5月30日、13:00~17:00まで政策シンクタンクPHP総研が企画した公共経営セミナーに行ってきました。自治体首長や地方議員、役所の職員など約100人。質疑応答が白熱し、時間内に終わらないほど充実したセミナーでした。
テーマは「公共施設マネジメントの新たな局面
~財政危機、災害対応の中で「市民財産」をいかに有効活用していくか~」
プログラムは
- 報告・・・PHP施設白書研究会の成果報告
- 佐々木 陽一 (株)PHP研究所 公共経営支援センターコンサルタント、墨田区外部評価委員
- 講演・・・自治体間比較による公共施設マネジメントの新たな展開
- 望月 伸一 (株)ファインコラボレート研究所 代表取締役
- パネルディスカッション・・・公共施設マネジメントに向けた自治体現場からの挑戦
- 入間市、鎌倉市、取手市、武蔵野市の各担当者
- 講演・・・震災で見えた公共施設のあり方と今後の検討の方向
- 南 学 神奈川大学 人間科学部特任教授
- 質疑応答
今年度、扶助費が増え財政的に非常に厳しい中、スカイツリー建設にあわせ対前年度より投資的経費を増額した墨田区。
区内人口が25万人になり、若干税収が増えたとは言え、少子高齢化が進み、場合によっては今後、マイナス成長も想定される事から、地域の公共施設を維持管理していくのにどのくらい経費がかかるのか、どのような計画で施設の長寿化を計るのか、住民からも喜ばれ、施設のパフォーマンスを上げていくのにどうすればよいのか等、公共施設のマネジメントとその「見える化」が大事になってくると思っています。
また、3月11日の東日本大震災では、市役所など甚大な被害を受けましたが、中には震度5弱で倒壊してしまった公共施設もあり、東洋大学の根本裕二教授は「いつくるかわからない大震災に対する備えも大事だが、必ず来る施設の老朽化に対する対策も大事」と警告しています。
墨田区も学校の耐震化は、今年度中には完了予定ですが、他の公共建築物は耐震診断すら出来ていないところもあり、施設の耐震化や計画的修繕は大きな課題。財源には限りがあるため、当然「選択」と「集中」による財政投資をどのような基準で実施するのか、これからの議論になると思います。
パネルディスカッションでは、各自治体とも①施設に関する全庁的統計データを取る上で、各部局ごとに管理方法が異なっている為、その調整などに大変苦労し、その集計、編集にあたっては全庁的協力がなければ出来ないこと、②公共施設マネジメント白書を作成後の政策活用と、住民の合意形成について、どう進めれば良いか今後の大きな課題との話は大変参考になりました。
墨田区で今後展開する場合は、以前にも私のブログで紹介しましたが広島市が実施している「クロスセクション事業」の一つとして位置づけて取組んだ方が効率的・効果的ではないかと感じました。
またセミナーで講演した南教授は「施設を『行政財産』から『市民財産』として管理すること、活用する事が大事であり、学校も例外ではない」との話は、学校施設の維持管理費に施設管理における経費の殆どが費やされている事から、大変興味深く聞かせてもらい、今後の研究課題を戴いたと思ってます。
終了後、望月先生と懇談。望月先生の資料には公共施設としてインフラも計上されていたので、インフラ(道路や橋、上下水道など)についても公共施設マネジメント白書に入れるべきか伺うと、「インフラも整備計画を立てるのは大事だが、マネジメントとしては難しい側面もあるので、別にすべき」と回答を戴きました。公共資産の道路や橋梁などをマネジメント化するのは如何かと思っていたので、納得できました。