思春期のストレス(いじめ)が体内の物質を変える仕組み
「いじめ」という言葉を聞くと、多くの人は「心の傷」を思い浮かべるでしょう。
しかし、最新の研究によって、その傷が私たちの体内の物質レベルで変化を起こしていることが明らかになりました。
東京都医学総合研究所などの研究グループは、12歳から16歳までの若者を対象にした大規模な調査を実施しました。
その結果、12歳でいじめを経験した子どもは、14歳になった時に尿中の「ペントシジン」という物質の濃度が高くなる傾向があることがわかったのです 。

なぜ「糖化」が心の不調に関わるのか?
ペントシジンは、体内のタンパク質と糖が結びついてできる「終末糖化産物(AGEs)」の一種です。
本来は加齢や食生活に関連する物質ですが、実は強いストレスや炎症によっても増えることが示唆されています。
この研究で注目すべきポイントは以下の通りです。
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体内の変化が心を動かす: いじめによるストレスが体内の「糖化」を促進し、その生物学的な変化が16歳時点での抑うつ症状や精神病体験(幻聴など)のリスクを高めていました 。
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影響の大きさ: 抑うつ症状の約19%、精神病体験の約28%が、このペントシジンという物質を介して説明できる可能性があるとされています 。
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性別を問わないリスク: この関連性は男女を問わず共通して見られる現象でした 。
未来への一歩
これまで「気持ちの問題」として片付けられがちだった思春期の心の不調ですが、今後はペントシジンのような数値を指標にすることで、リスクの早期把握や客観的な支援につなげられる可能性があります 。
いじめを防ぐことはもちろん最優先ですが、もし被害に遭ってしまった場合でも、体の中で何が起きているかを知ることは、新しいケアの形を生み出す大きな希望になるはずです 。
参照元記事: いじめを受けた経験が、思春期の心の不調につながるメカニズムの一端を解明 「終末糖化産物 (AGEs)」 が関与している可能性(国立精神・神経医療研究センター プレスリリース)