大津市議会議員 佐藤弘

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特定健診と特定保健指導の「いま」と「これから」

保健 / 2026年3月10日

― 特定健診と特定保健指導の課題を調べる中で、私自身がつまずいたポイントから ―

特定健診や特定保健指導について調べていくと、制度の仕組みが複雑で、自治体の現場でも混乱が起きやすい部分が多いことに気づきました。
実は私自身も、最初は 「国保の人なのに、なぜ事業者健診(会社の健康診断)のデータが必要なのか?」 がよく理解できていませんでした。

しかし厚生労働省の手引きを読み進める中で、次のことが分かりました。

  • 国保加入者でも、パート・アルバイト・社保未加入の正社員 など、会社の定期健診を受ける人が多い
  • そのため自治体(国保)は、会社の健診データを受け取って 特定健診の代わりにする必要がある
  • ところが、会社の健診データは 腹囲・服薬歴・喫煙歴などが欠けやすく、紙で届くことも多い
  • 結果として、対象者を正しく抽出できず、保健指導につながらない という問題が起きている

この“構造的な課題”を理解して初めて、
特定健診・特定保健指導の現場で何が起きているのかが見えてきました。

この記事で、2026 年3月に公表された「厚生労働省の最新手引き(第4.3版)」をもとに、 一般の方にもわかりやすい Q&A方式 でポイントを整理してみました。


❓Q1. 特定健診・特定保健指導って何のためにあるの?

✔ 目的は「生活習慣病の予防」と「健康寿命の延伸」

  • メタボリックシンドロームの早期発見
  • 生活習慣の改善支援
  • 将来の糖尿病・心疾患などの予防
  • 医療費の増加を抑える

特に40〜50代の働き盛り世代で効果が大きいとされています。

❓Q2. 現状の課題は何ですか?

① 健診データが揃わない

  • 事業者健診(会社の健康診断)のデータが紙で届く
  • 腹囲・服薬歴・喫煙歴など、特定健診に必須の項目が欠けている → 保健指導の対象者を正しく抽出できない

② 受診率が伸びない

  • 健診が複数日に分かれている
  • 案内がバラバラでわかりにくい → 住民が受診しにくい

③ 保健指導の効果が見えにくい

  • 以前は「回数・時間」で評価されていた
  • 成果(体重・腹囲の変化)が見えづらかった

④ 会計・契約が複雑

  • 特定健診(国保特会)
  • がん検診(一般会計)
  • 後期高齢者健診(後期特会) → 重複項目の費用整理が難しい

❓Q3. 国保の人なのに「事業者健診データ」が必要なのはなぜ?

実は、国保加入者でも パート・アルバイト・社保未加入の正社員 など、 会社の定期健診(事業者健診)を受ける人が多くいます。

✔ 国保加入者でも事業者健診を受けるケース

  • パート勤務(社保未加入)
  • 自営業+副業パート
  • 小規模事業所で働く人 → 保険は国保、健診は会社 という構造が発生

厚労省の手引きでも明記されています。

❓Q4. データを集めても、本当に保健指導の効果はあるの?

✔ 効果は「ある」と国の研究で確認済み

  • 腹囲:平均2〜3cm減
  • 体重:平均1.5〜2.5kg減
  • 血糖・血圧・脂質の改善
  • 医療費の抑制効果も確認

ただし、

  • 高齢・非正規・自営業が多い国保
  • 健康意識が高く企業支援が手厚い健保組合 では、効果の出やすさに差があるのも事実です。

❓Q5. では、課題を解決するための対応策は?

✔ ① 事業者健診データの「電子化・標準化」

  • 企業と協定を結び、XML形式でデータ提供
  • 必須項目(腹囲・服薬歴・喫煙歴)を確実に取得 → 階層化が正確になり、保健指導につながる

✔ ② 健診の「同一会場・同一日」実施

  • 特定健診+がん検診などを同時に
  • 案内・受付・会計を一本化 → 住民の負担が減り、受診率が上がる

✔ ③ 追加健診(不足項目の補完)の効率化

  • 年数回の「追加健診日」を設定 → 判定不能者を減らし、実施率を安定化

✔ ④ 企業との連携強化

  • 健康経営のメリットを提示
  • 協力企業リストの作成 → データ提供がスムーズに

✔ ⑤ 保健指導の評価を「成果重視」に転換

(第4期の大きな変更点)

  • 腹囲2cm減・体重2kg減を主要目標に → 効果が見えやすくなる

❓Q6. 事業者データが改善されると、自治体にはどんなメリット?

✔ 1. 階層化が正確になり、実施率が向上

✔ 2. 追加健診が減り、事務負担が軽減

✔ 3. 紙データの手入力が減り、ミスも減る

✔ 4. 実施率の分母が安定し、評価が安定

✔ 5. 住民の健康改善につながる

✔ 6. 企業との連携が強まり、地域全体の健康づくりが進む

まとめ

特定健診・特定保健指導は、 「データが揃う → 対象者を正しく抽出 → 保健指導につながる → 健康改善が起きる」 という流れが成立して初めて効果を発揮します。

そのために、

  • 事業者健診データの改善
  • 健診の同時実施
  • 成果重視の保健指導 が、これからの自治体にとって重要なポイントになります。