【きっかけ】 7月18日付日本教育新聞にある特集が- テーマは「避難所としての学校機能の強化」。
記事には、7月7日に発表された文部科学省の学校施設の整備方策を検討する有識者検討会が、東日本大震災を受けて学校の避難所としての機能強化を緊急提言とあった。
更にモデル校という事で新潟県長岡市東中学校が取上げられていました。
私自身も
①本年6月の第2回定例議会で同様の質問をしていた事
②避難所強化だけでなく、通常、理科室しかない専科教室を国語、数学、英語、社会と5教科で実施している事
③学校を教育施設としてだけではなく、平時より地域に解放している事
などの点から興味があり、先日訪問して話を伺ってきました。
東中学校の改築は、平成15年から地域の方を交え、何度もワークショップを開催。地域に開かれた学校として、地域の方が自由に出入りできるように別の出入口を設ける等、様々計画され、ほぼ設計が固まりつつあった平成16年に震度7の中越地震が発生。学校が避難所となり、今のままではダメだという事で、震災での経験を活かして、避難所としての機能強化を新たに組み込み、改築したのとこと。
【東中学校の改築状況】
何よりも驚いた事は、学校全体の設計が災害時の避難所を想定して作られたという事であります。
上記配置図をご覧になっていただいてわかるように、
学校を「屋外避難エリア」、「屋内避難エリア」、「教育活動エリア」に
分けて配置。
その中心にビッグルーフという全天候型アリーナを設置。
窓を開ければ校庭ともフラットに繋がるアリーナは、平時は様々な
学校行事に活用しているが、災害時は救援物資等の仕分け場になるとのこと。
その横に併設される体育館、武道場(畳敷き)は、災害時の避難場所。
ここには、校舎と別に地デジやインターネット環境も配備。
担当者に「教室にもあるのに何故、体育館にも配置したのか」伺うと、「避難所と子ども体の授業を行う校舎は別。 避難所の方がテレビの視聴や情報収集のため、頻繁に教育エリアを出入りすることは教育環境としても、避難環境としても決して良くないとの判断から、体育館にも設置にした」とのこと。
第2回定例議会で私は体育館に地デジやインターネット回線配備を提案しましたが、区長答弁は校舎教室のものを代用するとの答弁でした。
大震災を経験した自治体の意見を参考に、区内の学校の避難所機能の強化を推進する必要性を感じました。
また早い時では11月から降雪があるという長岡市。当然暖房(ガス)も完備されていました。また武道場の隣りには給食室が。災害時は地域の方により直ちに避難者の炊き出しが出来るようになっており、使用している都市ガスは、災害時に都市ガスが復旧するまでプロパンガスに切り替えが可能とのこと。区内の学校の都市ガスもプロパンガスとの併用が可能か確認する必要性も感じました。
工夫があるなと感心したのは、採光や風通し。通常の体育館だと1階部分はボールなどがあたることから壁になっており、採光は2階部分から取り入れますが、東中学では避難所となった場合の風通しを考え、1階に強化ガラスで開閉自由な窓を全面的に設置。涼しいだけでなく、体育館が本当に明るくなっており、子供達からも涼しい風が入り、真夏でも運動しやすいとの意見が聞けました。これから墨田区の学校体育館を新設する際は、是非とも検討すべきと感じました。
体育館直ぐ横には災害対策本部などが設置される会議室を設置。
救急搬送車両の動線も確保されているし、避難者が施設内を移動する際の通路も降雪時でも歩けるように確保しているとのこと。
最も驚いたのは、いざそのような場合になっても、授業を行う校舎とは分離している設計になっている為、体育館を使用する授業以外は通常授業に影響を与えないようになっていることでした。避難所として充実した機能も大事ですが、出来るだけ早期に教育機関としての学校を再開する事も極めて大事だと私は思っています。墨田区は老朽家屋が多いことから、首都直下型が発生した場合、大勢の方の学校での避難所生活は長期化が予想されます。そうなった場合、教育再開も厳しくなり、将来的にも大きな問題になってまいります。こうした大震災を経験し、その経験を活かした行政施策を今後の防災計画や学校建設・改築に活かすよう、しっかり推進してまいります。
難点を言えば、電源の問題。自家発電は無く、災害時は電源車の到着を前提としているとの事。11月から半年は雪に閉ざされるため、太陽光発電などは設置できないとのことでした。地域によって学校の環境対策も大きく変わることを痛感しました。