大田区議会公明党の田村英樹です。令和元年決算特別委員会における総括質疑を行わせていただきます。

平成30年度の一般会計当初予算は2,787億7,647万円余、前年度比169億1,754万円、6.5%増と過去最大の予算規模となりました。その後、5次にわたる補正が行われ、補正後の一般会計予算現額は2,903億6,219万、当初予算に比べて115億8,572万円の増となりました。

一方で、不用額については、平成29年度の147億6,252万円に対し、平成30年度は119億654万円と減額となったものの、5次にわたる補正予算額と同程度となっていることは、その背景も含め検証していかなくてはならないと思います。

また、自主財源と依存財源の関係では、平成30年度は前年度と比較して良好であったように読み取れますが、新たな歳入の確保の取組みも検討を進めていただきたいと思います。

さて、監査委員の総括意見では、『平成30年度は「おおた未来プラン10年」の総仕上げの年にあたり、基本構想における将来像の実現に向けてこれまでの成果の検証と分析をするとともに、今後の区政の方向性を見定めてさらに区民福祉の向上を図っていくことが求められている。そのためには、国庫支出金・都支出金などの各種補助金制度を活用して引き続き財源確保に努めるとともに、収納率向上と未収対策の強化などに組織的かつ継続的に取り組む必要がある。」としています。

 

 

 問①:確実な財源の確保が求められるなかで、特に財政運営の自主性や強固たる財政基盤を築くためには特別区民税等の収納対策強化の取り組みなど、自主財源の増加が大変重要であると考えますが区の見解をお伺いいたします。

 

 答弁:企画経営部長

 区民サービスのより一層の向上に加え、今後の超高齢社会に伴う社会保障関係経費の増や、公共施設の改築経費など、様々な区政課題に対応するためには、着実な財源確保が必要です。

財政運営の自主性、安定性のためには、特に自主財源の確保は重要な課題であり、区は、これまでも、モバイルレジの導入など納付方法の充実を図りながら区税等の収納率向上に積極的に取り組んできたほか、ホームページのバナー広告等による広告収入事業の拡大や、勝海舟基金への寄附金募集におけるクレジット決済の導入といった様々な手法を活用し、財源の確保に努めてまいりました。

 今後も引き続き、収納対策の更なる強化や、新たな歳入確保の取り組みについて検討を進めつつ、既存事業の見直しや経常経費の節減、国や都の補助金確保等に努め、健全で持続可能な財政運営を進めてまいります。

 

次に、収納対策の強化の取り組みに加えて、適正な債権管理の取り組みについてお聞きいたします。収入未済額、不能欠損額の過去5年間の推移は減少傾向にあるものの、その額の縮減は歳入確保と負担の公平性の視点から重要な課題であり、今後も継続して取り組む必要があると考えます。

 

 

 問②:そこでこの債権管理について、これまでどのような取り組みを行ってきたか、債権管理の適正化に向けた区の見解をお伺いいたします。

 

答弁:企画経営部長

 区は、債権について、適切かつ効率的に徴収等を行い、徴収努力を尽くしても、なお、回収不能な債権については、不能欠損処分を行うこととしております。

 これまでの取り組みの具体例として、特別区民税の現年課税分について、納付勧奨の実施、分納管理の徹底、不履行者への早期催告、財産調査・差押えなどの早期未納対策により、収納強化を図っています。

 保育料では、毎月発生する現年度の未納分は、翌月に督促し、その後の滞納分を催告することや、電話による納付勧奨、在籍園との連携による納付勧奨など、早期の対応を行っています。

 同様に、住宅使用料、特別会計国民健康保険料等の担当部局においても、収納効果を高める取り組みを展開しています。

 また、現年分に加え、滞納繰越分についても、納付交渉を粘り強く行い、納付を促すとともに、財産調査の早期実施、面談による直接納付勧奨など、多角的に取り組むことが必要であると考えています。

 委員お話しのとおり、財源の確保、区民負担の公平性といった視点から収入未済額、不能欠損額を縮減させることは重要な課題であり、今後も引き続き、収納強化に取り組んでまいります。

 

さらに監査委員の意見では、「財政規律の観点から効率的・効果的な予算編成と執行に努め、区債や基金の適正な活用により、将来にわたり状況の変化にも柔軟に対応し得る強固な財政基盤を築くことが期待される」とされています。

公共施設の機能更新に係る経費、社会保障関係費の増大など、今後の膨大な財政需要が見込まれる中、私たちも特に「借金と貯金のバランス」を注視しているところであります。平成29年度末の積立基金残高は1,359億5,695万円、特別区債現在高は265億3,108万円、実質的な蓄えである財政基金は約650億円だったが、平成30年度末の基金残高は1,232億1,236万円、区債残高は239億2,017万円、実質的な蓄えは約660億円となっており、前年度比で約10億円蓄えることが出来ています。

 

 問③:このような状況について、区はどのように評価し、今後の見込みをどのように考えているのかお伺いいたします。

 

答弁:企画経営部長

 委員お話しのとおり、平成30年度末時点で、特別区債残高は、対前年比26億1千万円余りの減、積立基金の残高は、全体で1274千万円余りの減となる中で、財政基金は10億円の増加となり、平成30年度末の財政基金残高は、過去最高額の約660億円となりました。

 財政基金は、景気状況等に起因する歳入状況の変化による財源不足や、臨時的な財政支出に備えるためなど、使途に限定のない基金であり、安定した行財政運営に資するため、適切な基金残高を維持することが必要と考えております。

 一方で、特別区債は、着実に償還を進めているため、残高は毎年減少しており、平成30年度末の残高は、約239億円となっております。

 特別区債の発行につきましては、将来的な財政需要増のリスクに備え、発行余力を蓄えているところです。

 今後は、経済状況の先行きの不透明性、公共施設等の維持更新に要する経費、社会保障関係経費の増大が見込まれる中、区民サービスの向上と財政の健全化を両立させるよう、積立基金と区債発行のバランスに留意しながら、安定的で持続可能な行財政運営を行ってまいります。

 

増加する社会保障関連経費や公共施設整備計画におけるインフラ整備など、益々歳出の増加傾向が想定される中、今後の人口構造の変化、社会情勢、国や都の動向など長期的視点を持って、引き続き良好な財政運営に取り組んでいただきたいと要望し次の質問に移ります。

 

 

平成30年度の主要施策の成果を検証するべく、おおた未来プラン10年で掲げたいくつかの個別事業を紐解きながら、その進捗状況を整理・確認していきたいと思います。

まず、地域防災の取組みについていくつかの視点で質問をさせていただきます。

平成30年7月に実施された「大田区政に関する世論調査」の中で、「あなたの家庭で、大地震に備えて普段から行っていること」とする備蓄に関する問いに対し、家具の転倒防止・食料や水の準備に次いで、災害用(簡易)トイレの準備が22.6%と上位にあることに注目してみます。

 

 

 問④:まずお聞きします。大田区商店街連合会が取り扱っている防災用品あっせん販売にも3種類の簡易トイレが紹介されていますが、現在区が行っている区民への防災意識啓発事業において、簡易トイレの必要性をどのように発信しているか、またその反応はいかがなものでしょうか。

 

 答弁:危機管理室長

 災害発生直後から必要となる簡易トイレ等を普段から家庭で備蓄しておき、避難生活する際活用できると、心身の健康や衛生を保つ一助となります。

 過去の大規模災害時には、便器の破損や断水で物理的にトイレが使用できない事例や避難所等の仮設トイレの設置状況により、プライバシーが保たれにくいといった声がありました。また、排せつ物の処理の対応が十分ではないため感染症の発生が報告されています。

 区では、簡易トイレや携帯トイレを家庭で備蓄することにより、排せつ物の我慢による健康被害を防ぐことや要配慮者の生活環境を良好に保てることを、防災フェアや防災パンフレットなど様々な機会を通じて啓発しております。

 区民の皆さんの反応についてですが、備蓄は手軽にできて、住み慣れた自宅で使用でき、しかも、使用方法は簡単であるので、トイレの心配を解消できるとの意見を伺っております。

 

災害発災後、食料品や飲料の備蓄が無い状態でも、数時間は我慢できるかもしれませんが、尿意・便意は我慢することが出来ない生理現象であります。日本トイレ研究所の統計によると、地震発災後の6時間でトイレの必要性を訴えた率は、熊本地震では72.9%、東日本大震災では66.7%、阪神・淡路大震災では94.3%の方々が少なからず尿意・便意を訴えたそうです。さて一般的に、水栓トイレに必要な水量は、1970年代後半から販売された水洗トイレは13㍑が主流でしたが、その後に普及した節水型になって6~8㍑となり、現在の最新型に至っては3.8㍑の水量が必要と言われています。

 

 

 問⑤:発災の時間帯にもよりますが、例えば自宅での被災で、断水が発生した場合を想定すると、一人当たりの必要水量、また家族分の必要水量を確保するための取り組みについて、区はどのように啓発を行っていますでしょうか。

 

 答弁:危機管理室長

 大規模災害時の断水や上下水道の停止に伴う復旧には、一定の期間がかかることが想定されます。

 家庭内における飲料水や調理用水の備蓄については、一人一日三リットル、最低でも三日分、できれば1週間分の備えが必要であり、消費と補充を循環していく「ローリングストック法」が効果的であり、推奨しております。

 生活用水の備蓄については、家庭での取組みとして風呂水の汲み置きを、マンションや事業所などでは受水槽を活用することを勧めております。また、非常時の生活用水等への活用を目的としている区の「雨水貯留槽設置助成制度」を紹介しております。

 

 

 

学校避難所ではどうでしょう。大田区地域防災計画における時系列シミュレーションでは、ライフライン被害として上水道・管の被害等による断水率を67.9%、下水道・管きょの被害を30.3%と想定しています。その状況のなか、災害発災後3時間から6時間で災対教育総務部が各小中学校の被害状況調査や避難所の開設・運営支援を行うとされています。

 

 

問⑥:そこで、学校避難所や、避難所となる各公共施設において、トイレが使用可能かどうかの点検マニュアル有無、また、それに基づいた訓練状況をお知らせください。

 

 

 答弁:危機管理室長

 学校など、区の公共施設にあるトイレは、災害発生時には建物内の配管や下水道管、下水処理施設に被害が及ぶことが想定されるため、これらの設備の点検が終了するまでは使用することが出来ません。このため、まずは2階以上の水栓トイレの使用を全面禁止し、1階や屋外のトイレには簡易トイレを設置します。

 下水道の使用が可能なことを確認できたら、下水道直結式仮設トイレを設置することとしております。避難所の開設にあたる職員用マニュアルには、トイレに関する点検や使用上の事項について定めております。

 平成297月の職員防災訓練では、区内91か所の避難所で、マニュアルのチェックリストを用いた安全点検や災害時におけるトイレの開設訓練を実施し習熟に努めております。

 

 

 

大田区地域防災計画では、各学校避難所の避難者想定人数が示されており、小学校全体で86,300人、中学校全体では51,300人で、合計で最大137,600人の避難者受け入れを想定しています。

これに対し、各学校避難所に整備されている仮設トイレの基本的な台数は、4,000回対応の洋式トイレが1台と、7,000回対応の和式トイレが2台、そして下水道直結式仮設トイレが2台となっています。

また、今年度予算では、自動ラップ式トイレを学校避難所へ2台セットで導入するなど、学校避難所におけるトイレ環境に対する備えが充足されてきたように感じます。

 

 

 

 

 問⑦:そこで、学校避難所の受け入れ想定人数に対し、これまで整備を進めてきた備蓄トイレの状況、さらにガイドラインで示されている基準などから鑑みて、区の整備状況についてお伺いいたします。

 

 答弁:危機管理室長

 今まで学校防災備蓄倉庫には、洋式トイレ1台と和式トイレ2台、下水道直結式仮設トイレ2台、簡易便器17台を備蓄してきましたが、今年度、新たに自動ラップ式トイレ2台を配備し合計24台となりました。

 平成284月に内閣府が提示している「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」によると、トイレの設置台数は、災害発生当初は、避難者約50人あたり1台を目安としています。

 学校避難所1か所あたり約1,500人分の食料備蓄を行っており、これをもとにすると、1つの避難所に30台のトイレが必要になります。学校避難所などでは、壊れていないトイレの便座を活用することとしておりますので、ガイドラインの目安を概ね満たしていると考えております。

 

 

 

徳島県では平成29年3月、「徳島県災害時快適トイレ計画」を策定し、大規模自然災害に備え、携帯型・簡易型トイレの備蓄を県民に促すほか、県と市町村に司令塔を設置し、避難時におけるトイレの確保や衛生管理を図る体制を示しました。そこでは具体的な数として、県民に対し携帯・簡易トイレの備蓄を1週間分、自治会・地域組織・企業などにもそれぞれ備蓄の協力を行っています。

 

 

 問⑧:そこで本区においても、トイレ環境の行動計画の検討や携帯トイレの備蓄、また、防災週間・防災訓練等でノベルティー配布を行いながらの啓発活動も検討して頂きたいと考えますが区の見解をお伺いいたします。

 

 答弁:危機管理室長

 携帯や簡易トイレなど、様々な対応のトイレの備蓄をしていくことは、災害時に衛生面や区民の健康面から重要なことです。

 区では、総合防災訓練などの機会を活用し、携帯トイレなどの普及啓発ブースを設け、実際に手に取ってもらい、家庭で備蓄するよう働きかけております。

 委員お話しの携帯トイレの普及啓発のための、訓練参加者への配布については今後、研究してまいります。

 

 

 

防災に関連してもう1点、確認をさせていただきます。

昨年の7月、西日本一帯に大きな被害をもたらした豪雨災害では、多くの方が長期の避難生活を余儀なくされました。災害時における避難所の生活環境の整備が求められている中、政府も取り組み指針や避難所運営ガイドにより、その推進を図っているところと認識しています。

災害の発生直後の避難所では、備蓄の毛布などを床に敷いてしのぐとしても、3日~4日目頃からはマットやカーペット、1週間位には簡易ベッドや畳を敷き、間仕切りによって最低限のプライバシーの確保が期待されています。

被災者の避難生活の「質の向上」を目指すことは、避難所の運営のための支援を行う区の責務と考えます。

このような課題に対する有用な対策になり得(う)るものとして、「5日で5,000枚の約束」というプロジェクトがあります。これは、災害時に全国の畳店が協力し合って、被災地の避難所に新しい畳を無料で届けるというプロジェクトです。

全国の畳店が自ら手を挙げて「届ける枚数」を約束し、災害が発生すると加盟している約500店の畳店が畳を作成し、これを集めて迅速に届ける仕組みとなっています。これまでの主な実績として、熊本地震の際には熊本県内に約6,000枚、昨年の豪雨災害では岡山県内に約700枚を提供したと聞いています。

 

 

 

 問⑨:現在、都内でも渋谷区や台東区等でこのプロジェクトと協定を締結しているようですが、本区においてもこのようなプロジェクトを活用して、畳を出来るだけ早く被災者に届けられるようにしていくべきと考えますが、区の見解をお伺いいたします。

 

 答弁:危機管理室長

 避難所では、体育館などの固い床の上での生活を余儀なくされるため、避難生活が長期化するほど健康への影響が心配され、その後の生活再建を大きく阻害する要因となりかねません。

 こうしたことから区は、樹脂マットやカーペットを備蓄するとともに、簡易間仕切りシステムの優先供給協定を締結するなど、避難所の生活環境の整備に取り組んでまいりました。

 委員お話しの「5日で5,000枚の約束」は、全国の畳店有志による団体ですが、実際に畳を被災地に提供した実績があり、多くの自治体がすでに協定を結んでいると聞いております。

 また、昨年7月、豪雨災害の被災地である倉敷市真備地区の避難所においても、畳による避難所の生活環境改善の効果を確認しております。今後、避難所における畳の活用について検討してまいります。

 

 

防災関連の最後に、通電火災対策の一つとして効果のある感震ブレーカーについて質問させていただきます。

この度の台風15号の被害では、広域的な停電が続いた千葉県内で、電気が復旧した後に損傷した電気機器やコードからの漏電が原因とみられる建物火災、いわゆる「通電火災」が相次いで発生しました。

また、9月16日には雨の影響で漏電のリスクが高まったことから、地元消防などが広く注意を呼び掛けたと報道されました。通電火災を防ぐには、停電中に避難や買い物などで自宅を離れる際、まずはブレーカーを落とし、家電製品のコンセントを抜くなど、電源を切る必要があります。

今年5月の連合審査会では、かねてから私たち区議会公明党の重点要望でありました感震ブレーカー助成に関する質問に対し区は、「通電火災を防ぐためには感震ブレーカーの設置や啓発が重要であること」、その上で「災害時要配慮者の支援の一つとして感震ブレーカーの取付け助成制度を今後検討していく」旨のご答弁をいただきました。

 

 

 問⑩:そこで改めて、現時点での感震ブレーカーの助成制度の創設に向けた進捗状況についてお伺いいたします。

 

 答弁:危機管理室長

 現在、感震ブレーカー支給取付事業開始に向けて鋭意準備を進めています。

 一定の所得基準以下の高齢者や障がい者、介護が必要な方がいる世帯に対して、感震ブレーカーの支給取付を行うものです。当事業の申請をされる方については、避難行動要支援者名簿の登録につなげて支援充実を図るべく準備を進めております。

 感震ブレーカー支給取付事業は、今年中の開始を予定しております。

 

有難うございました。日々、地域防災の拡充を鋭意進めてくださっている区の取り組みに深く感謝申し上げます。

 

次に、区内中小企業支援や新産業創出の取り組みについて質問をさせていただきます。

羽田イノベーションシティの開発も本格的に進捗しているなか、今後の大田区の工業・産業振興にどのような効果をもたらしていくのか高い関心を示す声が多く寄せられています。

先日、区議会定例会の開会にあたり、松原区長のご挨拶の中にあった『羽田空港跡地第1ゾーンの第一期整備事業につきましては、東京オリンピック・パラリンピック競技大会前のまち開きに向け、順調に整備が進んでおります。引き続き、「新産業創造・発信拠点」の形成を目指し、公民連携のもとで取り組みを進めてまいります。』との言葉に、区内産業が持つ高いポテンシャルをさらに引き出し、着実に広げていく施策の展開を期待するところであります。

一方で、区内産業の今、そしてこれからの展望についてまだまだ不透明感が否めない中、相談対応や新たな取引先とのマッチングの他、事業承継の問題や設備投資等々の課題解消のためにも、一つ一つの企業に寄り添う、いわゆる伴走型の支援の充実を望むところであります。

 

 

 問⑪:平成30年度決算では、産業経済費の予算現額405,433万円余に対し、支出済額373,482万円余、不用額27,513万円余、執行率92.12%となっています。産業経済部と公益財団法人大田区産業振興協会を中心とした様々な団体とのネットワークで、多くの産業振興事業を推進しておりますが、区内中小企業の状況・不用額の背景などについて区の見解をお伺いいたします。

 

 答弁:産業経済部長

 ものづくり産業分野における区内企業の状況につきましては、様々な業態の企業が存在する中でも「減少基調にある受注への対応」「人手不足」「事業承継」などは、共通の課題であると認識しております。

 一方で、本区がものづくり中小企業にとって優位性ある操業環境が企業間に存在しており、こうした需要への対応も求められているところです。

 また商業分野におきましては、「売上の停滞・減少」「利幅の縮小」「人件費の増加・人手不足」などが、中小企業者及び個人事業主の共通課題となっております。

 なお、不用額発生の要因として、ものづくり分野においては、新製品・新技術開発支援事業など、産業振興協会及び助成先企業の創意工夫などにより、効率的な執行に努めたこと。商業分野では、天候悪化等によるイベント中止などもあり、執行率が低い事業が存在したこと等があげられます。

 区は平成30年度予算を執行するなかで、取引の拡大につながる機会の創出、ものづくり人材育成のための推進、企業誘致・留置活動や立地向け補助金の助成などに取り組んできたところです。さらに、都内最大の商店街数を数え、大田区商店街連合会をはじめとした多くの商業団体や商店街の様々な活動に対し、区は下支えをする役割を担っていると考えております。

 以上のことを念頭に、引き続き中小企業者の発展のため、効果的な事業執行に努めてまいります。

 

羽田イノベーションシティ開発を契機に、国際的なビジネス展開の起点をつくるための事業として、海外人材連携構築事業が実施されました。

所管委員会での事業報告では、『産業交流施設を核として、将来的に活躍し得る人材を発掘し、区内企業と海外企業、そして大田区と海外政府・自治体との連携を推進するために、海外の政府・自治体職員や技術者、また、訪日留学生等をターゲットにいたしまして、今後の大田区の産業経済活性化の観点から、大田区の商い力、商店街の集積、そして高度な技術力、また魅力ある文化などに触れる機会を提供いたしまして、大田区への評価を高める産業交流のプログラムを実施したいと考えている』とありました。

人と人、国と国との交流から見えてくる貴重な体験を集約し、次世代の大田区産業振興に繋げていく取り組みは非常に有効的であると思います。

 

 

 問⑫:そこで伺います。昨年度に4回実施されてきた本事業における主な成果についてお知らせ願います

 

 答弁:産業経済部長

 この事業は、委員お話しの通り、海外からの留学生を主な対象にして実施しており、昨年度実施した4回の事業では、28か国、128名の外国人留学生等が参加しました。参加者の皆さんには、大田区のものづくり技術の体験や、生活感溢れる商店街での区民の方との交流などを通じて、大田区の産業面の魅力を感じてもらいました。

 また、プログラム参加者には、大田区の製造業や商店街での現場体験を各自のSNSを活用して母国の友人や政府関係者等に向けて発信してもらい、区単独では難しい多様性に満ちた人脈をいかした情報発信を世界各地に行うことが出来ました。

 さらに、過去の参加者に対して区が行う産業振興関連のイベント等への参加を呼びかけ、実際に参加してもらうなど、事業終了後も関係性を保っており、人と人のつながりを通じて大田区のファン層が着実に広がっていることも成果であると認識しています。

 

 

 問⑬:ただ今のご答弁にあった通り、プログラムに参加された留学生たちが、日本の文化や産業の一端を情報としてSNSで発信していくことで、より多くの国・人・企業に繋がっていくことは非常に有効的であると考えますが、今後の課題、展開について区の見解をお伺いいたします。

 

 

 答弁:産業経済部長

 今後の課題とそれを踏まえた展開については、二つの視点から取り組みが必要と捉えています。

 一つは、地域でより具体的な成果を上げることです。そのためには、商業面では各商店街や個店におけるインバウンド客への対応力向上につながるノウハウを蓄積することが重要であり、ものづくりの面では実際に取引案件の創出や人材の確保などにつなげていくことを目指してまいります。

 もう一つは、情報発信の強化であり、大田区から世界に向けて発信される情報の量と質の両方を高めることです。そのためには、参加者 に対しても継続して関心が高い、タイムリーな情報を伝えて、それらを広めてもらえるよう工夫することが必要です。

 そのうえで、質的にも、海外にいる参加者の人脈に大田区の産業の魅力がわかりやすく伝わるようなコンテンツの工夫が必要であり、数多く発信されて広まった情報を把握、分析することで、より効果的な発信方法等を追求してまいります。

 

次に、戦略的産業クラスター形成パイロット事業について伺います。

本事業は、将来持続可能な成長が見込まれる次世代産業で、大田区のものづくり産業と親和性の高い分野を絞り込み、段階的に産業クラスターを形成することで、区内産業の技術力・対応力の向上を図るとし、主に3つの分野での産業クラスター形成を推進するとあります。

平成30年度は6つの企業・グループが採択され、5,982万円余が支出されました。この事業申請における審査方針で重視している点として「連携体制」「市場性」「地域貢献性」が挙げられておりますが、この点を価値的に磨いていくために、ただ単年度の事業支援で締めくくるのではなく、そのプロジェクトが継続して計画を推進していけるよう、引き続き、区や産業振興協会によるフォローアップも必要ではないかと考えます。

 

 

 問⑭:そこで伺います。本事業の平成30年度の支援内容と成果、また、見えてきた課題などについて区の見解をお伺いいします。

 

 答弁:産業経済部長

 本事業は、羽田イノベーションシティで展開される「ロボティクス」「次世代モビリティー」「ライフサイエンス・ヘルスケア」を主な分野として、区内産業の技術力、対応力の向上を図ることで、今後より成長が見込まれる産業分野での区内産業力強化を目指しております。事業実施の際は、テーマごとに大田区産業振興協会職員及びコーディネーターが適宜、相談対応や各種支援メニューの提供を行いました。

 30年度の成果として、「小型自立走行移動体の開発」や「眼科手術機器及びシミュレーターの開発」など、採択した6テーマにおいて、区内企業が大企業や大学等の研究機関とともに、研究開発型コンソーシアムを形成する端緒を開くことができたと判断しています。見えてきた課題としては、新産業創出のためには一定の期間が必要であり、開発段階に合わせた継続的な支援が必須であることがわかりました。また、空港跡地で展開される分野以外に、環境や新エネルギーなど、社会課題となっている分野も視野に入れるべきとの認識に至っております。

 産業クラスターを形成、定着させるためには、総合的な環境整備が重要であり、言い換えれば、産業クラスター政策は「産業のまちづくり」政策を推進することであるともいえます。

 今後は、抽出されたこれらの課題の解決に向け事業検証を踏まえた事業見直しを行い、大田区にふさわしい産業クラスターの形成に努め、課題解決型の新産業創出を促進する体制を構築してまいります。

 

新産業の分野も、これまでの区内ものづくり産業の分野も、その事業なり経営を安定させていくためには、取引拡大、受発注の活性化が大変重要と考えます。

先日、加工業を営む区内企業を訪問し、ものづくり産業界での課題やこれからの産業振興のあり方について様々なご意見を伺ってまいりました。

企業主いわく、これまでの受発注形態は、大手親企業からの直接発注が主であったが、その大手企業も海外展開となった近年では、現在大田区が促進している受発注拡大・マッチング事業の取組みは大変重要であるが、受発注それぞれの企業の特性を把握していかないとその価値が見い出せないのではとの事でした。

確かに、その企業が掲げる企業理念や社内環境、生産性等様々な状況を把握したうえで、より価値的・有効的にマッチングを仕掛けていかなくてはならないと思いますし、先ほどお示しいただいた海外人材連携構築事業、産業クラスター形成なども継続が難しくなるのではないかと思います。

そこで、産業経済部の部局重要事務事業に位置付けられている「取引拡大の支援事業」を推進するため、区内ものづくり企業の状況をつぶさに把握し、価値的にマッチングを仕掛けるディレクター的なセクションが必要と考えるところであります。

 

 

 問⑮:先般、羽田イノベーションシティにおける区施策活用スペース「(仮称)羽田研究開発ラボ」への入居希望者の募集が開始されました。新製品開発・受発注ネットワークの拠点として大きく期待されるこの機能と、これまで区内のものづくり企業支援の中枢を担ってきた産業プラザPIOとがしっかり連携することで、受発注マッチングを仕掛けるディレクター的な取り組みがさらに充実したものになると考えますが区の見解をお伺いいたします。

 

 答弁:産業経済部長

 羽田イノベーションシティの区施設活用スペースには、区内産業が有する高度な技術を求める企業を誘致する区画や、多様な研究開発に取り組む方が利用できる交流空間の区画などを設置する予定です。区では、跡地に多様な情報や人が集まるという機能を十分に生かして、集まる情報を適切に区内企業に提供するとともに、人と人を結びつけ、区内企業の取引機会の拡大を図ることを目指しています。

 これらを実現するためには、委員お話しのとおり、区内企業の状況をつぶさに把握するとともに、最適なマッチングを可能とする機能強化を図ることが何よりも重要であると考えております。現在、大田区産業プラザでは、区内ものづくり企業を中心に、ビジネス拡大の支援、企業と大学、研究機関との連携推進など、区内産業の活性化を目指した支援を展開しておりますが、こうした、いわゆるソフト支援の推進力となっているのが大田区産業振興協会です。

 そのため、跡地での情報や人を的確に産業プラザにつなげ、より価値の高い、効果的なマッチングの成立を実現するためには、産業振興協会が跡地の区施設活用スペースの運用に関与することで、跡地の情報と区内企業の情報を一元的に把握し、人と人も結び付ける機能を発揮することが望ましいと考えております。

 

羽田空港の有する国内外へのゲートウェイ機能を最大限に活用し、区内ものづくり企業の持続可能な成長を促進するために、産業基盤の構築を期待し次の質問に移ります。

 

次に、住民の暮らしを守る取り組みについていくつか質問をさせていただきます。

昨年9月30日の台風24号の影響で、大田区内においても倒木など約100件の被害が報告されました。翌朝、地域内を確認していたところ解体工事中の工場が、外壁が崩れ落ち、パイプ足場で組まれた養生は隣接する住宅にもたれ掛かるように倒壊している状況でありました。

近隣の通報で、直ちに警察により規制線が張られ、とりあえずの安全確保は出来たものの、この崩れ落ちた外壁は石綿含有材であることから、周辺住民の間で大きな問題となりました。

解体業者の企業主は日本人で、台風の後片付けに来た以降は殆ど解体現場には来られず、その後は外国人による作業が続けられていました。

建物解体において発注者の責務として、石綿等事前周知実施報告書の提出が定められていますが、残念ながら、現場周辺にお住まいの方に伺ったところ、解体の手順、飛散防止の措置などの説明はもちろん、そもそも石綿含有材の解体工事であることの説明は一切なく、数件に告知の紙がポスティングされたのみとの事でした。

 

 

 問⑯:建物解体工事の際には、「建設リサイクル法」並びに「大田区建築物の解体工事計画の事前周知と紛争予防に関する要綱」に基づき各種の届出書が提出されますが、区では年間、レベル1~レベル3についてどのくらいの申請を受け付け、その申請に対しどのような管理をしているのか。また、石綿等事前周知実施報告書に記載の説明の履行についてどのように確認をしているのかお示し願います。

 

 答弁:まちづくり推進部長

 解体工事に関する「建設リサイクル法」の届出は、年間約1,200件あり、「大田区解体要綱」の届出については、年間約200件あります。石綿の有無については、「建設リサイクル法」の届出時に、「大田区解体要綱」で定める「特定粉じん(石綿等)事前調査記録書」の届出により確認しております。この事前調査記録書による作業レベル1,2に該当する石綿の吹き付け材や保温材が使用されている建物の解体工事は、年約30件あります。

 また、作業レベル3に該当する石綿を含む形成材が使用されている建物の解体工事は、年間約400件あり、全て台帳管理を行っています。

 建物の階数が3階以上又は地下階があるもの、床面積が合計の500㎡以上の規模の解体工事の場合には、石綿の有無に係らず「大田区解体要綱」に基づき「事前周知報告書」の提出を求め、解体工事についての近隣住民への周知状況を確認しております。また、「石綿等事前周知実施報告書」については、作業レベル1,2に該当する解体工事の場合には、建物の規模に係らず提出を求めています。

 報告書に記載された解体現場周辺住民への説明状況については、説明範囲、配布資料及び説明内容について報告書提出時に確認しています。

 

この解体現場では、その後もパイプ足場と養生シートでの仮囲いのまま作業が続き、廃材をダンプに積み込む際には多くのガラが道路や個人宅の敷地に落ち、住民の不安も大きくなっていました。

区のホームページには、解体現場へ立入検査の実施について記載があります。そのまま読み上げます、『届出書・報告書が提出された解体等工事については、飛散防止計画等の内容を審査するとともに、法律で定める作業基準等及び条例で定める遵守(じゅんしゅ)事項等の実施状況を確認するため、法律第26条第1項、条例第152条第1項及び要領第8条第1項の規定に基づき工事現場に立入り検査を実施します。なお、必要に応じて複数回数の立入り検査を実施することがあります(要領第9条第1項)。

立入検査時には、区担当及び施工者(立会者)双方が要領で規定する「作業基準確認書」(要領第6号様式の2)に記載の事項について確認をします。』とあります。

 

 

 問⑰:そこで伺います。立入検査についての記載のとおり、各解体現場において区の担当者と施行者が調査及び確認の作業を行うことになりますが、その実施状況についてお示し願います。

 

 答弁:まちづくり推進部長

 建物に使用されている吹き付け石綿、保温材等の作業レベル1,2の解体現場については、「大気汚染防止法」、「環境確保条例」及び「大田区特定粉じん排出等作業事務取扱要領」に基づき、立入検査を実施し、石綿の除去作業等についての指導及び現場監視を行っています。また、作業レベル3の解体現場については、監察業務による現場巡回で標識の設置などを確認するとともに、必要に応じて施行者に作業手順などの指導を行っております。

 

本年6月23日の一般紙に、「アスベスト全件報告義務」との見出しで、環境省が2021年春の施行を目指し法改正の検討に入るとの記事が掲載されました。

改正による新たな仕組みでは、解体・改修する建物は全て事前に調査を行いアスベストの有無を自治体に報告し、報告を受けた自治体は、解体・改修現場に立ち入り検査を実施し、アスベストの飛散防止などの適切な対策が取られているかどうかを確認するなどの措置が検討されるとの事。

国の機関で検討が始まったばかりですが、実務量と人員のバランスから、区職員だけでは対応出来ない状況も想定し、区内業者への委託や助成制度など広く検討を進めていく必要があると思います。

 

 

 問⑱:地域住民の暮らしを守るため、国の動向を捉え、的確な対応を区に求めますが見解をお伺いいたします。

 

 答弁:まちづくり推進課長

 「大気汚染防止法」は、建物の解体や改修工事の際に事前調査を行い、建物に吹き付けるなどした石綿がある場合には、自治体に届出を行うことになっています。現在、国が検討している新たな仕組みでは、報告主である施工業者や発注者に事前調査の報告義務の徹底を求めていることや、自治体のチェック体制の構築の必要性などが検討されています。

 その一方で、中小の建設業者には調査の手間や金銭負担が重くのしかかり、事前調査の報告に及び腰にある可能性があるなどの懸念があるとの指摘もあります。区は、作業レベル1及び2の工事案件については全件調査をすでに実施しているところであり、本年度よりその他の解体工事案件についても必要に応じて現場確認や窓口での指導を特に強化しているところです。

 区は引き続き、国や関係機関の動向を注視し、解体工事等に関する課題を整理いたします。また、関係部局との情報共有及び連携を図りながら、窓口や現場指導をより強化することで、解体工事等における石綿被害の防止に向けた取組みを進め、地域住民の安全・安心な暮らしを守る対応に努めてまいります。

 

最後のお言葉にもありましたが、是非とも、地域住民の安全・安心な暮らしを守る対応の充実を要望させていただきます。

 

 

次に、区内の公共交通について伺います。

本年9月5日、京急本線の神奈川新町駅に隣接する「神奈川新町1号踏切」で列車とトラックの衝突事故が発生し、これにより、改めて鉄道環境の安全性を問う声が大きくなってきました。

そこで、区内鉄道事業者の駅のホームドア設置についていくつかお伺いいたします。

大田区は東京都と協調して補助を行い、1日の利用者数が10万人以上の駅であるJR大森駅と蒲田駅についてホームドア設置工事を推進してきており、去る9月23日にJR大森駅においていよいよ運用開始となりました。引き続きJR蒲田駅につきましても、本年11月の運用予定と伺っています。

また、交通臨海部活性化特別委員会でも報告がありましたが、8月9日から京急蒲田駅3番線及び6番線でホームドアの運用が開始されたとのことで、ターミナル駅の安全対策が着々と進んでいることを実感しています。

 

 

 問⑲:今、取り上げた駅以外についても、今年度はホームドア設置工事が進捗していると伺っておりますが、現状、大田区内駅におけるホームドアの整備状況について詳しくお示し願います。

 

 答弁:まちづくり推進課長

 委員お話しの通り、蒲田駅も今年11月頃に運用開始となる予定であり、利用者数が10万人以上である両駅においてホームドアが運用されることとなります。京急蒲田駅につきましては、空港線ホームの1番線、4番線及び本線ホームの3番線、6番線が運用開始しており、残る2番線、5番線については今年度中に固定柵の設置を予定しているとのことです。

 また、東急線についても、大井町線大岡山駅が413日から運用開始しているほか、北千束駅、東横線多摩川駅が今年度下期に完成予定とのことであります。この予定で進みますと、今年度末で区内43駅のうち、ホームドア及びセンサー付きホーム柵の整備駅は32駅になります。

 さらに、西馬込駅、馬込駅については、2023年度までに整備することとなっております。

 

これまで大田区議会公明党として、例えば視覚障害をお持ちの方がホーム上から転落するなどのリスクを抑止するためにも、その対策に有効なホームドア設置を進めるよう強く要望してきており、その整備が今年に入って大きく前進したことに対し、区の所管担当はじめ鉄道事業者の関係各位に深く感謝いたします。

しかし一方で、区内でもホームドアやセンサー付きホーム柵が未設置の駅がまだいくつかあります。

 

 

 問⑳:そこで、この未設置の駅について、現段階における整備計画や方向性について状況をお示し願います。

 

 答弁:まちづくり推進課長

 2023年度までに整備予定の都営浅草線2駅を除くと、平和島駅をはじめ京急線の9駅が未設置となっております。

 区は京急電鉄に対してこれまでも、駅の安全性向上の観点から全ての駅にホームドアを設置するよう働きかけておりますが、ホームドアが設置されているのは3駅に留まっております。

 

整備計画が未定の駅につきましても、より一層の取り組みが必要であると考えます。京浜急行線のホームドア設置についても、我が党の大橋武司議員が常に言及しており、直近では今年の3月の予算特別委員会の質疑において平和島駅やその他の駅への設置を要望しました。

こうした中、7月19日の都政新報で、東京都が駅のバリアフリー化に対する補助拡大を検討しているとの記事が掲載されたことから、今後の計画の具体化が望まれるところとなりました。

 

 

 問㉑:そこで、区内のホームドア未設置の駅に対して、今後大田区としてどのようにアプローチをしていくか、区の見解をお伺いいたします。

 

 答弁:まちづくり推進課長

 委員お話しの通り、残された駅についても、例えば優等列車の通過駅は危険であるなど、その必要性を認識しております。

 現在、東京都は「鉄道駅バリアフリーに関する優先整備の考え方」について検討しております。これまでは利用者が10万人以上の駅をホームドア等の整備の補助対象としておりましたが、利用者が10万人未満の駅に対しても都が優先整備の考え方を示し、補助対象を拡大・充実して整備の促進を図る方向で検討を進めております。

 都と協調補助を行っている区としましてもその動向に注視し、区内駅の安全対策に対する取組みを支援してまいります。

 

ここまで、より安全な建物解体と公共交通の整備について様々確認をさせていただきました。

 

次に、区立小中学校におけるICT教育の推進に伴う環境整備の進捗状況など2点質問をさせていただきます。

政府が掲げる教育分野での成長戦略と人材教育の重要性について「第3期教育振興基本計画」では、確かな学力のためのICT活用や、次期学習指導要綱によるプログラミング教育の推進が明示されており、これからの教育分野での幅広い情報化・デジタル化に伴う環境整備が求められていきます。

その一つとして、平成29年からの3ヵ年で、総務省「スマートスクール・プラットフォーム実証事業」及び、文部科学省「次世代学校支援モデル構築事業」を連携させた実証・検証が行われており、先日、この指定地域となった愛媛県西条市のICT環境の導入事例についてお話しを伺いました。

西条市は、ICTを活用したスマートシティー西条構想を計画。その中の教育分野では「学び方改革」・「働き方改革」を柱に掲げ、個別計画では6分野、①電子黒板&デジタル教科書類、②学習者&教師用タブレットPC、③校務支援&テレワークシステム、④バーチャルクラスルーム、⑤英語学習AIロボット、⑥優秀なICT支援員を紹介いただきました。

高セキュリティーのクラウド環境を構築することで、教職員間での参考資料の共有、情報交換、各授業でのタブレット端末の有効活用が図られるなど、どの計画も教職員の校務負担の軽減に繋がっていると伺いました。

 

 

 問㉒:そこで伺います。大田区教育委員会では、学校運営における様々な目的を達成するために各種システムが導入されています。このシステムのクラウド化によって、本区の校務用システム、教科用システムの両環境に共有ファイルサーバ機能を持たせることで、教員同士のネットワークによる研修や参考資料の共有等が可能となり大変効果的であると考えますがいかがでしょうか。またこの環境を構築する場合、どのような課題が挙げられるか区の見解をお伺いいたします。

 

 答弁:教育総務部長

 現在、区立小中学校には、児童生徒の個人情報や成績データなどを管理する「校務支援システム」通称シーホースや、電子黒板や授業支援ソフトを活用する際の「教科用システム」。そして、就学支援機能を持つ「学事システム」などを導入しています。

 委員お話しの西条市におけるクラウド化した共有ファイルサーバ機能の活用は、教員間の情報共有や教科用資料の共有化による授業準備の効率化や授業改善、分かりやすい授業の実践など、教育の質の向上や教員の働き方改革などに大きな効果が期待できると考えております。

 なお、西条市に比べ学校数で約2.5倍、児童生徒数で約5倍抱える大田区への導入に当たっては、費用対効果の検証の他、個人情報の管理などセキュリティー面の安全性、確実性やシステム運営の効率性、安全性に加え、講師を含め2,000名近い教員がシステムを有効的に活用できる技術的支援体制の構築など様々な課題が考えられます。

 引き続き、西条市など先進自治体の取り組みを研究するとともに、区の現状に最適、効果的なICT環境の整備を進め、教育の質の向上や教員の働き方改革に取り組んでまいります。

 

文部科学省は平成30年7月12日付けで、「第3期教育振興基本計画を踏まえた,新学習指導要領実施に向けての学校のICT環境整備の推進について」(通知)を公布しました。

これには、2020年度から実施される新学習指導要領において、情報活用能力を「学習の基盤となる資質・能力」と位置付けるとともに、「各学校において、コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図る」という国の整備方針が明記され、今後の学習活動においてより積極的にICTを活用することを求めています。

そこで、この新学習指導要領の実施を見据え、本区におけるICT環境整備について1点お聞きします。

 

 

 問㉓:「2018年度以降の学校におけるICT環境の整備方針」で示されている、①「学習者用コンピュータを3クラスに1クラス分程度の整備」、②指導者用コンピュータを、授業を担任する教師11台」、③大型提示装置・実物投影機を100%整備」とするなど、2022年度までの整備目標に対し、本区におけるこれまでの整備状況、並びに課題認識について区の見解をお伺いいたします。

 

 答弁:教育総務部長

 現在の区立小中学校におけるICT環境の整備状況ですが、大型提示装置いわゆる電子黒板につきましては、普通教室では100%、特別教室については概ね100%の整備状況となっています。また、指導者用コンピュータである教員用タブレット端末は、授業を担任する教師1人に1台の100%の整備状況となっています。

 一方、学習用コンピュータである児童・生徒用タブレット端末につきましては、現時点では小中学校の児童・生徒あたり5.5人に1台程度となっており、文部科学省の3クラスに1クラス程度という整備方針の状況には至っておりません。

 なお、今年度全国学力・学習状況調査結果によると、小学校におけるICT機器を「授業でほぼ毎日活用している」と答えた数値は、全国平均が37.1%、東京都平均が46.7%に対し、大田区では88.3%と倍以上授業に活用されている状況となっています。

 今後の課題といたしましては、先ずは未達成となっている児童・生徒用タブレット端末については、算数・数学のステップ学習など、学年で同時に授業をすることを見据え3クラスに1クラス分の配備を早期に実現することが必要であると考えています。

 今後も、ICT機器の活用による成果を見極めつつ、教育環境での更なる活用、整備を進めてまいります。

 

おおた教育ビジョンのテーマである「豊かな人間性をはぐくみ、未来を創る力を育てる」に込められた教育委員会の思いを共有し、未来に羽ばたく子どもたちの成長をしっかりと支援していきたいと考えます。

以上で総括質疑を終了いたします。

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