平成29年第1回定例会 一般質問に登壇させていただきました。
昨日、第1回定例会本会議 一般質問において、
「福祉避難所の拡充」 「食品ロスの削減とフードドライブ」 について登壇させていただきました。
理事者側からも前向きな答弁を引き出すことができました。
実現へ向け、進めてまいります。
黒文字と赤文字が私の質問で、青文字が理事者からの答弁です。
少し長いですが、最後まで読んでいただければと思います。
通告に従い順次質問をさせて頂きます。理事者におかれましては明快な答弁を宜しくお願い申し上げます。
始めに、「福祉避難所の拡充」についてお尋ねいたします。
昨年の12月3日こらぼ大森で行われた、防災学習会に参加させて頂きました。内容は、東日本大震災時の障がい者や支援者の証言をまとめたドキュメンタリー映画「逃げ遅れる人々」を拝聴後、災害時の障がい者を取り巻く課題についてワークショップを行うものでした。映画では、避難所生活において、「障がいがある為に、他人に迷惑をかけているのではないか」「私みたいな障がい者は避難しない方が良かったのではないか」など自分を責めたり、避難生活の不安などが赤裸々に語られていました。その後のワークショップにおいては、「障がい者も防災訓練には積極的に参加していくべきである」「近隣とも顔の見える関係をつくる必要がある」などのご意見が印象的でした。その後も参加者の方々とは連絡を取り合い、「障がい者の避難所生活が少しでも良くなるのであれば」との思いから今回の質問にも貴重なご意見を頂戴し、参考とさせていただきました。
間もなく4月14日を迎え、昨年の熊本地震から1年になろうとしています。改めまして亡くなられた皆様に哀悼の意を表し、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げるとともに、1日も早い復興をお祈り致します。また、本区からも多くの職員が災害現場に駆け付け救援活動に尽力されました事に対し、敬意と感謝の意を表します。
内閣府発表によりますと、昨年12月14日時点で熊本地震の人的災害は、死者50名、災害関連死は102名との事です。ここで注目すべきは災害関連死の増え方です。発災から4カ月経過した8月1日時点の災害関連死は22名でありました。しかし、その後の4ヶ月間で新たに80名の方が災害関連死として亡くなられている事であります。災害関連死は災害による負傷が原因での死亡の方も存在しますが、生活環境が十分とは言えない避難所において、長く避難生活をすることを余儀なくされ、精神的にも身体的にも健康を害し、エコノミークラス症候群や心筋梗塞・脳梗塞などで死にいたるケースが大半を占めています。また、その9割が高齢者とも言われています。
直接的な災害から必死の思いで一命を取り留めたものの、関連死として亡くなられるのは、残念でなりません。弱い立場の人達、いわゆる高齢者や障がい者、乳幼児・妊産婦などの「要配慮者」と言われている方々をいかに守っていくのか、更には、本区においての福祉避難所の協定契約数・収容人数など、その開設から運営にかかわる人の問題など重要と考えます。
本区の「地域防災計画 平成26年修正」に「福祉避難所の定義」として、「区立小・中学校避難所での避難生活に耐えられない寝たきりの高齢者、障がい者、乳幼児などの「要配慮者」が一時的に避難生活をおくるための施設として福祉避難所を開設する。」と記載してあり、平成26年当時の規模では、高齢者対策として14施設、障がい者対策として18施設そして、乳幼児対策として18施設の合計50の施設と協定を締結との事です。そこで質問します。その後どれだけの協定締結先が進んだのか、さらに、その規模で足りるのかお聞かせください。また、本区において最悪と想定のマグニチュード7.3の直下型地震が発災した場合、「要配慮者」の避難所生活をどのように支援していくのか、区の考えをお聞かせ下さい。
【答弁:危機管理室長】
福祉避難所についてのご質問ですが、区では、要支援者の把握、避難支援体制、避難誘導及び避難生活時の支援等を主な内容としました「大田区要配慮者及び避難行動要支援者支援計画」平成25年に策定し、要支援者に対する取り組みを進めているところであります。
福祉避難所の協定契約状況ですが、平成26年から高齢施設6施設・障害者施設1施設と新たに協定を締結し、現在、高齢者施設20か所、障がい者施設19か所乳幼児用としての18か所の区立保育園で、全体として57施設となっております。災害時要支援者名簿に登録している高齢者や障がい者の数に照らしますと、いまだ十分でないと認識しております。
また、「要配慮者」の避難所生活については、学校避難所は施設面での支援に限りはありますが、避難者の中に看護師や看護師経験者、また、介護士や介護士経験者等がいらっしゃる場合は、そのような方々のご協力を頂きながら要援護者の避難所生活における生活を支援していく考えです。
そのような協力者がいない場合や、学校避難所での生活が困難な方については、福祉避難所へ付添人を付けて移っていただく計画としております。
次に「福祉避難室」についてお尋ねいたします。
福祉避難所が不足している事を踏まえ、「要配慮者」において、その人の状態に応じた対応も必要と考えます。昨年4月に内閣府より発表された「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」によれば、「福祉避難室」という言葉が11カ所も使用され、「福祉避難室」の重要性がうかがえます。本区も防災計画においては「高齢者や障がい者等のスペースには階段を上り下りしない1階の部屋、トイレに近い部屋、環境等の比較的良好な部屋(畳のある部屋)を割り当てるなど、必要な配慮をする。」と記述されています。内閣府のガイドラインによれば、「少なくとも、地域における「福祉避難室」については、小学校校区に1か所程度の割合で指定する事を目的とすることが望ましい」とのご指導です。部屋の広さによりますが、91か所の小・中学校避難所に高齢者・障がい者・乳幼児向けの「福祉避難室」を設け、各々15人程度の収容を行った場合、各1,365人、合計で4,095人の追加収容が見込まれます。内閣府のガイドラインのスクリーニングにおいても、まずは小・中学校避難場所の体育館などの大部屋から始まり、次に「福祉避難室」へ、そして必要に応じて「福祉避難所」へと「要配慮者」への対応は2段構えの取組となっています。高齢者、障がい者、乳幼児など時として、予想外の行動もとられます。夜中に徘徊する老人や赤ちゃんの泣き声、多動性の障がい者など、平常時であればなんという事もない言動でも災害時の緊迫した状況においては要配慮者ご本人の負担もさることながら、ご家族や一般避難者の方々の精神的負担を減らす意味においても、小・中学校の避難場所において「福祉避難室」の設置を明確に推進するべきと考えますが、区の考えをお聞かせ下さい。
【答弁:危機管理室長】
小・中学校の避難所において「福祉避難室」の設置を明確に推進するべきとのご質問ですが、区の「学校防災活動拠点標準マニュアル」におきましても、避難所内のスペースの活用について配慮すべき事項としまして、「階段を上り下りしない1階の部屋」「トイレに近い部屋」「環境が比較的良好な部屋」を高齢者・障がい者等のスペースとして割り当てることとしております。
現在、すべての学校避難所にこのようなスペースを指定・確保できているとは言えませんが、、今後は、すべての学校避難所において、「高齢者・障がい者等のスペースを設置するよう、学校防災拠点会議において地域の方々や学校側との話し合いの中で、最優先課題として、いただくよう取り組んでまいります。
昨年、地元の介護老人保健施設の施設長から「東京都介護職員宿舎借り上げ支援事業」に関してのご相談を頂戴しました。本事業は、介護事業者に対し職員宿舎の借り上げに必要な経費の一部を助成する事業で、介護職員の働きやすい職場環境を実現し介護人材の確保と定着を図るとともに、事業所による防災の取組を計画的に進め、地域の災害福祉拠点として災害時の迅速な対応を推進することを目的に東京都保健福祉局において本年度より始まったばかりの事業であります。そして、その対象となるのが、福祉避難所の指定を受け、区と災害時応援協定を締結した区内在住の介護事業者です。
ご相談頂いた介護老人保健施設は、結果として本区と福祉避難所の応援協定を締結し、「東京都介護職員宿舎借り上げ事業」から1戸当たり82千円を3戸4年間支援して頂く事になりました。施設長がおっしゃるには、「この事業は、人材確保への効果もさることながら、災害時においては入居者ばかりでなく、地元地域に対しても、自分たちの技術を活かした貢献が出来るようになった」と、本区の進める「災害に立ち向かう」という考え方と合致した意欲あふれるコメントを頂戴しました。そこで区内の他の介護事業者へ本事業を紹介したところ、全ての事業者から「是非詳しく話を聞きたい」と前向きの答えを頂きました。そこで質問ですが、今後の高齢化社会において「要配慮者」はますます増えてくると考えられます。そのためにも本事業を区内の民間介護事業者へ広く告知し、福祉避難所の拡充のため、有効に活用すべきと考えます。東京都福祉保健局の平成29年度予算(案)によれば、前年度は198桃万円だった予算が、29年度は約2倍の、383桃万円の予算がつけられ、東京都の積極的な姿勢が感じられます。本事業に対する本区の考えをお聞かせ下さい。
【答弁:福祉部長】
東京都介護職員宿舎借り上げ支援事業についてのご質問ですが、区としては、この東京都に事業が、介護人材の確保につながるとともに、地域の災害対策拠点化に資する点で相乗効果が見込まれ、効果的な事業であると認識しております。
昨年、区内の老人保健施設から、同事業を東京都へ申請するにあたって、福祉避難所として施設を活用していとのお申し出を受け、区との協定締結に至りました。
今後も、区としては、東京都の予算額倍増の見通しを踏まえ、区内の事業所が広く同事業を活用できるよう、大田区特養・養護施設長会などの事業者の参加する場を捉えて同事業の案内などの支援を通じて介護人材確保と同時に災害対策を一層進めてまいります。
次に、「避難行動要支援者名簿」についてお尋ねいたします。
「避難行動要支援者名簿」は、高齢者や障がい者、乳幼児・妊産婦などの「要配慮者」の中から、自ら避難することが困難で、特に支援を要する方々を事前に掌握し、円滑な非難行動を確保するための重要な情報と考えます。
特に、障がい者は、その種別により支援の仕方は全く変わってきます。「避難行動要支援者」お一人お一人に合った個別の支援プランの作成・推進を切に願うものであります。
本区の定める「地域防災計画」によれば、「個別支援プランは支援対象者ごとに、誰が支援し、どこにどのように避難するかなどについて、具体的に定めておく計画である。名簿の「避難行動要支援者情報に基づき、避難支援のための個別支援プランを順次作成していく。」と御座います。そこで質問ですが、現在の「避難行動要支援者名簿」の進捗状況は如何でしょうか、また、今後の推進についてお聞かせ下さい。
【答弁:危機管理室長】
「避難行動要支援者名簿」の進捗状況についてのご質問ですが、「避難行動要支援者名簿」は、災害が発生し、または、災害が発生する恐れがある場合に自ら避難することが困難な者であって、その円滑かつ迅速な非難の確保を図るために特に支援を有する者を名簿にしたものです。
この「避難行動要支援者名簿」は災害対策基本法に位置付けられ、大田区では現在、約16,000人が該当しております。個別支援プランについては、区、避難支援等関係者及び福祉関係団体と連携し、避難支援の必要性が特に高い方から順次作成していくことにしており、現在は、在宅で常時人工呼吸器を使用している方を対象に本人の同意を得て個別支援プランを作成しております。
今後は、現在の在宅人工呼吸器個別支援プラン作成から見えてきた策定時からの変化への対応等様々な課題等の検証も踏まえ、プランの実効性を高めるためにどのように策定を進めていくか検討し、取り組みを推進してまいります。
次に人材の確保についてお尋ねいたします。
「福祉避難室」や「福祉避難所」を開設し、そこに「要配慮者」を収容した場合、専門的な知識を持った方がおられる事は必須であります。本区における「地域防災計画」によりますと、福祉避難所における人材確保の項目に「要配慮者」の避難生活を支援するため、「要配慮者」のニーズを把握し、適切に対応できるよう看護師、介護職員など専門的人材の確保に努める。」とございます。専門的な知識を持った本区内の介護職員など、現役・OBも含めた方々との協定の締結は大変重要あります。
熊本地震を人的支援の面から検証していった時「DCAT」(Dキャット)にたどり着きました。「DCAT」とは「災害派遣医療チーム」「DMAT」(Dマット)の福祉版であります。大規模な災害の直後に駆け付け、人命救助に当たるのが「DMAT」の役目であれば、発災2~3日後に駆け付け、配慮が必要な高齢者や障がい者などを支援する「災害派遣福祉チーム」が「DCAT」です。災害時にはケアが必要な高齢者や障がい者をいかに支援していくかが重要です。発災時すぐに駆け付けられるのは、本区在住の介護職員ですが、本人自身も被災者という事も事実であります。発災時から長期にわたる「要配慮者」の対応に追われ、疲れ果て、精神状態が崩れる事も防がねばなりません。今、「DCAT」を創設する自治体や民間団体は全国的に広がっています。そこで質問します。「DCAT」の推進や、長期にわたる「要配慮者」に対する支援、介護職員等の協定など、人的確保について現在の進捗状況と本区の考えをお聞かせ下さい。
【答弁:福祉部長】
避難所の人的な体制確保についてのご質問ですが、避難所を運営するための人材確保は重要な課題であると認識しております。
学校防災拠点または学校避難所や福祉避難所などでの生活が長期にわたると、要配慮者が健康被害を受けやすく、心身のバランスが崩れる傾向が高くなることから、大田区地域防災計画では、区職員をはじめとする保険市が避難所を巡回する健康相談を実施することとしております。
これに加えて今後は、区内の介護サービス事業者に対し、福祉避難所などでの専門職による介護サービス提供に、協力を求めることも視野に入れて検討してまいります。
また、大規模災害が発生した場合、区だけでは、応急・復旧等の対策は困難であり、広域的な支援が必要となると考えられます。議員お話の介護福祉士等の専門職からなるDCAT(災害派遣福祉チーム)についても、その視点から、総務部を中心に連携し、その役割、機能、実態等を調査し、把握に努めてまいります。
最後に小・中学校避難所から「福祉避難所」への移送についてお尋ねいたします。
先の熊本地震においては、震災前の福祉避難所として176の民間施設と協定を結び1700名の受け入れを可能としていましたが、実際に災害が起きてみると「福祉避難所」へ近隣から一般の避難者が殺到し、断り切れず受け入れたため、その後の「要配慮者」の受け入れが出来なかったり、別の「福祉避難所」では、発災直後に福祉避難所を開所しても、全く受け入れ要請がなかったところもあったそうです。これは一時避難所での移送判断基準が適切に行われなかった事があげられます。発災後の限られた移送手段や限定的な「福祉避難所」数の中で適切に福祉避難所へ誘導するためにはある程度の専門的知識が必要となり、そういった訓練の必要性も感じます。また、東日本大震災においても、多くの一時避難所から福祉避難所への移送判断基準に迷うことがあったと言われています。平成28年内閣府のガイドラインには特別な知識がなくてもスクリーニングすることができる判断基準が一覧表で示されていますので、本区においても是非参考にして頂きたいと思います。また、本区の「地域防災計画」の小・中学校避難所から福祉避難所への移送に関し、「該当者は原則として、自力で避難する。自力で移動できない場合は、他の避難者の協力を得て移動する」と御座います。これは「要配慮者」にとって大変な負担になるのではないでしょうか。そもそも、「福祉避難所」の大半は「福祉施設」であります。元々送迎用のマイクロバスはあるわけで、中にはリフト付きもあるでしょう。福祉避難所の車が使用できる場合、ドライバーや燃料の問題なども含め、事前に協定を結び、出来るだけ「要配慮者」の負担にならないように取り組むべきと考えます。内閣府のガイドラインにも「要配慮者の状態に配慮した適切な移送手段を確保できるよう、福祉車両・一般車両等の調達先リストを整備する」「また、福祉避難所として想定される施設が保有する車両等を借り上げるための協定の締結も考えられ、その際には燃料など費用面での条件を話し合っておく必要がある」とのご指導です。福祉避難所の車が使用出る場合も含め、事前に協定を締結しておく必要があると考えますが、本区の考えをお聞かせ下さい。
【答弁:福祉部長】
要配慮者の学校防災拠点または学校避難所から福祉避難所への移送についてのご質問ですが、区としましては、福祉避難所の対象者の状態に配慮して適切な移送手段を確保することは、大変重要な視点であると認識しております。
施設が管理または借用している送迎バス等の車両を移送に活用することは、発災後の交通規制が適用される範囲での運用が困難になることが想定されるほか、付添のご家族や避難者、ボランティア等の助け合いを通じた協力体制を確保することがあることなど様々な課題があります。
これらの課題に対して、車両の活用についての施設との協定に関することや、移送に際しての補助者の確保に向けた態勢づくりについて、庁内をはじめ関係機関や団体と連携し、検討してまいります。
縷々質問させて頂きましたが、首都直下型地震の確率は日に日に上がっています。また、地震に限らず、温暖化による巨大台風やゲリラ豪雨など想定外の風水害も否定できません。そのような時に「災害弱者」をどう守っていくのかは平時に何をしたかで決まります。冒頭に申しました障がい者の方々も切実に訴えられました。本区の災害に立ち向かう姿勢は素晴らしいと思います。地域防災計画も読めば読むほどその完成度の高さを感じます。ただし、時間と共に拡充すべき事項や解決しなければならない課題、新しい技術の登用など常にメンテナンスは必要です。今後も防災危機管理課の職員をはじめ各部局の皆様の横断的な取組に期待をし、次の質問に移ります。(質問:6問)
次に、「食品ロスの削減とフードドライブ」について質問いたします。
今年も節分が終わった2月4日の午前0時を過ぎ、各地のスーパーやコンビニエンスストアーで発生した恵方巻きの大量廃棄の画像がインターネットで拡散されていました。毎年のことですが、この日ほど「もったいない」を痛烈に感じる日はありません。公明党は平成27年12月に「食品ロスの削減プロジェクトチーム」を立ち上げ、全国的に街頭運動などを通じて国民の皆様への意識啓発に取り組んでいます。私も昨年の3月には予算特別委員会の場において「食品ロスの削減」について質問させて頂き、本区における区民への啓発活動の取組や、先進的な事例として「松本市の30・10運動」「横浜市の食べきり協力店の推進」、外国の取組として「フランスのドギーバック法施行」などの事例を挙げ、本区の考え方について質問させて頂きました。「食品ロスの削減」は、事業者においては過剰生産の抑制による生産や物流コストの削減、廃棄コストの削減に繋がり、家庭においては食費の節約や、排出ごみの削減に繋がります。また、処理場においては焼却時のCO2削減による環境負荷の軽減といった何重もの効果が見込まれ、地球温暖化の抑制にも繋がります。さらに、生活が苦しい家庭や福祉施設などに無償で食糧を提供するフードバンクなどの活動により、未利用食品の有効活用は、生活困窮者等の支援にも通じるものがあり、食品ロスの削減は継続して取り組んでいかなければなりません。
今、いたるところで「子どもの貧困」という言葉が使われ、「子ども食堂」など「食事と居場所の支援」をする団体が全国各地に急増しています。「子ども食堂」は、特別な知識を必要とするような「学習支援」と異なり、取り組みやすい支援という事もあって多くの方々が取り組まれ、いま、全国で350~400か所で運営されているともお聞きします。本区にはその生みの親的存在の「子ども食堂」があり、私も、先輩議員からそのお店を紹介して頂き、継続して訪問させて頂いています。最近は子連れの若いお母さん方やひとり暮らしのお年寄りなどの姿も見られ、子どもだけでなく大人にとっても安心できる「憩いの場」的な役割もしているようにも感じます。大人500円・子供100円がその「子ども食堂」の価格設定ですが、収入のほとんどは寄付に頼っているのが現状だそうです。決して楽な経営ではありません。「今はこうして皆さんから注目され、ありがたい事に寄付もどうにか集まってきましたが、以前は何回も心が折れそうになった事があります。」と店主から伺いました。このような「子ども食堂」が子どもたちの笑顔を守り、その「子ども食堂」を守っていくのが我々政治の使命とも感じます。
では、どういった支援が必要なのか。店主との会話の中で見えてきたのが、「公的資金の支援は大変ありがたいのですが、複雑な書類の提出や生食材の使用制限など、規制面が入ることにより自由な発想が制限される可能性がある」との事でした。私もそう思います。
今、企業から発生する食品ロスを有効活用し食糧支援として各地の養護施設や生活困窮者に食糧を支援している問屋的役割を持った「フードバンク」という民間団体が全国で注目されています。本区内の社会福祉協議会や「子ども学習支援事業」など既にフードバンクから支援を受け、緊急的な食糧の配給を行っている団体はいくつか存在しますが、それは社会福祉協議会からの申し出が基本となり、細かい支援まで至っていないというのが現実であります。また、残念なことに、本区内で発生する「食品ロスの削減」との関係は低いと考えられます。
ここで、一つの事例を紹介させて頂きます。「本区内で発生する「食品ロス」を本区内の「子ども食堂」に直接つなげないものか?」という考えのもと、一昨年より、区内の学校給食向け大手食品卸問屋の会長・社長と「食品ロスの削減」について対話を重ね、ご理解を頂き、結果として、昨年12月22日「ワンBOX車1台分」の「食品ロス」を食糧支援として先ほどの「子ども食堂」へ提供させて頂きました。 もちろん、事前に不必要な物など両者で協議して頂き、必要な食材だけの食糧支援であります。「フードバンク」がなくても、本区の「食品ロスの発生元」と「消費場所」を繋ぐ事ができました。
そこで質問ですが、今回の例をモデルケースとし、本区が主体となって「区報」などを通じ、食品ロスを提供できる区内の食品業者を募り、本区はマッチング役に務め、公共性の高い「子ども食堂」や「児童養護施設」など地域団体への食糧支援を行う「大田区フードドライブ」を行ってはいかがでしょうか、区の考えをお聞かせ下さい。
【答弁:環境清掃部長】
「食品ロス」の削減についてのご質問ですが、
区では循環型社会の構築に向けて、リデュース、リユース、リサイクルの3R、中でも、使えるものを再利用するリユースとともに、ゴミの発生を抑制するリデュースを重視して取り組みを進めているところです。
平成27年度に実施した、ゴミの組成分析調査では、可燃ごみの約2.9%が、未開封の食べられるはずの食品でした。これを平成27年度に区が収集した可燃ごみ量に当てはめ推測しますと、約3,700トンになり、清掃車約2,000台分に相当します。食品ロスの削減は循環型社会の構築のみならず、低炭素社会の構築の視点からも大きな意義があり、解決に向けては社会全体で都市組んでいかなければならない課題であると認識しております。
区はこれまでも、区報や区ホームページなど多様な媒体を活用した広報や、環境学習を通じ食品ロスの削減に向けた普及啓発に取り組んでまいりました。
賞味期限が近づいた食品については、区においても防災訓練の機会を活用した防災用非常食料の配布などの例がありますが、議員お話のフードドライブの仕組みにより区内の福祉団体へ寄付することは、食品ロスの削減に加え、おおた子どもの生活応援プランの推進などにも寄与し、福祉的な支援としても有効な取り組みの一つと考えられます。
こうしたことを踏まえ、今後、他の自治体の取り組みなども参考にしながら、福祉部など、関係部局と連携し、鋭意検討を進めてまいります。
冒頭に申しましたが、今の「子ども食堂」は子どもたちばかりではなく、若いお母さんや高齢者などいろんな人にとっても心のよりどころとなっているようにも見えます。ひとり親家庭が増えている状況においてもこういった居場所は必要になってくるのではないでしょうか。本区が直接支援しなくとも、民間と民間を繋いで大きな効果を生み出すような、まさに地域力の向上にもつながるものと感じます。誰も置き去りにしない、更に安心して住める町となる事を願い、質問を終了します。
ありがとうございました。(質問:1問)