運動機能向上に大いに役立つと実感いたしました
さらに、施設内には体組成計や骨健康測定計、血管年齢計などが設置されており、私も健康セルフチェックを体験させていただきました
また、施設内の和式トイレが洋式に改修されるなど、誰もが快適にご利用いただけるよう細やかな配慮がなされています
■ 「心の健康」と地域連携による周知に向けて
当施設での身体の健康づくりはもちろん素晴らしいことですが、地域の皆様がこの場所に足を運ばれることで自然と地域交流が図られる点も非常に重要です。
その人と人との温かいふれあいが、皆様の「心の健康」にも繋がっていくものと確信しております。
今後は、この充実した施設をより多くの方にご活用いただけるよう、地元の「公民館だより」など広報活動が重要になってまいります
本日の式典には各学区の自治連合会長の皆様もご臨席されておりましたので、ぜひ自治連合会を通じてもそれぞれの地域の皆様へ周知を図っていただきますよう、お力添えをお願いいたしました
いよいよ4月1日からリニューアルオープンとなります
「東はぴすこ」が皆様の健康寿命をさらに延伸する拠点としてますます発展していくよう、
私たち地元議員としても、地域の皆様とともに積極的な周知に努め、心身両面からの健康づくりを後押ししてまいる所存です。

3月2日 代表質問を行いました

まちづくり 介護 保健 子育て 教育 行政 議会 高齢者 / 2026年3月2日

本日(2026年3月2日)、大津市議会において会派を代表して代表質問を行いました。
今回の質問は、令和8年度(2026年度)予算編成の考え方と、それを支える市政運営の軸(防災・子育て・高齢者福祉・観光・働き手確保・新庁舎整備など)大きく5項目について、方針と実行性を確認するものです。

1.市長の政治姿勢と令和8年度予算編成の方針について

(1)令和8年度予算の財政規律

(要旨)

  • 事業見直しを「不退転の決意」としたが、具体的に

    • どの分野で、どんな基準で見直したのか

    • 廃止・縮小・統合など、実際に踏み込んだ事例は何か

  • 義務的経費(人件費・扶助費・公債費など)が増える中で、将来投資とのバランスをどう取るのか


(2)「防災」を新たな柱とした市政運営

(要旨)

  • 「防災」を単なる施策ではなく、まちづくりの根幹として
    市政全体にどう浸透させ、災害に強いまちを牽引するのか(市長の決意と具体)


(3)新たな財源確保(宿泊税の検討)

(要旨)

  • このタイミングで宿泊税を検討する意図

  • 導入に向けた議論スケジュール感

  • 確保した財源を市民・観光客へどう還元するビジョン


2.重点施策「ひと」:子育て支援と高齢者福祉について

(1)学校給食費の無償化(国制度活用)と今後

(要旨)

  • 国の上限額を実際の給食費が上回った場合、超過分も市が負担し、完全無償化(自己負担ゼロ)を担保できるか

  • 当初は中学校が対象外。義務教育の公平性の観点から中学校へ拡大すべきではないか

  • 無償化後も、栄養・質・地産地消を後退させず継続できるか


(2)子どもの育ちと健康を守る新たな支援(4歳・5歳相談会等)

(要旨)

  • 相談後のフォローはどの部署が主体か

  • 就学・学校教育へどう円滑につなげるか

  • 教育委員会との連携を含む具体像


(3)高齢者の社会参画と認知症施策

(要旨)

  • 大学連携の啓発など、新たな展開を通じて
    地域コミュニティや若い世代をどう巻き込むのか(具体)


3.「まち」:歴史文化資源の活用とにぎわい創出について

(1)坂本城跡の保存と活用

(要旨)

  • 保存と活用のバランス

  • 住民の生活環境への配慮

  • アクセス整備をどう進めるか


(2)広域観光・インバウンド対策

(要旨)

  • 坂本地域を「明智光秀ゆかりの地」として、比叡山延暦寺・日吉大社等とどう回遊性を生むか

  • 誘客促進と受入環境整備(多言語、交通、案内等)をどう進めるか


4.就労機会の創出と社会参加(介護人材確保等)について

(1)短期就労マッチングシステム導入

(要旨)

  • システム導入だけで終わらせず、企業開拓・周知・登録支援を含め、利用促進をどう戦略化するか


(2)いきいきライフセミナー(高齢者の社会参加)

(要旨)

  • セミナーと就労マッチングをどう連動させ、実際の社会参加へつなげるか

  • 高齢者の生きがいと労働力確保を、どう一体で進めるか


(3)農業の担い手確保と「週末農業」

(要旨)

  • モデル地区の想定と都市部住民の呼び込み方

  • 体験で終わらせず、就農や耕作放棄地解消へつなげる道筋


(4)主任ケアマネ資格取得支援、現状分析と人材確保

(要旨)

  • 必要人数をどう把握して予算編成したか

  • 主任ケアマネ増による効果

  • ケアマネの現状をどう分析し、量と質の両面でどう確保するか


5.防災と行政経営の基盤:新庁舎整備について

(1)地域防災力の強化とハード整備(体育館空調等)

(要旨)

  • 小学校体育館空調などの整備を、地域防災力向上の中でどう位置付けるか

  • 単発整備で終わらせず、災害対応力全体の底上げにつなげる戦略か


(2)介護現場のBCP実効性、要配慮者の安否確認・避難支援

(要旨)

  • 介護事業所BCPが、安否確認手順・地域連携・訓練を通じて機能する体制か

  • 市としてどんな指導・支援をしているか


(3)文書管理の適正化とペーパーレス(新庁舎整備と一体で)

(要旨)

  • 文書管理制度の見直しと削減計画が、庁舎規模・保管スペース縮減にどう反映されるのか

  • 文書量削減目標の設定と、庁舎面積への具体的な影響

  • 一過性の整理で終わらせず、継続的なペーパーレスへつなげる仕組み

  • 文書管理適正化を、庁舎ダウンサイジングや働き方改革にどう結び付けるか(戦略)

奪い合う自治体から、補い合う自治体へ。報告書が示す『適正な居住』のヒント

まちづくり / 2026年2月26日

最近、どの自治体も「いかに自分の街に人を呼び込むか」に必死です。隣の町から子育て世代を奪い合うような光景を見ていると、「これって本当に持続可能なのかな?」と疑問を感じてしまいます。

日本学術会議の報告書『人口減少社会における適正な居住誘導のあり方』を読み解くと、私たちが直視すべき現実と、進むべき新しい道が見えてきます。

人口が減り続けるこれからの時代、大切なのは「拡大」ではなく「適正化」です。報告書の中でも特に重要なポイントを絞ってみました。

  • 「人口減少」を前提としたまちづくり 無理に人口を維持しようと背伸びをするのではなく、減っていく現実を前提に、生活サービスをどう維持するかを考える「居住誘導」が不可欠です。

  • 「隣町と競わない」広域的な視点 自治体ごとの単独プレイには限界があります。生活圏を共にする周辺自治体と「役割を分担」し、互いに補い合うネットワーク型の都市構造を目指すべきです。

  • 「住みやすさ」の再定義 ただ人を集めるのではなく、医療・介護・商業施設が効率よく配置された「コンパクトな拠点」を整えることが、結果として住民の満足度を支えます。

「自分の町さえ良ければいい」という発想から卒業し、地域全体でどう生き残るか。報告書が投げかける問いは、まさに私たちの足元にある課題そのものです。

数字上の人口を追うレースから一歩降りて、今の暮らしをどう守り、次世代に引き継ぐか。そんな視点で、これからのまちづくりを考えていきたいですね。

【参照元】 人口減少社会における適正な居住誘導のあり方(日本学術会議回答)

地域活動が「幸せ」の鍵?データが示す関係性

まちづくり 地域活動 / 2026年1月19日

「もっと幸せになりたい」—誰もが願うことではないでしょうか。私たちは経済的な豊かさを追求しがちですが、実はそれだけでは真の幸福には繋がりません。近年、個人のウェルビーイング(幸福度)を高める上で、「社会とのつながり」が極めて重要であることが明らかになってきました。特に、地域社会活動への参加が私たちの生活満足度を大きく向上させるという興味深い研究結果が出ています。

経済的な豊かさだけでは測れない「幸せ」の真髄

これまで、経済成長が人々の生活を豊かにし、幸せをもたらすと考えられてきました。しかし、所得水準の向上が必ずしも幸福度や生活満足度の向上に結びつかないという「イースタリン・パラドックス」が指摘されて以来、経済学の分野でも「幸福の経済学」という新しい視点が注目されています。

日本は国際的に見ても、主観的ウェルビーイングの水準が必ずしも高くなく、OECD諸国の平均を下回る現状があります。このような背景から、ウェルビーイング指標を政策に活用する国際的な潮流に乗り、日本でもウェルビーイングを向上させるための様々な取り組みが進められています。

そこで注目されているのが、「ソーシャル・キャピタル」、つまり人々の信頼、規範、ネットワークといった社会組織の特徴です。実証研究では、このソーシャル・キャピタルが主観的ウェルビーイングに有意な正の影響を与えることが示されています。

地域活動がもたらす「生活満足度」向上効果

まさにこのソーシャル・キャピタルの重要な代理変数の一つが、ボランティア活動や地域コミュニティ活動への参加です。

アジア成長研究所の小松翔氏による最新の研究では、「満足度・生活の質に関する調査」のデータを用いて、日本における地域社会活動への参加が生活満足度に与える影響を分析しています。その結果、​​ボランティア・地域コミュニティ活動への参加は、生活満足度に統計的に有意な正の影響を与える​​ことが明らかになりました。

この効果は、性別では男女ともに、年齢層では​​若年層および中年層で特に顕著​​であることが示されています。地域活動と聞くと、高齢者向けのイメージがあるかもしれませんが、むしろ働き盛り世代や子育て世代にこそ、活動への参加が心の豊かさをもたらす可能性を秘めているのです。

「誰一人取り残さない」社会へ、活動参加の推進を

地域社会活動は、まちづくり、子育て支援、清掃活動など多岐にわたり、行政の公共サービスを補完し、地域の活性化に大きく貢献しています。これらの活動は金銭的要因だけでなく、人とのつながりや達成感といった非金銭的要因からくる効用が大きく、それが生活満足度の向上に繋がるのでしょう。

この研究結果は、地域社会活動への参加促進がウェルビーイング向上に資する政策手段となり得ることを示唆しています。特に、若年層・中年層を対象とした参加機会の拡充や、仕事・学業・育児と地域社会活動との両立を支援する施策の重要性が指摘されています。

SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」や、その基本理念である「誰一人取り残さない」社会の実現にも、地域活動への参加は深く関係しています。

経済的な成功だけでなく、心の豊かさや人とのつながりが重視される時代だからこそ、地域活動の重要性はますます高まっています。地域の清掃活動に参加してみる、子どもたちの見守り隊に加わるなど、小さな一歩からでも良いでしょう。

地域活動を通じて得られる人との出会いや感謝の気持ちは、きっと生活をより豊かで満足度の高いものにしてくれるはずです。私たち一人ひとりが地域社会に積極的に関わることで、自分自身のウェルビーイングが向上し、ひいては地域全体の活性化、ひいては日本の「幸せ」の底上げに繋がります。

参考資料​

「貢献寿命」を伸ばす地域へ——瀬田学区 新年交歓会でお伝えしたこと

まちづくり 地域活動 子育て 福祉 行事 行政 高齢者 / 2026年1月10日

1月10日、瀬田学区の新年交歓会が開催され、私も挨拶の機会をいただきました。
市議会議員としてご紹介いただきましたが、同時に学区の副会長として、日頃から地域の皆さんと活動を共にしています。
来賓というより「同じ仲間の一人」として、感謝の気持ちと、これからの地域づくりへの思いをお伝えしました。

地域の支え合いを「次につなぐ」ことが課題に

全国的にも、そして私たちの地域でも、自治会加入率の低下などを背景に、地域の支え合いをどう継続し、次の世代へつないでいくかが大きなテーマになっています。
この課題に向き合う際、今日ぜひ共有したい視点としてお話ししたのが「貢献寿命」です。

「貢献寿命」とは何か

「貢献寿命」とは、東京大学の秋山弘子名誉教授が提唱されている考え方で、社会とつながり、役割を持ち、誰かの役に立つ・感謝されるといった関わりを持ち続けられる人生期間を指します。
ここで大切なのは、貢献寿命が“無理な自己犠牲”を求めるものではない、という点です。

私からは次のようにお伝えしました。
貢献寿命とは、無理な自己犠牲ではなく、挨拶や声かけ、見守りといった日々の小さな関わりを続けることです。
それは地域の安心を支えるだけでなく、ご自身の元気や健康、そして「役に立てた」という代えがたい幸福感を実感することにもつながります。

「参加したい」が届く仕組みへ

いま地域では担い手が固定化しがちです。しかし、瀬田学区には15,000人の方が暮らしています。
その中には「参加したいが、きっかけがない」「自分にできる役割が分からない」という方も少なくないはずです。

だからこそ、地域の中に

  • 人と活動(活躍の場)をつなぐ機会

  • 活動を知ってもらい、引き継ぎを進める“伝える機会”
    を増やしていくことが重要だと考えています。

行政の支援にも期待——“場”だけでなく“機会づくり”へ

当日は市長も出席され、市民活動センターを直営方式に改め、地域活動支援を強化していく考えも示されています。
行政には、単に場所を用意するだけでなく、団体同士や世代をつなぎ、引き継ぎを支える「機会づくり」への支援を、ぜひ一層進めていただきたいとお伝えしました。

「できる人が全部やる」からの転換

地域側も、参加の形を見直すタイミングです。
「できる人が全部やる」から、**「できる範囲で、短い時間でも、選べる役割がある」**へ。
そのように参加の入口を増やせば、自治会や地域団体は、もっと参加しやすく、続けやすくなるはずです。

新年交歓会は、日頃の活動への感謝を確かめ合う場であると同時に、今年の地域づくりの方向性を共有する場でもあります。
今日の出会いを大切にしながら、関わりの輪を少しずつ広げていければと思います。

本年も、皆さまと一緒に、瀬田学区の安全・安心と、温かなつながりを育ててまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

 

今年も「瀬田しじみブラス」の皆さんに懐メロを中心に演奏をしていただきました。