【決算特別委員会 審査第6日】

 大田区議会公明党を代表し、しめくくり総括質疑を行わせていただきます。

             

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 初めに、大田区平成28年度決算から区財政の評価について伺います。

 日銀が10月2日に発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、「企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、大企業製造業がプラス22となり、4四半期連続で改善した。リーマン・ショック前の2007年9月調査以来、10年ぶりの高水準となった」とありました。

 一方大田区に目を向けると、区内産業は決して好景気とは言える状態ではなく、販路拡大やビジネスサポートなど引き続き最大限の支援を続けていく必要があります。また、この産業支援の他、山積する行政課題に一つ一つ対処していくために大田区は、しっかりとした財政基盤を構築していかなくてはならず、そのための安定的な歳入の確保は大変重要な課題であります。

             

           

 問①そこでこの歳入について伺います。区財政は、都区財政調整制度における特別区交付金や各種税連動交付金などに依るところが大きく、そのため、景気の変動を受けやすい歳入構造となっておりますが、この点について、平成28年度歳入決算の状況を踏まえ、どのような認識をお持ちか見解を伺います。

             

答弁 企画経営部長

 平成28年度一般会計歳入決算においては、特別区税は前年度比2.0%、約144千万円の増となりましたが、景気の影響を受けて、配当割交付金が前年度比24.1%、約27千万円の減、株式等譲渡所得割交付金が54.8%、約61千万円の減となるなど、税連動交付金が大きく減少しました。

 このように、区財政は、景気の変動の波を受けやすい歳入構造となっております。

 現在、景気は緩やかな回復基調にありますが、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動などの懸念材料を抱えており、引き続き不透明な状況となっております。

 区としては、いかなる景気の局面においても、区民サービスの向上にしっかりと取り組むことができるよう、国内外の経済情勢等も適切に見極めながら、将来を見据えた安定的・計画的な財政運営を進めることが重要であると考えております。

             

              

 一方、国による法人住民税の一部国税化についても懸念されるところであります。国はこれまでも、地方税である法人住民税の一部を国税化し、それを地方交付税の原資とする見直しを行ってきました。更に、平成28年度税制改正で、消費税率を10%に引き上げる段階において法人住民税の国税化を拡大する方針を定めました。

            

           

 問②そこで、大田区平成28年度決算において、この法人住民税の一部国税化による影響、及び今後の影響について区の見解を伺います。

             

答弁 企画経営部長

 法人の地域での活動を支えるための財源である法人住民税を国税化することは、地方分権に逆行するものです。加えて、応益負担という税の根本原則からも逸脱するものであり、区は、これまでも、特別区長会を通して見直しの要望を行ってまいりました。

 国税化による具体的な影響が区については、特別区長会事務局が特別区全体での影響額を約628億円、消費税率10%段階では約1,012億円と試算しており、大田区においても相応の影響があるものと考えております。

 法人住民税は自治体固有の財源であり、その地域の行政施策に使われるべきであるという基本的な考え方のもと、区としては、引き続き、特別区長会を通じて、国に対して強く働きかけをしてまいります。

              

                

 次に、基金の状況について伺います。28年度末における積立基金残高は1,305億6,951万円で、前年度末に比べ94億1,068万円、7.77%の増となり、年々着実に積み上がっているところです。特に、財政基金については、28年度末残高、629億6,645万円となり、一般会計予算現額の24%を占める過去最高の積立となっています。一方で、普通会計ベースにおける歳出決算の内訳を見てみると、28年度においては扶助費が前年度比4.8%増となっており、義務的経費を引き上げる要因となっているほか、物件費が9.6%の増、投資的経費が4.3%の増となっております。必要な所へ予算をあてて、諸事業を執行されてきた現状について高く評価いたします。

 しかし、OTAシティー・マネジメントレポートでは、経済停滞ケースにおける今後の基金の状況について、「今後10年間は財源不足が続き、財政基金等の取り崩しが必要な状況が続く」と推計し、公共施設の整備等に係る特別区債発行額の増加により、平成37年度末の特別区債残高は1,330億円まで膨らむと想定しており不安感は否めません。これは、バブル経済の崩壊後に増加した特別区債がピークとなった、平成10年度の1,363億円と同水準となります。

          

            

 問③そこで松原大田区長にお伺いいたします。今後の区財政運営の見通しを踏まえたうえで、現在の基金残高についてどのように評価をされていらっしゃるかお伺いいたします。

              

答弁 松原大田区長

 区においては、今後、超高齢社会への備え、待機児童対策等に係る扶助費や公共施設の更新に係る投資的経費が大きく増加することを見込んでおります。

 併せて区は、防犯・防災対策、魅力あるまちづくりといった様々な区政課題を抱えており、総じて歳出を押し上げる要因が山積しております。

 景気後退局面においても、こうした将来の行政需要に的確に応えることができるよう、区は、これまでも計画的に基金を積み立てており、現時点における残高としては適切な規模でございます。

 引き続き、区債とのバランスにも留意しつつ基金を効果的に活用しながら、区民生活を支える様々な事業をしっかりと推進するとともに、健全で持続可能な財政運営を維持してまいります。

           

               

 大田区が保有する569の施設をはじめ、道路・公園・橋梁などのインフラの更新費用は、今後45年間で約6,047億円、年平均で約160億円と見込まれている状況や、益々進む超高齢化社会への対応など、大田区は将来への膨大な行財政需要を抱えています。この基金の適正な運用については、先の第3回定例会における代表質問でも触れたところです。今後も、しっかりと地に足の付いた財政運営と区民サービスの更なる向上の両立に努めていただきたいと要望し次の質問に移ります。

                

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 去る9月17日。各地で甚大な被害をもたらしつつ、大型で勢力を保ったまま本州を北進する台風18号を警戒するため、大田区では「水防一次態勢」が布(し)かれました。これに伴い各特別出張所では、17日の午後13時から翌18日朝8時30分の日程で所長含めて数名の職員が宿直され、随時、庁内グループウェアを使い区内各所と連携を取るとともに、各町会・自治会との災害情報の共有を行ったと伺いました。緊急の宿直にご対応下さった職員の皆さまや、協力業者の方々に感謝申し上げます。

 こうした事例を踏まえ、近年発生が懸念されている首都直下地震の対応について確認いたします。

             

                 

 問④大田区地域防災計画80ページの、地域拠点配置職員についての項目の中に、『特別出張所及び区立学校は、災害発生初動期に重要な役割を担う地域の拠点となるため、勤務時間外に災害が発生した場合には、他部署から応援職員を配置して態勢の強化を図る。』との計画が記されておりますが、まず、災害発生時における特別出張所の役割について伺います。

               

答弁 危機管理室長

 災害発生時の特別出張所の役割は、地域の防災拠点として、管内の避難所を取りまとめるとともに防災市民組織と連絡・調整にあたり、管内の被害情報、各組織の活動状況、避難所の状況等を把握して、災害対策本部に報告します。

 さらに、復興の第一段階においては、り災証明の相談窓口等となります。

 特に、平成24年度から学校防災活動拠点について、避難所機能に加え情報収集・伝達機能、地域防災活動機能を強化してきたことから、これを取りまとめる特別出張所の役割は益々重要となっております。

 区は、今年度の大田区職員防災訓練において、勤務時間外の災害における特別出張所の開設、特別出張所の対応力の向上に取り組んでいるところです。

                

               

 ただ今ご答弁頂きました通り、災害発生時において特別出張所が担う役割は大変重要でありますが、その中で懸念されるのが、停電が起こった場合の対応であります。

 先ほど紹介した9月17日の水防一次態勢における特別出張所の動きから推察すると、事務所・トイレの照明の他、電話やFAXなどの通信機器、テレビ報道を確認するモニター、庁内グループウェアを稼働するPCなどへの電源供給の必要性が見て取れます。

 大田区地域防災計画では、防災対策の時系列シミュレーションにおいて災害発生直後の区内停電率を36.8%と想定し、その後の復旧作業の進捗によって7日以内に95%の回復を目指すとしておりますが、先に述べた通信機器への影響の他、災害対策業務やBCP業務への影響も考えると、電源確保のためにまず、区内でも電源環境が脆弱と想定される地域にある特別出張所へ自家発電設備の導入も検討すべきと考えます。

                

              

問⑤このことを踏まえ、現在の自家発電設備の設置状況についての課題や、今後の取り組みについて区の見解を伺います。

                 

答弁 危機管理室長

 防災上、重要な区公共施設に位置付けられている地域庁舎や特別出張所の自家発電設備の設置は、災害時のみならず、電力会社からの電源供給が途絶えた場合に、業務の継続や保安のため重要なものであると認識しております。

 現在、区では、自家発電設備を本庁舎、大森地域庁舎、調布地域庁舎、六郷地域力推進センター、新井宿特別出張所、障がい者総合サポートセンターの6施設はすでに設置しており、羽田一丁目複合施設にも設置する計画です。

 防災活動の拠点である各特別出張所へは、災害が発生し、電力が途絶えた場合の活動を想定し、発電機を2台配備しています。

 防災行政無線につきましては、補助電源を備えております。

 課題の一つといたしましては、災害時にICTを有効に活用した情報共有を進めていくためには、更なる電源の確保が重要となっております。

 今後、特別出張所への非常用自家発電設備の整備につきましては、庁舎の改築の際などに、防災上の必要性について、所管部局と協議してまいります。

             

            

 ただ今ご答弁にありました2台の発電機は、災害時における必要最小限の電源確保というレベルのものと思います。一方で、既設の二つの出張所では10kva、約90アンペアの発電機容量のものが設置されております。この非常用自家発電機設置については、会派としても強く求めておりますので、よくよく所管部局と協議を進めていただき、いざという時の特別出張所の運営に支障をきたすことのないよう整備更新の計画をお願いし次の質問に移ります。

              

                

  次に大田区の産業振興策について伺います。

 大田区のものづくり産業、特に町工場の状況は厳しさを増し、年々、その操業数は減少の一途をたどっています。そのため区は、ビジネスマッチングや商談会、加工展示会などのネットワーク形成を進めるとともに、あっせん融資や補助事業などを充実させ、ものづくり産業の底上げに取り組んでいます。

 私の知人に40代の工場経営者がおります。その方の実家は代々、家族で金属加工を営む小さな町工場でしたが、社長であるお父様が急逝されたことでその技術を完全に受け継げないままに工場の後継ぎとして自立しました。当初は困難の連続で、それまでお付き合いのあった工場の社長から旋盤の技術を教えていただきながら、夜を徹して鍛錬に汗を流す日々を過ごした結果、今では高い技術力とそれを求める姿勢が認められ、仲間回し加工は勿論のこと、大手企業の発注する試作品からメインの加工品まで幅広い金属加工の受注を一人で切り盛りしています。

 大田区はこれまで、「大田の工匠100人」「大田の工匠Next Generation」を通し、ものづくり産業の最前線の方々を宣揚することで、区内外へ大田の高い技術力を発信してまいりました。

             

               

 問⑥そこで、今後の課題としてあげられている「人材育成」と「事業承継」について区はどのように考えておられるか見解を伺います。

             

答弁 産業経済部長

 ものづくり人材育成と企業の事業承継につきましては、ものづくり産業の集積を維持・強化していく上で、重要な課題であると考えております。全国の中小企業の休廃業・解散件数は、倒産件数の約3倍となっており、廃業時の資産状況は、黒字の場合が半数近くとなっています。大田区においても同様の傾向にあり、廃業等に至る前に、後継者等への経営の移行が求められます。

 委員の話しの通り、「大田の工匠100人」は、従業員3人以下の企業のものづくり優秀技能者を表彰するもので、大田の高い技術力を区内外に発信することを目的に行ってきたものでございます。その後、大田のものづくりの将来を担い、他の模範となる若手技術者を表彰する「大田の工匠ネクスト・ジェネレーション」へ引き継ぎ、ものづくりのプロモーションとともに、ものづくり人材の育成に寄与してまいりました。

 区では、「大田の工匠ネクスト・ジェネレーション」をさらに発展させ、実務指導者である「師匠」と若手技術者である「弟子」のペアによる技術・技能を継承する取り組みを表彰することで、事業承継にも視点を広げた、「大田の工匠 技術・技能継承」を開始しました。技術・技能承継の積極的な取組み事例を発信するとともに、区内企業が事業継承に一層関心を高めていくよう取り組んでまいります。

 さらに、ものづくりに限らず、多様な産業における企業一つ一つの取り組みを次の世代における経営資源としてとらえ、事業承継の取り組みへの支援について検討してまいります。

              

                

 一方で、新技術・近未来技術へ取り組みを進めることも重要と考えます。

 国土交通省は、2020年までに、道の駅などを拠点とした自動運転サービスの社会実装を目指しており、その初めの実証実験が9月2日~9日の期間、栃木県の道の駅「にしかた」で行われました。

 実験は、道の駅「にしかた」と栃木市役所西方総合支社と集落の3か所を結ぶ約2㎞のコースを1日2~3回走行し、一般道の悪条件な路面から受ける影響や、路肩にある障害物の回避など多くのカリキュラムが組まれていたそうです。

 私も9月8日、実際に現地を訪れ、DeNAが提供する自動運転車両を間近で拝見するとともに、関係者からお話しも伺うことが出来ました。残念ながら道路交通法の関係で、非常停止のための人員は必須で無人ではありませんでしたが、様々なセンサーやカメラ、制御機器を搭載した車から、近未来の自動運転の大いなる可能性を実感することが出来ました。

 こうした実験を、例えば、大田スタジアムの広範な敷地を活用して行うことで、区民の方々への啓発は勿論のこと、新産業への販路拡大の可能性も大いに期待出来るのではないでしょうか。

             

              

 問⑦そこで、大田のものづくり産業の、自動運転走行などの新技術、新産業への参入機会の可能性について区の見解を伺います。

              

答弁 産業経済部長

 自動車等の自動運転は、近未来技術のなかでも注目すべき重要分野であると考えております。経済産業省では、わが国の産業があるべき姿として、ヒト、モノ、技術、組織等が様々につながることにより新たな価値創造を図る「コネクティッド・インダストリーズ」を提唱し、その重点取組み分野の一つとして「自動走行・モビリティサービス」を挙げました。また東京都は、羽田空港周辺地域等において最先端の自動走行システムを活用した取り組みを推進していくこととしており、今後の展開が期待されるところです。

 自動運転をはじめとする新産業や新技術への参入については、個々の企業のチャレンジだけでなく、区が新たな産業クラスター形成を促進していくことで、区内企業の参入機会を創出することを検討しております。区は今年度、ヘルスケア分野の新たな産業クラスター形成に向け、競技用車いすの開発に着手し、車いす開発における技術力の高さをPRすることで、関連する技術ニーズを集め、区内企業につないでいく取り組みをはじめました。

 こうした取り組みを着実に成果に結びつけ、自動運転をはじめとする新たな産業クラスター形成を重ねることで、新産業・新技術分野への区内企業の参入機会創出に努めてまいります。

             

              

 ここまで「区財政の評価」、「大田区地域防災計画」、「大田区の産業振興策」の3点について伺いました。

 「おおた未来プラン10年(後期)」の最終章となる明年、平成30年度へむけ、全庁あげて各事業の進捗に取り組まれていることと思います。松原大田区長の陣頭指揮のもと、より一層の区民満足度向上のためご尽力いただきたいと、最後に要望させていただきます。

 以上で、大田区議会公明党のしめくくり総括質疑を終了させていただきます。

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