こんにちは。おおこし勝広です。
先週、スカイツリーが開業し、週末を迎えました。
大勢の来訪者で大変混雑し、スカイツリー周辺では様々な課題も出てきたとの報道もありました。
観光が進展する中で、出てくる光と影。
以前よりある程度の問題は想定していたとはいえ、この影の部分をどう改善していくのか、今後の行政区の課題だと思います。
現場の声を吸い上げ、しっかり調査する必要があると感じました。
さて、最近、主に知的障がい者の福祉施設で工賃アップのために、
自発かつ積極的に様々な取り組みを行っているNPO等に伺い、お話を伺っています。
上記の写真は、栃木県足利市にある指定障害者支援施設こころみ学園です。
この学園は墨田区の「手をつなぐ親の会」の皆様とも交流があり、
大山会長からも「是非、見学したほうが良い」とアドバイスを頂いていたこともあり、視察に伺いました。
現在、この学園では94人の知的な障がいを持った方が職員とともに寝食をともにして、
ブドウやしいたけの栽培、ワインの醸造などに携わっています。
こころみ学園は、昭和33年、中学校の特殊学級(現在の特別支援教育)の教員をしていた故川田昇氏が、
知的障がい者の自立支援のために私財を投じて山を購入。
傾斜38度の急斜面に子ども達と一緒にブドウ畑を開墾。
昭和43年、川田氏が同敷地内に補助金なしで「こころみ学園」を設立し、
障がい者と職員がともに生活し、ブドウやしいたけを栽培しながら共生のための様々な施策を展開。
当初は出来たブドウなどを都庁などに売りにいっていましたが、生の果物は傷みやすく、
そのままでは販路や販売時期も限られることから、ワイン作りをスタート。
ただし、「社会福祉法人が酒税を支払うのは問題」との指摘を受け、
昭和55年、親御さんたちが出資し、(有)ココ・ファーム・ワイナリーを設立。
昭和59年に醸造認可がおり、本格的なワイン作りがスタート。
開園20年を超えた現在では、沖縄サミットや洞爺湖サミットで各国首脳を迎えた晩餐会で飲まれたり、
また都内の有名デパートに置かれたりなど、現在では年間16万本を生産しているとのこと。
今では国内的に有名なワインとなり、地元足利市のワイナリーは、
GWや夏休み時期、年1回の収穫時期等はワインを求める大勢の観光客が訪れる名所となっています。
学園生たちは、雑草取りや原木の手入れ、瓶の洗浄やコルクかすの目視チェックなど
ブドウ・しいたけ栽培、ワイン醸造の各過程で発生する作業や、
学園の食事作り、清掃といった学園運営など、それぞれの得意分野で働き、大きく貢献しています。
来訪者も大勢訪れ、「ワイン、おいしかったよ」等と声をかけられることが、
学園生にとって大きな希望、誇りになっているとの話を伺いました。
「もっとワインを造りたいが現状の人数では、今の本数が精一杯」と学園事務局長。
ココファームでの収益の一部は学園に寄付され、毎年学園生一人あたり5~6万円の収入になっているとのこと。
自助努力により、障がい者の生きがいをつくり、収入アップに繋がっている事例として大変参考になりました。
もう一つは北海道・栗山町のNPO法人栗山町手をつなぐ育成会。
NPO法人栗山町手をつなぐ育成会・ワークセンター栗の木は平成14年に開設。
地元産の小麦を使って、パンを作り、障がい者の生きがいづくり、工賃アップ、地域との交流を推進しています。
理事長の坂本武氏(上記写真左から1枚目の右側)は、「栗山町産の素材にこだわり、添加物をできるだけ使わないように一つひとつ丁寧に焼き上げるパンです。
栗の木健康パンは、多くの人に食べてもらい、パンが施設利用者と地域住民をつなぐ『福祉のパン』を目指しています。
また、パンの製造販売事業を通して、行政から与えられる福祉だけではなく、施設利用者と利用者の親・家族や地域の人たちと基本理念の具体化、実現化を協働で進めていく実践を心掛けています。
「収益を上げるには、目的に叶うこと」「パンが売れることは、福祉の輪を広げていく」というテーマをもとに日々作業を行っています」と。
また理事長はパン作りだけでは、日持ちもしないし、販売エリアが限定され、工賃アップに繋がらないとして、
パン以外で流通ルートに乗せられる商品作りに着手。
その結果、誕生したのがスティックブラウン(左写真)というお菓子。
小麦を取り出した後の小麦かす(ふすま)は主に家畜の肥料等に使っていたが、
これで香ばしいお菓子を作成。
大変、評判がいいことから、自費で北海道・東京と商品発表会に出展。
その際、農山漁村資源開発協会の目にとまり、同会主催の明治神宮収穫感謝と食の集い(新嘗祭)に、スティックブランがデザートに採用され、
その後、都内にある北海道のアンテナショップ・道産子プラザ(池袋)でも販売されるようになったとのこと。
障がい者の工賃もスターと当初は0円でしたが、毎年徐々にアップし、今では月2万2000円(H22年現在)に。
坂田理事長いわく「月5万円の工賃をめざして頑張ります」と熱く語っていました。
障がい者福祉における支援も、様々あると思いますが、
こうして懸命に自助努力を行っている団体・法人にしっかり手をさしのべ、その努力の果実が大きく実るような施策になっているか
しっかり点検していかなければならないと強く感じました。
5月24日、今年も自治体総合フェア、環境展に行ってきました。
自治体総合フェアの目的は今後、墨田区で推進することになった公共施設のマネジメント支援に関する展示がないかということ。
地図情報システム(GIS)を活用した施設の資産台帳の作成支援ソフトはありましたが、
GISは昨年度まで墨田区でも年間約300万円ほどの維持費をかけて導入していたシステムで、
ほとんど使われず、今年度より廃止となったもの。
システム自体の問題ではなく、活用方法に問題があったと思いますが、
いずれにせよ、一度廃止されたシステムを再度導入することは、よほどのことがない限り考えられないので、
活用は難しいかと感じました。残念!
また環境展では昨年の東日本大震災による、福島原発の問題を受けて、
放射能汚染対策のコーナーが注意されていました。
昨年7~9月の区役所本庁舎の節電による経費削減効果は3ヶ月で約1800万円。
区民に不便をかけ、空調温度も28度と苦しい夏でしたが、エネルギー使用について見直す機会ともなりました。
特に消費エネルギーの見える化については、節電意識を醸成する上で効果的と考えており、
重点的に見てきました。
以前は学校でのフィフティ・フィフティ事業を提案し、墨田区でもいくつかの学校で実施しています。
今後は他の公共施設も含め、できれば”楽しく”、”無理なく”節電に取り組めるよう、
工夫する必要があると感じました。
五月晴れの5月19、20日と東京スカイツリーの開業イベントが開催されました。
「スカイツリーで墨田区を元気にさせたい!」と区民の思いをひしひしと感じました。
開業イベントでは、浅草の三社祭に負けるな!と11基の神輿や、
中学校のブラスバンドやマーチンバンド全国大会で11度も優勝に輝いた創価ルネサンスバンガードによるパレードや、
東京ソラマチ4階のステージでは、地元八広小学校の子ども達が、そのステージでエイサー節やよさこいソーラン節を
披露して大いに盛り上がりました。
また墨田区の見所や特産品を紹介する「すみだまち処」もオープン。
期待感が会場にあふれていました。大勢の方にすみだブランドに触れてもらいたいです。
皆様、明日からいよいよスカイツリー開業。
是非とも墨田区に足をお運びください。
5月11日、大阪商工会議所を訪問。
大阪の新たな観光振興の取り組みである「水都-大阪」事業を視察してきました。
いよいよ明日、東京スカイツリーが開業。
「すみだ観光まちびらき」が銘打ち、観光まちづくりが「スタートしましたが、
隣接区の台東区と比べ、観光面についてはヨチヨチ歩きであり、
当分はスカイツリー頼みということになると思います。
スカイツリーの開業熱があるうちは、放っておいても大勢の観光客来訪すると思いますが、
時の経過とともに、その熱は冷め、観光客は減ってくるのが現実です。
観光産業を新たな区内産業に昇華させるとともに、既存の区内産業を観光と結びつけ、
更なる発展をさせていくためにも官民上げた中長期の観光振興計画が必要になってくると思います。
大阪では行政や商工会議所等、関係団体が一体となって、住んでいる人の誇りとなり、
訪れる人にとって新たな魅力を提供することをコンセプトに「水都-大阪」をスタートさせました。
幸い、墨田区も大阪と同じように隅田川、荒川他、内河川が多数あり、
スカイツリー周辺についても水辺の整備が進んでいます。
墨田を訪れる観光客に、「スカイツリーだけと思っていたけど、観るところがたくさんある」と、
良い意味で期待を裏切る観光施策の展開・定着化のために「水都・大阪」で様々な取り組みを実施している
大阪商工会議所の地域振興部と意見交換してきました。
今後は現在、区内で観光振興のために様々活動されている皆様とともに、
1年後、3年後、そして5年後の墨田区の観光振興・産業振興に向けた意見交換をより積極的に開いていかなければならないと痛感しました。
こんにちは、おおこし勝広です。
5月9日、大阪市の防災力強化マンション認定制度を視察してきました。
【視察の背景・目的】
昨年の東日本大震災では、墨田区でもマンションなどの集合住宅にも大きな被害が発生。
特に高層階の住宅ほど、揺れが激しく、家具などの転倒、ガラスの飛散がありました。
こうしたことから、昨年11月の決算特別委員会で私は墨田区の集合住宅条例について、家具転倒防止などの設置を義務付けるなどの見直しを行うべきと提案。
今年、その提案が実現し、集合住宅条例が改正され、今後新築される集合住宅については、家具転倒防止対策などが義務付けられることについては、一歩前進だと思っています。
しかし、既存の集合住宅は多数存在しており、こうした集合住宅の防災力強化は、残された大きな過大のひとつ。
今回視察した大阪市の防災力強化マンション認定制度は、市で設けた一定の防災基準を有している集合住宅について、「防災力強化マンション」として認定し、融資を受ける場合でも利子など優遇措置が受けられるという制度であり、しかも、ほぼゼロ予算事業!(大阪市からは集合住宅に特別に補助金などは一切出ておりません)。
30年以内に80%の確立で発生すると言われている首都直下型地震に対して、壊れない燃えないまちづくりを進めなければならない本区にとって、極めて参考になる制度だと思い、視察してきました。
【視察内容】
- 制度創設の経緯
- 制度概要
- 実績
- 認定のメリット・効果
- 質問・意見交換
【感想】
「防災力強化マンション認定制度」は、平成21年からスタート。
現在まで25棟・2922戸のマンションが認定されており、毎年認定は増加傾向。
市としては認定されたマンションに補助金は出していないが、りそな銀行の御好意により、認定されたマンションの住宅ローン金利は引き下げられるとのこと。
更に大手マンション建設業者では、今後大阪市で建設するマンションは全てこの認定制度を取得する方向とのこと。
興味深かったのが、大阪市では墨田区同様、一定の基準を満たすマンションについては、「子育て安心マンション」として認定する制度もあるが、こちらは減少傾向とのこと。
時代の流れかと感じています。そもそも「子育て支援マンション認定制度」は墨田区が全国のさきがけとしてスタート。
制度実施のころは視察も多く、類似の制度を多くの自治体でもスタートしました。
しかし、バリアフリー法が改正され、マンションのハード設備について、一定の基準が法的に義務化されることにより、墨田区のように建設補助で拠出し、実施している自治体は少なくなってきているのではないかと推察します。
区が定めた一定の子育て環境を満たしたマンションを「子育て支援マンション」と認定するのは、問題ありませんが、補助金(しかもデベロッパーへの補助金)を出す必要性はなくなってきていると感じます。
逆に水害時の避難マンションや、集合住宅に居住する住民が約6割を占める本区にとって、そうした集合住宅の防災力強化に繋がる支援を検討すべきと思いました。