次に、大田区内の文化財関係について質問をさせて頂きます。
本年3月に刊行された大田区立郷土博物館発行の小冊子「おおた歴史探検」は、約2万年前から現代に至る大田区の持つ深い歴史・多種多様な文化・地域性が非常にコンパクトに纏められていて、丁寧で読みやすい作りとなっていました。
冒頭の大田区立郷土博物館館長の言葉に、『郷土博物館が開館して30年以上が経ちました。これまで、来館されたお客様や子どもたちからもたくさんの質問を頂きました。それらの質問に対する答えや今までの研究成果をまとめたのが、このガイドブックです。』とありますように、大田区の歴史を日々、学芸員の方々が中心となって研究・整理・保管に携わって下さっていることに、区民の一人として深く感謝するところであります。
その地域が持つ歴史や文化は、良好な状態・状況における保管と伝承、もう一方で文化資源としての価値的運用という捉え方があると思います。
誇るべきことに、大田区内には国指定文化財をはじめ多くの有形・無形文化財が登録されています。
①そこでまず、大田区にあるこれらの指定・登録文化財について、公開・非公開の物もあるかと思いますが、凡そどれくらいの数が登録されていますでしょうか、お知らせください。
⇒大田区の文化財の登録数につきましては、平成26年8月1日現在、国指定、都登録、区指定、合わせて合計174件となっております。
その中で、例えば国指定文化財では、国宝・重要文化財として池上本門寺の五重塔が登録されていますが、資料によるとこの五重塔は、関東地方に四基現存する幕末以前の塔の中で一番古い塔で、建築の特徴なども極めて貴重であり、価値の高い文化遺産であると評されています。私自身も、五重塔の美しく荘厳な佇まいは見る者の心を清め、安堵を与える素晴らしい建築物であると思っています。
②この、池上本門寺の五重塔など貴重な文化財を良好な状態に保ち、後世に残し伝えていくことや、区内外への広報など大田区の取り組みについてお伺いいたします。
⇒文化財の保護・保存にあたりましては、所有者に文化財の継承に関してご理解とご協力をいただくとともに、国や都、区の補助事業を活用しながら保護保存に努めているところでございます。
ご質問にありました池上本門寺の五重塔も、解体修理や防災事業に対する国や東京都、大田区の補助事業につきましては、これまでも区が窓口となって実施してまいりました。
また、無形の文化財につきましても、補助を行っております。
文化財の広報等でございますが、文化財を知り楽しむ「史跡めぐり」や講演会などの事業も拡充を図ってまいりたいと考えております。
ホームページも、より興味を抱いて頂けるようなページ構成となるよう、検討を進めております。
今後も、区内外の方に積極的にPRし、多くの方に文化や歴史に親しみを感じていただけるよう、さらに広報の充実にも努めてまいります。
一方で、こうした指定・登録文化財ではないが、その地域のランドマーク的な建造物や町並み、伝統工芸などについても、地域の財産として価値的運用が図られているものもあります。
1931年(昭和6年)3月に竣工し、83年が経過した六郷水門は、そういった意味においては正しく地域のランドマークとして広く愛され続けている建造物であると思います。
2011年3月11日の東日本大震災を受け、水門の開閉についての脆弱さがあらわになり、その改善に向けての議論が深まったところでありますが、現在は所管の尽力によって緊急時における操作性はほぼ改善されたと認識しています。区では月に一度、この水門の作動チェックや機器点検を業務委託で行っているとのことでした。
しかし、経年劣化による損傷はやむを得ず、昭和初期の洋風モダンなディテールやレンガ積みの外壁なども一部で補修が必要となってきているのも実情で、本年2月~3月に掛けて外壁のモルタル補修工事が行われた経緯もあります。
この六郷水門は国土交通省が所有し、区がその管理を行っているものですが、「良好な状態における保管」という観点から、こうした文化財以外の建造物についても常に状況変化を掌握していく必要があるのではないかと考えます。
③たとえば六郷水門は、指定・登録文化財ではありませんが「近代化遺産」と位置付けられる貴重な地域の財産でありますので、今後、景観も含めてしっかりと保全に努めて頂きたいと思います。また区内に存在する同様な文化資源についても、よくよく地域の声を集約して、その保全に努めて頂きたいと考えますが、この点について区の見解をお伺いいたします。
⇒我が国の近代化の発展に大きく関わりをもついわゆる「近代化遺産」を、文化財の対象として評価し後世に継承していくことは、重要なことと考えております。
このことから教育委員会では、「近代化遺産」についての調査をすすめているところでございます。
今後も、歴史、文化を大切にする地域づくりの核の一つとして、景観を含めた保存、継承を、地域の皆様とともに考えてまいりたいと思います。
このような、様々な大田区の宝とも言うべき文化資源は、一方で大田区の魅力として大きく発信していくことによって観光の分野における価値的活用が期待されるところであります。
未来プラン(P188)では、『区内には地域に根ざした伝統や、地域にゆかりのある歴史、文化、人物といった文化資源が数多く存在しています。一方、それらのポテンシャルを十分に発揮出来ていないのが現状です。潜在する文化資源を掘り起こし、それらの情報と魅力を効果的に発信し、区民が共有しながら、大田区らしい地域文化を創造していくことが大きな課題です。』と記されています。
④このように、「情報と魅力を効果的に発信していくこと」の重要性が課題として明らかにされていますが、今後、区はどのようなビジョンを持って対応されていくのか、見解をお伺いいたします。
⇒区内には、地域に根差した伝統や歴史、文化、人物といった文化資源が数多く存在していますが、それらのポテンシャルを十分に発揮出来ていない現状があります。
西郷隆盛と勝海舟が、江戸城明け渡しについて会見したことはよく知られていますが、池上本門寺松濤園の東屋で行われたことや、晩年、洗足池の風光を愛し、別邸を構え居住した勝海舟の墓が洗足池公園にあることや、また現在の新蒲田和文ライターの祖である黒澤商店の黒澤村と呼ばれた職住一体型の工場が建設されたことなどは、全国的にはあまり知られていません。
地域には隠れた文化資源が多数潜在しており、これらをどのように発信し、支援していくかの仕組みづくりを確立していくことが重要であると考えております。
今後は、IT機器やSNSを活用した情報発信や地域が主体となり、区民自らが発信していくことへの仕組みづくりなども視野に入れた取り組みを進めてまいりたいと考えております。
大田区のホームページでは、施設案内から「歴史・史跡」を選択すると、11地区に分けられ、それぞれの地区の文化資源が紹介されています。今回取り上げさせていただきました「六郷水門」についても記載があることから、区有の文化資源としてその活用が大きく期待されていることが分かります。2020年東京オリンピック・パラリンピックを見据え、益々の文化事業の拡充を期待し、次の質問に移ります。…③に続く
