大津市議会議員 佐藤弘

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避難行動要支援者の安否確認体制に関する一般質問 質問と答弁の整理

議会 防災 / 2026年9月14日

本質問は、避難行動要支援者の安否確認体制の明確化と地域組織との連携について、危機管理監(危機・防災対策課)と福祉政策課長(部長)に対して行ったものです。以下、論点ごとに質問の要旨と答弁を整理し、あわせて答弁に対する私の評価を記します。

なお、「検討を進めている」「検討してまいります」といった答弁表現は、質問に対して前向きに取り組んでいく意味と受け止め、特に福祉政策課長(部長)の答弁については、大きな成果と受けとめています。

■ 総括

福祉政策課長(部長)からは、保健福祉支援班を中心とした効率的・効果的な安否確認体制の検討、名簿の電子データへの必要項目の付加と最新化、分析手順のマニュアル化、支所での電子データ保存とオフライン参照、他都市事例の調査など、具体的な検討を進めるとの答弁があり、前向きな成果と受けとめています。

一方、危機管理監の答弁については、関係団体との会議体やプランへの記載の必要性を低いとする点、自主防災会会長へ連絡する判断基準が示されない点、名簿の運用・電子データの取扱いを「状況に応じた判断」とするにとどまる点など、実際に災害が起きたときに地域と連動して動くための考えが十分でないと評価しています。

■ 危機管理監(危機・防災対策課)への質問と答弁

(1) 地域防災計画における安否確認と体制構築の主体について

【質問①】 安否確認を行う「市民部及び避難行動要支援者対応に係る者」は市職員であり、災害発生時には地域の防災拠点に配置して対応することになると考えるが、どのような担当者を配置するのか。あわせて、避難支援プランの市民部局(各市民センター)の災害時の役割に「避難行動要支援者の安否確認」を加え、担当課の欄にも明記することについて問う。

【答弁】 安否確認を行う上では、防災拠点となる施設に担当職員を配置することが最善と考え、プランへの記載方法も含めて、現在、福祉部局と協議を進めている。

【評価】 担当職員の配置を「最善」と認め、プランへの記載方法も含めて福祉部局と協議を進めているとの答弁であり、前向きな検討として受けとめる。

【質問②】 安否確認体制を構築するのは市であることは明白であり、社会福祉協議会、民生委員児童委員、介護サービス提供事業者、障害者団体、自治会、自主防災組織等との協力・連携体制を構築するには、これらの関係団体との会議等が必要と考える。あわせて、避難支援プランに会議名や担当部署を明記することについて問う。

【答弁】 関係団体とは日頃より協力・連携体制を築いていることから、改めて会議体を立ち上げたり、プランへ記載したりする必要性は低いものと認識している。

【評価】 この答弁には納得がいかない。日頃の協力・連携があることと、発災時に実効性をもって動ける体制が構築されていることは別である。関係団体が一堂に会して役割と手順を確認する会議体がなく、プランにも明記されないままでは、いざというときに誰が何をするのかが定まらない。会議体の設置とプランへの明記は、体制を実効あるものとするために必要と考える。

(3) 発災時における自主防災組織との連携のあり方について

【質問①②】 発災時に市として地域と連携を図るのであれば、自主防災会等の自主的な行動に任せるのではなく、その学区の想定される被害の状況等から安否確認等が必要と判断した場合には、自主防災会会長もしくは地域の代表等に連絡をして、安否確認体制としての連携をとる必要がある。あわせて、様々な災害の発生時に対応した協力・連携の方法を地域と協議し、実効性のある協力・連携体制を構築することについて問う。

【答弁】 現在、本市から避難指示を発令する際には、該当地域の自主防災会会長に連絡を入れることとしており、災害発生時には地域団体と協力・連携し、対応することとしている。今後も地域の防災組織と連携を密にし、発災時の体制構築に努めてまいる。

【評価】 避難指示の発令時に自主防災会会長へ連絡を入れるとの答弁であったが、どのような状況判断で連絡を入れることにしているのか、その判断基準が不明確である。避難指示に至らない段階でも安否確認の連携が必要な場面はあり、「どの時点で・どういう基準で」会長に連絡するのかが定まっていなければ、地域は動きようがない。この判断基準を問う再質問ができなかったことが悔やまれる。次の機会に改めて質したい。

(4) 避難行動要支援者名簿の運用と電子データのあり方について(危機管理監所管分)

【質問①】 土砂災害や浸水災害のように危険区域があらかじめ定められている災害では、その区域に居住する要支援者について、対象を区域に限ることで「必要な限度」にとどめられる。避難支援プランのリスク区分や、個別避難計画の作成優先度の判断基準(土砂災害警戒区域・浸水想定区域)を、災害時の名簿情報の提供範囲を判断する基準としても用いることについて問う。あわせて、地震のように被害範囲を特定しにくい災害では、被害状況を把握しながら優先順位を付け、対象を絞り込んで地域の支援者に個別に伝え、連携して安否確認にあたる形が確実と考えるが、見解を問う。

【答弁】 プランに例示している、阪神・淡路大震災や特別警報級の大雨に至らないような災害における名簿提供の基準は、状況に応じた判断になると考えており、居住地等で抽出したデータの提供については、個人情報保護の観点から慎重な取り扱いが求められる。地震のように被害範囲を特定することが困難な災害についても同様と考えている。

【評価】 私は、災害の種類や被害状況に応じて、名簿情報を「どの範囲まで・どう提供するか」の判断のあり方を定めておくべきという趣旨で質問したが、答弁は「状況に応じた判断」「個人情報保護の観点から慎重に」とするにとどまり、回答になっていない。あらかじめ判断の枠組みを整えておかなければ、発災時にその都度迷い、対応が遅れる。危機管理監の答弁は、実際に災害が起きたときに地域と連動して動くための考えが十分でないと評価する。

【質問②】 安否情報を扱う職員が、不同意の方を含む避難行動要支援者名簿を用いて分析と判断を行うことを、災害対策基本法第49条の11第1項に基づく内部利用として明確に位置づけることについて問う。

【答弁】 避難行動要支援者名簿に記載のある個人情報の利用については、災害対策本部等で適切に判断し、対応するものと考えている。

【評価】 法的な位置づけを明確にしておくことを求めたのに対し、「災害対策本部等で適切に判断」とするにとどまった。平時から内部利用としての位置づけを明確にしておかなければ、発災時に職員が名簿を使ってよいか迷うことになりかねない。ここも、状況に応じた判断に委ねるのではなく、あらかじめ定めておくべきという趣旨が十分に受け止められていない。

■ 福祉政策課長(部長)への質問と答弁

以下の答弁は、いずれも具体的な検討を進めるとの前向きな内容であり、大きな成果と受けとめている。

(2) 初動支所班もしくは担当職員による安否情報の取りまとめ体制について

【質問①②】 各学区の初動支所班もしくは担当職員を支所に配置し、対策本部の保健福祉支援班とリアルタイムで安否情報を共有できるようにすること、保健福祉支援班が消防局や高齢・障害分野等の関係所属と情報を共有し、介護事業所からも情報収集できる仕組み・体制にすべきと考える。あわせて、6月通常会議の答弁にあった、保健福祉支援班と初動支所班などとの情報収集の検討状況も含めて問う。また、安否情報の電子データを効果的に扱う方法を習得した職員を配置できるようにしておく必要があると考えるが、見解を問う。

【答弁】 大規模災害時に、保健福祉支援班と支所及び各関係所属において、市内部のネットワークを用いて名簿の電子データを共有し、的確に名簿データを取り扱うことのできる職員を支所に配置の上、地域からの安否確認情報を収集することや、健康福祉分野の各所属が介護事業所等から安否情報の提供を受けるなど、保健福祉支援班を中心とした効率的・効果的な安否確認体制について検討を進めている。

【評価】 支所への職員配置、内部ネットワークによる電子データ共有、介護事業所からの安否情報の収集など、質問の趣旨に沿った体制を、保健福祉支援班を中心に検討しているとの答弁であり、大きな前進と受けとめる。

(4) 避難行動要支援者名簿の運用と電子データのあり方について(福祉政策課所管分)

【質問③】 安否情報を扱う職員が用いる名簿の電子データを、災害リスクや区域の区分など、対象者の絞り込みに必要な項目を備えたものとすること、また名簿更新のつど最新のものが用いられるようにすることについて問う。

【答弁】 要介護度や障害者手帳等級などの個人の情報や、土砂災害の危険度など、使用する際に必要となる項目を検討するとともに、名簿の更新に合わせて、できる限り最新の情報を反映することを含め、検討してまいる。

【評価】 必要項目の付加と最新化について、具体的な項目にまで踏み込んで検討するとの答弁であり、成果と受けとめる。

【質問④】 電子データを用いて対象者を絞り込むための分析の手順を、マニュアルとして定めておくことについて問う。

【答弁】 発災時に的確な対応ができるよう、必要な手順について検討を進め、保健福祉支援班活動マニュアルに反映させてまいる。

【評価】 分析手順を保健福祉支援班活動マニュアルに反映させるとの明確な答弁であり、大きな成果と受けとめる。

【質問⑤】 平時から支所に最新の名簿を電子データで保存し、インターネット通信が使えない状況でも参照できるようにすること、およびその保存・管理の方法をルールとして定めることについて問う。

【答弁】 そのような状況も想定し、共有する電子データをUSBメモリー等の電子記録媒体に保存し活用することを検討してまいる。

【評価】 オフライン環境での参照について、記録媒体への保存という具体的方法まで示して検討するとの答弁であり、前向きな成果と受けとめる。

(5) 他都市の災害における名簿の取り扱いの検証について

【質問①】 他都市における名簿の取り扱いの課題や対応について、これまでどのように情報を収集し、本市の取り組みに生かしてきたのか。あわせて、今後どのように情報収集を進め、対応策の検討につなげていくのか問う。

【答弁】 これまでも他都市との情報照会において相互に情報提供や共有をしてきたが、より実効性のある名簿活用の仕組みとなるよう、被災された自治体の情報について調査してまいる。

【評価】 被災自治体の情報を調査し、実効性のある仕組みに生かすとの答弁であり、前向きな成果と受けとめる。

■ 今後に向けて

福祉政策課長(部長)の答弁で示された前向きな検討が、実際の体制整備として着実に進むよう、引き続き注視していく。

一方、危機管理監の所管する、関係団体との会議体の設置とプランへの明記、自主防災会会長へ連絡する判断基準の明確化、災害の種類・被害状況に応じた名簿情報の提供範囲の判断の枠組み、名簿の内部利用としての法的位置づけについては、いずれも「状況に応じた判断」「必要性は低い」とするにとどまった。これらは、発災時に地域と連動して動くために、平時からあらかじめ定めておくべき事項である。特に、自主防災会会長への連絡の判断基準については、再質問ができなかったことが悔やまれるところであり、次の機会に改めて質していきたい。

20260910_.9月議会答弁書 ⬇