平成29年 第4回定例会 代表質問⑧
※タイトルクリックで、Youtube動画が見れます!
最後に、子どもたちのいじめの問題について質問します。
文部科学省によると、平成28年度に全国で32万3808件のいじめが認知され、過去最多を記録したとのことです。
教員がいじめを見逃さないように普段から気をつかっていたとしても、悪ふざけなどとの見極めは難しく、子どもたちへの声掛けなども積極的に行っていても、「授業や学校行事の準備、保護者への対応などで、児童・生徒一人一人と向き合うには時間が足りない」のが実情だといいます。
文部科学省は、子どもの相談体制の充実へ小中学校へのスクールカウンセラー配置を進めてきましたが、非常勤のカウンセラーに対して、子どもたちが常に相談できる体制ではなく、いじめに悩む子どもたちの受け皿として、電話相談窓口「24時間子どもSOSダイヤル」を設けたことで、平成28年度は約4万件もの相談が寄せられたとのことです。
しかし、それでも、いじめを早期に発見する対策としては、まだまだ十分とは言えないのが現状であります。
そこで、いじめの早期発見・解決へ向けて、LINEなどのSNSを通じた、いじめの相談体制の構築の実現を目指して、今年の7月より、文部科学省で有識者による「ワーキンググループ」の会合が開かれ検討を始められました。
最近の子どもや若者世代でのコミュニケーションツールは、電話といった音声通話よりもSNSの活用が圧倒的に多くなっています。
平成28年度の総務省の調査によると、10代が平日に携帯電話で通話をする時間は平均で2.7分にすぎませんが、SNSを利用する時間は平均58.9分にも上るとのことです。
今年9月、長野県で全国初となる中高生を対象にしたLINEでの自殺・いじめ相談事業が試行されました。
長野県では、未成年の自殺死亡率が全国で最も高く、このため、いじめに悩む中高生への対策を検討しており、いじめ相談にSNSの活用を求める提言などがきっかけとなり、長野県とLINE株式会社とで連携協定が締結されました。
LINEアカウント「ひとりで悩まないで@長野」を開設し、県内の全中高生約12万人に、学校を通じて案内資料・登録を促すQRコードを配布したところ、約3800人が登録されたとのことです。
試行内容は、登録した中高生が「悩んでます」といったメッセージを送ると、相談員(カウンセラー)が「どうしたの?」との返事をして、アドバイスをするといったものです。
また、LINE上でどのようないじめを受けたかについて、その画面を写真の形で保存・送信できるスマートフォンの機能を使えば簡単に知らせることができるわけです。
9月10日から23日までの2週間、午後5時から夜9時までの時間帯で相談を受け付けたところ、1579件のアクセスがあり、547件の相談に応じたとのことです。
前年度の電話相談は259件であり、たったの2週間で電話相談1年分を大きく上回る件数になりました。
長野県教育委員会、心の支援課の課長も「予想以上の相談件数に驚いた」と語っており、現在、結果を分析中とのことであります。
滋賀県大津市においても、この11月から来年の3月まで、LINEでのいじめ相談を行うとのことですが、
(質問⑲8-1)
子どもたちの悩みが気軽に相談できるような環境の整備として、SNSやスマートフォンのアプリを活用した いじめや悩み事の相談窓口についてどのようにお考えでしょうか。
本区の見解をお聞かせください。
また、東京都教育委員会では、児童・生徒がいじめについて気軽に相談でき、SNSに関するトラブルなどに対しても適切な対応ができるよう「考えよう!いじめ・SNS@Tokyo」とのウェブサイトを本年3月に開設いたしました。
子どもたちの悩みに応えるスマートフォン向けのアプリをはじめ、簡単なストレスチェックができる「こころ空模様チェック」、いじめや、SNSについて8つの物語を通して考える「こころストーリー」、SNSのルールを登録して、通知でルールを思い出すことができる「SNSルールリマインダー」といったものがあります。
さらに子どもたちだけではなく、学校関係者向けには、学校の授業での活用を想定した案内やいじめ対策に関する参考資料、保護者向けには、いじめの問題やSNSについて子どもと一緒に考えることの大切さなどが紹介されています。
(質問⑳8-2)
このような子どもたちの悩みに応えるスマートフォン向けのアプリやウェブサイトが東京都教育委員会で開設されておりますが、大田区の子どもたち、そして保護者のみなさんへの啓発状況はいかがでしょうか。
その取り組み状況についてお聞かせください。
子どもたちが気軽に相談できる環境の整備につきまして、国や東京都の取り組み事例を挙げさせていただきましたが、本区では、これまでも我が会派の勝亦議員や田村議員をはじめ、いじめの問題について議会で提案させていただき、「いじめ相談ホットライン」が記されたカードの配布や保護者に対しての相談窓口の啓発など、さまざま形となって取り組みが進められています。
さらに、悩みを抱える児童・生徒が、より受け入れやすく、電話やメールで気軽に相談に踏み込めるよう、子どもたちに大人気の「はねぴょん」を使った啓発方法もあるのではないかとの昨年の第4回定例会での代表質問での提案に対し、大田区立教育センター教育相談室にある、子ども電話相談の電話番号の表記と、心の輪メール相談にアクセスできるQRコードが印刷された「はねぴょんキーホルダー」が作成されました。ありがとうございます。
これは、今年の夏休みの前までに大田区内の児童・生徒に配布されたとのことですが、
(質問(21)8-3)
この「はねぴょんキーホルダー」の配布状況と配布後の反応、そして相談実績など、その評価についてお聞かせください。
津村教育長の答弁
<回答⑲8-1:津村教育長>
まず、SNSやスマートフォンのアプリを活用した相談体制の構築についてのご質問ですが、
いじめや悩みの相談体制は子どもが気軽にアクセスでき、即答性があり、信頼のおける相談相手であることなどが求められます。
スマートフォンやSNSが子どもたちに急速に浸透し、当たり前のコミュニケーション手段になりつつある現在、その現状を踏まえた相談体制の構築についても、今後考えていかなければならない課題と捉えております。
議員ご指摘のとおり、国においてSNSの活用について検討が始められており、また、他の自治体において試行が開始されている状況にあることから、それらの検討状況、試行結果で見出された課題などを踏まえ、今後、より効果的な相談体制の構築に向け検討を重ねてまいります。
<回答⑳8-2:津村教育長>
議員のお話のスマートフォン向けのアプリは、子どもたちがいじめを防止するために主体的に行動できるよう促すとともに、心配な状況があれば、すぐに相談機関にアクセスできるもので、子どもの関心を引きやすく、いじめの早期解決に効果的であると考えております。
大田区教育委員会では、本年5月に区の子どもメール相談や東京都いじめ相談ホットライン等の複数の相談窓口とともに、このアプリについても周知をいたしました。
これらの啓発は、万一の際に子どもたちが思い起こせるよう、繰り返し周知を図ることが重要でございます。
今後も長期休業前等の時期を捉えて、繰り返し周知を図って、いじめや悩み事に適切に対応できるよう努力を重ねてまいります。
<回答(21)8-3:津村教育長>
学校では教員やスクールカウンセラーが、日ごろから子どもたちの様子に注意を払い、相談を受けるとともに、教育センターにおいて電話や電子メールによる相談を行ってまいりました。
このたび、子どもや保護者に対し、安心して相談できる体制が学校以外にもあることをより効果的に周知することが必要であると考え、相談窓口の電話番号と電子メールアドレスにアクセスできるQRコードが印刷されたキーホルダーを区立学校の全児童・生徒に配布をいたしました。
その結果、平成28年度に9件だった電話相談が、平成29年10月末現在57件と6倍以上に増加し、電子メールによる相談は、同じく5件から61件と大きく増加をいたしました。
寄せられた相談の中には、生徒同士のトラブルで悩んでいるという相談や意地悪をされている友達への対応の仕方についての相談などが寄せられておりまして、子どもたちへの相談窓口の周知や悩みの解決に効果を上げることができております。
今後とも、児童・生徒が相談しやすい体制づくりに積極的に取り組んでまいります。
以上、部局間連携で新たな力を発揮し、大田区の地域資源を生かし、みなで支え合い、励まし合い、伸ばし合い、共に成長し、すべての人の笑顔が輝く、やさしいまち、「国際都市おおた」へと進んでいくことを願いまして、大田区議会公明党の代表質問を終了させていただきます。
ありがとうございました。