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バックナンバー 2018年 2月 16日

Q4(総合区制度における人口一人当たりの裁量経費、歳入に占める裁量経費の割合)

総合区制度は、大阪市が存続することから、大阪市における人口一人当たりの裁量経費、歳入に占める裁量経費の割合はどうか。

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A4(副首都推進局財政調整担当課長)

現行の大阪市の裁量経費を特別区の場合に概ね準じた方法で試算すると、平成27年度決算ベースで、一人当たりの裁量経費が98,947円、歳入に占める割合は30.3%となっている。

総合区設置の場合も、大阪市が存続することから、同様の数値になると考える。

なお、特別区と違い、政令市として広域機能も担うことから、特別区との間で額の大きさ自体を単純に比較できないことに加えて、試算に用いた根拠数値の違いがあることなどにご留意いただく必要がある。

Q5(特別区における財源の捻出について)

さきほど、財政調整財源として、役割分担に応じて、それぞれに必要な財源額を算出し、特別区へ79.2%、大阪府へ20.8%を配分とあったが、

つまり、事務分担では特別区と大阪府の割合が8対2になるにも関わらず、裁量の範囲は、大阪市が存続する総合区の場合と比べて、特別区の裁量の範囲は約半分になることが分かった。

そこでお尋ねするが、地域課題で大きな財源が必要となった場合、例えば、現在、西区では人口回帰により小学校が不足し、早急な整備が必要であるが、総合区制度では、大阪市が存続することから、市全体としてみれば、一定規模の裁量経費を有していることになる。あるいは、市長が市全体の予算の配分調整により財源を捻出し対応することも可能であると思う。これに対して、特別区を設置する場合は、それぞれの特別区の義務的経費の割合が大きくなり、裁量経費の幅は小さくなることが容易に想定され、財源の捻出は難しいと考えられる。

財源を捻出するには、どのような対応が考えられるのか。

A5(副首都推進局財政調整担当課長)

今回の制度設計では、財政調整制度により特別区に必要な財源が配分され、現行の住民サービスが適切に実施できることをお示ししている。

なお、地域課題で大きな財源が必要となった場合、まずは、各特別区の自主財源及び財政調整制度等によって配分される財源の範囲内において、施策の選択と集中により財源を捻出していくとともに、新たな歳入確保に取り組むこととなる。それでもなお、必要な財源が不足する場合であれば、大阪府・特別区協議会(仮称)において協議していくこととなる。

Q6(特別区間協議の不調について)

大阪府・特別区協議会において協議するとのことであるが、特別区全体として配分された限られた財源の中で、特別区間で協議を行い、財源を取り合うことになるのではないか。

特別区長は公選のため、それぞれの特別区長が、民意を受けて施策を実施していくことになり、必ずしも施策の方向性が一致するとは限らない。

その場合は特別区間の協議が整わないことは十分想定されるところであるが、協議が整わなかったらどうなるのか。

A6(副首都推進局財政調整担当課長)

協議を尽くすことが前提であるが、協議が整わない場合、大阪府・特別区協議会(仮称)に設置される第三者機関において審議され、提示された調停案を尊重して、協議会において再協議をすることになる。

なお、地方自治法第282条の2の規定により、特別区財政調整交付金に関する条例を制定する場合においては、知事はあらかじめ都区協議会の意見を聴かなければならないと義務付けられており、出された調停案に基づいて合意に至れば、知事によって条例が提案されることになる。

意見

ここまで、特別区において、現在大阪市が実施している住民サービスを維持するためには、全ての特別区に、公平かつ十分な税源が配分される必要があるとの観点でいくつか質問した。

しかしながら、各特別区で財源捻出ができない場合は、都区協議会での協議により対応していくということであるが、結局のところ、地方譲与税不交付団体である東京よりもはるかに少ない財源の中で、特別区間で限られた財源、パイの奪い合いのような様相を呈することが想定され、実際に協議が整うのか甚だ疑問である。

一方で、大阪市が存続する総合区制度では、市長が、総合区長・局長などの意見を聞き、大阪市全体の予算を勘案しながら調整を図り、必要な財源を捻出することが可能であり、協議が整わないということもなく、それによって事業が遅れるということも心配することがない。

広域行政の一元化によって、広域の司令塔が一つなるといいつつ、基礎自治体として複数の公選職の区長のもと、住民意見の反映ということで、各特別区の独自性が展開されればされるほど、あたかも一つの船に船長と何人もの船頭がいるようかのような中で、協議を前提とする財源配分のあり方も含めて、ただでも行政効率の低下によって財政上のビハインドを背負いながら、狭まった裁量経費だけでは不足する財源の奪い合いが日常化し、自律した自治体運営とは言い難い、不完全な自治組織を作ろうとしているように見える。

大阪市存続を前提としつつ、更に行政効率のアップと都市内分権の両輪を進めていく総合区導入こそが望ましい都市構造改革であると申し上げ、私からの質問を終了する。

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2月16日

西 のりひと

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大阪府 西徳人