1.ガス事業会計には、どれくらいお金があるの?
大津市企業局のガス事業は、ガス導管の更新や災害時の復旧、エネルギー市場の変化などに備えるため、一定の「現預金(いわば貯金)」を持っています。
令和6年度末のガス事業会計の現預金残高は約118億円で、経営戦略で定めている目標額50億円を大きく上回っています。今後の計画を見ても、令和18年度末の時点で約90億円と、目標をおおむね40~60億円程度上回る見込みです。さらに、これとは別に80億円分は、すでに安全性の高い債券で運用しています。
こうした状況から、「ガス事業の安全・安定供給に支障がない範囲で、余裕のある資金をもっと有効に活用できないか」が、これまでの大きな課題でした。
2.なぜ資金の有効活用が必要なの?
ガス事業だけでなく、水道・下水道事業も、老朽化した施設の更新や地震対策など、これから大きな投資が必要です。一方で、料金収入だけでは経営が厳しくなる見通しがあり、特に水道事業では将来の料金改定が避けられない状況です。
そこで企業局では、
ガス事業会計が持つ余裕資金を生かすこと
その利益を、水道・下水道を含めた3事業全体の安定経営に役立てること
その結果として、市民のみなさんの料金改定の頻度や幅を、できるだけ抑えること
を目指し、令和6年度に外部有識者(学識経験者、公認会計士、弁護士)にも参加いただいた「懇談会」で、具体的な方策を検討しました。
3.「公営企業会計資金運用基金」とは?
検討の結果、「公営企業会計資金運用基金(仮称)」を新たに設け、ガス・水道・下水道の3事業でお金を出し合って一括で運用する仕組みを進めることとしました。
水道事業:5億円
下水道事業:15億円
ガス事業:40億円
合計60億円を基金に積み立て、共同で運用する計画です(各事業の現預金残高は、経営目標を下回らないように確保します)。
ここで得られる運用益は、
まず「もし大口定期預金で運用していたら得られたはずの利息」までは、積立額の割合に応じて3事業に配分
それを上回る“上乗せ分”は、水道・下水道など経営状況が厳しい事業に、一定のルールに基づいて手厚く配分
という2段階のルールで分ける仕組みです。
これにより、
3事業すべてがこの基金のメリットを受けつつ
特に経営が厳しい事業を重点的に支える
という「助け合い」の形を実現します。
4.どのように運用し、リスクはどう抑える?
「公的なお金を運用する」と聞くと、株式投資などリスクの高いイメージを持たれるかもしれませんが、今回の基金は次の点を徹底します。
運用対象は、安全性の高い国債・地方債などの債券とし、株式や投機的な商品には投資しません。
満期まで保有することを前提とした「満期保有債券」で運用し、短期的な値動きで損失が出ないようにします。
各事業の資金繰りに支障が出ないよう、必要な現金はこれまで通り確保します。
令和6年度に実際に行った債券運用では、利回りは約1.8~2.0%程度で、大口定期預金(0.7%台)と比べて、同じ安全性の範囲内で効率良く運用できている状況です。
また、地方自治法第241条に基づく「基金」として位置づけることで、毎年度の運用状況は監査委員の審査を受け、議会にも報告されるなど、チェック体制も整えます。
5.どのくらいの効果が見込めるの?
試算では、令和9年度から18年度までの10年間で、基金を活用した債券運用により、従来の大口定期預金だけで運用した場合と比べて、おおむね6億円程度多くの運用益が見込まれています。
内訳のイメージは、
水道事業:約4億円の上乗せ
ガス事業:約2億円の上乗せ
下水道事業:数千万円規模の上乗せとなっており、とりわけ多額の施設更新が必要な水道事業の下支えに役立つ試算です。
6.市民のみなさんへのメリット
今回の取組は、ガス・水道・下水道それぞれの料金をすぐに値下げするためのものではありません。しかし、次のような形で、市民のみなさんの暮らしを支えることを目指しています。
ライフライン料金の急激な値上げを抑える力に
特に水道事業では、将来どうしても料金改定が必要になる場面が想定されますが、基金からの運用益があることで、改定の「時期」や「幅」をできるだけ小さく抑えることが期待できます。
安定した施設更新と防災対策の推進
老朽化した管路や浄水場・終末処理場の更新、耐震化などの投資を計画的に進めやすくなり、地震・災害に強い暮らしの基盤づくりにつながります。
一般会計への“里帰り”で、市全体の施策にも活用
ガス事業の利益の一部は、地方公営企業法に基づき「利益処分」という形で、市の一般会計へ納付することができます。
基金運用によってガス事業の利益が増えることで、令和9~18年度の10年間で、一般会計に繰り出せる金額は約4.3億円 → 約6.0億円へと増える見込みです。
この財源は、カーボンニュートラルに資する施策や、市民生活の支援策など、大津市全体のまちづくりにも活用することを想定しています。
7.今後のスケジュールと情報公開
令和7年度には、有識者懇談会でいただいたご意見を踏まえ、施設常任委員会へ「ガス事業会計が保有する資金の有効活用策(案)」として報告を行いました。
今後は、
基金の運用ルールや内部管理の仕組みをさらに具体化
一般会計(市役所本庁)と、利益の使い方について調整
令和8年8月議会での「基金設置条例(案)」提出を目指して準備
を進めていきます。
基金の運用状況や、そこで得られた収益の活用状況については、毎年度ホームページ等でわかりやすくお知らせし、説明責任を果たしてまいります。
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