決算特別委員会 特殊詐欺について質疑
決算特別委員会、審査第2日の10/1(月)の款別質疑「総務費」において、特殊詐欺について質疑いたしました。
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大田区の平成30年の8月末までの特殊詐欺被害総額は約3億5,500万円。
本年6月の時点で昨年1年間の被害総額約2億8,000万円をすでに超えており、被害者の91.8%が詐欺の電話がかかってきても 騙されないと思っていたとのことです。
防災に備えるのと同様に、詐欺に対しても備えが必要であり、高齢者だけでなく、全世代に向けて、あらゆる分野に対して、特殊詐欺防止の普及啓発活動を進めるよう訴えました。
質疑の詳細を以下の通りご紹介いたします。
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大田区議会公明党の玉川英俊でございます。
9月19日、東京国際フォーラムで開催された、「2018“よい仕事おこし”フェア」に足を運んでまいりました。
「信用金庫による地方創生!日本を明るく元気に!」とのタイトルで、全国から500を超える企業や団体が展示ブースを並べて、交流を深め、絆を結ぶ、信用金庫主催の社会貢献フェアです。
東日本大震災をきっかけに始められたフェアで、今年で8回目の開催となります。
「被災地復興応援」をメインテーマに、「地域連携」、「地域創生」をサブテーマとして、地域経済の活力を取り戻し、日本を明るく元気にすることを目指し、全国47都道府県の212もの信用金庫から協賛を得て開催されたもので大田区産業振興協会をはじめ、大田区の企業も数多く出展されていました。
フェアのスペシャルプログラムとして、「平成30年7月豪雨」、「台風第21号」、「北海道胆振東部地震」災害に見舞われた西日本各地や北海道の被災地の復興支援を目的とするステージが有名なアーティストなどを迎えて盛大に行われている中、大変に興味をそそられるイベントステージプログラムがありました。
それは、警視庁犯罪抑止対策本部による特殊詐欺撲滅を訴えるトークショーで、そのタイトルは、「もうダマされないぞ~詐欺への備えはお済みですか~」 といったものでした。
わたしたちの生命や財産、生活環境を無情にも奪っていく自然災害に対する防災・減災の備え、心構えといったものは、これまでの数々の情報発信や経験から、今では多くの人が意識を持つようになり、ご家庭や個人のレベルでも、さまざま取り組みがされるようになったことと思いますが、全国でここ数年、それまで蓄えてきた財産が奪われる被害が発生し続けている「特殊詐欺」、一生懸命働いてコツコツと貯めた大切な財産を一瞬で奪い取るばかりか、家族の絆も引き裂いてしまう卑劣な犯罪である「詐欺」というものに対して、「どのような備え」をしているのか。
このトークショーを通じて、「いつどこで発生してもおかしくない」という自然災害と同じように、「詐欺」というものも「いつどこで発生してもおかしくない」、「いつ誰がダマされてもおかしくない」という考えを持ち、その備え、心の準備をすべきだということを学びました。
また、息子を名乗る電話で詐欺被害に遭いそうになったという近隣の方の声も含めて、特殊詐欺に関する質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
警視庁犯罪抑止対策本部によるトークショーでの斉藤実 警視庁副総監のお話では、「全国的には特殊詐欺の被害は減少しているものの、残念ながら都内では、昨年から大幅に被害件数も被害額も増加しており、神奈川も同様で、首都圏が狙われている」とのことです。
そして、都内の平成30年度上半期の被害状況は、認知件数:2,037件、被害総額:44億6,000万円、平均被害額:239万円とのことでした。
つい最近の特殊詐欺被害の報道では、神奈川県平塚市におきまして、80代の女性が手渡し型の特殊詐欺被害に遭い、現金計1,900万円をダマし取られたとのことです。
女性宅へ女性の親族を名乗る男から「仮想通貨をやって利益が出たので、お金を振り込みたい」と電話があり、その後、仮想通貨取引会社社員、弁護士、国税庁職員を装う男らが加わり、「税金の滞納があるので至急支払ってください」、「弁護士事務所の者がお金を取りに行く」などと電話で次々と嘘を言われ、10日間で3回にわたって自宅近くに現れた弁護士事務所職員を名乗る男らに現金を手渡し、計1,900万円をダマし取られたとのことです。
女性は、3回目の手渡しの後に親族を名乗る男と連絡が取れなくなり、ダマされていると気づいて警察署に相談し事件が発覚しました。犯行にかかわった男らは計8人とみられるということです。
大田区におきましても、5月に70代女性が、三男を名乗る男から「かばんを忘れた」、「横領とかになる」との電話を受け、女性は自宅近くの路上などで、三男の会社関係者を名乗る男らに7回にわたり8,200万円を取られる被害に遭われました。
受け取ったのは7回とも別の男でスーツ姿、いずれも20歳ぐらいとみられるとのことです。
さらに6月にも大田区で80代女性が800万円の特殊詐欺の被害に遭われたとの新聞報道がなされておりますが、
(質問①)
本年の都内、そして大田区の特殊詐欺被害の状況についてお伺いいたします。
(回答①:生活安全担当課長)
都内の被害状況は、8月末現在、認知件数は2,678件、被害金額は、約60億4,800万円となっております。
区においては認知件数は108件、被害金額は、約3億5,500万円で、本年6月の時点で昨年1年間の被害総額約2億8,000万円をすでに超えている状況です。
(質問②)
6月末の段階で、昨年1年間の被害総額をすでに超えているとのことですが、特殊詐欺の被害額が増えている原因は、何であると分析されていますでしょうか。お聞かせください。
(回答②:生活安全担当課長)
委員お話しのとおり、5月に70歳代の女性が、8,200万円の特殊詐欺被害に遭われております。
この他にも、一人の方で、高額の被害に遭われている被害者が複数おりますことが原因で、被害件数に比べて、被害額が大幅に増えていると考えております。
特殊詐欺は、これだけ報道され、世間に認知されているにもかかわらず、被害に遭ってしまわれる人がいるのはなぜなのだろうか。そのような手口の特殊詐欺があることすら知らないといった人は果たしているのだろうかと、疑問に思わずにいられないのですが、
(質問③)
犯人はどの様な手段で被害者に接触してくるのでしょうか。また、どの様な方が被害に遭われてしまっているのでしょうか、お伺いいたします。
(回答③:生活安全担当課長)
オレオレ詐欺、還付金詐欺被害の犯人からの電話の99%は自宅の固定電話にかかっております。
したがいまして、昼間、在宅していて電話に出る方が被害者になってしまいます。
また、被害に遭われる方の傾向ですが、被害者の93%が70歳以上、うち89%が女性の被害者となります。
そして、被害者の91.8%が詐欺の電話がかかってきてもダマされないと思っていたとの分析がございます。
自宅の固定電話に息子を名乗る電話が来たという近隣の方の話では、最初に電話の声を聞いた時に「これは自分の息子ではない」、「これは特殊詐欺だ」とすぐに気付いたとのことです。
「声がいつもと違う」、「あなたは私の息子ではない」と言い返したものの、「風邪気味で喉の調子が悪い」と言われ、さらに「フルーツを家に送るから」と言ってきたそうです。
このとき、何か変なものを自宅に送られては困ると思ったそうで、さらに「住所はどこだったっけ?」と聞いてきたことに対して、思わず自宅の住所を言ってしまったとのことです。
「自分の息子ではない」、「これはウソの電話だ」とわかっていたにもかかわらず、自宅の住所を言ってしまった、言わされてしまったとのことです。
その後すぐに警察に電話をして相談したかったのですが、続けて固定電話に郵便局員を名乗る男から電話がかかってきて、こちらからすぐに警察に電話をかけることができない状況になったとのことです。
つまり、犯人たちに電話をかけさせない状況を作られてしまったとのことです。
その方は、すぐに近所の友だちの家に駆け込み、そこから警察に電話をして詐欺に遭うことはなく、無事に済んだとのことです。
先ほどの答弁で、被害者の91.8%が詐欺の電話がかかってきてもダマされないと思っていたとの分析結果がありましたが、詐欺だとわかってダマされないようにと対応しても、このような手口で言葉巧みに操られてしまう恐れがあるものだと感じました。
(質問④)
区民を特殊詐欺被害から守ること、区民の財産を守ることは重要な課題と考えますが、これまでの本区の特殊詐欺被害防止への取り組み状況についてお聞かせください。
(回答④:生活安全担当課長)
区ではここ数ヶ月急増する被害を抑止するため、現在、庁内の関係所属や警察、関係機関と連携して「特殊詐欺に対する緊急対策」を実施しております。
特殊詐欺撲滅のための啓発活動として、区施設へののぼり旗等の設置をはじめ、区設掲示板や駅へのポスターの掲示など、対策を「点」から「線」、「線」から「面」となっていく様に被害防止の啓発を強力に推進しております。
また、特殊詐欺被害防止に効果の高い「自動通話録音機」の貸与事業ですが、本庁舎や警察署での受付に加え、区内の防犯イベントにおいて、出張受付ブースを設けるなど、積極的な取り組みを進めております。
その結果、8月末の時点で、平成28年度からの合計で約3,500台の貸与につなげております。
先ほど紹介しました特殊詐欺に遭いそうになった女性の方は、その後、警察のすすめで、自動通話録音機を設置することになったとのことですが、
(質問⑤)
平成28年度から合計で約3,500台の貸与につなげているという、自動通話録音機の機能について、具体的にどのようなものなのかお聞かせください。
(回答⑤:生活安全担当課長)
自動通話録音機は着信時の会話を自動録音し、会話内容を再生できる装置です。
電話着信の呼び出し音が鳴る前に、「この通話は振り込め詐欺・被害防止のため、自動録音されます。」と、電話の相手方に警告メッセージが流れます。
会話が録音されれば証拠が残ることになるため、犯人にとっては脅威となります。
犯人は警告メッセージが流れた時点で電話を切るため、犯人と会話をせずに済むなど、非常に高い被害防止効果があります。
自動通話録音機を設置された先ほどの女性の話では、今まで対応するのが面倒だった売り込みと思われる電話がかかってきても、案内が流れると、そこで電話は切られるとのことで、とても役に立っているとの感想もありました。
(質問⑥)
この自動通話録音機を設置することで実際にどれほどの効果があるのでしょうか。お聞かせください。
(回答⑥:生活安全担当課長)
自動通話録音機の設置の効果でございますが、犯人はさまざまな手口を使い、言葉巧みにダマしてくることから、犯人からの電話に出てしまうと被害に遭ってしまいます。
そこで、電話に出ない、ナンバーディスプレイや留守番電話機能で、相手を確認してから電話に出ることが対策として効果的です。
警察の調べでは、自動通話録音機を設置したご家庭では、現在のところ被害が出ていないという結果になっております。
ほとんどが自宅への固定電話で詐欺に遭っているとのことですので、犯人からの電話に出なければ、そもそも詐欺に遭わなくて済むことになります。
泥棒に入られないように戸締りをして出かけるのと同じように、犯人からの電話に出ないという環境を作っていくことが大事であると思います。
設置後に特殊詐欺の被害が出ていないという被害防止に効果の高い、自動通話録音機の普及にさらに努めて行くことを強く要望いたします。
(質問⑦)
基本的な確認ですが、もしも「この電話の相手はニセモノだ。詐欺の電話に違いない」とわかったときには、どのような対応をすれば良いものなのでしょうか。
警察へ連絡と言っても、近所の交番なのか、警察署へ連絡なのか。いかがでしょうか。
(回答⑦:生活安全担当課長)
自宅の固定電話に息子などを名乗る電話がかかってきた場合には、犯人の手口は巧妙かつ悪質で、警察に連絡をさせないように誘導しながらダマし続けます。
詐欺の電話と見破った時点で、犯人との通話を打ち切り、決して個人で対応することなく、迷わず110番通報をしていただくことが有効な手段です。
警察は犯人検挙に向けた捜査をするだけではなく、被害を防止するための措置を講じていただけると確認しております。そのため、できるだけ早い対応が重要になり ます。
(質問⑧)
7月5日には、大田文化の森で「特殊詐欺根絶イベントin大田」といったイベントが開催されました。三遊亭小遊三さんによる落語で、詐欺手口や対策の紹介をはじめ、実演劇やクイズなどで特殊詐欺の被害に遭われる方を一人でも少なくしようといった取り組みがされたようですが、このイベントに関する感想をお聞かせください。
(回答⑧:生活安全担当課長)
このイベントは、東京都との連携により開催したものであり、当日は満席で立ち見が出るほど盛況でした。
イベント来場者の9割が60歳以上、うち7割が女性であり、被害に遭われる方の年代に合致しておりました。
また、来場者に確認したところ、特殊詐欺に遭わないための対策を講じているかについては、自動通話録音機の設置や留守番電話設定をしているという声はありましたが、一番多く聴こえてきたのが「今まで特に対策は講じてこなかった。」というものでした。
この結果を受けまして、来場者の年代等を的確に把握した上で、特殊詐欺の危険性を知っていただき、来場者自身に意識改革をしていただけるような内容で開催しなければならないとの認識を新たにいたしました。
(質問⑨)
これらの各種啓発活動を行うことによって、区としてどの様な効果を期待しているのでしょうか。
(回答⑨:生活安全担当課長)
各種啓発活動や自動通話録音機の普及を強力に推進することは、特殊詐欺撲滅に向けた区の取り組み姿勢を示すことにつながり、それを肌で感じた区民のみなさまの防犯意識に大きな影響があると考えております。
先ほど答弁させていただきました特殊詐欺に対する緊急対策における「のぼり旗の設置」や「ポスターの掲示」などにつきましても、次の三つの効果のもと実施しております。
一つ目は、被害に遭いそうな人が被害に気づく、また、被害に遭わないように気をつける効果、「被害未然防止効果」です。
二つ目は、犯人が区の取り組み状況を見て犯行を断念する、また、犯行場所として避ける効果、「犯罪抑止効果」です。
三つ目は、設置、掲示している区職員、区民自身が、常に特殊詐欺のことを考えて行動することにより、被害防止の機運が高まる効果、「犯罪被害に向けた見守り効果」になります。
この様なあらゆる効果を最大限に発揮すべく対策を継続してまいります。
先日、高齢者施設「ゆうゆうくらぶ」に足を運んだ際に、特殊詐欺の注意を促すチラシを目にしました。確かに狙われる対象は高齢者が多いことと思いますが、その特殊詐欺の背景にはニセモノの息子、家族などが現れるわけです。
高齢者に限らず、幅広い世代、孫の世代などへの普及啓発が必要ではないでしょうか。
9月14日、俳優の杉良太郎さん、歌手の伍代夏子さん夫妻をはじめ、ダンスボーカルユニットのw-inds(ウィンズ)、女優の川栄李奈さんなど、11人の芸能人が、「ストップ・オレオレ詐欺47~家族の絆作戦(略称SOS47)」という詐欺予防プロジェクトチームを発足されました。
そして、そのチーム発足の報告で、国家公安委員会に小此木八郎国家公安委員長を表敬訪問されたとの報道がありました。
これは、被害件数が減らないオレオレ詐欺など特殊詐欺を、家族の絆を再認識しながら全国47都道府県で減らしていこうという試みで、杉良太郎さんがさまざまな世代に影響力のある芸能人に声をかけて、賛同した芸能人によって結成されたものであります。
この表敬訪問での若い芸能人のメンバーの挨拶を一部紹介させていただきます。
「自分は被害に遭わないと思っている人たちとコミュニケーションをとって情報を共有して詐欺にひっかからないようにしていきたい」
「自分の身近な人たちが被害にあって悲しい思いをするのを想像すると、許せない行為だと第一に感じる」、「僕たちの活動を通して、『絆』というキーワードを広めていきたい」
「一人暮らしをしていて、年が経つごとに家族の声を直接聞く機会が減ってきているので、もっと家族とのコミュニケーションを増やして、詐欺の予防のための約束事を決めておくなど、親からの発信ではなく、私から発信していきたい」
「SNSで身内や家族との交流を済ませてしまっている若い世代に意識してもらいたい」
「世の中のおじいちゃん、おばあちゃんたちが、孫や娘や自分のためなのかわからないけど、一生懸命貯めたお金をポンともっていってしまう人がいることは許せないし、どう考えてもあり得ない、無くさなければならない」
「自分のおばあちゃんも詐欺に引っ掛かりそうになったことがあり、決して他人ごとではない。若い人からお年寄りまで、意識の片隅にでも置いてもらいたい」
といったものでありました。
この「ストップ・オレオレ詐欺47~家族の絆作戦~」では、コマーシャル、SNS、イベントなどを通じて「家族の絆」を深め、特殊詐欺防止を行っていくとのことで、特に若い世代のメンバーからの情報発信が注目されるものと思われますが、
(質問⑩)
大田区も全世代に向けて、あらゆる分野に対して、特殊詐欺防止の活動の幅を広げていってはいかがでしょうか。本区の見解をお聞かせください。
(回答⑩:生活安全担当課長)
委員お話しのとおり、特殊詐欺は、被害に遭われることの多い高齢者だけの問題ではありません。
組織化している犯人グループに対応すべく、社会全体で立ち向かわなければなりません。
多額被害に遭った高齢者は、さまざまな手段で何度も資金を調達して、路上などにおいて、犯人に複数回にわたり現金を手渡しています。
周囲の人たちが気づいてあげられるような地域社会を作っていくことが重要であると考えます。
区といたしましても、高齢者を取り巻く、家族、子ども、孫など、若い世代に対する啓発活動も鋭意推進してまいります。
昨日も「ビートたけしのTVタックル」というテレビ番組で、特殊詐欺の最新の悪質手口が特集で放送されていました。
その中で、ATMを操作してお金を出す「出し子」や現金やカードなどを受け取りに行く「受け子」という特殊詐欺の一員をさせる「裏バイト」なるものを、若者や主婦などに言葉巧みに勧誘する実態も紹介されていました。
多額な詐欺被害に遭う高齢者を守るだけでなく、若者や主婦などを詐欺の加害者側にさせないことにも力を入れていく必要があると思います。
そのためにも全世代へ向けて、家族の絆、地域の絆を深めて、特殊詐欺の被害者も加害者も出させない地域社会にしていく、「ダマされない詐欺への備え」のできる啓発活動の推進を強く要望いたしまして、大田区議会公明党、玉川英俊の質問を終了させていただきます。ありがとうございました。