令和4年第2回定例会 一般質問
6月16日、会派を代表し、令和4年第2回定例会の一般質問に登壇させていただきました。
質問は、以下の7項目について質問を行い、理事者からの答弁はすべて前向きな答弁を引き出すことが出来ました。
今後は、早期に実現できるよう、理事者と丁寧に進めてまいります。少し長いですが、読んでいただけたらと思います。
質問内容
① 新しい生活様式やステイホームの増加となって新たに生まれた危険性に対する区民への注意喚起について
② 火災発生時、被災者への支援について
③ 火災被災者への紙ベース支援情報マニュアルの作成について
④ 感染防止や避難所機能強化の観点から、小・中学校の蛇口を手回し式からレバー式へ交換について
⑤ 引きこもり支援室「SAPOTA」の状況について
⑥ 中学校と「SAPOTA」との連携について
⑦ 重層的支援会議の中心者について
質問原稿
大田区議会公明党の椿真一です。通告に従い順次質問をさせていただきます。理事者に置かれましては明快な答弁をよろしくお願いいたします。
初めに、本区の火災被災者への支援について伺います。
令和3年の全国の出火件数は35,077件でした。これは15分に1件の割合で火災が発生しており、令和2年と比較しても1.1%増と増加傾向にあります。また、建物火災が約半数を占めており、その出火原因は「コンロ」が最も多く、新型コロナ感染症予防で各家庭に普及したアルコール消毒液からの引火が挙げられています。
アルコール濃度70%以上の消毒液は区内のスーパーや薬局等で普通に販売されていますが、濃度60%を超えると消防法上危険物に分類され、たばこやガスコンロ、衣服の静電気などから引火し火災に至っているそうです。
1事例を申しますと、買い物から帰ってきた主婦が、購入してきた物を丁寧にアルコール消毒し、手指もアルコール消毒を行なった後、火を使う調理を開始した結果、周辺に気化していたアルコールに引火して瞬く間に燃え広がり、火災に発展したそうです。
これから夏場になりますが、車の車内にアルコール消毒液を放置した場合なども危険と考えます。
質問します。火災予防の観点から、コロナ禍においてアルコール消毒液を使用する機会が増えるなど、新しい生活様式やステイホームの増加となって新たに生まれた危険性に対し、区民への注意喚起を行っていただきたいと考えます。本区の見解をお聞かせください。
本区は、火災によって、全焼、又は半焼し、自宅に住めなくなられた場合、被災者への一時的な住居支援として「プラム蒲田」が用意されており、先日、視察させていただきました。
「プラム蒲田」は単身用と世帯用の2種類の部屋が用意され、エアコンや毛布、日本赤十字社からの支援品も用意されておりました。
ご自宅が全焼した場合、不安で仕方ないことでしょう。着の身着のまま焼けだされた被災者にとっては、その日の宿として本当に助かると感じました。何か月もの長期間の滞在はできませんが、様々な手続きや自宅の後片付けを行う間の拠点として安心して滞在できる場所の提供は重要と考えます。
また、「プラム蒲田」はウクライナからの避難者を受け入れる施設とも伺いました。全室が畳の部屋だったので、ベットなどの生活用品や小型通訳機、教育や福祉など、ウクライナの生活様式を配慮し、準備についても十分な体制をしていただきますよう要望しておきます。よろしくお願いします。
先日、区内4か所の消防署へ調査したところ、令和3年の本区内の出火件数は175件と伺いました。
質問します。区内で火災が発生した場合、特別出張所の職員を中心に、被災者へ寄り添った支援を行っていただいておりますが、全ての火災現場に本区職員が駆けつけることは限界があると考えます。どのような体制で火災を掌握し、被災された区民に対してはどのような支援を行っているのでしょうか、お聞かせください。
今月6月7日、池上7丁目の3階建てマンションの1室を焼く火災が発生いたしました。被災者保護のため急行し、現地にいた池上出張所所長・副所長と共に被災者への今後の支援などについて縷々話を致しましたが、殆ど聞いてもらえる状態ではなく「これから先どうしていいのか何にもわからない」と何度も言われてました。
先程も申しましたが、ご自宅が火災にあわれた方は、生活していた場所を突然失い、途方に暮れる状況になります。何から手を付けたらいいのか、どこへ相談すればどういった支援が受けられるのかわからずにおられます。
火災被災者への支援の情報について他の自治体を調査してみますと、簡単な手続きを纏めただけのものから、なぜその手続きが必要なのか丁寧に説明され、1件1ページで、減免や再発行などの手続きに優先順位をつけ、30ページ以上のマニュアルなど、自治体によってその取り組みは様々です。
台風19号の被災者に対し、30項目に分かれた「被災された方向け各種制度・手続き等に関する大田区相談窓口一覧」を区から配布して頂きました。この一覧表をもとに各部署の連絡先に電話をして支援を受けるようになっておりますが、中身を見直し、火災被災者への支援マニュアルに応用できないものかと考えます。
質問します。手元に紙ベースの支援情報マニュアルがあれば、途方に暮れる被災者の心理状況を整理するうえで有効と考えます。また、本区職員のスキルアップにも繋がるのではないでしょうか。本区の見解をお聞かせください。
今回は火災被災者への支援情報として質問・提案させていただきましたが、地震においても同じことがいえると思いますので、今のうちから地震の被災者への被災後の情報マニュアルも準備して頂きますよう要望しておきます。よろしくお願いします。
次に、小・中学校の水道の蛇口について質問します。
最近、全体的にコロナウイルス感染はすこしずつ減少しているものの、地方によっては10代以下の子どもたちへの感染は拡大しているというニュースを目にするようになりました。
福島県では、学校や児童施設、部活等の大会などで多くのクラスターが発生し、子どもの感染割合が高い状態が続くなど予断を許さない状況にあり5月末を期限としていた家庭内などでの対策徹底を呼び掛ける「重点対策」の期間を、6月12日まで延長すると決めるなど、特別に10代以下の対策を講じている自治体もあり、子どもへの感染症防止は、より一層の対策が必要と考えます。
本区においては、子どもたちの下校後、学校の職員さんで、子どもたちが触る個所を中心にアルコール消毒など、感染予防を行って頂いていると伺いました。
しかし誠に残念で御座いますが、毎日のように区内のどこかの小・中学校から陽性反応が検出されたとのメールをいただいていることも事実であります。
児童・生徒を守る新たな方法はないものか調べてみますと、感染予防のため子どもたちが使う水道の蛇口のハンドルを手回し式からレバー式に交換している自治体が各地で急増していることがわかりました。
なぜ、小・中学校の蛇口を手回し式からレバー式なのか、レバー式でコロナ対策になるのかと疑問に思いましたが、手回し式のハンドルは指先で握る必要があるため、接触面積は広くなり、感染リスクが高まりますが、レバー式にすれば、ひじや手の甲などで簡単に操作することができ、接触面積も最小限に抑えることができるため感染対策として一定の効果が期待できることがわかりました。
また、レバー式の切り替えではなく、「どうせ交換するなら赤外線センサー式の非接触自動水栓にするべきではないか」とも考えましたが、電気配線工事など、1カ所当たりの単価が高く、小・中学校全体の見直しとなった場合の経費や、災害時の避難所を考えた場合、停電時でも使用できる必要があるため非接触の赤外線センサー式ではない方がいいことがわかりました。ちなみに、レバー式ですと、本体価格1個当たり1,500円程度でした。
また、電気配線工事が不要な電池式や発電式の自動水栓ならどうかという事も調べてみましたが、発電式は経費が掛かりすぎて問題外、電池式の場合、定期的な電池の交換作業が必要で、その作業が新たな作業負担になる可能性があるという事も分かりました。
先ほど、災害時の避難場所という事を申しましたが、本区でも、災害時に家屋を失った人々が、応急的な生活を行える場として区立小・中学校87か所と4か所の区施設を避難所として指定しておりますが、避難されてこられる方々は高齢者や未就学児、障害のある方々など様々な方が避難して来られます。
多くの方々にとっての使いやすさや、感染防止の観点から、手回し式より、レバー式の方が安心と考えます。
さらに、水栓の手回式からレバー式への変更事例を申しますと、平成30年、約15年ぶりに食品衛生法が改正され、昨年6月に施行されました。対象はすべての飲食店と食品製造所で、注目すべきは水栓に関する改正です。
新しい施設基準では、水栓は「洗浄後の手指の再汚染を防止できる構造を有するもの」が求められています。具体的に申しますと、水栓に手指が触れることなく操作できるもの、つまり赤外線の非接触式かレバー式という事であります。このように、厚労省や文科省においても水栓のレバー化は非接触式かレバー式を推進しています。
私の地元の池上第2小学校と入新井第四小学校の校長と副校長に協力していただき、水栓状況の調査してまいりました。
池上第2小学校の水栓は239カ所あり、その内、プッシュ式の自閉式水栓は36カ所でした。また、入新井第4小学校のプッシュ式の自閉式水栓は49カ所でした。 児童数から判断して、ほとんどの児童が手回し水栓を利用しているものと思われます。
また、日ごろ訪問させていただいている地元の大型老健施設や介護施設3か所へ調査を行いましたが、利用者が触れる水栓はすべて赤外線センサーの非接触式かレバー式で、手回し式は一つもありませんでした。
質問します。小・中学校に通う児童・生徒の感染防止や、避難所としての機能強化など、まずは、子どもたちが頻繁に使う手回し式の水栓からレバー式に交換することを検討していただきたいと考えます。また、本区の、小・中学校以外の区立保育園や幼稚園、児童館などの公共施設においても同じようなことがいえるのではないかと考えますので、手回し式の水栓であれば、使用する頻度や利用者を想定し、必要に応じてレバー式水栓を検討して頂きたいと考えます。区の見解をお聞かせください。
最後に、「ひきこもり支援室SAPOTA」と、重層的支援体制移行準備事業について質問いたします。
まず、「引きこもり支援室SAPOTA」は開設して1か月が過ぎました。この1か月様々なことがあったかと思います。開設後の当事者やご家族への相談状況についてお聞かせください。
先日、「引きこもり支援室SAPOTA」を見学させていただきました。 事務所内は落ち着いた感じで、相談するための小部屋が2部屋あり、職員3名とアルバイト1名の合計4名の方が働いておられました。丁度、予約されていた年配のご婦人がご家族の引きこもりの件でご相談に来られた様子で、職員が親身になって話を聞いている様は頼もしくも感じました。
本区には15歳から64歳までの、いわゆる「80₋50問題」、大人の引きこもりの方は推定で6,000人以上おられると言われてますが、親子の高齢化と引きこもりの長期化で「90₋60問題」に移行しつつあり、さらに、コロナ禍により不登校の小・中学生は過去最多の1,000人を超え、中学を卒業してもそのまま引きこもってしまう確率は、依然は16%といわれていましたが、最近はコロナ禍の影響で30%ともいわれ、本区に当てはめますと、毎年、20名から40名の生徒がそのまま引きこもりになっていると考えられます。
在学中に何とか復帰してもらいたいと、かかわってきた中学校の担任の先生や登校支援委員の方など、その思いがあるだけに卒業後の将来が心配のことと思います。
質問します。引きこもりは、その期間が長引くほど社会復帰が困難で、早いうちの支援、できれば年齢も若い方が効果的ともいわれ、学校とSAPOTAとの連携は重要と考えます。本区の見解をお聞かせください。
次に重層的支援体制移行準備事業について伺います。
昨年末、区民相談をいただき、家族4人、全員が引きこもりの世帯の訪問支援活動を開始しました。
本区をはじめとした関係機関は、高齢福祉課、地域健康課、生活福祉課、成年後見人、大田区社会福祉協議会、地域包括支援センターの皆さんにかかわって頂いておりますが、情報を出し合い、効果的な支援に繋げるための関係者会議を開く段階で、どなたが中心者となって皆に声をかけるのか、皆さん譲り合い状態となり、対応に苦労したことが御座いました。
こういう傾向性は以前から感じておりましたが、関係者の皆さん本当に一生懸命寄り添ってくださっているのは十分わかっておりますが、なぜか中心者になることは遠慮されます。
質問します。今回の重層的支援会議は、どなたが中心者となるのか非常に重要と考えます。また、地域福祉コーディネーターとの関りも外せません。さらに、福祉部だけでおさまるケースばかりではないと考えます。区の見解をお聞かせください。
重層的支援会議がどの時点で必要になるのかを見極めるのは非常に重要と考えます。ぜひ、体制の整備をよろしくお願いいたします。
ここ数年の、特に最近の福祉部と大田区社会福祉協議会の活躍には目を見張るものを感じます。すごく連携がいいです。車の両輪として機能していると実感します。
今を、そして未来を生きる人たちが暮らしたいと思えるような大田区を作る。
ここに我々の使命があると思います。
今後も、本区の福祉事業に期待をして質問を終わります。