大田区議会公明党を代表し、しめくくり総括質疑を行わせていただきます。

初めに、新空港線整備事業についてお伺いします。

平成28年4月の交通政策審議会の答申から4年を迎えようとしているなか、本区としても今年度内での合意形成に向けいよいよ最終盤の時期に差し掛かっていると思います。平成25年度に新設された新空港線整備積立基金は毎年順調に計上され、令和2年度の現在高は68億3,500万円となる見込みから、本区としてはスタートフラッグが振られるや否や、速やかに事業着手する準備が整いつつありますが、一方で、新空港線整備事業の着手へ駒を進めるには、大田区独自の取組みでは到底実現できず、国、東京都、区、鉄道事業者が共同事業体となって進捗していくことが重要であります。

まず、国の負担である国費に関してですが、現在活用を想定している都市鉄道等利便増進法はその3分の1を国庫補助が占めており、国費無しでは新空港線は成立いたしません。

 

 

 問①:そこで伺います。近年、大阪のなにわ筋線の延伸や横浜ブルーラインの延伸等、都市鉄道の整備が全国的に行われており、国庫補助の確保は大きな課題の一つと考えますが、国費の確保に向けた本区の取組みについてお伺いいたします。

 

 

答弁:まちづくり推進部長

 新空港線の実現には、国庫補助金の活用が必要不可欠であります。

 このため、去る2月27日に多摩川における治水対策の推進についての要望書を赤羽国交大臣に提出した際、大田区の諸課題の一つとして新空港線の早期事業化に向けた予算確保についても併せて要望してきました。

 新空港線は区の答申において「進めるべき」とされた路線でありますので、引き続き、都市鉄道等利便増進法に基づく国費の確保に向けて国と連携してまいります。

 

 

次に東京都との協議に対する反応について伺います。

振り返ると昨年、松原区長は熟慮に熟慮を重ね区長就任4期目をスタートされました。第1回大田区議会臨時会で松原区長は、『これまでの歩みを振り返ると着実に成果を重ねることができたのもございますが、同時に、羽田空港跡地のまちづくり、さらに新空港線の整備並びに沿線のまちづくりなど、区の将来を見据えますと、今まさに正念場である重要課題』に全力で取組むとのご決意を表されました。この新空港線整備について私たち大田区議会公明党も、松原区長と同様の価値観を持ち、共に協議・協力を惜しまない姿勢で今日まで臨んでまいりました。

 

 

 問②:そこで、ここは松原区長にお伺いいたします。まさに正念場である重要課題を進めようとする区長の思いは、しっかりと東京都へ伝わっているとお考えでしょうか。

 

 

答弁:松原大田区長

 新空港線を何としても早期に実現させたいという区の長年の思いについては、私が直筆の親書にして小池都知事にお渡ししたところです。

 その後、小池都知事と直接お会いし、大田区及び私の強い思いをしっかりとお伝えしました。

 小池都知事からは、「新空港線に対し強い決意をもって進めていきたいという私の思いは理解している。早期整備が整うようお互いが努力していきましょう」との知事の思いも確認しております。

 

 

新空港線整備は単なる鉄道路線の整備ではありません。JR蒲田駅周辺はもちろんのこと、東急沿線の一体的なまちづくりも期待が高まるところです。改正踏切道改良促進法では、課題のある踏切道について2020年までに踏切の抜本的な対策を行うか、少なくとも計画を策定しなければならないと義務付けており、区内では東急下丸子駅直近の下丸子1号、下丸子2号がこれに該当します。昨年7月の交通臨海部活性化特別委員会では、この法整備を加味して3つのまちづくり案が示され、下丸子駅周辺の利便性の向上、良好な自動車交通環境の整備に大きく期待が寄せられたところであります。

 

 

 問③:そこで伺います。新空港線整備に伴い、こうした多面的なまちづくりが期待されるところですが、現在本区が見据える東急多摩川線沿線のまちづくりビジョンについて改めてお伺いいたします。

 

 

答弁:まちづくり推進部長

 区の更なる発展のためには、鉄道新線の整備とまちづくりは一体であり、新空港線整備を契機として鉄道沿線のまちづくりを進めることが重要と考えています。

 とりわけ東急多摩川線は、おおた都市づくりビジョンにおいて「新空港線軸」として位置付けるとともに、下丸子駅を始めとする東急多摩川線の主要駅については、新空港線軸沿線地域の拠点として重点地区に指定しております。

 このように、東急多摩川線沿線の地域は、歴史、文化、産業、商業等の地域資源を活かした多様なライフスタイルや新たな価値が創出されるポテンシャルを有していると捉えております。

 引き続き、新空港線軸沿線については新空港線の整備と合わせて、沿線の魅力向上や安全・安心で快適なまちの拠点形成に向けて、地域住民の皆さまはもとより鉄道事業者等とも連携を図りながら、地域の個性をいかしたまちづくりを進めて参ります。

 

 

本事業は、令和2年度大田区予算案において重点プロジェクトと位置付けられています。整備主体の早期設立を期待し次の質問に移ります。

 

 

次に、区内の産業振興について伺います。

 

 

 問④:最初に、昨今の新型コロナウイルス感染症による景気停滞に対し、区は3月9日に「新型コロナウイルス対策特別資金」を活用した融資あっせんをスタートしましたが、現時点での産業経済部における取組み状況についてお伺いいたします。

 

 

答弁:産業経済部長

 区が全額利子補給する「新型コロナウイルス対策特別資金」は新設以来、多数のご相談・お申込みをいただいております。

 本特別資金に先駆けて、2月17日から特別相談窓口を設置いたしましたが、3月19日現在で、電話によるご相談841件、窓口でのご相談やお申込み438件、合計1279件に達しております。お申し込みの内訳としては、国のセーフティネット保証第4号認定202件、同じくセーフティネット保証第5号認定19件、新型コロナウイルス対策特別資金に係る大田区中小企業あっせんが102件、併せて323件となっており、引き続きスピーディーな対応をしてまいります。

 

 

国が進める緊急対応策と併せて、周知・運用をお願いいたします。

さて、私の知人に服飾デザイナーとして活躍されている方がおり、昨年の秋にその方から、デザインと大田のものづくりとの融合で新分野を構築したいとの相談を受け、早速、産業振興協会に繋げたところ、担当職員がすぐに訪問下さり、昨年10月に開催された「おおた商い観光展2019」に初出店する事に。また、地元の町工場にも繋げていただき、削り出しのアクセサリーを試作。その後、その町工場の紹介で、精密加工を得意とする区内でも有数の企業とコラボができ、商品化に向けて協議を進めているそうです。

知人いわく、こうした産業振興協会の伴走型の企業支援を有難く思うとともに、今後も様々相談をさせて頂きたいとの事でした。

 

 

 問⑤:今の話は一例ではありますが、こうした事例の様に工業系のものづくり産業と異業種とのマッチングの動向について、区はどのように取り組んでいるかお伺いいたします。

 

 

 答弁:産業経済部長

 区ではこれまで、大田区のものづくりの強みを生かすために、産学連携や医工連携、農工連携など様々な連携を推進してまいりました。

 具体的には、大田区産業振興協会が医工連携や農工連携などの事業支援を展開しているところです。昨年8月には横浜で開催したTICAD7(アフリカ開発会議)の農林水産省ブースにおいて、区内企業が製作した乾燥地でも栽培可能なミニトマト栽培キットや砕砕米と石混入米を再利用できるポン菓子製造機を展示し、各国から好評を得ました。その後、ポン菓子機は、ナイジェリア大学への販売が成約しております。

 また今年度、これまでの成果をまとめた連携事例集を1000部発行したところ、非常に好評であり、2000部増刷し、さらに海外各国及び公的支援機関向けに英語版も製作しているところです。

 引き続き、区と産業振興協会ともに、羽田イノベーションシティの区施策活用スペースも活用し、より多様な連携案件に積極的に関わり、新産業の創出を進めてまいります。

 

 

異業種連携で生まれた新しい製品を広報することでの販路拡大も期待できるかと思います。平成28年度から事業開始となった「大田のお土産100選」は、今年度までで計118点の製品・商品が表彰されたのを機に終了となりました。

 

 

 問⑥:この「大田のお土産100選」の第2弾として、異業種連携で生まれた製品などを取り扱う事も有効と考えますが区の見解をお伺いいたします。

 

 

答弁:産業経済部長

 「大田のお土産100選」では、これまでにも区内企業と大学がコラボレーションした商品・製品等、異業種連携から生まれたものが選定された実績がございます。また、本事業に選定された異分野の事業者同士がコラボレーションして、新たな商品等を生み出したという事例もございます。

 このように、異業種連携で生まれた商品等は話題性があることから、委員お話しの通り、区としても新たな取引機会の創出につながる可能性が高いと認識しております。

 「大田のお土産100選」については、募集・表彰については今年度で一旦終了し、来年度は、「OTA!いちおしグルメ」とともにPRに注力する予定です。

 「大田のお土産100選」の第2弾については、現時点では未定ではありますが、異業種連携による商品・製品開発等を通じて発信力のあるプロモーションを行うなど、区内の産業振興に資する効果的な広報手法について研究を重ねてまいります。

 

 

産業クラスター形成支援事業について伺います。

この事業の障がい者スポーツ用具製品開発は、2020年東京パラリンピック大会における車いすバスケット競技を目標に、大田区の中小企業と岐阜県の車いすメーカーとの共同開発を進めるもので、ものづくり産業の分野でも注目の事業です。

この支援事業の令和2年度予算は1,135万3千円で、前年度比-1,364万7千円、54.6%の減額となっており、その縮小理由には事業期間縮小のためと記されています。

 

 

 問⑦:そこで、障がい者スポーツ用具製品開発のスキームと減額となった経緯を伺います。また、この取組を通じて得た経験等を活かした今後の展望についても併せてお聞かせください。

 

 

答弁:産業経済部長

 この事業は東京都の「地域連携型障害者スポーツ用具開発促進事業補助金」を活用し、区内14企業が車いすメーカーと連携して、車いすメーカーが抱える技術的課題の解決や製品開発を通じて競技力の向上に努めるものです。

 東京都及び区の事業目的が、東京2020パラリンピック競技大会に向けたものであることから、令和2年度予算については、年度当初から競技大会の開催までを開発期間とし、この限られた期間において、大会での使用が見込まれる部品製作に注力することとしたため、予算的には昨年度と比べて減額となっております。

 今後の展望についてですが、今回の取組みを通じて、これまでに車いすバスケットボール用に開発した部品を、他の車いす競技用の車いすへ転用したいという引き合いも来ています。

 このようなニーズに応えるとともに、本事業を通じて確立した連携の枠組みを生かした取組みや、本事業を通じて得たノウハウを生かし、区内企業がこれから成長が見込まれる先端産業をはじめとする多様な産業分野へ挑戦できるよう引き続き支援してまいります。

 

 

産業振興の鍵は情報収集だと思います。今後も様々な庁内連携を密にして、新分野における産業振興に取り組んでいただきたいと要望いたします。

 

 

次に大田区の観光施策について伺います。

世界の玄関口羽田空港を有する大田区において、観光施策の充実による集客率の向上は、区内産業・商業の経済活動にダイレクトにつながる重要な取組みと考えます。

まず、先ほど新型コロナウイルス感染症に対する産業経済部の取組みを伺いましたが、観光・国際都市部としてはいかがでしょう。

 

 

 問⑧:新型コロナウイルス感染症の影響により、観光・国際都市部所管において中止となったイベントの数、及び感染拡大防止のため休館あるいは貸し出しを中止している施設の数、また所管部としての取組みをお伺いいたします。

 

 

答弁:観光・国際都市部長

 観光・国際都市部において中止したイベント数は、「中原街道を歩く歴史と散歩ツアー」、「おおたの文化フェア・イン・グランディオ」等の区主催事業を始め、スポーツ協会、文化振興協会、国際都市おおた協会等が主催する事業70イベント。

 休館している施設は、郷土博物館、勝海舟記念館など7施設、貸出を中止している施設は、大森スポーツセンター及び大田区民プラザのトレーニングルーム2施設。

 新型コロナウイルス感染症の経済への打撃は区内にも大きな影を落としており、ホテル宿泊人数の減など、観光分野にも大きな影響が出ている。

 現在、観光情報センターでは、新たなSNS発信用の観光プロモーション映像撮影や記事などの作成を進めている。

 この事態が少しでも収束した折には、これまで以上の区内施設のご利用やイベントへの参加、さらには観光振興のため、今できる準備・取組みをしっかり進めていく。(要旨)

 

感染症の収束が不透明な今、大田の地域資源を有効活用した賑わいを創出し、その情報を機を逃さずに発信する準備が重要と考えます。本区の観光に関する情報は、大田区公式観光サイト(Discover authentic(オーセンティック) Japan)やフェイスブック(Visit Ota-Tokyo)等を通じて国内外に向けて発信されています。

 

 

 問⑨:そこで現在、観光課が開設しているホームページ(Discover authentic Japan)の利用状況や、各種SNSの登録状況(フォロワー数)に対する区の見解をお伺いいたします。

 

 

答弁:観光・国際都市部長

 大田区公式観光サイトの利用状況は、直近半年間の平均閲覧者数は52,458件、平均ユーザー数は25,868件となっている。

 大田区公式観光フェイスブック「Visit Ota‐Tokyo」のページいいね!数については、2月末時点で9,861件となっている。

 検索エンジンの上位に表示されるようにターゲットを明確化したプロモーションの効果により、利用者数はどちらも順調に伸びているが、さらなる利用者増を目指し、区の魅力が伝わる工夫を重ねていく。(要旨)

 

 

ホームページのトップページにある「何をする?」からアウトドアを選択すると、いくつかの項目が表示されます。例えばその中の「東京都立城南島海浜公園」を選択すると、その公園の紹介が表示されますが、そこで楽しめるコンテンツについての記載やリンクも貼られていません。また、「1日かけて巡る大田区サイクリングルート」を選択すると、城南島から京浜島、そして穴守稲荷を経由するルートのみが紹介されていて、多摩川堤防や平和島周辺など他のルート紹介はありません。こういった不案内な個所がいくつか見受けられます。

また、折角多くの観光パンフが整っているにも関わらず、それらがリンクされていない状況も改善の必要性を感じています。

社会状況が不安定な時だからこそしっかり情報収集・整理を行い、大田区の魅力を力強く発信し、見えない旅行者を引き付ける仕掛けづくりが重要と考えます。

 

 

 問⑩:そこで伺います。ホームページや各種SNSを通じた情報発信について、区としてどのように取り組んでいくのかお示し願います。

 

 

 答弁:観光・国際都市部長

 現在は、新型コロナウイルス感染症の影響下にはあるが、長期間で捉えれば、羽田空港利用者並びに大田区内への来訪者は益々増加していくと見込まれている。

 ホームページやSNS等のメディアを活用した観光情報の発信は、区の認知度向上、来訪者誘致のために大変重要であると認識している。

 大田区公式観光サイト及びフェイスブックページでは、各媒体が持つ特色を十分に活かした情報発信を行い、連携したプロモーションを展開して、どちらも年々アクセス数が増加している。

 今後も、ユーザーの情報ニーズを把握し、必要な改善も行いながら内容の充実を図り、国内外に向けて区の魅力を最大限に発信し、誘客に努める。(要旨)

 

以上で、大田区議会公明党のしめくくり総括質疑を終了いたします。

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