大津市議会議員 佐藤弘

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地域運営組織の現状と課題:「柔軟な最適化」の必要性

まちづくり / 2025年4月24日

地域社会の現状と課題

日本の地域社会は、急速な少子高齢化と人口減少に直面しています。特に地方では、若者の流出、高齢者の増加、空き家の増加など様々な課題が顕在化しています。行政サービスだけでは対応が難しくなる中、地域住民が主体となって地域づくりを進める「地域運営組織(RMO)」の役割が注目されています。

全国各地で地域運営組織の設立は年々増加しており、総務省の調査によれば、2023年時点で約7,000団体を超えています。しかし、設立後数年が経過した組織の多くは、「活動の担い手不足」「役員・スタッフの高齢化」「次のリーダー不足」「活動資金不足」といった共通の課題に悩んでいます。

組織の代表者からは「少人数で多くの活動を担っており負担感が大きい」「活動がマンネリ化している」「見直したいが進め方が分からない」といった声が寄せられています。当初は熱意をもって始まった活動も、時間の経過とともに地域課題や住民ニーズが変化する一方で、同じ活動を同じメンバーで続けることの限界が見えてきています。

このような背景から、地域運営組織が持続可能な形で活動を続けていくためには、時代や状況の変化に合わせた「柔軟な最適化」が不可欠となっています。設立時の計画や体制に固執するのではなく、常に見直しと改善を重ねることで、限られた人的・物的資源を効果的に活用し、真に地域に必要とされる活動を展開していくことが求められています。

地域運営組織(RMO)とは

地域運営組織は、自治会活動に加えて生活支援、高齢者・子育て支援、地域環境整備、地域産業活性化などの共助的活動を行う住民組織です。(地域運営組織という概念の中に、小学校区などを単位とするまちづくり協議会が含まれる関係性にあると考えられます。)

全国で増加傾向にある一方、多くの組織が「担い手不足」「高齢化」「リーダー不足」「資金不足」などの課題に直面しています。

「柔軟な最適化」とは

地域の持続可能な発展のために、地域課題や住民ニーズの変化を察知し、活動内容や組織運営に反映し続ける考え方です。

  • 「柔軟」:「増やす」「維持する」だけでなく、「減らす」「やめる」ことも選択肢に含める
  • 「最適化」:変化に応じて活動や組織運営をその時々に最適な形に見直す

見直しの内容

活動の見直し

  • 新規活動の実施: 移動支援など新たなニーズへの対応
  • 既存活動の整理: 複数イベントの統合、多世代イベントへの移行など

組織運営の見直し

  • 体制づくり: 充て職の廃止、部会制の導入・統廃合
  • 資源の確保: ボランティア募集、資金調達
  • 連携と活用: 外部連携、中間支援者活用、デジタル技術の活用

「柔軟な最適化」を進める5つのステップ

  1. 考え方を学ぶ: 「柔軟な最適化」の考え方や取り組み方を理解する
  2. 現状総括・決定: 現状を振り返り、「このままでよいか」を協議し、取り組みを決定する
  3. 検討会開催: 組織の役割や大切にしたい考え方を共有し、見直しアイデアを検討
  4. 計画策定・実行: 「まちづくり計画」などにまとめ、住民に周知・協力を得ながら実行
  5. 学び・交流: 市区町村が設ける場に参加し、成果・課題を発表したり他地域から学ぶ