3/2 代表質問から項目ごとに報告します。

次に、こどもの権利を保障する取り組みについてお尋ねいたします。

2025年、小中高生の自殺者数は532人と過去最多となりました。かけがえのない命が失われた現実を前に、お一人お一人にどのような人生があったのかと思うと、胸が締め付けられる思いです。

近年、貧困、児童虐待、家庭環境、喪失体験など、こども自身が言葉にできない「生きづらさ」を抱えるケースは少なくありません。国、本県においても様々な対策が講じられていますが、依然として事後対応が中心であり、問題を未然に防ぐという観点では、なお十分とは言えないのではないでしょうか。

そのような中、学校や地域でこどもの権利教育に取り組むNPO法人「にじいろCAP」重永侑紀代表の講演を拝聴しました。同NPOは26年間にわたり学校や地域でワークショップを積み重ね、こどもたちが、こどもの権利を学ぶことを通じて、SOSの出し方や自分の身を守る力を育んでいます。2024年度には約17,260人のこどもが参加しています。特に久留米市では、令和3年度より同NPOと連携し、市内すべての小学4年生・中学2年生および教職員を対象とした体系的なプログラムを実施し、市民向け研修や未就学児向けプログラムまで、発達段階に応じた継続的な取り組みを展開しています。そこでは、「こどもには権利がある」「いや、やめてと言ってよい」「困ったときは助けを求めてよい」というメッセージを繰り返し伝えるとともに、大人が受け止める力を高める仕組みづくりが進められています。

その結果、こども自身が声を上げたSOS発信による虐待対応事例は、令和2年度まではゼロ件でしたが、その後毎年確認され、令和6年度には9件となりました。さらに、実施団体からの情報提供による見守り依頼が273件、面談等の確認対応が87件と、悩みが深刻化する前に支援へとつながる実績が示されています。「命を守る予防教育」の実践であり、児童虐待やいじめの重大化を未然に防ぎ、大きく減少させることができる可能性を示すものです。

なお、大刀洗町でも、令和元年から保育所、小学校、中学校、教職員保護者ワークを続けています。

そこで、知事にお尋ねいたします。

こども基本法は、こどもを権利の主体として尊重し、その最善の利益を確保することを行政の責務として明確に位置付けました。

こども自身が権利を学び、安心して声を上げられる環境づくり、さらにこどもに関わる大人の理解と受け止める力の向上を、県としてどのように戦略的に推進していくのか。

例えば、久留米市のように学校現場で体系的・継続的な取り組みを県全体へ広げるため、モデル事業の創設や市町村への財政支援、専門人材の育成などを含め、どのような方針で展開していくのか、知事のご見解を求めます。

次に、教育長にお尋ねいたします。

先日、大阪市立田島南小中一貫校を視察しました。同校ではこどもの権利条約を教育の土台に据え、発達段階に応じた「生きる教育」を体系的に実践していました。
小学1年でプライベートゾーン、小学3年でこどもの権利、その他の学年でもSNSやデートDVなどテーマを決め、中学校では「受援力」すなわちSOSを出す力を育てる教育を行っています。授業は、参加型・ワークショップ型で教員の熱心な授業づくりにより、分かりやすい授業づくりが徹底されています。そこでは、こどもが自分の気持ちを言葉にし、困ったときに「助けて」と言える力を育てることが、いじめや問題行動の予防につながるという明確な理念が貫かれていました。14年前から研究を重ね、現在では国の「生命の安全教育推進事業」のモデルの一つともなっています。

今求められているのは、問題発生後の対応強化ではなく、こどもが日常から声を上げられる学校文化を醸成することであります。

そこで教育長にお尋ねします。

1.まず、久留米市が取り組むこどもの権利に関する教育について、県教育委員会としてどのように認識しているのか。

2.次に、本県における「生命の安全教育」などへのこれまでの取り組みと、教育課程や教員研修へどのように反映させているのか。さらに、久留米市や田島南小中一貫校の取り組みを一部の先進事例にとどめることなく、教職員研修への体系的な位置づけや、NPO・外部専門家との連携を含めた取り組みの推進など、県全体へ広げていく必要があると考えますが、教育長のご所見をお聞かせください。

こどもが追い詰められてから支援するのではなく、追い詰められる前に「助けて」と言える環境を整えることこそ、行政の責務であります。

本県が、こどもの命と尊厳を守る教育の先進県となることを強く期待し、この項の質問を終わります。

 

【知事、教育長 答弁骨子】

四-①

問 こどもの権利を保障する取組について

○ こどもの権利が保障されるためには、

・こどもが権利の主体であること

・こどもは意見を表明できること

などについて、こどもと大人の双方の理解を深めることが重要である。

○ このため、県では、こども自身がこどもの権利について理解できるよう、昨年設置した「福岡県こどもまんなかポータルサイト」において、クイズ形式で楽しく学べるようにしているほか、放課後児童クラブなどへの県政出前講座ではイラストを活用し、わかりやすく伝えている。

また、大人については、先ほど申し上げたこどもまんなかポータルサイトや福岡県だより、SNSなどでこどもの権利について広く周知している。

○ また、今年度は、こどもに関わる大人に向けた研修教材を、こどもを支援するNPOや教職員、保育士、こども食堂に携わる方等で構成するワーキンググループで検討し、作成する。

この教材では、

・こどもが話しやすい環境のつくり方

・こどもの意見を聴く手順

・年齢や発達の程度に応じた聴き方の工夫

などの内容を盛り込むこととしている。

来年度は、この教材を活用し、教職員や保育士等が集まる場において研修を実施していく。

○ この研修は、受講した教職員や保育士等が、

・それぞれの現場で、こどもに対し、こどもは権利の主体であり、意見が尊重されることを伝えていくこと

・表明された意見をしっかりと受け止め、こどもとの日々の関わりの中で活かしていくこと

を目指している。

こうした取組を進めることにより、こどもの権利の保障を図っていく。

 

四-②

問 久留米市が取り組む子どもの権利に関する教育への認識について(教育長答弁)

○ 児童虐待やいじめに関する状況が深刻化する中、子どもが安心して声をあげられる環境づくりとともに、それを受け止める大人の認識を深めることが大切であると考えている。

学校と行政、関係団体が連携し、子どもの安心・安全を守り育んでいくことは、子どもの権利について教職員や保護者、地域住民、そして子ども自身が学んでいく方法として重要なものであると考えている。

 

四-③

問 生命の安全教育などの取組と、教育課程や教員研修への反映について(教育長答弁)

○ 本県では、特別活動や保健体育等の授業において、自分や他者の命を大切にすることや、困った時に相談しようとする態度を、児童生徒の発達段階に応じて育成している。加えて、スクールカウンセラーを活用した特設授業を行っている。

○ また、教職員に対しては、県教育委員会主催の人権教育研修会において、子どもの声に耳を傾けることや子どもが自己の意見を表明できる力を育むことの重要性について、学ぶ機会を設けている。さらに、SOSのサインをキャッチするための観察の視点や具体的な対応方法を示したリーフレットを配布し、悩みや困難を抱える児童生徒の早期発見に努めている。

 

四-④

問 先進事例の県全体への普及について(教育長答弁)

○ 今後、先進的な実践事例について広く情報収集を行い、県教育委員会が作成している児童生徒向けの「SOSの出し方リーフレット」や教職員向けの啓発リーフレットの内容の改善充実を図り、その普及に努めてまいる。

○ また、校内研修を通した先進的な取組の普及を図るため、市町村教育委員会に対して、効果的な研修内容や実績のある講師等の情報提供を行い、教職員が児童生徒のSOSのサインを確実に受け止めることができるよう支援してまいる。

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