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総務費に関連して、区の防災対策について伺います。

まず、感震ブレーカー支給取付事業について伺います。ご存知の通り、この感震ブレーカーについてはこれまで、公明党として何度も取り上げ、令和元年度予算要望では重点項目に掲げて所管部局と導入に向けて様々議論を続けて参りました。

昨年5月の連合審査会では、これまでの「木造家屋密集地域における延焼火災を抑止するため」という視点を再考し、新たに「災害時要配慮者見守り事業の延長とした」福祉的な視点で捉え、感震ブレーカーの普及促進を図ってはどうかと質疑をさせていただきました。これに対する区の見解は、「現在、感震ブレーカー支給取付事業開始に向けて、鋭意準備を進めております。(中略)当事業の申請をされる方につきましては、避難行動要支援者名簿の登録につなげ、支援の充実を図るべく準備を進めているところです。」と述べられ、年度途中の昨年12月1日から当事業をスタートしていただきました。直後に開催された特別委員会では、「今年度については100件程度、来年度については300件程度」の申請を想定している旨の報告もあり、私自身、大変期待をしていたところであります。

一方、令和元年度歳入歳出決算概要説明書139㌻の感震ブレーカーの支給では、執行が7件で支出済額は\67,894との記載に留まっており、本年初頭から世界的に感染が拡大している新型コロナウイルスの影響を考慮しても、まだまだ感震ブレーカーの有効性の啓発が必要なことを窺い知ることができます。

 

 

問①そこで令和2年度の当初予算では、災害時要援護者対策の推進として、感震ブレーカーの支給事業に¥363万6,000円が計上されておりますが、今年度の事業目標や現在の申請状況、取付完了数などの状況はいかがでしょうか?

 

答弁:防災危機管理課長

 令和2年度の当初予算では、感震ブレーカー支給取付事業に340件分を計上しています。今年度の申請状況ですが、9月15日現在で、287件の申請をいただき、このうち251件に支給決定しています。区報4月1日に事業案内生地を掲載したところ、今年4月の申請数は178件、ハザードマップ等の全戸配布に本事業のチラシを同封した8月の申請数は49件と、他の月を上回る申請状況となりました。また、取付については、コロナ禍の影響で一時作業を停止する事態となりましたが、現在までに121件完了しております。

 

 

問②先日、私の知人から、「せっかく感震ブレーカーの設置を申請し、区から依頼を受けた業者に来ていただいたが、ブレーカーボックスの形状から支給対象としている製品は取り付ける事ができないと告げられた」とのお話しをいただきました。この事例のように、区では区民からの申請を受け、取付け承認を決定したにも関わらず、取付け困難となった件数の把握、またそれに対する今後の対応について区の見解を伺います。

 

答弁:防災危機管理課長

 区の感震ブレーカー支給取付事業における設置器具の種類は、簡易タイプを採用しています。分電盤に蓋が付いているため、感震ブレーカーの設置が困難な場合は、附属品を用いて分電盤近くの壁面に感震器を取り付けるなど工夫をしています。

 しかしながら、分電盤の形状によっては、支給対象としている器具では対応できないことがございます。そのような場合には、取付できない理由を説明させていただき、設置できる器具について情報提供する等して、対象者にご理解いただけるよう努めております。なお、9月24日時点で、取り付け困難となった件数は18件となっています。

 

 

先ほどご答弁いただきました通り、今年度、感震ブレーカー事業の広報を多岐に渡り展開下さっています。

ただ、一般の方が何の予備知識も無いまま「感震ブレーカー」という文字を見て、果たしてその必要性を認識する事はなかなか困難ではないかと考えます。

この8月、区では防災週間フェアを本庁舎3階で開催し、「台風などの風水害への事前の備え」をテーマにVR体験の他、ソフトを活用した浸水想定の見える化や感染症対策など区民への啓発を行いました。また、延べ6日間で12回、区内各地でマイタイムライン講習会を開催しています。

 

 

問③こういった、区民が参加し直接会話が出来る会場において、パンフレットを配布するだけではなく、感震ブレーカーの実機を展示し、職員が積極的にその構造や有効性について、また例えば、停電により家屋内の照明が不点となるため、懐中電灯をセットで用意していただくことなどの注意点も合わせて普及啓発していただく事は、「感震ブレーカー支給取付事業」の推進に大変必要と考えますが区の見解を伺います。

 

答弁:危機管理課長

 区民の方と直接会話ができる会場において、職員が防災対策の重要性について語りかけることは普及啓発の点で有効です。

 今年の防災週間フェアは風水害対策をテーマにしたため、感震ブレーカーの実機を展示しませんでしたが、これまでもフェアや地域訓練の際に、実機を用いてその必要性を訴えてきました。

 今後も、様々な防災事業の機会を活用し、職員から感震ブレーカーの有効性等を参加者に説明することにより、本事業の普及啓発を進めてまいります。

 

 

先ほども確認しましたが、本区が行っている「感震ブレーカー支給取付事業」は福祉的な要素を伴うもので、支給の対象も65歳以上の高齢者や障がい者などとし、住民税非課税または住民税課税所得金額80万以下の世帯であることが条件となっており、併せて、避難行動要支援者名簿への登載も促していることも、地域力を活用した見守り活動に繋がる大切な取組みと考えます。

コロナ禍で在宅率が高い上に、秋から冬に向かう季節感を考えると、例えば電気ヒーター、電気コタツの使用が増えてくるなか、大規模災害による通電火災のリスクは高まっていくとも考えられます。

 

 

問④大田区の本事業の特徴は、通電火災の防止と共に要配慮者支援体制の強化を目指すものでありますが、まず申請者への避難行動要支援者名簿登録のご案内方法について、また、実際に名簿登録を希望される方の推移について伺います。

 

答弁:危機管理課長

 感震ブレーカー支給取付事業のパンフレットの中に、感震ブレーカー支給申請書と共に「大田区避難行動要支援者名簿登録申請書兼情報提供同意書」を挟み込み、申請者の目に留まるようご案内しています。

 窓口においては、感震ブレーカー支給申請を受ける際に、職員が避難行動要支援者名簿の趣旨を申請者お一人お一人に説明し、名簿登録を勧めております。

 令和2年度は、9月15日時点で57件になっています。

 

 

問⑤また、本事業で新たに避難行動要支援者名簿に登録された方の情報は、時期も含めてどのような形で防災市民組織である町会・自治会・民生委員児童委員に情報共有されていきますでしょうか。

 

答弁:地域福祉推進担当

 感震ブレーカー支給取付事業で新たに避難行動要支援者名簿に登録された場合、名簿の備考欄に「電気ブレーカー操作困難者」と記載する扱いとしております。避難行動要支援者名簿は年に1度更新しておりますが、今年度から台風の到来時期に備えて更新し、自治会・町会や民生委員児童委員など避難支援等関係者に対し、新たな名簿を7月以降、順次配布し情報共有しております。今年度の更新時点で「電気ブレーカー操作困難者」と記載された方は44名でございました。

 引き続き、感震ブレーカー支給取付事業の助成申請者には避難行動要支援者名簿への申請を案内し、名簿を避難支援等関係者と共有することで、平常時の見守り活動を含め、災害対策での支援の充実を図ってまいります。

 

 

平成28年3月、電気設備の設計・施工等に適用される民間規定である内線規定が改定され、一定の密集市街地における建物の新築や大規模な改修等に伴う住宅用分電盤の設置にあたっては、感震遮断機能付きの住宅用分電盤を設置することが勧告事項とされ、その他の地域についても推奨事項と位置付けられました。このため、感震ブレーカーが一定程度、普及していることが想定されるところですが、一方で感震機能を後付けとする本区の事業では、やはりその周知の広がりが必要です。

自宅に感震ブレーカーを取付ける目的は、通電火災による生命や財産の焼失リスクを減らす他、周辺への延焼で地域の方々の生命・財産を脅かすリスクも減らすことができると思います。また、出火件数を減らす事で消防力の分散を防ぎ、発生した火災の早期鎮圧に繋がるとも考えられます。

そういった意味においても、大田区の本事業をしっかりと普及・促進していくために、防災危機管理課と福祉部局との連携も非常に重要であると思います。

 

 

問⑥そこで、本事業に対する福祉部局との連携についてですが、申請の対象要件を満たす方々に対し、例えば福祉事業等でご案内を通知する際に、本事業の広報や感震ブレーカーの有効性を記したチラシを同封するなど、より一層の広報に努めるべきと考えますが区の見解を伺います。

 

答弁:危機管理課長

 本事業を必要とする方へ着実に支給取付を行い、地域の支援体制づくりにつなげるためには、福祉部と連携・協力することが、非常に重要と認識しております。

 このため、受給対象になると思われる方に広く周知できるよう、福祉サービスの相談を受ける際に用いられる「福祉のあらまし」に、本事業の内容や対象要件等を掲載し、普及啓発に取り組んでまいります。

 

 

私は、平成26年第3回定例会での一般質問で、これまで大田区が大田区防災設備協力会並びに大田区商店街連合会のご協力で進めてこられた「住宅用火災警報器のあっせん販売」を例に、感震ブレーカーについてもまず、あっせん販売のラインナップに登載するべきと訴えてから6年が過ぎ、ようやく「感震ブレーカー支給取付事業」として開始されたことを大変嬉しく思っております。予算規模は小さいかもしれませんが、区の防災力の向上には必要な事業でありますので、引き続き周知・啓発に取り組んでいただくよう要望し次の質問に移ります。

 

 

次に、水害時の緊急避難先について確認をさせていただきたいと思います。

本年6月15日、東京都住宅政策本部は、「水害時の緊急避難先としての都営住宅空き住戸の活用について」と題し、都と足立区との間で水害時における避難先について協定を締結したと発表しました。

これまで東京都は、大田区も含めて都内9区において、水害が発生した際に都営住宅の共用部分について、都営住宅や近隣住民の緊急避難先とする覚書を締結してきましたが、昨年の台風19号による被害などの状況を踏まえ、水害の恐れがある地域において、行政指定の避難場所等への移動に時間的余裕が無い場合の緊急避難先として、都営住宅の上層階の空き住戸を一時的に活用するというものであります。

 

 

問⑦平成25年10月9日付けで、大田区は、東京都との間で「大規模な水害時における緊急避難に関する覚書」を交わしておりますが、都営住宅の住民や周辺住民への周知の状況はいかがでしょうか。対象となる住宅の個数、またその中での空き住戸数の把握はいかがでしょうか。

 

答弁:防災計画担当課長

 「大規模な水害時における緊急避難に関する覚書」は、平成23年3月に発生した東日本大震災の津波を教訓として、津波から区民の命を守るため、区と東京都の間で取り交わしたものです。

 これにより、津波を含む大規模な水害時に、区民が都営住宅などの共用部分を緊急の避難所として使用できることとなりました。

 その周知につきましては、覚書を結ぶ際、都営住宅の住民や地域に説明を実施しております。また、今年度全戸配布した震災のハザードマップやホームページにも、都営住宅を津波一時避難施設として表示しております。

 この覚書では、津波だけでなく高潮や洪水による風水害でも都営住宅の共用場所を使用できることになっています。覚書の経緯から、これまでは、津波一時避難施設としての周知に偏っていましたが、風水害の避難対策が喫緊の課題となるなか、風水害でも緊急避難できることについての周知が今後の課題と考えております。

 空き住戸の戸数につきましては、その時々で空いている住戸を避難場所とするのではなく、年間を通じて、一定数の住戸を無償で提供を受けることになるため、今後、東京都との協議のなかで決めていくことになります。

 なお、足立区の場合、10団地16戸ですが、本区は足立区よりも都営住宅が少ないため、これよりも少なくなる見込みとなっております。

 

 

今回、六郷地域の都営住宅にお住まいの方からお話しを伺いました。「昨今、都営住宅の住民も高齢化が顕著に表れていて、特に一階部分においては歩行に支障がある方や寝たきりの方も多くいらっしゃり、そういった方々を行政指定の避難所へ移送する事も現実的では無いと思われる。仮に、上層階の空き住戸を一時的にでも避難所として活用することが可能であれば、その方達だけでも早めに避難をさせることが出来る。また、近隣住民の中でも同じような方もいらっしゃる訳で、地域で避難を呼びかける事も出来る」とのことでした。

先に紹介した足立区との協定では、その主な内容として、①都は毎年、区の依頼に応じて水害時の緊急避難先として使用可能な住戸のリストを提供する、②区は、浸水が発生する恐れがあると判断した際に、都に都営住宅の空き住戸の使用を要請し、都は区に空き住戸を無償で一時提供する、③緊急避難先として管理運営は区が実施するなどと定めております。

 

 

問⑧そこで伺います。これまでの共用部分を活用した避難場所の確保を主とした覚書から、もう一歩踏み込んだ「空き住戸を活用した避難場所の確保」の締結に至るための課題について区の見解を伺います。

 

答弁:防災計画担当課長

 現在の覚書の範囲では、階段室や廊下など、都営住宅の2階以上の共用部分を使用することになっており、暴風雨の場合などを想定すると避難場所として、十分な環境とは言えません。住戸内であれば、風雨をしのぐことができ、避難行動要支援者でも安心して避難することができる大きなメリットがあります。

 課題としましては、無償提供される空き住戸の戸数や収容できる人数が限られているため、空き住戸のある団地の一部の住民しか利用できないことがあります。

 また空き住戸は、住宅として作られているため、密室化しやすいため、職員と地域が協力連携するなどして、適切な運営体制を構築することが求められます。

 さらに、浸水想定区域内にあるため、浸水被害により孤立した場合の対策も考えておく必要があります。

 今後、こうした課題をしっかりと検証をし、都営住宅の空き住戸をいかに区民が安心して避難できるような避難場所として機能するための仕組みなどについて研究してまいります。

 

 

引き続き様々な視点で検証を重ね、区の防災対策の充実に努めて下さいますよう要望し質問を終わります。有難うございました。

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