大田区のいじめ防止対策等について伺ってまいります。
タブレット端末に資料を配信させていただきましたのでご覧ください。これは、大田区立小学校の裏門に掲げられた1枚のポスターです。「コロナ近づくな!なんでいじめられるの?ぼくは悪くないのに…」、非常に短い言葉ですが、非常に重い言葉で、これを見た時、深く考えさせられました。私たちはとかく感染症対策として、ワクチン接種や一時病床確保、衛生管理、各種支援策の構築など、様々訴え、行政と一緒になって取り組んでまいりましたが、一方で児童・生徒の間にあるこうした見えない差別のような問題にも、しっかりと向き合っていかなくてはならないと思います。
大田区では、平成29年度から区立小中学校の全児童・生徒へ「はねぴょんキーホルダー」を配布し、子どもたちの中でいじめや悩みがあればいつでも相談できる取組みをスタートしています。大田区公式PRキャラクターはねぴょんを形取ったキーホルダーの裏面には、こども電話相談の番号、また、印字されたQRコードから直接メールソフトが立ち上がり、教育センターへメールを送ることが出来る仕組みになっています。
事業開始となった平成29年度は40,000個を作成し全児童・生徒へ配布しましたが、現在では新1年生にのみ配布を行っていると伺いました。
問①小学校1年生の児童が、相談の電話やメールを送るか多少不透明な点もありますが、相談窓口の存在を子どもたちへ啓発する意味と、保護者への啓発という意味を兼ねた本事業は大変有効的であると考えます。そこで、事業開始から4年が経過した今、所管課としてどのような評価をされているか、また見えてきた課題などについて見解をお伺いいたします。
答弁:教育センター所長
子ども電話相談は、学校や家庭で相談しにくい悩み、いじめ、虐待等により傷ついている子どもたちが、早期に助けを求めることに繋がる重要な事業であると認識しています。受付時間を設けている電話相談の他、時間にとらわれず相談を寄せていただける「こころの輪メール」と併せて相談窓口につながる機会になるため、周知に努めてまいりました。
平成29年度からの4年間で、子ども電話相談の受付件数は合計246件で、お問合せやご案内を除き、相談は90件です。その中の約4割となる35件が、小学生からの相談となっております。また、キーホルダーの配布のほか、毎年、全小中学生にチラシを配付し、相談電話番号やメールアドレスを周知していることもあり、相談したい事や悩みが複雑化する高学年や中学生からの相談もあると考えております。今後は、区立小・中学校の全児童・生徒に配布されているタブレット端末を利用した方法など、日常的に発信する機会を活用し、さらに気軽に相談できる方法を検討してまいります。
子どもを持つ保護者との会話の中で、このはねぴょんキーホルダーについて伺ってみると、「あっ、そう言えば学校からもらってきたかも」「そういった意味があったのか」など、なかなか意図が伝わっていないような場面もありますので、配布の際にはこのキーホルダーの意味を児童にはもちろんの事、保護者の皆さまにも伝わるような工夫を是非お願いいたします。
また、長期休み明けなど折を見て学校だよりや教育委員会広報誌「おおたの教育」などでの紹介もご検討いただければと思います。
問②そこでこうした啓発について、例えばこども家庭部や健康政策部が行っているアンケート調査の中に、はねぴょんキーホルダー事業を含めた相談事業の認知度を図るような設問を入れていただくなど、他部局との連携を取ることも有効的ではないかと考えますが見解をお伺いいたします。
答弁:教育センター所長
はねぴょんキーホルダーの周知については、全児童生徒へのチラシの配付に加え、学校を通じて保護者の皆さまに配付するお知らせなどの一部を活用するなど、機会をとらえて発信する工夫をしてまいります。
また、他部局において、小中学生向けや子育て中の保護者を対象としたアンケート調査等を実施する際は、設問等を検討し、関係部局と連携しながら、相談事業の認知度向上に努めてまいります。
いじめが一つの原因ともいえる学校不適応状態にある児童・生徒と保護者に対し、在籍校や関係機関と連携を図るスクールソーシャルワーカー・SSWも、令和2年度から2名増員して8名配置となり、それぞれの課題の解決・軽減に取り組んで下さっています。相談件数の推移について、平成30年度2,591件、令和元年度3,365件、令和2年度においては4,727件と年々増加傾向にあると伺いました。
SNSなどのデジタル環境の発達やコロナ禍という社会全体の変動を受け、多様化する生活環境の中で子どもたちやその家族を取り巻く環境はより複雑化している昨今、SSWの役割は益々重要性を増していくのではないでしょうか。
問③そこで伺います。
こうした多様化する環境に対して福祉的な視点をもって、子どもたちや家庭と繋がる関係部門と連携して、問題解決に取り組む専門職であるSSWについて、会計年度任用職員という雇用形態の中でスキル向上への支援等についての具体的な取組みについてお伺いいたします。
また、スキル向上に伴う将来的な展開について、区として検討している新たな取組みについてお伺いいたします。
答弁:教育センター所長
スクールソーシャルワーカーは、社会福祉士、精神保健福祉士の資格を有する方や、福祉施設等で相談支援の実務経験を有するなど福祉分野の専門職として知識と経験豊富な方を採用しています。採用後は即戦力として従事いただきながら、更なるスキル向上の取組みとして、当センター独自に有識者を招き、年7回のスクールソーシャルワーカー専門研修を実施しております。また、教職経験者や心理職などと合同で、月1回程度、研修会を開催したり、国や都が開催する研修会へも積極的に参加させるなど、機会の提供に努めています。
今後、スクールソーシャルワーカーに求められる役割には、児童生徒を取り巻く家庭環境の複雑さや困難さへの支援に加え、多くの関係機関と効果的・効率的に関わりながら課題を解決する調整力が重要な要素となります。OJTを通じて、こうした能力向上の取組みを強化してまいります。
教育委員会では、児童・生徒が学校生活において受ける悩みなどを学年単位で早期に発見するための施策として、学級集団調査を平成30年度から全中学校の全学年を対象に実施し、令和2年度からは全小学校の3・4学年にも対象を拡大しました。
これに伴い、令和2年度の決算額は平成30年度から約37%増額の約2,700万円となりました。
問④そこで伺います。教育委員会では、6月と11月を「子どもの心サポート月間」に位置付け、学級集団調査を行っておりますが、令和2年度の実績と成果についてお伺いいたします。
答弁:指導課長
学級集団調査は中学校全生徒及び小学校第3・4学年の児童のストレス状況や学級集団の状態把握を目的としており、1回目を6月に行い、改善すべき課題を把握し、2回目を11月に実施して成果検証等をしているところです。
令和2年度に拡充した小学校3・4学年の、1回目と2回目の結果を比較すると、学級生活に満足している児童の割合が増加しました。また、友達や教師から認められていないと感じている児童の割合が減少しました。さらに、友人関係や学習等の学校生活における意欲の改善が見られました。
これらの成果は、多くの児童が認められるように、学級担任が1回目の結果を生かして、学級経営の改善に努めたことによるものと考えております。
今年度は、6月と8月に、各学校の管理職及び職員を対象に学級集団調査の分析と活用に関する研修会を実施し、調査結果を効果的に活用できるようにいたしました。
今後は、小学校第5・6学年の児童の心情に寄り添った指導をさらに充実させていくため、実施対象を拡大していけるように検討を重ねてまいります。
本年4月1日付けで、「大田区いじめ防止基本方針」が改正されました。この方針の第1条で掲げる方針策定の意義では、「いじめの問題は、心豊かで安全・安心な社会をいかにつくるかという学校を含めた社会全体に関する国民的な課題であり、いじめ問題への対応は、学校における最重要課題の一つである。」と位置付けています。
最重要課題であるならば、日常の学校生活の中に存在するいじめを見逃さない、見過ごさないで、小さな芽のうちから紡ぐこと、いわゆる早期発見・早期対応する意識と意欲が関係機関に求められると思います。
第6条4項いじめ防止等に関する具体的な取組みでは、教職員の資質・能力の向上、専門的知識を有する人材の確保等として、「教職員の研修の充実や学校におけるOJTの推進等による教職員の能力の向上に努めるとともに、養護教諭その他の教職員の配置、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーその他の専門的知識を有する者の確保等の必要な措置を講じる。」とあります。
問⑤そこで伺います。
本年4月の条例改正を機に、令和2年度から令和3年度にかけて関係各位において講じられた措置や具体的に開催された研修についてなど、その進捗状況についてお伺いいたします。
答弁:指導課長
条例制定からこれまでの間に、校長会や副校長会等で、条例及び条例制定に伴い改正した大田区いじめ防止基本方針の内容を周知し、より実効性が伴うよう、各学校のいじめ防止基本方針の見直しを行いました。
各学校の生活指導主任に対しては、研修会で、条例等を踏まえたいじめ問題への理解と対応について指導を行いました。
6月には、各学校で学校生活調査や学級集団調査を含むいじめに関するアンケートをそれぞれ1回行いました。また、いじめ防止対策の取組みを点検し、その結果に基づいて重点課題を設定し、いじめを早期発見・早期対応する体制づくりを強化しました。なお、11月にも調査や取組みの点検を重ねて行う予定です。
8月には、条例に基づき、第三者の有識者で構成する「大田区いじめ問題対策委員会」を開催し、本区の取組みに対してご意見をいただきました。
今後、教育委員会では、第三者委員会からの評価を踏まえて、各学校のいじめに関連する情報を収集するとともに、スクールカウンセラーやスクールショーシャルワーカー、関係機関等と連携して対応することを等を通して、軽微ないじめも見逃さずに認知できるよう、学校を指導してまいります。
小中学生のスマートフォン所有率が高まるとともに、「ネットいじめ」が増加していると聞きます。ネット上では常に誰かがターゲットになり、当たり前のように誹謗中傷が行われている中、どの様な対策を講じればネットいじめの被害者、時には加害者になってしまう子どもたちを護ることが出来るのでしょうか。
冒頭に紹介したポスターにある、「コロナ近づくな!なんでいじめられるの?ぼくは悪くないのに…」というメッセージ。私たち大人は、改めて子どもたちの側に顔を向け、真摯に思いを受け止めることのできる仕組みを、しっかりと構築していかなくてはならないと思います。
大田区が取り組んでいる相談窓口の啓発の取り組みは多岐にわたり、様々な手法からアクセスすることが出来ます。そのさらにもう一つの手法として、現在、GIGAスクール構想で導入されたタブレット端末に、相談者が特定されないセキュリティーを介した相談窓口への扉を設置し、はねぴょんキーホルダーのように直接アクセスする仕組みも大変効果的と考えます。
問⑥そこで伺います。
現在、児童・生徒が活用しているタブレット端末に、こうした相談窓口へ誘導できるソフトの導入について区の見解をお伺いいたします。
答弁:指導課長
児童・生徒が不安や悩みを相談できる相談窓口の連絡先については、長期休業前等に相談機関の一覧を通知に添付し、学校から全児童・生徒に向けて周知しております。
今後は、児童・生徒用のタブレット端末においても相談窓口の連絡先の周知を行うとともに、相談窓口につなげ、子どもたちが安心して学校に通うことができる環境づくりを検討してまいります。
大田区におけるいじめ防止対策について縷々伺いました。大田の宝である子どもたちの良好な教育環境の整備について、より一層ご尽力下さいますよう要望し、質問を終わります。


