2045年の郊外住宅地はどうなる?「右肩上がり」からの脱却と次世代向け循環型モデル
日本の高度経済成長期、人々の憧れであり暮らしの拠点として次々と開発された郊外住宅地(ニュータウン)。
しかし、誕生から約50年が経過した現在、深刻な構造疲労と社会情勢とのミスマッチに直面しています。
こうした問題について、住宅生産団体連合会がまとめた『郊外住宅地の再生に向けた考察2045』の内容をもとに、2045年に向けた課題と、次世代(Z世代)を見据えた新たな居住モデルについて解説します。
1. 迫り来る「プライマリー空き家」の危機とトリアージ
現在の郊外住宅地は、人口や世帯数の減少、高齢化によるコミュニティの活力低下といった存亡に関わる課題を抱えています。 とりわけ危惧されているのが「プライマリー空き家」の問題です。
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子育てを終え夫婦のみとなった世帯において、やがて介護施設への入所などにより、相続発生前であっても実質的な空き家状態が生じます。
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これが放置されると、建物の劣化進行や犯罪リスクの上昇を招き、住宅地全体の価値を毀損してしまいます。
すべての郊外住宅地をそのまま存続させることは難しく、1981年の新耐震基準などを指標とした客観的な「トリアージ(優先順位付けと診断)」が不可欠となっています。
2. 価値観が変わる「Z世代」に選ばれる住宅地とは?
2045年に社会の主役となるのは現在のZ世代です。彼らは、かつての団塊世代のように同一の価値観で動くマス・マーケットではありません。
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世帯所得の格差拡大や、単身・夫婦のみといった家族形態の多様化が進むと想定されます。
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自然に親しみ自分の時間を大切にする彼らは、客観的かつ合理的に居住地を選択します。
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郊外住宅地においては、取得可能な価格帯(300〜500万円の世帯年収層向け)の中古住宅の流通や、低所得層向けシェアハウスなど、所得と価値観に合わせた多様な受け皿と行政の支援策が求められます。
3. 持続可能な「循環型居住モデル(IH2.5)」
従来のように、子育て住宅を「在宅介護仕様」にリフォームしてしまうと、次の世代が住み継ぐ際の魅力を損ない、再市場化が困難になってしまいます。
そこで提唱されているのが、地域内(徒歩圏のネイバーフット)でライフステージに合わせて住み替える「循環型居住モデル」です。
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子供が独立したシニア世代はエリア内のコンパクトな住宅へ転居し、元の子育て住宅は次のファミリー世代へ引き継ぎます。
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これにより、地域コミュニティや相互見守りの関係性を維持しながら、住宅資産を循環させることができます。
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また、単身からファミリー、シニアまで多様なニーズに壁の配置等で可変的に対応できる平屋ベースの「インクルーシブ・ハウジング2.5(IH2.5)」という新たな住宅スペックも提案されています。
4. 現実と向き合い、豊かな環境を再構築する
人口・経済が縮小するフェーズに入った日本において、右肩上がりの成長幻想を捨て、適正な密度へと都市環境を再構築する時期が来ています。空地を里山に還すプロジェクトなど、かつての自然破壊を修復し、豊かな住環境を取り戻す取り組みも構想されています。
最も重要なのは、住民同士が客観的なデータ(真実)を共有し、自分事としてまちの将来を議論・行動していく「当事者意識」です。
