最近、シティプロモーションが注目を浴びています。
住民にとっては「住んで良かった」、「住み続けたい」と思える街に、
来街者からは「訪れてみたい」と思っていただける街として、
地域資源を国の内外に戦略的に発信していく取り組みです。
先ごろある意味、シティプロモーションの先駆的成功例と言える「大地の芸術祭-越後妻有トリエンナーレ」を同じ会派のじんの、高橋議員、すみだの絆の西村議員、そして高野副区長もわざわざ休暇をとって、ご一緒に視察に行ってきました。
こちらの地域芸術祭は、過疎化が進む里山を舞台に現代アートを媒介として、里山の魅力(地域資源)を再発見すると共に、都市と農村の世代・ジャンルを超えた交流等を進めるイベントで、世界的に注目されている地域芸術祭です。
2000年からスタートし、3年に1度開催。
今年は6回目となり参加国、出展作品、参加集落、開催期間中の来訪客見込みも過去最高になる予定とのこと。
今では3年に一度のトリエンナーレではなく”地域芸術祭を開催する里”として、
毎年、年間を通じて内外の交流が盛んな地域となりました。
また回を重ねるたびにブランド戦略も功を奏していました。
十日町市の商品(織物やお酒、お菓子など)を地域芸術祭の
デザイナー監修のもとパッケージをリニューアルし、
販売したところ売り上げが急上昇。
障がい者の授産施設で作り販売していたお菓子は、
売り上げが10倍となり、授産施設で働く障がい者の工賃もアップ。
厚生労働大臣表彰金賞を受賞されるなど、地域福祉や産業発展にも大きく貢献しています。
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芸術祭がもたらした地域への効果として、
- 交流人口の増加(2000年の第1回展16.3万人 ☞ 2012年の第5回展48.8万人)
- 経済波及効果(過去5回の開催 ☞ 371億3500万円、第5回展では約47億円)
- マスメディアに掲載(第5回展での広告料換算約14.5億円)
因みに芸術祭開催予算は約4億9000万円で内訳は下記の通り。
- 歳入・・・国庫補助金が約1億1000万円、市負担金が1億円、寄付・協賛金等で約1億2000万円、チケット購入等で約1億6000万円
- 歳出・・・ディレクター委託費が2000万円、芸術祭運営委託費(芸術家・作品の出店手配など含む)が約3億8000万円、その他が9000万円
これだけ予算で経済効果としては約10倍の効果が出ていることには、大変驚きました。
この芸術祭の準備がスタートする際は、地域も議会も大反対で、理解を得るために市長をはじめ担当職員、ボランティアが2000回も地域に足を運んで説明をしたそうです。
リーダーの熱い想い、率先垂範のアクションが事業成就の最大要件であることを改めて痛感いたしました。
「苦に徹すれば珠となる」なんですね。
皆様、第6回展9月13日までです。是非とも一度お出かけください!
8月8-9日と長野県佐久市で開催された「全国ぷれジョブ連絡協議会セミナー」に、加納区議、とも区議と共に参加してきました。
ぷれジョブってご存知ですか?
生活圏の中で、障がいを持った子ども達がジョブを通じて、保護者、学校、住民、事業者と繋がり、暖かい地域社会を形成していく社会運動です。
私がぷれジョブのことを初めて知ったのは同僚の加納議員からの紹介でした。
今でこそ、行政は「障がい者」という表記するようになりましたが、私が議員になった頃は「障害者」との表記が一般的で、障害者策というと福祉政策のみで、支援団体への補助等が中心でした。
そんな中、社会福祉法人プロップステーションの竹中ナミさんのセミナーに参加。
「日本は『障害者』と呼んでいるが、”障り”になり、”害”になる”者”とも読める。極めて失礼。アメリカでは「障害者」のことを『チャレンジド』(可能性を持った使命ある人々)と呼び、誇りをもって地域社会で生きていけるようまちづくり、教育、産業、雇用等、すべての制度の基盤に障がい者が参加できるよう法的基盤(AD法)が整い、障がい者が税金で支えられる人ではなく、健常者と同じく納税者になっている」との話は衝撃を受けました。
以来、チャレンジドの政策にあっては、単に福祉政策ではなく、もっと地域に広がった支えあう施策がないものかとずっと模索してきました。
今回のぷれジョブセミナーの参加目的は3つ。
①ぷれジョブを実施するためにはどうすれば良いのか(特に学校・教員との関わりは必須なのか?)
②行政とのかかわり(補助金はあるのか)
③行政主導のケースはあるのか
8日のセミナーは
13:30~14:00 講演 全国ぷれジョブ連絡協議会 西 幸代 代表
14:15~15:45 分科会 ぷれジョブ経験年数別に開催
16:00~16:40 分科会報告&総会
17:30~19:30 意見交流会
でしたが、 私の調査目的の3つの回答はこの中で得られました。
特に私が参加した分科会では、これからぷれジョブを立ち上げようとしている人の集まりで、
生々しい苦労話等、教員、福祉施設長、保護者等から多数お話を伺うことができ、
大変貴重な機会となりました。
特に東京調布市の調布特別支援学校の校長先生と担当主幹教諭の方もご一緒で、
学校主導で立ち上げようとしている話は大変参考になりました。
また茨城県や千葉県など、現在のところ行政も学校も味方が少ない中、
立ち上げようとしている保護者の熱い想いに接し、感動しました。
私たちの分科会にはぷれジョブ長野の代表を務める小林先生(元特別支援学校校長)に入っていただき、
参加者との意見交換の中で私が調査目的としていた点について、明確にアドバイスをいただきました。
①ぷれジョブを実施するためには・・・実施するたびに学校には報告に行くこと。徐々に学校・教員が味方に変わってくる➡欲張らず、じわじわと進めていくことが大事
②ぷれジョブ7か条には補助金を充てにしないとあるが、行政の支援を受けていないのか・・・補助金受けているところもある。ケースバイケース
③行政主導のケースはあるのか・・・保護者主導が殆ど。熱い想いが大事。小さくてもOK
④立ち上げるまでの準備として・・・近くの定例会に定期的に参加することが一番参考になる
チャレンジド支援だと思っていたぷれジョブは、実施していく中で、人と人がぷれジョブを通じて繋がっていく地域社会づくりにつながっていくと感じています。
優しいまち宣言をした墨田区では最近、観光客へのおもてなしだけが先行していますが、地元住民がその優しさを表現・感じ取れる地域づくりは優しいまち・すみだの根本だと思います。
ぷれジョブはそれを形にできる素敵な取り組みだと確信しました。