
福岡県議会2025年6月定例会で代表質問を行いました。私が担当した5つのテーマの質疑をアップします。
子どもアドボカシーについて
次に、子どもアドボカシーについて質問いたします。
2023年4月にこども基本法が施行され、こども大綱では「子どもは権利の主体である」とし、その権利の保障がうたわれています。また基本法には、子どもが意見を表明できる機会を確保するとともに、その意見を尊重すると明記されました。子どもアドボカシーとは、すべての子どもに意見を表明する権利があるという人権を基盤に、子どもが自らの意見を形成し、表明できるよう支援する取り組みです。子どもが声を上げることが難しい場合には、代弁者(アドボケイト)がその声を届ける役割を担います。
この考え方は、2019年千葉県野田市での児童虐待死事件を契機に全国的な議論が高まり、2022年の改正児童福祉法により「意見表明等支援事業」として制度化されました。特に社会的養護を受ける子どもたちに対するアドボカシーの取り組みが各地で始まっており、本県においてもこうした流れを受けて取り組みが進められています。
また「福岡県こども計画」では、子どもが権利の主体であることの社会全体での理解促進、子どもの意見を尊重することの必要性を明記し、計画の柱と位置づけ、具体的なこども施策に取り組んでいくとしています。
問1.まず、知事にお尋ねします。
本県では社会的養護の子どもたちへの子どもアドボカシーにどのように取り組まれているのか、現状と今後の取り組みについてお聞かせください。
意見表明については、社会的養護の子どもだけでなく、親と一緒に暮らす子どもにも親に話せないこともあります。また、児童相談所が相談を受け、施設に入所する子どもはごく一部であり、多くの子どもは家庭に戻ります。そうした子どもたちの声を聴く環境は、十分に整っているとは言い難い状況です。
そうした状況の中、学校での子どもアドボカシーの取り組みが始まっています。
公明党福岡県議団は先日、NPO法人子どもアドボカシーセンター福岡と意見交換を行いました。同法人は、福岡市の委託を受けてアドボケイトを養成し、一時保護所や児童養護施設などで子どもの声を聴く活動を行っています。
さらに、2022年度からは学校へ活動を広げ、小中学校へアドボケイトを派遣、3日間のワークショップを実施し、九州大学と共同開発した双六を通じて子どもたちが互いの声を聴き合い、他者の権利を尊重することを育む活動を展開しています。これには事前の教職員研修を必須として、教育現場での理解促進にもつながっています。ワークの中で深刻な話しをする子どももおり、通告に至る案件は必ず本人の了解を得て通告されます。
2024年度には、4つの小学校、2つの中学校、教育支援センターにて、延べ1,700人の子どもたちがこのプログラムに参加し、延べ130人のアドボケイトが関わりました。福岡市では、2025年度よりこの取組を市事業として位置付け、5カ年計画で今年度は20校で予定しています。
また、久留米市などで活動する「NPO法人にじいろCAP」は暴力から身を守る方法を学ぶ人権ワークショップを学校で実施する中で子どもアドボカシーに取り組まれています。
問2.教育長にお尋ねします。まず、学校現場において、児童生徒は「子どもが権利の主体である」ことや「意見を表明する権利」について、どのように学んでいるのか。あわせて、教職員への理解促進にどのように取り組まれているのか、お聞かせください。
問3.次に、子どもアドボカシーの意義について、教育長のお考えをお伺いするとともに、本県で子どもアドボカシーの文化を根づかせるため、ご紹介した県内で活動するNPOの先進的な学校でのアドボカシーの取り組みを県教育委員会として学ぶべきではないかと考えますが、ご所見を伺います。
現在、子どもアドボカシーは主に社会的養護の領域で進んでいますが、実際には児童相談所の支援が届いていない家庭の子どもや、教育・医療・司法などあらゆる領域に、声を上げることが難しい子どもがいます。
問4.そこで提案を含めて、知事にお伺いします。
すべての子どもが意見を表明できる社会の実現には、子どもアドボカシーの推進が必要です。子ども自身にその必要性を伝えるだけでなく、子どもに関わるすべての大人の意識啓発や理解の促進が不可欠だと考えます。教職員をはじめ、福祉・医療・司法・地域の支援者——たとえば放課後児童クラブや子ども食堂の関係者などに対し、先進的に取り組むNPOと連携して、子どもの権利やアドボカシーに関する研修・普及啓発を進めては如何ですか。知事のご所見をお伺いいたします。
――4―①
問 社会的養護を必要とするこどもの意見表明等支援について
〇 県では、一時保護所や児童養護施設等で過ごすこどもの権利擁護の一層の推進を図るため、昨年4月に「福岡県こども意見表明支援センター」を設置した。このセンターで、児童相談所等から独立した第三者である「意見表明等支援員」を養成し、施設等に派遣することにより、こどもの処遇にこども自身の意見が反映されるよう取組を開始したところである。
〇 昨年度末時点で113名の意見表明等支援員を養成しており、入所期間が短い一時保護所で過ごすこどもに対しては週に1回、児童養護施設で生活するこどもに対しては月に1回、意見表明等支援員が、こどもとの遊びでの会話を通じて、また必要に応じ個別面談により、生活における悩みや不安などを聴き取っている。
〇 昨年度は、延べ1,358人のこどもと面談し、150件の意見が表明された。こどもから表明された意見は、こどもの意向に応じて児童相談所と一時保護所、児童養護施設等で共有し、どのように対応するか検討した上で、その結果をこどもや意見表明等支援員に丁寧に説明することとしている。
〇 今年度は、支援の対象を里親家庭に拡大することとしており、引き続き、こどもが意見を表明しやすい環境を整えてまいる。
――4―②
問 子どもの権利に関する理解促進について(教育長答弁)
〇 児童生徒は、社会科の授業で子どもの権利条約や日本国憲法について学習する際、子どもたちの幸福に生きる権利や、自由に自己の意見を表明することができることなどを学んでいる。
〇 教職員に対しては、人権教育研修会において、こども基本法の内容や指導上の留意点について講演を実施している。また、校内研修などでスクールカウンセラー等と連携し、児童生徒が安心して声を出せる環境の重要性や、悩みや困難を抱える児童生徒の早期発見に努めることなどについて、その理解促進を図っている。
――4―③
問 子どもアドボカシーの意義と先進的な学校での取組について(教育長答弁)
〇 貧困や虐待など、子どもを取り巻く状況が深刻な中、子どもの声を社会に届け、その権利が守られるように支援する、子どもアドボカシーの取組は、権利の主体である全ての子どもが、個人として尊重され、権利が保障される上で、大切であると考えている。
〇 県教育委員会としては、子どもアドボカシーに関する先進的な実践事例の成果や課題について、情報収集を図るとともに、引き続き、児童生徒の人権に十分配慮し、一人一人を大切にした教育の推進に努めてまいる。
――4―④
問 こどもの意見を表明する権利の啓発について
〇 県では、今年3月に「福岡県こどもまんなかポータルサイト」を開設し、こどもが権利の主体であること、こどもの意見を尊重すること等をクイズ形式で楽しく学んでいただけるようにしている。
このほか、福岡県だより、県政出前講座などを通じ、広く県民の皆様に対する周知、啓発に取り組んでいる。
〇 また、今年度は、こどもに関わる大人に向けた啓発教材を、こどもを支援するNPOや教職員、保育士、こども食堂に携わる方等で構成するワーキンググループで検討し、作成したいと考えている。
教職員や保育士などが集まる場を活用し、この教材による研修を実施することにより、こどもが生活する様々な場面で自分の意見を言える環境づくりを進めてまいる。
