福岡県議会6月定例会が本日閉会しました。改選後初の定例会であり、公明党からは1期生5名全員が一般質問に挑みました。
5名とも地域の皆様からいただいたご要望、前職から取り組んできた課題等、現場の声を真正面から知事に質し、いずれも清々しい初質問でした。
私は代表質問の中で、人口減少・少子化について担当。女性の正規雇用率が出産を境に低下し、30代以上は非正規雇用が中心となるいわゆるL字カーブ問題、女性、男性の育児休業取得率の向上、出産後の女性の働き方と保育の課題等、質しました。
知事からは、国が打ち出す施策を踏まえ、費用対効果を慎重に判断しながら、より県民ニーズに即し効果的と判断されるきめ細かな県独自の施策を推進していく、と答弁がありました。明日からは、現場の声を聴くことに徹し、挨拶周りを開始してまいります。
福岡県議会6月定例会では、代表質問の中で、人口減少・少子化対策について担当しました。質問・答弁骨子を掲載します。
はじめに人口減少・少子化対策についてです。
国立社会保障・人口問題研究所は4月、日本の将来推計人口を公表、2020年に1億2615万人だった総人口は、2070年には現状から3割減の8700万人に減少すると推計しました。また厚労省は今月、2022年の合計特殊出生率が7年連続で低下し、1.26と過去最低だったと発表しました。本県は前年比―0.04%の1.33となっています。第2期福岡県人口ビジョン・地方創生総合戦略によると本県の人口の将来展望について、2060年には472-443万人としていますが、これは2030年に希望出生率1.8、2040年に人口が長期的に均衡する出生率2.07が実現することを前提条件としています。現実は合計特殊出生率は年々減少の一途をたどり、1.33まで落ち込みました。大変、厳しい現状です。知事は今回公表された出生率を踏まえ、本県の人口減少をどの様に認識されているのか、あわせて本県の人口の将来展望を見直すべきと考えますが、見解を伺います。
本県が様々な少子化対策を講じていることは承知していますが、それにもかかわらず、現状は只今申し述べた通りです。政府と足並みを合わせて異次元の少子化対策に取り組むべきと考えますが、知事のご所見を伺います。
問 人口減少に対する認識について
〇 今月発表された人口動態統計概数値によると、全国の令和4年の合計特殊出生率は、過去最低の1.26と7年連続の低下となっている。松野官房長官は、「少子化の状況は危機的な状況で、わが国の静かなる有事」との認識を示された。本県についても、合計特殊出生率は1.33と、5年連続の低下という厳しい状況にあり、少子化ひいては人口減少に歯止めをかけることは喫緊の課題であると認識している。
〇 総合計画と一体的に策定した地方創生総合戦略は、県民の結婚・出産・子育ての希望をかなえることを目標としており、県人口の将来展望においても、実際の出生率ではなく、県民の希望出生率を元に推計を行っている。
このため、現段階では県人口の将来展望の見直しは考えていないが、引き続き地方創生の取組を進め、出生率を改善させることにより、県民の希望の実現を図ってまいる。
問 少子化対策について
○ 県では、少子化に歯止めをかけるため、仕事と生活の両立のための働き方改革の推進や、出会い・結婚、出産、育児など、それぞれのライフステージに合わせた施策に取り組んでいる。
〇 また、こどもを安心して産み育てることができる地域社会をつくっていくため、中長期的な視点を持って、継続的に施策を実施するための財源を確保できるよう、 121億円の「出産・子育て安心基金」を設置した。これを活用し、病児保育の無償化及び不妊治療への助成を今年度から新たに始めたところである。
〇 現在、国においては
① ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化や若い世代の所得向上に向けた取組
② すべてのこども・子育て世帯を対象とする支援の拡充
③ 共働き・共育ての推進
など、今後3年間、集中的に取り組む少子化対策の検討が進められている。県としては、こうした国が打ち出す施策を踏まえ、費用対効果を慎重に判断しながら、より県民ニーズに即し効果的と判断されるきめ細かな県独自の施策を推進してまいる。
次に少子化対策、出生率向上の方策の一つである「仕事と子育ての両立支援」について伺います。少子化の要因の一つは、仕事と子育てが両立できない為、若い世代が子どもを持つこと自体を経済的リスクと考えているためと言われています。
結婚後、女性は「仕事か、子育てか」の二者択一を迫られ、仕事を選択すれば出産を断念するケースもあります。出産・育児を選択しても、経済的に回らないため、出産後また働き始めるケースが多くなっています。
女性の就業率は出産後再び上昇しますが、一方で出産を境に正規雇用率は低下し、30代以上は非正規雇用が中心となるいわゆるL字カーブ問題が課題となっています。非正規雇用は、収入の減少だけでなく、キャリア・能力形成の継続ができず、女性の能力が発揮できない課題となっています。
① そこで質問です。本県の、出産を境にした女性の就業率、正規雇用率はどのようになっているのか、その状況を伺います。L字カーブの解消について、県ではどのように取り組んでいるのか伺います。
問 女性の就業率等について
〇 平成29年の総務省の調査では、本県の女性の就業率は、20歳代から50歳代まで約70%で推移している一方、雇用者に占める正規雇用率は、20歳代後半の62%を境に、右肩下がりとなり、40歳代では40%と約20ポイント低下している。
〇 県では、「正規雇用促進企業支援センター」に、企業の正社員採用や従業員の正社員への転換を支援する専門のアドバイザーを配置し、求人票の書き方や採用活動に関する助言指導、正社員転換した企業が受けられる助成金の活用支援等を行っている。
〇 また、「子育て女性就職支援センター」では、ご本人の経歴やスキルを丁寧に聞き取り、希望にあった就職のあっせんを行っている。さらに、面接に際しての具体的なアドバイスや面接への同行、就職後の定着支援など、きめ細やかな就職支援を行っているところである。
〇 今後も、こうした取組を通じて、女性の正規雇用を促進し、L字カーブの解消に努めてまいる。
次に、育児休業についてです。厚生労働省によると2021年の育児休業取得率は、女性85.1%、男性13.97%と、男性の育児休業取得はまだまだ低いものの、一見女性の育児休業は進んでいるように見えます。しかしながら、女性の育児休業取得率はあくまで在職中に出産した女性に占める育児休業取得の割合であり、出産前に退職した女性は算定の対象となっていません。国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、第1子出産前後で、女性の正社員の約2割、パート・派遣の方の約6割が退職していることとなっています。
厚労省のアンケートによると、妊娠判明当時仕事を辞めた理由として最も多かったのは、「仕事と育児の両立の難しさ」となっており、具体的な理由としては「勤務先に育児との両立を支援する雰囲気がなかった」、「自分の気力・体力がもたなそうだった」などとなっています。このように、出産期の女性の就業継続には、職場の状況が大きく影響していることがわかります。
そこで質問です。
② 正規非正規問わず、出産した女性が育休を取得し、子育てができる職場環境の整備を進めるとともに、男性の育児休業取得を促進することが必要と考えますが、県の取り組みについて伺います。また有期の非正規雇用については、生まれてくる子が1歳6か月になるまでの間に労働契約が満了にならない要件があるものの、育休制度の対象となる道が開けています。企業にどのように周知されているのかお答えください。
問 女性が仕事と子育てができる職場環境の整備等について
○ 県では、企業のトップ自らが仕事と子育ての両立を応援する取組を宣言し、実行する「子育て応援宣言企業」登録制度を通じて、働く女性が出産、育児のため退職することなく働き続けることができる職場環境づくりや男性の育児休業取得を促進しているところである。
現在8, 366社登録されている。
〇 加えて、男性の育児休業については、昨年度はフォーラムの開催、今年度はテレビ番組等での先進的な企業の取組を紹介することとしている。
〇 非正規雇用の方の育児休業制度については、福岡労働局と共催で、企業の代表者や人事・労務担当者を対象に、制度や助成金等の研修会を開催するとともに、子育て応援宣言企業のホームページやメルマガを活用し、周知に努めているところである。
③ 出産後の女性の働き方は、保育の問題にも関係します。令和4年4月1日現在の本県の保育所利用状況調査では、1-2歳児の保育所定員に対して、利用児童数はほぼ満員、人口に対する利用割合は50%台となっており、半数の方は保育所を利用していません。0-2歳児で待機児童はどのような状況となっているのか。一方、保育現場では入園時期の融通が利かない、2人目を1人目と同じ保育園に通わせることができない、0-2歳児の受け入れ先を見つけるのが難しいなど一部ではこうした入所できない状況が生じています。こうした状況をどのように解消するのか知事の見解を伺います。
めた。引き続き、市町村の実態に応じたきめ細かな支援を行ってまいる。
④ 先ほどの調査では、1-2歳児の約50%、0歳児の約80
問 0-2歳児の待機児童の状況及び保育所への入所が困難な状況の解消について
○ 昨年4月1日現在の本県における0-2歳児の待機児童は77名となっており、待機児童全体の約8割となっている。
〇 また、保育現場の一部では、
・入所時期の融通が利かない
・2人目を1人目と同じ施設に通わせられない
・0-2歳児の受け入れ先を見つけることが難しい
といった状況もあるが、これは定員に余裕がないことや保育士不足により定員まで受け入れられないことなどが原因となっている。
〇 このため、県では、0-2歳児の受入に特化した施設整備を働きかけ、その定員は平成30年度の3, 438人が、今年度までに4, 401人と963人増加した。また、定員まで児童を受け入れることができるよう、短時間勤務の保育士を複数人雇用する際、必要となる費用について、新たに今年度から助成を始めた。引き続き、市町村の実態に応じたきめ細かな支援を行ってまいる。
④ 先ほどの調査では、1-2歳児の約50%、0歳児の約80%が未就園児となっています。未就園で在宅で子育てをしている家庭は、身体的、時間的、精神的負担が大きいことが予想されます。支援の手薄な0―2歳児の支援を強化し、妊娠時から出産・子育てまで一貫した伴走型相談支援を継続し、かつプッシュ型支援の整備が必要と考えます。本県では0-2歳児の支援にどのように取り組まれるのか知事の見解を求めます。例えばYouTubeを活用したサービスメニューの動画配信なども考えられます。市町村の先進事例を紹介し、市町村によるサービスの差が生じないようにすることが大事だと考えます。
0-2歳児の子育て家庭への支援について
○ 市町村が妊娠期から低年齢期の子育て家庭に、定期的な面談を実施し、必要な支援につなげる伴走型支援は、・妊産婦の孤立感や不安感の軽減を図るために有効である。さらにアプリなどを活用したプッシュ型支援を併用することにより、必要な情報を適切なタイミングで届けることが可能となる。
〇 伴走型支援については、全ての市町村で実施されており、県では、市町村で面談に従事する保健師等職員のスキルアップのための研修を実施している。また、プッシュ型支援については、まだ導入していない市町村があることから、アプリを使った好事例を市町村に紹介し、導入を促してまいる。
⑤ 少子化を止めるためには働き方改革が重要であり、本県企業が当事者意識を持って取り組むことが期待されます。本県の企業で働き方改革を実現するには、男女ともに制度はあっても利用しづらい雰囲気や、職場の同僚、上司に迷惑をかけるなどの意識を払拭することが必要であり、企業における代替職員確保と仕事の分担体制の確立が重要となります。本県企業で働き方改革を推進するとともに、夫も育児に主体的に関わり夫婦で育児を行う気運の醸成にどのように取り組まれるのか知事のご所見と決意を伺います。
問 企業の働き方改革の推進と夫婦で育児を行う気運の醸成について
○ 県では、働く方々がそれぞれの事情に応じた、多様な働き方を選択できる社会の実現に向けて、長時間労働の是正など、企業の働き方改革を推進している。
〇 具体的には、自社の働き方の見直しを宣言・実行する「よかばい。かえるばい企業」及び「子育て応援宣言企業」の登録拡大、男性の育児休業取得の促進に努めている。
○ また、夫婦がともに家事・育児に参画することについての県民の理解が進むよう、啓発動画等を活用し、男性は仕事、女性は家庭といった固定的な性別役割分担意識をはじめとするアンコンシャス・バイアスに対する理解促進に取り組んでいる。
○ こうした取組を着実に実施し、子育てがしやすい職場環境を整備するとともに、企業や家庭に対して男性が子育てに関わることの大切さや意義について啓発し、夫婦で育児を行う気運を高めてまいる。