- 「エネルギー基本計画」改定に伴う本県のエネルギー政策について
次に、「エネルギー基本計画」改定に伴う本県のエネルギー政策について質問します。
脱炭素と経済成長の両立をどう進めるのか。今、自治体に問われているのは、その具体的な道筋です。本年2月、政府は3年ぶりに「地球温暖化対策計画」を見直し、温室効果ガスを2030年度に13年度比で46%、2040年度に73%削減、2050年度までに実質ゼロとする目標を掲げています。また、同時に「エネルギー基本計画」を改定し、2040年度までにCO₂フリー電源の比率を最大7割へ引き上げる目標を掲げました。再生可能エネルギーを4〜5割、原発を2割、主力電源として最大限活用するとしています。
世界的なAIの普及を受けてデータセンターや半導体工場の立地が相次ぎ、電力需要の増加が見込まれる中、全国の現状を見ると、約70%近くを火力に頼り、再エネは23%、原発は8.5%にとどまっており、目標の達成には官民一体での大きな転換が求められています。
問1. そこで知事に質問します。県でも「福岡県地球温暖化対策実行計画」において、温室効果ガスを2030年度に13年度比で46%削減し、2050年度までに実質ゼロとする目標を掲げています。本県の現時点での進捗状況はどうか。また、目標達成に向けて、どのように取り組んでいるのか。併せて、今後どのように取り組むのか伺います。
問2.次に、九州は全国に先駆けて脱炭素化が進んでいる地域であると認識していますが、九州の脱炭素電源の現状について伺います。また、県内における再エネ導入の状況、及び今後の導入目標についても併せてお答えください。
問3. 世界的に、海外グローバル企業をはじめ、脱炭素の供給網を求める企業が増えています。CO₂フリー電源の有無が企業立地の大きな選択要因となる中、九州の高い脱炭素電源比率は圧倒的な強みです。県として、この強みを活かし、どのように企業誘致に取り組んでいるのか、お示しください。
問4. 太陽光発電が盛んな九州では、全電源に占める設備容量の比率は2024年度末時点で34.4%と全国トップですが、2012年のFIT制度開始により、太陽光発電の導入容量が大幅に拡大したことから、我が国は国土面積並びに平地面積当たりの導入容量が主要国で最大となりましたが、近年は適地が減少し、導入容量の伸びが緩やかになってきています。そこで注目されているのが、「ペロブスカイト太陽電池」です。軽量・柔軟で、建物の屋根や壁など、場所を選ばず設置できる特性があり、エネルギー基本計画において、2040年に約20GW(ギガワット)の導入目標が掲げられています。ペロブスカイト太陽電池の導入について、県としてどのように取り組むのか、伺います。
問5.本県の響灘一般海域は、再エネ海域利用法に基づく促進区域の指定に向け、現在、「準備区域」に整理されています。洋上風力は、国内の脱炭素電源拡大のカギを握る技術であり、とりわけ浮体式は技術革新の進展が注目されています。そこで、質問です。準備区域から促進区域への指定に向けた見通しと、現在、技術開発が進む浮体式の県内での導入状況をお伺いします。
福岡県がトップランナーとして日本の脱炭素をけん引できるよう、知事のリーダーシップに期待してこの項の質問を終わります。
――3―①
問 本県の地球温暖化対策について
〇 最新の2022年度における県の温室効果ガス排出量は、4,648万トンとなっており、基準年度である2013年度に比べ25.3%減少し、全国の20.0%を大きく上回る削減率となっている。
〇 県では、地球温暖化対策として、
①エネルギー分野では、
洋上風力発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入促進や、水素エネルギーの利活用、
②事業者向けには、
中小企業等の省エネに係る現地診断や、省エネに取り組む人材の育成、
③家庭向けには、
省エネ・省資源に取り組む家庭の活動支援を行うエコふぁみアプリの運用、次世代を担う子どもたちへの副読本を活用した環境教育
などに取り組んできた。
また、昨年度から、スケールメリットを活かして購入費用を低減する共同購入の仕組みを活用し、太陽光発電設備や蓄電池の導入を促進している。
〇 さらに、令和7年度当初予算案では、脱炭素経営の普及を目的として、中小企業における温室効果ガス排出量の算定、削減目標の設定、再エネ・省エネ設備導入計画の策定支援に要する経費をお願いしているところである。
〇 今後も、こうした取組により、県民・事業者の皆さまの省エネ・省資源の取組を促すなど、「地球温暖化対策実行計画」を着実に推進することで、脱炭素社会の実現に向けてしっかり取り組んでまいる。
――3―②
問 九州の脱炭素電源の現状と県内における再生可能エネルギーの導入について
〇 全国10エリアの大手電力会社における一昨年度の脱炭素電源の割合を比較すると、国全体の31.4%に対し、九州エリアは59%、その内訳は、太陽光等による再エネが20%、原子力が39%となっており、全国で最も高くなっている。
〇 県内の再エネ発電設備導入容量は、本県が独自に開発した「再生可能エネルギー導入支援システム」の公開や、再エネ導入の助言を行うアドバイザーの派遣、エネルギー対策特別融資制度などの取組により、東日本大震災前の平成22年度の30万キロワットが、一昨年度は328万キロワットと13年間で約11倍へと大きく拡大した。
〇 今後とも、総合計画の数値目標である令和8年度末の405万キロワット
の達成に向けて、再エネの更なる普及に努めてまいる。
――3―③
問 高い脱炭素電源比率を活かした企業誘致について
〇 企業が進出先を決定する際、その判断材料となる主な要素は、交通インフラの充実や優秀な人材、安価で安定的な電力の確保などが挙げられる。
近年では、これらに加え、世界的なカーボンニュートラルの流れを受け、脱炭素電源の視点も重視されているところである。
〇 本県が重点的に誘致活動を行っている半導体、自動車、データセンター関連の企業においても、カーボンニュートラルの取組が推進されており、脱炭素電力を確保できる地域であることは、企業誘致を進める上で大変重要な要素となっている。
〇 このため、東京や関西・中京圏で開催する「企業誘致セミナー」や個別企業訪問、大型展示会など、あらゆる機会を通じて、
① 全国最安値で脱炭素電源比率トップの電力が安定的に供給できることや、本県が推進する、
② 再生可能エネルギーの主力電源化の切り札となる洋上風力発電の導入に向けた取組、
③ 北九州市響灘臨海エリアを中心とした水素拠点の構築を目指す取組、
さらには、
④ 半導体、自動車、水素分野において、“経済と環境の好循環”を目指す「グリーン成長プロジェクト」を推進していること
も併せてアピールするなど、戦略的な企業誘致に努めているところである。
――3―④
問 ペロブスカイト太陽電池の導入について
〇 2050年カーボンニュートラルの実現に向けては、耐荷重性の低い屋根や、建物の壁面など、これまで設置が困難であった場所へのペロブスカイト太陽電池の導入が不可欠だと考えている。
〇 このため、県では、ペロブスカイト太陽電池の普及拡大を図るため、県有施設への率先導入や民間事業者による実証を支援することとしており、関連予算を今議会にお願いしているところである。
〇 具体的には、環境省の補助事業を活用して、まずは1箇所、避難所に指定されている県立学校等の体育館の屋根に設置することとしている。
〇 また、民間事業者による将来の拡張性が高い設置場所での実証を支援し、その横展開を図ることで、ペロブスカイト太陽電池の普及拡大につなげていきたいと考えている。
――3-⑤
問 「再エネ海域利用法」に基づく「促進区域」の指定に向けた見通しと浮体式洋上風力発電の導入状況について
〇 響灘一般海域が、次の段階である「有望区域」に進むには、国が発電事業者を公募する「促進区域」の指定に向け、公募条件の調整を行う「法定協議会」の設置について、洋上風車の影響を受ける漁業関係者や船舶関係者の同意を得る必要がある。
〇 このため、こうした関係者の皆様に洋上風力発電導入の意義を理解してもらうよう、これまで個別に協議を行ってまいった。
その結果、今年3月には船舶関係者、5月には県内漁業関係者の皆様から、それぞれ同意を得ることができた。このことは大きな前進であり、同意していただいた関係者の皆様に厚くお礼申し上げる。また、ここに至るまで、お力添えいただいた中尾会長をはじめとする洋上風力発電促進福岡県議会議員連盟の皆様にも深く感謝し、お礼申し上げる。
〇 現在、近隣県の漁業関係者との調整を続けているところであり、「促進区域」への指定に向け、まずは、本年秋頃に予定されている区域の整理において、「有望区域」への格上げを実現できるよう、国に対し、しっかりと働きかけてまいる。
〇 また、浮体式洋上風力発電については、新エネルギー・産業技術総合開発機構が所有していた実証機を、株式会社グローカルが引き継ぎ、北九州市響灘沖において、今年4月から、国内で2基目となる商用運転を開始したところである。
