公明党 大田区議会議員 たじま和雄

令和01年 第4回定例会

令和01年 第4回定例会 11月27日

○塩野目 議長 次に、26番田島和雄議員。
〔26番田島和雄議員登壇〕(拍手)

◆26番(田島和雄 議員) 大田区議会公明党の田島和雄でございます。
初めに、10月12日に日本に上陸した令和元年台風19号は、11月25日現在で、死者・行方不明者101名、家屋の全・半壊2万1142棟という大変大きな被害が発生いたしました。お亡くなりになられた皆様のご冥福を衷心よりお祈りするとともに、被害に遭われました皆様に心からお見舞い申し上げます。
それでは、会派を代表して質問いたします。区長、教育長におかれましては、明快なる答弁をお願いいたします。
初めに、防災・減災対策についてお伺いいたします。
本年は台風被害が目立ち、特に台風15号、台風19号は大きな爪跡を日本列島に残しました。大田区においては、台風15号は風の被害、台風19号は大雨による浸水被害が特に大きく発生いたしました。台風19号では、本区として初めて「避難指示(緊急)」、「警戒レベル5(災害発生情報)」を発令いたしました。区の設けた避難所には合計約1万2000名が避難、大森東地区では停電、田園調布地区を中心に浸水被害が発生しました。浸水被害は、床上・床下浸水が600を超える世帯で発生したとの報告がなされております。本区の職員が災害対応、復旧対応に昼夜を分かたず献身的に当たられていることに敬意を表します。
しかし、台風19号における本区の対応に対して、区民から大変厳しいお声を数多く頂戴しているのも事実です。大田区議会公明党は、そうしたお声や、議員が直接見聞きしたことをもとにまとめ上げた「会派緊急要望書」を台風直後の10月16日、松原区長に提出いたしました。内容は、1、災害に関する的確な情報発信を行うこと(災害時のホームページの改善)、2、水害時緊急避難場所を速やかに開設すること、3、避難者対応の基準を明確にすること(ペット対応も含む)、4、区民のさらなる自助意識の向上に取り組むことを挙げております。
その緊急要望項目に沿って質問させていただきます。
まず1点目に、情報発信についてお伺いいたします。
今回の台風19号では、多摩川の流域を中心に、「警戒レベル3 避難準備・高齢者等避難開始」、「警戒レベル4 避難勧告」、「警戒レベル4 避難指示(緊急)」と段階を踏んで発令しました。この避難情報を発令したあたりから、本区のホームページが閲覧できなくなる状態に陥り、それは翌日まで続きました。これでは災害に関する重要な情報を取得することが不可能になってしまうことから、早急な改善が必要と考えます。
私は過去の議会で、ホームページがダウンすることに備えて、情報伝達手段の複数化や具体化を提案いたしましたが、その際の本区の答弁は、「災害時においても、ホームページでの情報提供を基本とする」というものでした。しかし、今回、その基本中の基本のホームページがダウンしました。それ以外にも、大田区が発信する防災情報の具体化と、水害時の避難所開設、防災に特化したポータルサイトの開設、公衆無線LANへの非常電源設置及び学校避難所への無線LANの設置、防災行政無線電話応答サービスの周知及び災害情報の多言語化とやさしい日本語の活用、防災アプリの導入、ダム緊急放流の情報提供など、情報発信、情報提供に関するものだけでも数多くの課題を指摘し、提案してまいりましたが、このたびの台風19号では、こうした懸念のいくつかが図らずも現実のものとなったことは残念でなりません。
また、本区では、台風上陸前の10月11日金曜日午前9時に災害対策本部を設置いたしました。災害が発生する前に設置したということは、災害発生の危機が迫っていて、区民の生命、財産を守るため、区はかつてない態勢に入ったと受け止めました。しかし、本区のツイッターは、災害への備えを呼びかけることは少なく、平常時の情報が発信されておりました。そこからは、残念ながら、危機感を感じ取ることはできませんでした。台風は地震と異なり、台風接近までの情報提供ができます。本区では区民に対し、マイ・タイムラインをつくるよう呼びかけておりますが、区としての情報提供のタイムラインは策定してあったのでしょうか。まずは災害情報発信に関する計画を抜本的に見直し、災害に関する情報の集約と広報において、統一的な管理と緊密な連関、能動的な運用をするべきです。
一方、今回の台風19号では、大潮の満潮時刻と台風接近時刻が重なるおそれがあり、高潮注意報が発令されました。しかし、海側の水位がわからず、不安になって、海老取川の防潮堤へ水位を見に行くなどの危険な行動をとる方もいらっしゃいました。そのような危険行動を回避し、高潮に備えるためにも、海老取川や京浜運河に水位計や水防カメラを設置し、情報提供する必要もあるのではないでしょうか。
お伺いいたします。災害に関する的確な情報発信のためには、災害情報発信計画と情報提供環境の抜本的な見直しが必要と考えますが、区長のお考えをお示しください。
2点目の避難所については、「避難所がどこなのかわからない」、「近くの小中学校に行ったが、避難所が開設されていなかった」、「避難所が避難者でいっぱいで入れなかった」というお声が数多く聞かれました。避難所が冠水して孤立し、二次被害が発生することが懸念される地域では、学校などを避難所として開設できないことから、地震の際の避難所と異なり、水害時緊急避難場所の数は限られます。しかし、日ごろの震災を想定した防災訓練で、学校は災害時の避難場所とのイメージを持っている区民が近くの学校に避難できないことで混乱が起こりました。そのうえ、限られた避難所をさらに限定して開設したことで、混乱に拍車がかかりました。そもそも初期の段階で、本区の防災所管が掲げる「空振りを恐れず」に、全ての水害時緊急避難場所を開設するべきだったのではないでしょうか。
また、避難所における避難者の収容にも課題が残りました。当初の水害時緊急避難場所では収容し切れず、補完避難所としての文化センターなども開放されましたが、それでも避難者が入り切れないところもありました。それは、避難所ごとに計画していた収容可能数よりも避難者が少ないにもかかわらず、各避難所が受け入れをやめてしまったことも原因の一つであると考えます。なぜこのようなことが起こったのか検証し、対策を講じる必要があります。
伺います。収容可能数まで避難者を受け入れる収容体制の見直し、初期の段階から全ての水害時緊急避難場所を速やかに開設すべきと考えますが、区長のお考えを伺います。
3点目の避難所の運営について伺います。
地域防災計画に記載がない自主避難スペースと避難所の区別がわからないとのお声や、ペットを同行した避難について、避難所ごとに対応が異なったとのお声もいただいております。
伺います。自主避難スペース、避難所ともに、避難者対応の基準を明確にすべきと考えますが、所見をお示しください。
4点目の区民の自助意識の向上について伺います。
本年、令和元年第2回定例会の一般質問で紹介した中央防災会議防災対策実行会議ワーキンググループの報告書のとおり、行政に全ての区民の命を委ね、行政が一人ひとりを避難させることは不可能です。自分の置かれた環境にどのような災害リスクがあるのか、事前にどのように準備し、いざというときには、どのタイミングで、どのように行動するのかを区民一人ひとりが考え、主体的に行動できなければ、区民の命を守ることはできません。「みずからの命はみずからが守る」という意識を徹底するため、本年、本区は他自治体に先駆けて、マイ・タイムライン講習会を開催いたしました。マイ・タイムライン講習会の回数を来年度はさらに増やすとともに、地域の防災訓練においても、震災対応とあわせて、マイ・タイムライン講習会を開催し、人ごとではなく、我が事として、マイ・タイムラインをしっかり根づかせていくことが重要です。
区民にハザードマップをお渡しした際、とても見やすいマップでわかりやすいとおっしゃっておりました。地域の災害リスクと、とるべき避難行動を区民に広く周知し、自助意識を醸成するため、ハザードマップとマイ・タイムラインの概要を全戸配布すべきと考えます。
伺います。区民のさらなる自助意識の向上に取り組むべきと考えますが、区の所見をお示しください。
自助意識に加えて、要配慮者の避難についてお伺いいたします。
多くの区民とお話しする中で、今回の避難に関しては、特に高齢者や障がい者などの要配慮者が避難することの困難さを多くの区民が訴えておられました。民生委員が回られて、要配慮者に声かけをされていた地域もありましたが、移動手段を持たない要配慮者にどのように避難してもらうのか、検討をさらに進める必要があると考えます。
伺います。要配慮者の避難について、今回を教訓に、どのような課題があって、どう改善するのかお示しください。
今回の台風19号では、大変多くの課題が残りました。庁内で今回の対応を検証し、課題を精査して改善を図るとの方針と伺っております。大事なことは、検証結果と改善点を体系的に整理し、全ての職員と共有するとともに、区民にも公開すべきではないでしょうか。それらを踏まえて、地域防災計画やハザードマップも改定すべきと考えます。そして、大規模に行われている水防訓練のほかに、図上訓練なども取り入れ、いざというときの指揮系統、連絡体制、避難所開設などを定期的に確認することも必要と考えます。危機管理室だけが情熱を傾けて対策を練るのではなく、松原区長のリーダーシップのもと、全庁を挙げて、一人ひとりの職員が我が事として防災危機管理の強化に取り組むべきです。
伺います。検証結果、改善状況の職員・区民との速やかな共有、計画の改定、そして、全庁を挙げての防災危機管理能力向上についての区長のお考えをお示しください。
気候が変動し、地震を含めて、自然災害が激甚化、頻発化の様相を呈しております。自然災害は既に新たな段階に入ったと認識すべきです。50年に1度、100年に1度というのは確率の話であって、来年は大きな災害はないと言うことはできません。今、大田区の防災力、減災力が試されております。改善を急ぐとともに、さらなる防災・減災対策の充実、強化、深化を求め、次の質問に移ります。
次に、スマート自治体についてお伺いいたします。
時代は急速にデジタル化が進む中で、グローバル化、少子高齢化、生産年齢人口の減少、核家族世帯や単独世帯の増加など、社会環境の大きな変化を背景に、平成28年、官民データ活用推進基本法が成立したことを受け、国は、世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画、デジタル・ガバメント推進方針、デジタル・ガバメント実行計画を策定し、行政のあり方そのものをデジタル前提で見直す、デジタル・ガバメントの実現を目指しております。
行政サービスのIT化で先進的な取り組みを行う大阪府四條畷市では、オンラインによる住民票の取得、窓口手数料のキャッシュレス化、LINEを用いた道路陥没の通報、ウェブカメラを用いた職員採用面接のほか、保育園の入所選考にAIを活用した入所選考システムを運用することにとどまらず、保護者による入所申し込みから、保護者への結果通知に至る一連の流れを全てデジタル化、ウェブ上で完結する計画を立てております。市がITを活用するのは、職員の利便性、業務時間の削減だけではなく、削減された時間を区民に向き合う時間に振り向け、行政サービスの向上を図るためと説明しております。
今後も情報分野の技術革新が進む見込みで、例えば来年にも商用サービスが始まると言われております5Gは、あらゆるものがつながり、行政サービスも大きく変わる可能性を秘めております。本区においては、大田区行政情報化ビジョン策定から17年が経過し、それにかわるものとして、(仮称)大田区の情報化推進に関する基本的な考え方を策定する方針であると伺っております。
本区では、先ごろ、情報政策担当の任期付き職員の募集をいたしました。IT人材の登用は、渋谷区でも成果を上げていると伺っております。あわせて、デジタル化を進めるうえで、利便性向上と同様に重要なのがセキュリティの確保です。情報政策人材の採用の狙いと、区民のためのスマート自治体のあり方、セキュリティの確保について、区長のお考えを伺います。
次に、自然に健康になれる食環境づくりについてお伺いいたします。
おおた健康プラン(第三次)は健康寿命の延伸を総合指標として採用し、健康増進施策を取りまとめております。本区においては、「適度な運動」「適切な食事」「休養」「喫煙・飲酒のリスクの理解と行動」の4つのアクションに加えて、健康診断、がん検診の受診を推奨する「キラリ☆健康おおた」を推進しているところです。一方、同プランでは、地域ごとの健康上の特性について記述があり、例えば糀谷・羽田地域では、飲酒量や喫煙者の割合などで悪い指標が目立つのが気になるところです。また、調布地域では、次世代への影響も懸念される女性のやせが多いなど、地域によって健康格差が明らかとなっております。
東京23区を見てみますと、足立区は健康格差対策で注目されております。足立区民の健康寿命は男女とも東京都の平均より約2歳も短いという衝撃的なデータを踏まえ、2013年から本格的な健康格差対策に取り組んでおります。その取り組みの一つが、野菜の摂取量を増やすため、区内の飲食店や商業施設を対象に、野菜摂取を呼びかける区の活動に賛同する店を増やす試み、ベジタベライフ協力店制度、また、子どもたちの食習慣の改善を通して、家族全体の野菜摂取を増やすため、区立の全ての保育園で野菜を食べる日を設け、先に野菜を食べるベジファーストを実践しております。2013年から始まった施策は、わずか4年で区民1人当たりの野菜摂取量を年間で5キロ増加させるという成果を上げております。足立区の取り組みは、食生活と健康の関係に着目した取り組みです。こうした先行自治体の事例を参考に、自然に健康になれる食環境づくりとして、食育を切り口に、大田区の健康格差の解消に取り組むことは有効と考えますけれども、区長の所見を伺います。
次に、認知症サポーターと共生の地域づくりについてお伺いいたします。
日本は、平成19年から65歳以上の人口の割合が全人口の21%以上を占める超高齢社会に突入し、高齢者の寿命の延びに伴い、認知症の方も増加しております。厚労省の推計によれば、団塊の世代が75歳以上となる2025年には、認知症患者数は700万人前後に達し、65歳以上の高齢者の約5人に1人を占める見込みです。私は、数年前、本区が開催した認知症サポーター養成講座を受講いたしました。受講後、自宅がわからず困っていた高齢者を自宅までお送りしたり、倒れている高齢者を警察に通報して保護してもらったりしたことが複数回ありました。認知症は身近にある問題であると強く認識しております。認知症の方が安心してお暮らしいただくためには、周りの方が認知症に対する正しい知識を持ち、認知症に気づくアンテナを磨き、支えることが必要であると考えます。そのために、認知症サポーター養成講座を区民に広く受講しやすい環境を整えるとともに、講座を受けた後のサポーターの活躍の場を設けることも必要ではないかと考えます。
伺います。認知症サポーター養成講座のこれまでの実績と、講座を受けやすい環境整備、地域における高齢者の見守りについて所見をお示しください。
認知症サポーターは、認知症に関する取り組みですが、区民が抱えるお困りごとは認知症だけではありません。病気、障害、貧困、ひきこもりなど様々で、単発でなく複合的な場合もあります。そのような困難さを抱えていることを気づき、区や地域の支援のレールに乗せることができるかが重要であると考えます。そのためには、区民の気づきを磨くための学びの推進、区民の活動をつなげるコーディネーターの整備、区民から相談をどの窓口が受けても適切な支援につなげていく連携、相談を断らない体制づくり、職員の研修の充実が重要です。
本年、本区は、「ともに支えあい 地域力ではぐくむ 安心して暮らせるまち」を基本理念に掲げた大田区地域福祉計画を、また、大田区社会福祉協議会は、「互いに結びあい 共に支えあう まち」を基本理念とした第6次大田区地域福祉活動計画、いわゆるリボン計画を策定いたしました。
伺います。様々な区民の力を活かしながら、超高齢社会を支えていく区の今後の方向性をお示しください。
次に、ひきこもりについてお伺いいたします。
国は昨年、平成30年12月、中高年層を対象にしたひきこもりの調査を初めて実施いたしました。それによると、自宅に半年以上閉じこもっている、ひきこもりの40歳から64歳の世代が全国で推計61万3000人、その7割以上が男性で、ひきこもりの期間は7年以上が半数を占める結果が出ました。15歳から39歳の推計54万1000人を上回り、ひきこもりの高齢化、長期化が明らかとなりました。ただ、この調査は、あくまでも全国の人数を推計したものであり、大田区の実態は不明です。ひきこもりの実態調査については、我が会派の椿議員から、本年第3回定例会の代表質問において、ひきこもり当事者の実情を調査し、その人に合った具体的な支援が重要であると質問し、区長からは、「区全体の把握を目指し、有効な調査方法を検討していく」との答弁がありました。ひきこもりの実態調査について、どのような観点からの調査を検討しているのか、お伺いいたします。
次に、在宅での子育て支援についてお伺いいたします。
10月より幼児教育・保育の無償化が始まりました。一方で、在宅で子どもを育てる方への支援もますます重要です。かつて我が会派の小峰議員が質問した、キッズな等の一時預かりの利用料金の見直しをはじめとして、我が会派として、在宅で子育てをする方への支援をこれまで求めてまいりました。在宅で子育てをする方への支援の充実について、来年度に向けて区はどう取り組まれるおつもりなのか伺います。
次に、事業承継の取り組みについてお伺いいたします。
事業承継については、平成30年第1回定例会の代表質問において、我が会派の勝亦議員から、区内の中小企業における事業承継や廃業の問題に関する区の認識、事業承継税制拡充による区内中小企業へのメリットについて質問いたしましたが、私からは、現在の取り組み状況や第三者承継について質問いたします。
現在、我が国では少子高齢化の進行と、それに伴う生産年齢人口減少による諸課題の一つとして事業承継問題があり、今や中小企業の最大の課題と言っても過言ではありません。後継ぎがいないために、黒字企業を含めた企業の休廃業・解散件数が増加傾向にあります。国の試算では、中小企業の経営者のうち約245万人が令和7年までに70歳を迎え、そのうち127万人は後継者が決まっておらず、廃業が増えれば、令和7年までに約650万人の雇用と約22兆円の国内総生産が失われるおそれがあるとのことです。多くの中小企業が立地する大田区においても決して他人事ではありません。
平成30年度税制改正で抜本的に拡充された事業承継税制により、年間400件程度であった事業承継税制の申請件数が10倍以上に増えていますが、親族の後継ぎがいないため、なかなか思うように事業の承継が進まないといったケースも多く、今後は親族以外への事業売却や企業の合併、買収など、いわゆる第三者承継を促進することも有効な選択肢として考えられます。大田区でも、ある程度の規模の企業が小規模の企業を吸収合併する形で事業承継ができた成功事例もあると伺っております。
令和元年版の中小企業白書では、親族以外の事業承継を促進する必要性が訴えられており、政府は、高齢で、後継ぎがいない中小企業経営者が、親族外の第三者に承継しやすくするための包括的な支援策を新たに設け、令和2年度から抜本的に強化する方針を固めております。区でも、本年5月の区議会臨時会において可決した令和元年度一般会計補正予算(第1次)に事業承継に関する相談・支援に関する経費219万円を計上しております。現在策定が進められている(仮称)大田区産業振興構想に、事業承継の考え方や取り組みは含まれる予定でしょうか。そして、事業承継した後も、企業が業績を伸ばせる見込みがあることが、円滑な事業承継を進めていく上で重要な要素となっていることから、事業承継そのものにとどまらず、事業承継した後の中小企業をフォローアップしていく、切れ目のない支援も重要であると考えます。
区内中小企業の円滑な事業承継に向けて、現在、区ではどのような取り組みを進めているのでしょうか。また、第三者承継を促進するための取り組みについて、区長のお考えをお聞かせください。
次に、不登校対策についてお伺いいたします。
本年10月8日、大田区議会公明党は松原区長に対し、令和2年度予算要望書を提出いたしました。重点要望項目の一つに、「現行の不登校対策を検証し、改善すること」を挙げました。本区における不登校対策は、学校、指導課、教育センター、関係機関が実に様々な対策を推進しております。適応指導教室つばさ、通級指導学級、スクールカウンセラーの配置、スクールソーシャルワーカーやメンタルフレンドの派遣などをこれまで行ってきましたが、さらに、登校支援コーディネーター、負担軽減講師、養護教諭補助、登校支援員、登校支援アドバイザーの配置を区単費で、中学校21校、小学校6校にて実施しております。しかし、児童・生徒一人ひとりに寄り添い続けられているのか、多様で適切な教育機会を確保できているのか、ネットワークによる支援を行えているのか、児童・生徒のみならず、保護者、家庭に支援は届いているのか、本区が進めている様々な取り組みをここで立ち止まって検証し、課題を分析する必要があると考えます。
本区には、大田区立学校における不登校問題解決要綱があるとのことですが、大田区の不登校に対する考え方、解決へのビジョンが見えず、不登校対策の熱意が残念ながら伝わってこないと感じます。現場任せにすれば、学校によって対応にばらつきが出るおそれがあります。他自治体では、不登校を重要課題と捉え、基本構想、行動指針、アクションプランなどを策定し、教育委員会として統一的な方向性を指し示して対策を進めております。
これまでの不登校対策を検証し、不登校に関する大田区の方針の策定をすべきと考えますが、教育長のお考えを伺います。
次に、不登校の未然防止、不登校児童・生徒の教育機会確保のための学校内の居場所づくりについてお伺いいたします。
不登校の子どもを持つ保護者からお話を伺ったことがあります。そのお子さんは教室になじめないため、週1回だけ学校内のスクールカウンセラーの部屋に通っているそうです。その部屋は教室ではないため学習環境が整備されておらず、また担任の先生も授業を受け持っているために、その部屋には時々しか顔を出せず、テスト前に渡されたプリントを生徒の自力で解かなくてはならないそうです。それ以外は、カウンセラーの先生やその部屋に通ってくるほかの生徒と、日がな一日、おしゃべりするだけで終わるそうです。これは一例です。形の上では学校に通っていても、児童・生徒の教育機会を確保していると言えるでしょうか。また、教室での勉強や先生、友達との関係に疲れたり、そのほかの何か問題があった生徒が立ち寄れるような居場所が校内にあれば、不登校の未然防止にもつながると考えます。
広島県福山市では、これまで担任による家庭訪問や適応指導教室などの不登校対策を行っておりましたが、長期欠席者が増加傾向にあったことから、さらに踏み込んだ取り組みとして、中学校6校、小学校2校の計8校の校内に、長期欠席者や休みがちな児童・生徒のために「きらりルーム」という部屋を開設しました。この部屋は、校内フリースクールとも呼ばれ、その学校のエース級の先生を担任として配置し、市単費の学校支援員と合わせて2名が部屋に常駐しております。「きらりルーム」では、個に応じた学習や体験活動を実施して、学校内に教室以外の居場所をつくり、長期欠席者ゼロの実現を目指しております。「きらりルーム」の設置のほか、「長期欠席者ゼロ」実現委員会という会議を学校で週1回、関係校連絡会議を教育委員会で月1回、定期的に開催し、情報共有や外部機関との連携状況など不登校対策の進捗状況を綿密にチェックするなどしております。
不登校の未然防止及び不登校児童・生徒の教育機会の確保のための居場所を学校内にしっかりと整備すべきと考えますが、教育長のお考えを伺います。
次に、スクールロイヤーについてお伺いいたします。
本区においては、先ごろ法律に関する幅広い知識と経験を有し、教育分野の行政課題解決能力を有する任期付職員を募集しました。教育分野に精通した法律の専門家である弁護士を一般にスクールロイヤーと呼んでおります。国は、平成29年度からスクールロイヤーの調査研究事業を進めてきましたが、来年度から、スクールロイヤーを各都道府県の教育事務所や政令市など全国に約300人配置できるようにする方針を決めました。自治体においては、大阪市が本年4月から大阪市版スクールロイヤー事業を開始し、学校の対応で解決できない場合の学校と保護者の関係調整、問題が深刻化する前の相談体制構築を目指しておりますが、専任の弁護士を採用せず、相談や対応の都度、弁護士に依頼するとのことです。本区においては専任の弁護士を採用することから、大田区版スクールロイヤー事業として先駆的な取り組みであると言えます。
いじめをはじめとした学校で発生する様々な問題を未然に防止することと、万一、問題が発生しても、その深刻化を防ぐために、組織的対応、法的対応をとることは重要であると思われますので、今回のスクールロイヤーの採用は理解できます。しかし、あくまでも子どもの幸せのための教育であることを念頭に置いた対応をスクールロイヤーに求めたいと考えます。
伺います。本区におけるスクールロイヤーの採用理由と役割についてお示しください。
次に、学校施設のメンテナンスについてお伺いいたします。
本区では、数多くの公共施設で多くの割合を占めている学校施設について、老朽化が進んでいることから改築を進めております。しかしながら、小学校と中学校、合わせて88校もあるため、全ての校舎の改築が終わるころには、最初に改築した校舎から老朽化が進むことになります。メンテナンスに関して、例えば居住用マンションでは、一般に管理組合が長期修繕計画を策定し、外壁塗装や屋根の防水、サッシなどのシーリングなどを定期的にメンテナンスすることにより、建物を長もちさせ、建て替えまでの寿命を延ばしております。
子どもたちの教育環境という観点からも、くすんだ外壁、暗い廊下よりも、明るく清潔な校舎が子どもたちによい影響を与えると考えます。改築を待つ既存の施設、また改築がなされた新築の施設ともに計画的にメンテナンスする必要があるのではないでしょうか。
また、本区が平成28年3月に策定した公共施設適正配置方針では、学校施設の複合化・多機能化が基本方針の一つとなっております。学校施設が複合化されると、その複合化施設は多くの所管が管理することとなるため、ともすると管理責任の所在が曖昧となり、メンテナンスが適正に行われなくなるのではと危惧します。
伺います。学校校舎について、既存・新築かかわらず、中長期の修繕計画を策定して定期的にメンテナンスすること、また、複合施設において複数の所管と連携した定期的なメンテナンスについて所見をお示しください。
次に、小学校への防犯カメラ設置についてお伺いいたします。
本区においては、いわゆる通学路防犯カメラ設置事業を進め、全ての区立小学校の通学路に各校5台ずつの防犯カメラを設置する事業を完了しました。通学路の安全確保とあわせて、学校内の安全も確保していかなければならないと考えます。本区においては、全ての中学校の校内に防犯カメラを設置する事業を平成30年度に完了しました。小学校の校門にはカメラ付きインターホンと電気錠が設置され、人の出入りを管理しておりますが、登校時と下校時以降は校門が開放され、誰でも校内に入ることができる状態となっている学校を多く目にします。下校した後といっても、放課後ひろばなどが設置されている小学校では学校内に児童が残っています。犯罪が起こらないように抑止力を高めるためにも、万一の場合に証拠を残すためにも、区立小学校の外部との出入り口全てに防犯カメラを設置するべきと考えます。私が調べたところでは、本区の周辺区である目黒区、世田谷区、品川区では、全小・中学校に防犯カメラを設置しているとのことでした。
伺います。全ての区立小学校内に防犯カメラを設置すべきと考えますが、所見についてお示しください。
小黒教育長は、教育長に就任して初めて臨んだ平成30年第1回定例会での所信表明演説で、「学校は子どもたちにとって学ぶ喜び、生きる楽しさを実感できる場でなければならない」と話されたことに、大変感銘を受けました。また、このたび、大田区子ども生活応援基金が創設され、地域ぐるみで子どもの生活を応援していく活動がさらに広く展開する予定であることも、これまで子どもの福祉向上を求めてきた我が会派として高く評価いたします。
今年は、子どもの権利条約が1989年の第44回国連総会において採択されてからちょうど30年となりました。子どもの幸福のために日々尽力されている教職員をはじめ、関係者に心から敬意を表するとともに、学ぶ喜び、生きる楽しさにあふれた子どもたちが陸続と育ちゆく大田となることを念願し、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○塩野目 議長 理事者の答弁を求めます。

◎松原 区長 田島議員の代表質問に順次お答えをさせていただきたいと思います。
まず、災害に関する情報発信についてのご質問でございますが、災害発生時におきましては、防災に関する情報を的確なタイミングで区が発信し、区民がみずからの命と安全を守る最善の行動につなげることが非常に重要であります。区はこれまでも、防災行政無線のデジタル化や、マイ・タイムラインの普及啓発など防災力の強化に向けて取り組みを進めてまいりました。一方、台風19号の対応では、情報発信の主要なツールである区ホームページが、想定を超えたアクセスの集中により、つながりにくくなるなど課題も生じました。これらの課題改善に早急に取り組むとともに、今回の台風災害を教訓として、平時からの区民への情報提供について取り組みをさらに強化してまいります。また、情報提供に当たりましては、多様な媒体を相互補完的に活用しながら、情報を迅速に発信してまいります。区民の命が危険にさらされる災害時において、適時適切な情報発信は自助・共助の取り組み支援にもつながることから、引き続き見直し、改善をしてまいります。
次に、風水害時の避難場所についてのご質問でございますが、水害時緊急避難場所につきましては、想定される浸水の深さや、浸水継続時間を踏まえ、避難行動要支援者と、その付き添い者を対象として、15の小中学校と池上、雪谷文化センターを開設しました。避難行動要支援者の方々以外にもたくさんの人が避難し、避難者はおよそ1万2000人でございました。避難された区民の皆様に使用するスペースや運営上、近隣の避難所に移動していただいた事例も多くありました。今回の教訓を受けて、早い段階から浸水想定区域外の小中学校をはじめ、区内の公共施設を水害時緊急避難場所として開設するなど、計画の見直しを行います。風水害時の避難場所のあり方について、早急に検討をしてまいります。
次に、自主避難スペース、水害時緊急避難場所についてのご質問でございますが、自主避難スペースは、台風接近時に避難に関する発令にかかわらず、特別出張所など自主的に避難する方へ提供する場所でございます。水害時緊急避難場所は、警戒レベル3の避難準備・高齢者等避難開始以上の発令により、浸水の想定に基づき、指定された区立小中学校を避難場所としております。長時間の避難となる場合には、避難者に対して備蓄品などを提供することもあります。このたびの台風では、ペットの受け入れなども避難場所により異なった対応があり、ルールづくりを検討してまいります。風水害時の避難場所で区民の皆様が安心して滞在できるよう、利用の基準などを明確にしてまいります。
次に、区民の自助意識の向上についてのご質問ですが、平成30年7月豪雨災害、今年の台風15号や19号など、激甚化する風水害から自分の身を守るためには、平時からお住まいの地域の災害リスクや避難行動を意識し、災害時にみずからの判断で適切な避難行動をとる自助の力をつけることが重要と考えております。区は、今年4月にハザードマップを改定しました。5月からは各地区で「みずからの命はみずからが守る」という意識を区民の皆様に身につけていただけるよう、区内18地区をはじめ、ハザードマップを活用した「マイ・タイムライン講習会」などを実施し、普及啓発をしてまいりました。私自身も講習会を視察し、参加された方々からは、「自分の住んでいるところのリスクがわかった」「避難の方法が理解できた」などの声をいただきました。区民の皆さんが地域の災害リスクを知ることや、自分のマイ・タイムラインをつくることで、自助意識の醸成につながるものと感じております。このたびの台風19号を機に、区民の皆さんが適切な避難行動をとれるよう促進してまいります。
次に、要配慮者の避難に関してのご質問でございますが、災害時の避難に当たり、要配慮者への対応は重要な課題です。区は先日の台風19号において、区立障害施設3か所を、バリアフリー対応を必要とする要配慮者が避難する場所として開設をいたしました。区立学校をはじめとする各避難場所には多くの方が避難され、要配慮者やその家族にとって、落ちついて過ごせる場所として十分に機能していない面もございました。こうした課題に対応するために、区はマイ・タイムラインの作成を推進し、災害時における対応を事前に準備していただくよう、周知・啓発を進めてまいります。また、自治会・町会及び民生委員児童委員などの関係機関と連携して、災害時に開設される避難場所の事前周知などを強化してまいります。今後も、要配慮者の支援体制のさらなる充実に取り組んでまいります。
次に、区の防災危機管理能力向上に関するご質問でございますが、このたびの台風19号では、約1000人の職員が参集し、各部局間で連携、調整しながら、全庁一丸となって区民の安全確保に向けた取り組みを行いました。今後も激甚化が予想される風水害に備え、このたびの台風対応の経験を職員間で共有しつつ、課題の洗い出しと検討を重ねております。また、自分の身を守るためのマイ・タイムラインの啓発と的確な行動を促すため、地域団体や区民との情報共有が重要と考えております。さらに、職員の防災意識や危機管理能力を向上させるため、避難所運営訓練の実施や、過去の災害に従事した経験のある大田区職員や他自治体職員の体験談等を研修に取り入れるなど、防災に関する訓練、研修カリキュラムを充実してまいります。全職員が区民の命と安全を守るという共通認識を持って、その目的達成に向けて邁進できるよう不断の努力を続けてまいります。
次に、スマート自治体に関してのご質問ですが、自治体の情報システムは、クラウド化等を通じた標準化や業務プロセスの見直しなどにより、実証的にAI、ロボティクスの導入などを進める動きが加速しております。地方自治体が持続的に住民生活に不可欠な行政サービスを提供し続けるためには、職員でなければできない業務に注力できるような環境をつくることが重要でございます。本区では現在、情報化推進に関する基本的な考え方を取りまとめております。さらに、来年度には、今後の区政の情報政策の指針となる新たな計画を策定する予定です。また、情報化政策を経営戦略として捉えて推進していくためには、外部人材の確保が必要であります。区は先般、人材の公募を行い、現在選考中で、組織内部の人材育成も含め体制強化に努めてまいります。また、情報セキュリティにつきましては、これまで個人情報の保護に取り組んでおりますが、今後は、一層その対応に万全を期すことで、情報化推進に積極的に取り組んでまいります。
次に、健康づくりについてのご質問ですが、健康格差を解消するための取り組みとして、食育は大変重要でございます。区は、区民の健康寿命を延伸するプロジェクトである「キラリ☆健康おおた」のアクションの一つとして、「適切な食事」を推奨しております。「自然に健康になれる食環境づくり」として、外食が多く、野菜を食べない傾向のある若い方でも、野菜たっぷりで健康に配慮したメニューが選べる「おおた健康メニュー協力店」を紹介しています。また、若者向け食育啓発事業として、コンビニエンスストアや商店街で野菜摂取を促すポスター、ポップを掲示しております。さらに、保育園、区立小中学校では、栄養士が給食を中心とした食育活動を行っており、幼いときからよい食習慣が身につくように指導をしております。今後は区内の学生等の意見も取り入れ、安価なメニューを提供する健康メニュー協力店を増やすとともに、商店街等との連携による食育の啓発も強化し、健全で豊かな食生活が送れる環境づくりを進めてまいります。
次に、認知症サポーターの養成と地域における高齢者の見守りに関するご質問でございますが、平成30年度は2962人の方が受講されるなど、現在までに総計で約2万8000人の方に認知症サポーターとなっていただいております。より多くの方に受講いただける環境整備に当たっては、夜間講座の開催や小中学校・企業等への出張の講座等に取り組むなど、地域力による見守りの充実を進めております。こうした講座を受講された認知症サポーターの方は、高齢者見守りメール協力員への登録をはじめ、地域の様々な場面でご活躍いただいております。さらに、地域や商店街との連携により実施している認知症高齢者の見守り訓練に参加されており、より様々な場面で活躍をいただけるよう取り組んでおります。区は、引き続きこうした取り組みを進め、認知症高齢者の見守りの充実に努めてまいります。
次に、超高齢化社会を支える区の今後の方向性に関するご質問ですが、いわゆる団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向けては、高齢者の生活を支えることに加え、多様な就労や社会参加の促進によって、誰もが活躍できる地域社会の醸成が重要となってまいります。区は、本年3月に大田区地域福祉計画を策定し、区民の気づきにつながる取り組みの推進、活動をつなげるコーディネーター機能の整備、包括的支援体制に係る施策を体系化しております。このような、つなぎ、受け止める相互の関係があってこそ、様々な支援が確実に届き、地域のつながりを強固なものとしていくことができます。また、その結節点を担う大田区社会福祉協議会の役割は大変重要であるため、地域福祉を推進するパートナーとして、今後も連携を強化してまいります。区は、多様な主体がそれぞれの役割を確実に果たせるよう、大田区地域福祉計画に掲げる大田区版の地域共生社会の実現に向けて、これからも邁進をしてまいります。
次に、ひきこもり状態の方の実態調査についてのご質問ですが、ひきこもり状態の方の現状を把握し、支援方針に反映していくことは大変重要でございます。現在、庁内の関連部局において、それぞれの相談窓口で把握しているひきこもり状態の方について、情報の集約を進めているところでございます。また、区民の皆様への調査も検討しております。具体的には無作為抽出による調査に加え、ひきこもり状態の方が参加しやすいように、ICTを活用した調査など、有識者等に助言をいただきながら、区におけるひきこもり状態の方の実態やニーズ把握に取り組んでまいります。
次に、在宅で子育てをする保護者への支援の充実についてのご質問ですが、核家族化や地域とのつながりが希薄化する中で、在宅で子育てをする保護者は子育てに不安や孤立を感じていることが多いと捉えており、子育て相談に加え、同じように子育てをする保護者との出会いの機会の提供や、緊急時や、レスパイトのための支援が重要でございます。区では、これまで児童館等の子育てひろばや、「子ども家庭支援センター・キッズな」での乳幼児の一時預かり事業等の支援を行ってまいりました。来年度に向けて、子育てひろばの講座等の充実や、キッズな等をはじめとした乳幼児の一時預かり事業の利用料金の見直しや、同一世帯で複数の子どもを預かる際の軽減措置、受け入れ施設の拡充など、近隣区の動向も勘案しながら、在宅で子育てをされる保護者への支援の充実に向けて検討を進めているところでございます。
次に、区内中小企業の円滑な事業承継に向けて現在進めている取り組み及び第三者承継に関するご質問ですが、事業承継に関する課題は多種多様であり、個々のケースに適切な対応ができる支援体制を構築することが重要でございます。そのため、現在区では、大田区産業振興協会が実施いたしますビジネスサポートサービスにおいて、個別相談などの対応をしております。区は今後、さらなる支援体制の強化に向け、区内の様々な支援機関と連携した仮称でございますが、大田区事業承継連絡協議会を立ち上げる準備を進めております。協議会設立後には、支援機関と緊密な情報交換や連携を図るとともに、チラシの作成・配布やセミナーなどを開催し、区内中小企業の事業承継に対する問題意識の醸成に努めてまいります。また、第三者承継の促進につきましては、代表的な手法としてM&Aがございます。区では、M&A業務に精通した経験豊富なスタッフを擁する公的相談窓口である東京都事業引継ぎ支援センターと連携し、区内事業者に寄り添ったマッチング実現に向けて、アドバイスから候補先の紹介まで鋭意取り組んでおります。
事業承継については、現在策定中の(仮称)大田区産業振興構想の検討課題とする予定であり、今年度実施しております区内産業実態調査の中でも、事業承継に関する課題等の抽出・分析を進めております。これらの取り組みを通じて、事業承継後の円滑な経営をも見据えた切れ目のない支援につなげてまいります。
次に、複合施設を含めた学校校舎のメンテナンスについてのご質問ですが、議員お話しのとおり、学校施設につきましては改築の取り組みに加え、計画的に改修を進めることで、財政面の平準化を図る必要がございます。これらの課題を踏まえ、令和2年度中を目途に、学校施設における長寿命化計画を策定する予定でございます。計画策定に当たり、現在、学校施設の現地調査を進めております。本計画は、調査結果に加え、工事履歴などのデータを加味しながら、中長期的な修繕を見据えた内容とし、今後の計画的な施設メンテナンスに活かしてまいります。また、学校における複合施設につきましても、高齢者施設や特別出張所など施設の特性に合わせた修繕計画を策定するに当たり、十分な検討を重ねてまいります。今後も学校施設の適切なメンテナンスに取り組むことで、子どもたちが安全・安心に伸び伸びと過ごすことのできる良好な教育環境を確保してまいります。私からは以上でございます。

◎小黒 教育長 これまでの不登校対策の検証と、不登校に関する区の方針の策定についてのご質問でございます。
不登校は子どもの成長において重大な教育課題であり、対策を検証することは不登校対策をさらに効果的に進めるために大変重要であります。教育委員会では、毎年実施する不登校調査において「不登校者数」や「不登校の要因」などを集計、分析し、検証を行っております。現状として、小中学校全体では不登校者数は微増傾向にありますが、その中でも重点的に不登校対策に取り組んでいる中学校におきましては、平成30年度は14校中7校で出現率が減少し、また中学校全体では復帰率が8.75ポイント上昇するなど、一定の成果が出ており、今後も不登校対策事業を継続・拡大してまいります。
また、「おおた教育ビジョン」の中で、「魅力ある教育環境づくり」を掲げ、「一人ひとりの児童・生徒の心に寄り添う教育の充実」に取り組んでおります。その中で、「登校支援員」や「適応指導教室での学習指導」など様々な施策を展開しているところでございます。不登校対策に特化した方針の策定につきましては、不登校施策の検証結果や、おおた教育ビジョンを踏まえ、総合的かつ計画的に不登校対策を推進するために、今後検討してまいります。
次に、学校内における不登校児童・生徒の居場所の整備についてのご質問でございます。
不登校の児童・生徒が登校する場合には、事前にどこで誰がどのように指導するかを保護者と十分に相談し、組織的に対応することを原則としております。不登校の未然防止のための校内の居場所づくりにつきましては、使用していない教室で、授業のない教員や登校支援員などが指導・支援する学校もございます。今後は「教育の機会の確保等に関する法律」を踏まえ、不登校の未然防止に加えて、不登校児童・生徒の教育の機会を確保するための居場所づくりについて、学習環境を整えていくことは重要でございます。なお、学校の施設面や人材面など様々な課題もあり、それらの課題への対応について検討してまいります。
次に、スクールロイヤー採用の理由と役割についてのご質問でございます。
採用の理由につきましては、学校において、近年、いじめや虐待、保護者とのトラブル、過度な要求など、法的なアドバイスが有効な案件が増加してきていることが挙げられます。また、スクールロイヤーを採用することで、訴訟に発展する可能性のある事案の早期解決などの効果が期待され、結果として、教職員が本務である子どもの教育に専念できるとともに、教職員の心的負担が軽減でき、働き方改革にもつながるものでございます。スクールロイヤーの役割につきましては、事故やトラブルなどに関する「相談」、対応に苦慮する案件に対する法的な「助言」、教職員に対する法的な「研修」などが挙げられます。子どもたちの幸せを図るという教育の目的のもと、スクールロイヤーを効果的に活用し、いじめの重大事案、虐待、訴訟案件などの対応を強化し、学校経営の包括的な支援を行ってまいります。
次に、小学校内への防犯カメラの設置についてのご質問でございますが、児童が安全で安心して学校生活を送る環境を整備することは大変重要な課題でございます。これまで教育委員会では、小学校の通学路に各校5台、合計295台の防犯カメラを設置しております。また、区立中学校全校に校内防犯カメラを各校4台、合計112台設置いたしました。昨今、児童が巻き込まれる痛ましい事件が発生しております。今年に入ってからも、4月には文京区内の国立の中学校に不審者が侵入し、学校内に刃物が置かれるという事件がございました。また、5月には、川崎市登戸駅の周辺でスクールバスを待つ児童に対する殺傷事件が発生いたしました。このような状況から、学校の安全対策強化のために、区立小学校に校内防犯カメラを設置する必要性は増しております。今後の設置の検討に当たっては、カメラの効果的な設置場所の選定や工事期間の調整、全小学校分の防犯カメラの確保など、いくつか整理すべき課題があり、計画的に整備する必要がございます。私からは以上です。