福祉費に関連して、地域包括ケアシステムの展望と、見守りキーホルダー事業を基盤とした地域力の活用について質問をさせていただきます。
本年2月、厚生労働省より「介護保険制度の改正案について」のガイドラインが発表されました。2025年を見据えたこの介護保険事業計画では、2012年~2014年までの第5期計画において、高齢者が地域で安心して暮らせる地域包括ケアシステムを構築するために必要となる①認知症支援策の充実、②医療との連携、③高齢者の居住に係る施策との連携、④生活支援サービスの充実といった重点的に取り組むべき事項について段階的に充実・強化をスタートする時期とし、明年2015年~2017年の第6期計画では、第5期でスタートした地域包括ケアシステム実現のための取り組みを拡充し、在宅医療介護連携等の取り組みを本格化していくこと、さらに、それにかかわる医療法や介護保険法の関係法律などの整備を中心に記されています。
①大田区でも今年度中に「(仮称)大田区高齢者福祉計画・第6期介護保険事業計画」の策定を進めているところでありますが、現在の進捗状況、課題などについて見解をお伺いします。
⇒「(仮称)大田区高齢者福祉計画・第6期介護保険事業計画」につきましては、現在、外部委員で構成する「大田区高齢者福祉計画・介護保険事業計画推進会議」でご意見を頂きながら鋭意策定作業を進めているところでございます。
今後の予定としましては、10月に開催します推進会議で計画骨子案、11月の推進会議で計画素案について検討をいただき、12月に区民意見公募手続き(パブリックコメント)を実施することとしております。
次期計画は、団塊の世代が75歳以上となる2025年(平成37年)に向け、地域包括ケア体制構築を本格的に進める出発点として実効的な計画とすることなどが課題であり、委員お話の4点についても、重要事項として計画に盛り込む検討をしております。
大田区が第6期介護保険事業計画の基礎資料の一つとして行った、平成25年度高齢者等実態調査が公開されています。
この調査の中で気になったところは、居宅サービス利用者・サービス未利用者へ「何かあった時の相談相手」を問う設問で、娘・息子・配偶者のほか、ケアマネージャー29.9%、医師・歯科医師・看護師21.0%と続き、地域包括支援センター(さわやかサポート)は12.2%となっており、未利用者においては9.7%とその認識の低さという点であります。今後の地域包括ケアシステムの基盤となる地域包括支援センターですので、今一度、その周知に努めて頂きたいと考えます。
厚生労働省のガイドラインでは、市町村における地域包括ケアシステム構築についてPDCAサイクルを概念図として掲載しており、第一の「地域の課題把握と社会資源の発掘」という項目では、地域包括支援センターが地域ケア会議実施の場所と位置付けられています。大田区においても、その運営計画は同じものと考えます。
②そこでお伺いします。決算概要説明書では、地域包括支援センター運営推進として支出済額147,551,752円・執行率97.801%、並びに介護保険特別会計・包括的支援事業費617,836,003円・執行率99.30%が計上されておりますが、区から見た業務内容について総括的な見解をお伺いいたします。
⇒大田区における地域包括支援センターであるさわやかサポートは、平成18年の設置後9年経過し、平成25年度の相談件数は約15万件、訪問件数は約2万7千件となるなど、高齢者の総合相談窓口として、また、区民に分かりやすく、安心して気軽に相談できる支援拠点として定着していると認識しております。
区は、高齢者人口に応じた職員の加算配置に加え、区独自の行政情報参照システムの導入や見守りコーディネーターの配置など、さわやかサポートの充実を図ってまいりました。
現在、高齢者福祉計画・第6期介護保険事業計画の策定作業を行っているところであり、さわやかサポートの一層の機能強化について検討してまいります。
区内20か所の地域包括支援センターでは、高齢者サービスの申請代行、在宅介護に関する総合的な相談、適切な保健福祉サービスの提案、また、高齢者の権利擁護及び虐待防止に関する相談など業務は多岐にわたり、さらに地域福祉の拠点として様々な活動を展開しています。区内の高齢化率は平成25年で21.9%となっており、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年には、大田区も超高齢社会を迎えるといっても過言ではありません。こうした現状において、地域包括支援センターの役割はさらに重要になってくると思います。そのうえで、区内20か所の地域包括支援センターのサービス内容に不均衡が起きないよう、区としても予算的配慮も含めてしっかりとした支援を要望させていただきます。
次に、大田区独自のツールでもあります『高齢者見守りキーホルダー』についてお伺いいたします。
このキーホルダー事業については、これまでも多くの議員から、24時間対応や登録率向上についての質問がなされてきました。
平成24年度より大田区の高齢者施策となり、区内在住65歳以上の全ての方が登録可能となりました。本年4月現在の登録者数は20,500名を超え、65歳以上の人口の約13.5%と伺いました。
先に述べました地域包括支援センターの周知につながるこの事業に、まだ介護保険サービスを受ける必要がない方や、心身ともにお元気な方などが登録に訪れているという現状を見ると、これからの高齢化社会には大変重要な取り組みであると思います。
この『高齢者見守りキーホルダー』の案内チラシには、「登録事項に変更があった場合は、管轄のさわやかサポートにご連絡ください。また、変更のない場合でも、年に一回誕生月に情報の更新が必要です」とあります。
③この情報の更新について、現在までにどのくらいの利用者が行っているか。その人数と割合をお知らせ願います。また、更新されなかった方へのフィードバックはどのように行っていますでしょうか。
⇒高齢者見守りキーホルダーの更新件数は、平成25年度は約5,700件です。平成25年度末の登録者数20,125名をもとに単純に更新率を計算すると、28.3%になります。原則として年に1度、誕生月に登録されている方に更新の手続きをお願いしておりますが、更新手続きを行わない場合でも、キーホルダー事業の利用が制限されることがないことから、更新手続きが遅れ、年度を超えて行われたり、更新をされないままになっている場合も多いと考えております。
一方、更新されない場合は、登録された情報が古くなり、適切な支援に支障を来す事態も想定されることから、区としては区報に更新手続きの案内記事を掲載するとともに、更新対象者に対しては、各さわやかサポートが電話やはがきで更新の勧奨を行うなどの取組を行っているところです。引続き、事業内容の充実とともに、更新者数の向上に努めてまいります。
高齢者を取り巻く生活環境において、老老介護や認知症の問題、近隣との関わり、病院の転院、障がい者家族、家計、ごみの片づけ問題等々、不安要素となる問題は数多くなってきているのが現実です。さらに孤独死に至っては、東京都では2013年に4,515人に上り、そのうち64%が65歳以上の高齢者との報告もあります。
現在国が推進している地域包括ケアシステムの目的の一つが、国民が晩年に至るまで、その地域に安心して生活することの実現であるならば、いかに行政相談窓口のハードルを下げ身近に感じていただくかということと、一度繋がった方と関わり続けることのできる体制の確立が必要ではないかと思います。
大田区地域福祉計画では、「地域づくり」の重点的項目の一つに”区民・地域団体による見守り・支えあい活動の充実”をあげ、その具体的な取組み目標として「見守りキーホルダーの登録勧奨を進めます」とありますが、
④現在の登録者数は20,500名、65歳以上の人口の約13.5%に対し『目標の推進』ではなく、年度ごとにより具体的な数値目標を掲げ、その結果に対して総括をしていく必要があるなるのではないかと考えますが、区の見解をお伺いいたします。
⇒高齢者見守りキーホルダー事業は、認知症の方など真に見守りが必要な高齢者はもちろん、元気で活発に活動されている方をはじめ65歳以上の高齢者全てを対象としています。この事業は万が一、不測の事態に遭遇しても適切な対応が期待できる安心感を持っていただくことも重要だと考えております。
多くの高齢者に、元気一杯活動をしていただくためにも、区ではこれまでシルバーパス更新会場など高齢者が多く集まるイベントでの周知や、自治会・町会、民生委員等との連携など、より多くの方に登録を促す取組みを積極的に行ってまいりました。
今後も、未登録の方に是非登録していただけるよう、より魅力的な事業内容への改善や、知名度のさらなる向上に努め、着実に登録者数を増やしていけるよう努めてまいります。
また、同計画では「地域づくり」の課題として、”地域の人々をつなぎ、地域の生活や福祉の課題を解決する上では、自治会・町会のような地縁型の活動に加え、ボランティア・NPOのようなテーマ型の活動も重要な役割を担っています。”とし、区民が様々な活動に参加し、活性化を図ることが課題であると記されています。
そういった意味において、この高齢者見守りキーホルダー事業をより効果的にかつ継続的に運営していく一つの方法として、ボランティアを募って区民参加型の事業に拡充していく方向性も検討すべきではないかと考えます。大田区社会福祉協議会が行っている「ほほえみ訪問事業」では、登録制の協力者、いわゆるボランティアが月に2回程度の訪問を通して、申請者の安否確認や社協のサービス情報などを提供します。
これと同じような事業を区で枠組みを作り、登録制の区民ボランティアの力を活用し、高齢者見守りキーホルダーの更新漏れの方たちへのアプローチを行って頂きます。登録は各出張所単位で行うことで、地元自治会・町会への周知もスムーズにでき、さらにそのボランティアを地域包括支援センターと各地域庁舎で管理をし、例えば、1ヵ月に一度程度のスパンで家庭訪問を行って頂きます。
家庭訪問の結果は後日集約し、次の行動に繋げていきます。
⑤最初は対象者もボランティアも少数かもしれませんが、こうした活動を通して地域の中いる高齢者のみならず、生活困窮者や社会的に孤立状態にある方などの情報も集積できるのではないかと考えますが、区の見解をお伺いいたします。
⇒高齢者の見守りは、行政のみならず地域の様々な関係者の関わりがあって、初めて効果が発揮されるものと考えております。区では、さわやかサポートが地域の核となり、その地区の自治会・町会・民生委員、集合住宅の管理組合、ボランティア団体、NPO法人等と連携しながら高齢者等の見守りを行っているところです。
お話しのとおり、高齢者の見守りをはじめとした地域づくりにボランティアが果たす役割は、今後ますます重要なものになっていくと考えております。
今後の介護保険法の改正により新設された新しい総合事業の中で、ボランティアを担い手とする活動をどのように位置付けるかなどボランティアの積極的な活用について、区としても引続き検討してまいります。
本年8月、所属の地域・産業委員会で豊中市の地域福祉計画について視察をさせて頂きました。
この計画は、地域が持つ様々な問題・課題に対し、「おたがいさま・おかげさまの支えあい」をキーワードに地域福祉の推進を図るもので、①社会的孤立者・生活困窮者への支援、②災害時要援護者対策、③地域活性化と人づくりの推進を目標とし、地域福祉ネットワーク会議を構築・推進していくものでした。このネットワークを様々な形でつなぎ合わせていく役割を持つのがコミュニティーソーシャルワーカーとなります。豊中市で頂いた、このコミュニティーソーシャルワーカーの役割、また地域ボランティアが持つ可能性との連携等の報告を聞くにつけ、今後の大田区が地域福祉・地域包括のためにとるべき方針を考えざるを得ませんでした。
10年後の2025年へ向け国の福祉政策が大転換を向える今、区民の健康で豊かな生活を支える大田区の福祉政策の拡充を要望させて頂き、質問を終了いたします。

