日程:2019/10/30~2019/10/31
場所:高知市(高知ぢばさんセンター)
参加者:大越、甚野、高橋正、鞆、羽田、高橋典
研修内容:
第1日目(10/30)
第1部 基調講演
「これからの経済・社会の変容と地方政治家の態度(仮)」
中島 岳志 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授
第2部 パネルディスカッション
「議会活性化のための船中八策(仮)」
コーディネーター 坪井 ゆづる 朝日新聞論説委員
パネリスト 髙部 正男 市町村職員中央研修所学長
横田 響子 (株)コラボラボ代表取締役/お茶の水女子大学客員准教授
古川 康造 高松丸亀町商店街振興組合理事長
田鍋 剛 高知市議会議長
第2日目(10/31)
第4部 課題討議
「議会活性化のための船中八策(仮)」
コーディネーター 坪井 ゆづる 朝日新聞論説委員
所感:全国の地方議会の議会改革の状況などを知ることが出来たフォーラムだった。参考になった点について整理すると、
①基調講演の中島岳志氏の話
非常に興味深かった。日本の現在の連立政権は世界で類例がないくらい長期の連立政権だが、連立を組む自公の政党スタンスが全く対極に位置していること。理論上は最も連立のパートナーとして適していない政党同士が、事実の上で最も長く連立を組んでいることは、中島氏も極めて興味深く、今後の研究テーマでもあると語っていたことは印象に残りました。
②パネルディスカッション
議会改革の話は少し古かった。議会提案の条例も理念条例ではなく、予算調製権を持つ執行機関を巻き込んだ条例制定が今は求められているので、その話がないのは残念。ただし、EBPM(Evidence-based Policy Making、エビデンスに基づく政策立案)の話は新鮮だった。横浜市や大津市など、議会改革先進都市で実施されています。今後の施設整備や各種行政サービスなどを構築・検証する上で、エビデンスに基づく視点は極めて大事です。議会としても決算委員会真っ最中ですが、有益な情報でした!議会で取上げます!
参考:https://www.projectdesign.jp/201902/using-data-topround/005965.php
③未来カルテ
千葉大学の倉坂秀史教授が開発したプログラムで、無料ダウンロードができる。さまざまな統計データをもとに、産業構造の変化や、公共施設・道路等の維持管理の可能性など、約10分野の項目をシミュレーションし、5年ごとの推移をグラフつきで表示する。いま住んでいる町が5年後、10年後にどうなっているのか。目の前に迫った「人口減少・高齢化」のインパクトが、地域レベルで実感できるとうもの。高齢化社会や人口減少、更には公共施設の老朽化・維持補修が大きな課題となっている現在、税金の使い道をリアルに実感できる仮想カルテ。今後、墨田区は税金をどこに「投資」していけば、「受益者」である区民に暮らしやすく満足のいく行政サービスが提供できるか、あらゆる客観的検証ツールについても活用を進めるべきと感じました。これも使える!!
参考:https://www.soumu.go.jp/main_content/000597209.pdf
新年あけましておめでとうございます。
今年初めの調査活動は医療・介護の多職種連携団体「ほ-めっと」さんです。
1月5日、場所は横浜市戸塚区役所。
向島歯科医師会の大久保先生のご紹介で伺いました。
戸塚区では介護事業者が中心となり、医療・歯科・薬剤師・理学療法士等、多職種の方が「顔の見える」よりもっと深い「何でも相談できる」関係を構築し、利用者のQOL(生活の質)を向上させる取り組みを日常的に実施しています。
当日は墨田区役所からも職員の有志の方が一緒に参加し、極めて有効な意見交換・調査活動が出来ました。
特に多職種連携の基盤構築では介護事業にご理解のある医師・歯科医・薬剤師の献身的なご協力によりネットワーク構築がされていることを痛感しました。
墨田区でも多職種連携がスタートしましたが、団体間の連携など課題もあると伺っています。それでも互いに高齢者を中心とした方の生活支援のため、先ずは日常的に「何でも相談できる」関係を作るため、志ある皆様と定期的な意見交換の場の必要性・重要性を改めて痛感いたしました。今年は区議選もあることから多職種連携については、有権者に訴えていく大きなテーマです。これからも専門職の皆様にご指導をいただきながら、墨田区らしい安心の多職種連携構築に向け、力を尽くしてまいります。
墨田区では「小1プロブレム」や「中1ギャップ」の解消、更には学力向上に向けた施策として「墨田区幼保小中一貫教育」と銘打ち、事業を展開しています。
平成30年の第1回定例議会では平成30~34年までの5年間の推進計画が発表されましたが、「一貫教育」と言っても教科ごとのカリキュラムに系統化されたものはなく、ただ単に中学校区域ごとにその幼保小中が連携しているだけで、取り組みも様々で濃淡もあります。全面学習指導要領も改正され、保育園、幼稚園、子ども園がそれぞれの状況下で、保育や教育の中身が異なることから、どの園を選んでも、しっかりとした幼児教育を受けられるよう一定の連携を図ることから、幼保小の連携が大事になってきます。こうした背景から墨田区とほぼ同じ時期から「幼保小連携事業」と「小中一貫教育」に分けて取り組んで、小1プロブレムの解消など成果を上げてきた牛久市の事業を視察してきました。
参加者:公明党(加納、甚野、高橋、鞆、羽田、大越)、無所属(西村) 計7名
受入れ部局:牛久市教育委員会(染谷教育長、川井教育部長、豊嶋教育指導課長、川真田教育総務課長)
参考資料:http://www.city.ushiku.lg.jp/data/doc/1492569436_doc_84_0.pdf
会派からの事前質問:20180419保幼小連携事業事前質問(牛久市)事前質問
所感:保育園や幼稚園から小学校に上がる際に、新学齢児に関する引継ぎ及び情報交換を毎年1月に実施し、小学校入学後にスムーズにカリキュラムが展開できるよう連携を図っていた。墨田区では学校のクラス編成後の3月に実施していると仄聞している。特別な支援も必要な子どもや家庭の事情などを含め、クラス編成前に実施する必要性を感じました。また幼保期間をアプローチ期間、小学校ではスタート期間として、系統化されたカリキュラムが各ブロックごとに作成されていた。公立幼稚園の修了期間は墨田と同じ2年間だが、「幼児教育センター」として位置付けられており、公立・私立の保育園や幼稚園のカリキュラム作成支援も行っているとのこと。学力向上との関係性については分析していないとのことだが、学力は相対的に上がっているとのこと。教育長は「幼保小中一貫したアクティブラーニングの本格的な実施で、授業や教員のスキルではなく、子ども一人一人を見ていることが大きな成果をもたらしているのでは」と話されていたのが印象的だった。
①3 : 59 ②25:850
上記はなんの比率かわかりますか?
①は総務省が発表した2016年に調査をした児童・生徒における平日のコミュニケーション系メディアの利用時間に関する比率で、携帯と固定電話、あわせて3分なのに対し、LINEなどのSNSでの利用時間は61分と圧倒的に長いのことが判ります。
②は幌市男女共同参画センターが行った中学~大学生の女性向け相談窓口に関する調査で、電話相談、LINE相談の案内をカードなどで配布した結果、実際に受けた電話相談が24件だったのに対し、LINE相談は847件とに上ったと報告されています。
こうした調査から、今やLINE等のSNSが子供達にとって重要な連絡・交信ツールになっていることが分かります。
私たち公明党はこうした状況を受け、LINE等を活用したいじめ相談などの実施について、昨年9月の第3回定例会で取り上げ、区に対してその実施を提案しました。区側からは「今後、全国のSNSを利用した相談体制を導入した自治体等の状況や文部科学省の推進事業等についても情報を収集し、これらのSNSに関する事業者の本区への導入も含め、検討を進めていく」との答弁を引き出し、来年度の実施について更に推進するために長野県で実施したLINEを活用したいじめ相談を調査研究してきましたので報告します。
参考:https://mainichi.jp/articles/20170831/k00/00e/040/242000c
視察日時:平成29年12月19日 10:00~11:30
場所・担当:長野県庁、県教育委員会・竹内様
参加者:高橋副議長、甚野区議、とも区議、羽田区議、大越区議、他民進党区議1名
調査項目:長野県が実施したSNSによる相談「ひとりで悩まないで@長野」の成果と課題について
①実施に至る経緯・・・公明党県議の質問(自殺対策における相談体制の強化)で対応検討 ⇔ LINE(株)としてLINEを活用した社会貢献検討
②相談の実施体制及び予算・・・試行期間:H29/9/10~H29/9/23 17:00~21:00 (放課後に実施)
相談体制:臨床心理士10名で対応(外部専門機関に委託)
予算:試行期間なのでLINEで負担
③相談件数・・・相談時間内でのアクセス数 ➡ 1,579件 そのうち相談対応実績 ➡ 547件 中高生の相談割合は高校生は中学生の約1.5倍、男女比は女性は男性の約2.2倍
※因みに県が実施している電話による子ども相談室は259件(H28年度年間実績)
④相談内容・特性・・・交友関係・性格に関すること(26%)、いじめに関すること(9.8%)、学校・教員に関すること(9.8%)、家族に関すること(5.9%)、不登校に関すること(0.7%)、恋愛・学業・その他(47.8%)
※ 電話相談に比べ、いじめ・不登校の相談が少ない(電話相談では32.1%)が、学業や恋愛の悩みなどが多い
⑤事業成果・・・気軽に相談できるツールと認識され、潜在化した相談へのニーズを発掘。その為、相談内容が深刻化する前に悩みが解消できると評価
⑦課題・・・中には自殺の危険性がある深刻な相談もあったため、より深い相談に継続する仕組みが必要。また電話と違い、共感・寄り添い感を相手に伝えにくい。コスト面も電話相談に比べてコスト高。
感想:この調査を行った翌日、大きなニュースが入ってきました。
政府は、自殺やいじめなど若者・子どものさまざまな悩みをより広く受け止め、問題の深刻化を未然に防ぐ観点から、SNSを活用した相談窓口整備の為に補助事業として、都道府県や政令指定都市25自治体に対し、上限1000万円の補助を検討。厚生労働省は、SNS相談事業を委託する民間事業者の公募を年内にも開始するとのこと。
長野県でも中高生で最も多かった相談学年は、それぞれ中1、高1とのこと。子ども達の学校環境の変化が、大きなストレスに繋がり不安を覚えていることが明らかになりました。悩みが深刻化しないうちに相談できる体制を整えていくために、今の時代にあった相談ツールとしてSNS、特にLINEの魅力を再確認しました。
8月15日の終戦記念日を前に加納幹事長、高橋副議長と共に世田谷区立平和資料館を視察してきました。 資料館には戦争体験世代の方々や戦争を知らない子どもたちも大勢来ており、貴重な資料を真剣なまなざしで見ていたのが印象的でした。 また資料の保存の他、語り継ぐ大切さについても改めて考えさせられました。 墨田区には関東大震災と東京大空襲で犠牲になられた方々を慰霊する施設の他、資料館があります。 東京大空襲では10万人を超える方が亡くなり、最も被害が大きかったのが墨田区です。 そうした意味では、平和の祭典である2020年の東京オリンピック、パラリンピックに向けて、「平和」の尊さを強く発信していく使命が墨田区にはあります。 ダーク・ツーリズム(戦争などの悲惨な歴史・教訓を学ぶツーリズム)よりピース・ツーリズム(平和を学ぶツーリズム)について検討しても良いのではと感じました。
本日、墨田区と千葉大学は包括連携協定に関する署名締結・記者会見が開かれました。墨田キャンパスで実施される事業は中小企業センターを拠点に千葉大学・大学院の工学部工学研究科6年間のコースを実施し、
①日本初の「デザイン・建築スクール」 を設置(H33~)
②スーパーグローバル大学創生支援事業として位置付けられ、3000人の留学生を受け入れ計画のうち、600人が墨田キャンパスで学ぶ「ライジング・グローバル・プログラム構想」
を推進するとのことです。
思い返せば、平成16年第3回区議会定例会(9月)における本会議質問で、墨田区で初めて廃校を活用した大学誘致を提案(下記参照)し、約13年かかりましたがやっと念願の大学誘致が決定し、大変嬉しく思っています。
これからは
①中小企業センター以外の大学誘致種地である旧曳舟中学と旧西吾嬬小学校跡地の活用をどうするのか
②大学と自治体・地域の連携事業として、何を展開していくのか(足立区は大学と200を超す事業で連携しています)
③大学誘致によりどう地域を活性化させていくのか
が大きな課題となってきます。これからも皆様の声をいただきながらしっかり推進してまいります。
(参考:平成16年9月9日 区議会本会議 公明党代表質問から抜粋)
【公明党の質問】
廃校活用の一つのアイデアを提案させていただきます。
平成十四年第三回定例会で我が党の槐議員が墨田区に大学を誘致すべきだと提案いたしましたが、墨田区は二十三区で唯一、大学がない区と言われております。大学ができれば若い人たちが集まり、街に活気が出て新たな産業が芽吹くなど、さまざまな効果が期待できます。仄聞するところによると、墨田区は産業創生特区を申請し、その中で大学施設の設置基準の緩和について要望したところ、承認されたと伺っております。また、学校施設は学校以外の目的に転用する場合、消防法が厳しくなり、現在の廃校の消防設備では不十分で改修しなければなりません。しかし学校として使用する場合、そうした改修も必要なくなるわけであります。また、墨田区は人情のまち、ものづくりのまちであり、文人墨客ゆかりの文化の地であります。都心への交通の便もよく、他の区から比べ比較的に地代も安いことから地方にある大学から見れば、東京の中央に位置した環境は大変魅力的に映ると思います。大学の学部や学年など一部が廃校を利用するなど受け入れることは可能だと思います。墨田区ゆかりの新たな人材を輩出するためにも、ぜひ大学を誘致すべきと考えますが、区長のご所見を伺います。
【山崎(当時)区長の答弁】
最後に、廃校への大学誘致についてお尋ねがありました。ご指摘のとおり構造改革特区構想の一次提案で、本区が提案いたしました産業活力創生特区の中で、大学の設置基準の緩和について要望いたしました。その結果、地方公共団体の地域の集積度が高いなどの特別の理由があり、大学の教育研究に支障が生じないといった場合に限って、特区の認定を受けることによって校地面積基準の引下げによって大学の設置が可能というふうになりました。区内の大学の誘致につきまして、私といたしましても大変望ましいことであると考えておりますので、特区構想を活用し校地面積基準の緩和が可能であったことから誘致についてもいろいろと考えてきたわけでございますが、どうしても、やはり大学となりますとそれなりの面積が必要でございます。また、相手方もあることでございまして、具体的な場所等も決めて大学側に働きかけなければならないわけでございます。余談になりますが、過日、私立大学の協会に対しまして、墨田区内における大学誘致について、手を上げていただく大学がないかということで、水面下でちょっと動いた経緯があるわけですが、最近の大学生は交通利便性というものを非常に求めるということで、駅の近くというのが私立大学の一つの適地を選ぶ条件になっているということもございまして、なかなか区内での大学の誘致については難しいといった面もございました。しかし、あきらめずに引き続き大学の誘致については検討させていただきたい、そのように思いますので、よろしくどうぞお願いをいたします。
1月26日、横須賀市の児童相談所を視察してきました。
児童相談所の都から区への移管は、都区協議の最大の課題の一つとなっています。
児童相談所は都道府県の事業ですが、平成16年に児童福祉法が改正され中核市での設置が可能となり、横須賀市では当時の市長の強いリーダーシップのもと平成17年に準備室を立上げ、18年には開設しています。
当日は高場利勝所長の挨拶に続いて、偶然、一緒の視察となった八王子市議会公明党の幹事長の挨拶に引き続き、墨田区議会を代表してじんの副議長が挨拶をし、その後、児童相談所に関する説明をいただき、一時保護所を含めた施設を見学させていただきました。
施設自体は平成20年に建てられたので新しいのですが、一時入所施設に入ってみると、各部屋などいたるところに補修の跡が・・・一時保護施設に入る子どもたちが暴れたできた損傷で、その度に職員の皆様で補修しているとのことでした。全国各地の一時保護施設も同様の状態になっているとのことで、子どもたちのストレスの大きさを痛感いたしました。
児童相談所開設にあたって最も苦労したこと、更には現在の課題を伺ったところ、児童福祉士や児童心理士を配置はしているものの、多種多様な深刻な問題・相談に対応していくためにも、人材育成が第1の課題であり、次に財政的課題が大きいことをあげられていました。
心配していた一時保護施設が満室(25人)で、待機者がいるのでは?と心配していましたが、そうしたことはないとの話でした。
特筆すべきは児童相談所開設前に年間約300件ぐらいだった虐待相談が、開設後は約600件と倍近くになっているが何故かを質問した時に、「児童相談所設置後、相談に来られる方の来所サイクルが1回/2週間になった(開設前は1回/1か月)。また市民の虐待防止に対する意識が高まり連絡相談が増えた分、虐待が未然に防ぐことができ、実際の虐待認知件数は減少していると確信している」との話は感動しました。児童相談所を設置しなくてすむような社会づくりめざして、これからも現実としっかり向き合いながら一つ一つ解決の道するべを作っていくことの大切さを改めて学びました。
また児童相談所が開設されたことで、特別養子縁組の事業をスタートさせることとした横須賀市(この事業は現市長の肝いりだそうです)。ただ特別養子縁組について、行政側に全く事業スキルがなかったことから、ノウハウを身に付けるために平成27年度からSIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)方式を活用してパイロット事業として実施し、ノウハウを身に着け、28年度から横須賀市と本格的に実施しているとのこと。
SIBとはイギリスでスタートした取り組みで、民間事業者のノウハウや資金を活用し、社会問題を解決していく官民連携による新しい「成果連動型事業委託システム」のことで、事業の効果に応じて後から事業費と成果報酬を支払う仕組みであることから、成果が得られなかった事業について行政は費用を支払う必要はないので、新規事業など財政的リスクを負うことなく事業着手できることが特徴の事業です。
近年、日本でもいくつかの自治体で実施されるようになりました。
横須賀市の場合は児童相談所が主導したのではなく、自治体シンクタンクである横須賀市都市政策研究所が主体で事業を展開。
平成26年に日本財団から提案をいただき、検討を重ね、27年度から特別養子縁組推進としてスタートさせています。
具体的には特別養子縁組のマッチングスキルを持つ一般社団法人ベアホームが日本財団から資金提供や、慶応義塾大学の支援チームの支援・アドバイスを受け事業を展開。第3者評価機関の評価を得て自治体は成功報酬を払うという仕組みでした。
SIB事業を実施する上での課題として、
- ①マネジメント経費が大きくなる課題
- ②社会問題を取り上げることから、基礎的自治体ではなく広域での取り組みが効果的
との意見についてもしっかり検討する必要があると感じました。
個人的には仮にSIB事業を実施するなら、学力向上や子ども貧困対策、生保世帯の自立支援など、成果が定量的に測れ、将来的な行政コスト削減につながる取り組みについて、検討してはどうかと感じました。私自身、更に勉強して議会の質問に繋げていければと考えています。
最近、シティプロモーションが注目を浴びています。
住民にとっては「住んで良かった」、「住み続けたい」と思える街に、
来街者からは「訪れてみたい」と思っていただける街として、
地域資源を国の内外に戦略的に発信していく取り組みです。
先ごろある意味、シティプロモーションの先駆的成功例と言える「大地の芸術祭-越後妻有トリエンナーレ」を同じ会派のじんの、高橋議員、すみだの絆の西村議員、そして高野副区長もわざわざ休暇をとって、ご一緒に視察に行ってきました。
こちらの地域芸術祭は、過疎化が進む里山を舞台に現代アートを媒介として、里山の魅力(地域資源)を再発見すると共に、都市と農村の世代・ジャンルを超えた交流等を進めるイベントで、世界的に注目されている地域芸術祭です。
2000年からスタートし、3年に1度開催。
今年は6回目となり参加国、出展作品、参加集落、開催期間中の来訪客見込みも過去最高になる予定とのこと。
今では3年に一度のトリエンナーレではなく”地域芸術祭を開催する里”として、
毎年、年間を通じて内外の交流が盛んな地域となりました。
また回を重ねるたびにブランド戦略も功を奏していました。
十日町市の商品(織物やお酒、お菓子など)を地域芸術祭の
デザイナー監修のもとパッケージをリニューアルし、
販売したところ売り上げが急上昇。
障がい者の授産施設で作り販売していたお菓子は、
売り上げが10倍となり、授産施設で働く障がい者の工賃もアップ。
厚生労働大臣表彰金賞を受賞されるなど、地域福祉や産業発展にも大きく貢献しています。
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芸術祭がもたらした地域への効果として、
- 交流人口の増加(2000年の第1回展16.3万人 ☞ 2012年の第5回展48.8万人)
- 経済波及効果(過去5回の開催 ☞ 371億3500万円、第5回展では約47億円)
- マスメディアに掲載(第5回展での広告料換算約14.5億円)
因みに芸術祭開催予算は約4億9000万円で内訳は下記の通り。
- 歳入・・・国庫補助金が約1億1000万円、市負担金が1億円、寄付・協賛金等で約1億2000万円、チケット購入等で約1億6000万円
- 歳出・・・ディレクター委託費が2000万円、芸術祭運営委託費(芸術家・作品の出店手配など含む)が約3億8000万円、その他が9000万円
これだけ予算で経済効果としては約10倍の効果が出ていることには、大変驚きました。
この芸術祭の準備がスタートする際は、地域も議会も大反対で、理解を得るために市長をはじめ担当職員、ボランティアが2000回も地域に足を運んで説明をしたそうです。
リーダーの熱い想い、率先垂範のアクションが事業成就の最大要件であることを改めて痛感いたしました。
「苦に徹すれば珠となる」なんですね。
皆様、第6回展9月13日までです。是非とも一度お出かけください!
8月8-9日と長野県佐久市で開催された「全国ぷれジョブ連絡協議会セミナー」に、加納区議、とも区議と共に参加してきました。
ぷれジョブってご存知ですか?
生活圏の中で、障がいを持った子ども達がジョブを通じて、保護者、学校、住民、事業者と繋がり、暖かい地域社会を形成していく社会運動です。
私がぷれジョブのことを初めて知ったのは同僚の加納議員からの紹介でした。
今でこそ、行政は「障がい者」という表記するようになりましたが、私が議員になった頃は「障害者」との表記が一般的で、障害者策というと福祉政策のみで、支援団体への補助等が中心でした。
そんな中、社会福祉法人プロップステーションの竹中ナミさんのセミナーに参加。
「日本は『障害者』と呼んでいるが、”障り”になり、”害”になる”者”とも読める。極めて失礼。アメリカでは「障害者」のことを『チャレンジド』(可能性を持った使命ある人々)と呼び、誇りをもって地域社会で生きていけるようまちづくり、教育、産業、雇用等、すべての制度の基盤に障がい者が参加できるよう法的基盤(AD法)が整い、障がい者が税金で支えられる人ではなく、健常者と同じく納税者になっている」との話は衝撃を受けました。
以来、チャレンジドの政策にあっては、単に福祉政策ではなく、もっと地域に広がった支えあう施策がないものかとずっと模索してきました。
今回のぷれジョブセミナーの参加目的は3つ。
①ぷれジョブを実施するためにはどうすれば良いのか(特に学校・教員との関わりは必須なのか?)
②行政とのかかわり(補助金はあるのか)
③行政主導のケースはあるのか
8日のセミナーは
13:30~14:00 講演 全国ぷれジョブ連絡協議会 西 幸代 代表
14:15~15:45 分科会 ぷれジョブ経験年数別に開催
16:00~16:40 分科会報告&総会
17:30~19:30 意見交流会
でしたが、 私の調査目的の3つの回答はこの中で得られました。
特に私が参加した分科会では、これからぷれジョブを立ち上げようとしている人の集まりで、
生々しい苦労話等、教員、福祉施設長、保護者等から多数お話を伺うことができ、
大変貴重な機会となりました。
特に東京調布市の調布特別支援学校の校長先生と担当主幹教諭の方もご一緒で、
学校主導で立ち上げようとしている話は大変参考になりました。
また茨城県や千葉県など、現在のところ行政も学校も味方が少ない中、
立ち上げようとしている保護者の熱い想いに接し、感動しました。
私たちの分科会にはぷれジョブ長野の代表を務める小林先生(元特別支援学校校長)に入っていただき、
参加者との意見交換の中で私が調査目的としていた点について、明確にアドバイスをいただきました。
①ぷれジョブを実施するためには・・・実施するたびに学校には報告に行くこと。徐々に学校・教員が味方に変わってくる➡欲張らず、じわじわと進めていくことが大事
②ぷれジョブ7か条には補助金を充てにしないとあるが、行政の支援を受けていないのか・・・補助金受けているところもある。ケースバイケース
③行政主導のケースはあるのか・・・保護者主導が殆ど。熱い想いが大事。小さくてもOK
④立ち上げるまでの準備として・・・近くの定例会に定期的に参加することが一番参考になる
チャレンジド支援だと思っていたぷれジョブは、実施していく中で、人と人がぷれジョブを通じて繋がっていく地域社会づくりにつながっていくと感じています。
優しいまち宣言をした墨田区では最近、観光客へのおもてなしだけが先行していますが、地元住民がその優しさを表現・感じ取れる地域づくりは優しいまち・すみだの根本だと思います。
ぷれジョブはそれを形にできる素敵な取り組みだと確信しました。
核家族化が進む現代にあって、産前産後の女性をどうサポートしていくのか、今大きな課題になっています。
特に産後は体力・体調が元に戻らないうちに、夜間の授乳や乳児への関わりの中で、強いストレスを抱えることになります。
また、心身にわたる様々なストレスから子どもへの虐待につながるケースが多いといわれています。
今回はこうした課題を解決するために、入院時から産後の女性を心身ともにサポートする郡山市の産後ケア事業を視察調査してきました。
郡山市が同事業をスタートしたきっかけは、市民へのアンケート調査により、子育て世代のお母さん達から強いニーズがあったからとのこと。
対象となるのは出産後6か月以内の初産婦で、心身にわたる不安を抱えている方などが、
出産後、最大14日間、継続入院できるものでした(実際には3日間ぐらいで退院される方が多いらしいです)。
現在は内閣府の地域少子化対策強化交付金を活用し、全額国庫補助を財源としているとのことでしたが、
今後、この補助金が使えなくなった場合は、厚労省の別の交付金の活用を考えているそうですが、
補助金が半額となってしまうため、利用者にも負担をお願いすることも検討しなければならないとのことでした。
驚いたのは郡山市の産後ケアの事業予算!
郡山市では協力いただける病院に毎月約53,000円を定額で支払い、それ以外は病院や利用者へは一切補助を行っていないとのこと。
利用者の負担金も病院によって異なりますが、1泊2日で3,700~9,000円とそれほど大きな負担になっていません。
東京世田谷で実施している産後ケアは、1泊2日で利用料約66,000円!
このうち約9割を世田谷区で補助し、利用者負担は6,400円となっており、自治体側に大きな財政負担が伴います。
しかし、核家族・少子化が進む中で、どのように安全・安心の産前・産後のケア体制を整えていくのかは大きな課題です。
協力いただける病院や助産院の状況もありますが、郡山市の事業運営を参考に東京都の中である程度の整備は必要だと感じました。
今後は都議会公明党とも連携し、安全・安心の産後ケア体制について
しっかり取り組んでまいります。